介護付き有料老人ホームへの入居時、自宅で利用していた車椅子や介護ベッドのレンタルを継続できるか疑問に持つ方は少なくありません。
結論として、介護付き有料老人ホームでは、原則として介護保険を利用した福祉用具のレンタルはできません。
これは、介護付き有料老人ホームにおける介護サービス費が、定額制として定められているためです。
本記事では、レンタルが不可能な理由や例外規定のほか、介護保険を使って福祉用具レンタルできる3つの施設などについて詳しくご紹介しています。
介護保険でのレンタル継続を希望する方向けの施設種別も紹介しますので、最適な施設選びの参考にしてください。
介護付き有料老人ホームで福祉用具のレンタルは可能?
介護付き有料老人ホームを含め、介護施設では福祉用具のレンタル自体は可能ですが、介護保険を使ったレンタルはできません。
この点について詳しく解説していきます。
介護付き有料老人ホームでの介護保険レンタルは原則不可
介護付き有料老人ホームでは、介護保険を利用した福祉用具のレンタルは原則としてできません。福祉用具をレンタルをして使い続けたい場合は、基本的に全額自費でのレンタルもしくは購入となるためご注意ください。
介護付き有料老人ホームは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームのことです。
特定施設入居者生活介護の指定を受けると、基本的に介護保険の月額上限をすべてその施設で使用することになります。そのため、自宅で利用していた福祉用具を介護保険でレンタルし続けることは基本的にできません。
介護保険を使ったレンタル契約は、在宅介護を支援するためのサービスに分類されます。自宅から介護付き有料老人ホームへ生活拠点が移る段階で、既存のレンタル契約は終了する点にご注意ください。
介護付き有料老人ホームは福祉用具をレンタルしなくても生活できる
介護付き有料老人ホームでは、生活に必要な介護ベッドや車椅子は施設の備品として用意されています。そのため、そもそも福祉用具をレンタルする必要はないことがほとんどです。
介護付き有料老人ホームでは、入居者の生活を支えるための基本的な福祉用具が施設側の備品としてあらかじめ用意されています。多くの施設では、居室に介護用電動ベッドがあり、車椅子も共有または個人用として利用可能です。
入居の際に自宅から持ち込んだり、新たに自費でレンタルや購入を行ったりする必要はありません。
歩行器や杖などの日常的な移動補助具についても、施設のものを利用できるケースがほとんどです。
ただし、個人の身体寸法に合わせる必要性が高い福祉用具については各自での持ち込みや購入を案内される場合もあるでしょう。入居前に備品や持ち込みに関する規定を確認しておくと安心です。
なお、介護付き有料老人ホームには、「大型の介護設備」も備え付けられています。
介護付き有料老人ホームにある福祉用具について、ケアマネジャーであり社会福祉士でもある桐島さんにお話を伺いました。


将来もし寝たきりになってしまったとしても、そのまま生活しやすい施設といえます。
桐島さんの話からも分かるとおり、介護付き有料老人ホームにはあらゆる身体状況に応じてサポートできる福祉用具があります。
そのため、基本的には必要な福祉用具は揃っていると考えてよいでしょう。
福祉用具を介護保険でレンタルできる施設は?
介護保険を使った福祉用具のレンタルができるかどうかは、入居する施設の「種類」によって決まります。
施設が介護サービスをまとめて提供する「特定施設」や、介護保険の施設サービスが適用される施設では、外部の福祉用具レンタルは原則利用できません。
・特別養護老人ホーム(特養)
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院
・サ高住(介護型・特定施設)
・ケアハウス(介護型・特定施設)
一方、法律上「居宅(自宅)」として扱われる住宅型有料老人ホーム・サ高住(一般型)・ケアハウス(一般型)では、外部の居宅サービス事業者と個別に契約できるため、介護保険を使った福祉用具のレンタルが可能です。
以下では、この3種類の施設について利用ルールと注意点を詳しく解説します。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームでは、介護保険を使った福祉用具のレンタルが利用できます。
在宅でレンタルしていた福祉用具を、入居後もそのまま継