介護付き有料老人ホームへの入居時、自宅で利用していた車椅子や介護ベッドのレンタルを継続できるか疑問に持つ方は少なくありません。
結論として、介護付き有料老人ホームでは、原則として介護保険を利用した福祉用具のレンタルはできません。
これは、介護付き有料老人ホームにおける介護サービス費が、定額制として定められているためです。
本記事では、レンタルが不可能な理由や例外規定について解説します。さらに、施設の備品利用や自費でのレンタル・購入といった代替案を比較します。
介護保険でのレンタル継続を希望する方向けの施設種別も紹介しますので、最適な施設選びの参考にしてください。
介護付き有料老人ホームで福祉用具のレンタルは可能?
介護付き有料老人ホームを含め、介護施設では福祉用具のレンタル自体は可能ですが、介護保険を使ったレンタルはできません。
この点について詳しく解説していきます。
介護付き有料老人ホームでの介護保険レンタルは原則不可
介護付き有料老人ホームでは、介護保険を利用した福祉用具のレンタルは原則としてできません。福祉用具をレンタルをして使い続けたい場合は、基本的に全額自費でのレンタルもしくは購入となるためご注意ください。
介護付き有料老人ホームは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームのことです。
特定施設入居者生活介護の指定を受けると、基本的に介護保険の月額上限をすべてその施設で使用することになります。そのため、自宅で利用していた福祉用具を介護保険でレンタルし続けることは基本的にできません。
介護保険を使ったレンタル契約は、在宅介護を支援するためのサービスに分類されます。自宅から介護付き有料老人ホームへ生活拠点が移る段階で、既存のレンタル契約は終了する点にご注意ください。
介護付き有料老人ホームは福祉用具をレンタルしなくても生活できる
介護付き有料老人ホームでは、生活に必要な介護ベッドや車椅子は施設の備品として用意されています。そのため、そもそも福祉用具をレンタルする必要はないことがほとんどです。
介護付き有料老人ホームでは、入居者の生活を支えるための基本的な福祉用具が施設側の備品としてあらかじめ用意されています。多くの施設では、居室に介護用電動ベッドがあり、車椅子も共有または個人用として利用可能です。
入居の際に自宅から持ち込んだり、新たに自費でレンタルや購入を行ったりする必要はありません。
歩行器や杖などの日常的な移動補助具についても、施設のものを利用できるケースがほとんどです。
ただし、個人の身体寸法に合わせる必要性が高い福祉用具については各自での持ち込みや購入を案内される場合もあるでしょう。入居前に備品や持ち込みに関する規定を確認しておくと安心です。
なお、介護付き有料老人ホームには、「大型の介護設備」も備え付けられています。
介護付き有料老人ホームにある福祉用具について、ケアマネジャーであり社会福祉士でもある桐島さんにお話を伺いました。


将来もし寝たきりになってしまったとしても、そのまま生活しやすい施設といえます。
桐島さんの話からも分かるとおり、介護付き有料老人ホームにはあらゆる身体状況に応じてサポートできる福祉用具があります。
そのため、基本的には必要な福祉用具は揃っていると考えてよいでしょう。
介護付き有料老人ホームで福祉用具を利用するのにお得なのはレンタル?購入?
介護付き有料老人ホームで福祉用具を利用する場合、自費レンタルと自費購入、どちらがお得になるのかは、多くの方が気になる部分なのではないでしょうか。
結論から述べると、自費レンタルと自費購入のどちらがお得になるかは使用する期間によります。
例えば、電動車いすの場合、自費購入の相場が20~40万円、自費レンタルの相場が月額1~4万円です。
同じ型の電動車いすを20カ月(約1年8カ月)以上使用するのであれば、購入のほうが安く済みますが、20カ月以下の場合にはレンタルのほうがよいでしょう。
つまり、長期間同じ福祉用具を利用するのであれば、購入のほうが安くなりますが、短期間で交換する可能性があるのであればレンタルの方がおすすめです。
ここからは、自費レンタルと自費購入、それぞれのメリットとデメリットについて説明していきます。
料金に加えメリットとデメリットも比較したうえで、レンタルと購入のどちらが合っているのかを決めるとよいでしょう。
介護施設で福祉用具を自費レンタルするメリット・デメリット

介護付き有料老人ホームをはじめとして、介護施設で福祉用具を自費レンタルするメリットとデメリットは以下の通りです。
自費レンタルには、「身体状態に合わせて臨機応変に福祉用具を変更できる」メリットがあります。しかし、「借り物のため、汚せない」といったデメリットがあるのを覚えておきましょう。
レンタルは、購入と比較すると安価です。そのため、身体状態の悪化などが理由で、使用している福祉用具が合わなくなった場合でも臨機応変に対応できます。
また近年では、月額レンタルだけではなく、日数単位や週数単位でレンタルできる業者も増えてきており、気になっている福祉用具をお試ししやすい点も、レンタルのメリットです。
ただしレンタル品は、業者からの借り物です。必要がなくなれば業者に返却しなければなりません。汚染や破損させないよう丁寧に扱う必要があります。
介護施設で福祉用具を自費購入するメリット・デメリット

介護付き有料老人ホームをはじめとして、介護施設で福祉用具を自費購入するメリットとデメリットは以下の通りです。
自費購入には「自分のものであるため、汚しても問題がない」メリットがある一方で「身体状態に変化があっても簡単に対応できない」デメリットがあります。
購入はレンタルとは異なり、お金を払った後は自分自身の物になるため、汚染や破損があっても問題はありません。
レンタルの場合だと汚染や破損を気にしすぎてしまい、思うように使用できない方もいるかもしれません。しかし、自費購入なら自分の物になるため、好きなように使用できます。
ただし、購入の場合は、レンタルのように安価ではないため、身体状態に変化があっても、簡単には対応できません。また、故障があった際のメンテナンス作業を自身で行う必要があります。できない場合には業者を探す必要もあるでしょう。
介護保険で福祉用具がレンタルできる施設・できない施設
本章では、介護保険で福祉用具レンタルできる施設とできない施設について詳しく解説します。
介護保険で福祉用具のレンタルが「できる」施設
- 住宅型有料老人ホーム
- サ高住
- ケアハウス(一般型)
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、介護保険を利用した福祉用具のレンタルが可能です。これらの施設は、入居者が外部の居宅介護サービス事業者と個別に契約を結ぶ方式を採用しています。
そのため、自宅や他の施設で利用していた使い慣れた福祉用具を持ち込むことが可能です。
介護保険で福祉用具のレンタルが「できない」施設
特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などの公的施設では、介護保険のレンタルは利用できません。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護医療院
- サ高住(特定施設)
- ケアハウス(特定施設)
特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)といった公的施設や、民間施設で特定施設の指定を受けている場合は、もっている介護保険の上限額をすべてその施設で使うことになります。
そのため、これらの施設では原則として介護保険を使った福祉用具のレンタルはできません。
個別のカスタマイズがどうしても必要な用具を利用したい場合は、全額自費での購入や自費レンタルのみが許可されるケースが大半を占めます。
まとめ
介護付き有料老人ホームにおける福祉用具のレンタルに関する重要なポイントを整理します。
本記事の要点
- 介護付き有料老人ホームでは、介護保険を利用した福祉用具のレンタルは原則不可。
- 介護付き有料老人ホームには介護ベッドや車椅子などの標準的な備品が用意されており、追加費用なしで利用可能。
- 現在の用具を介護保険で継続利用したい場合は、住宅型有料老人ホームなどが代替案となる。
入居先の施設を決定する前に、施設の備品状況や個人の福祉用具の持ち込みルールを必ず見学時に確認してください。
個人の身体状況に合わせた特殊な車椅子などを使い続ける必要がある場合、全額自己負担によるレンタル・購入を選択するか、介護保険のレンタルが可能な施設形態へ希望条件を変更する必要があります。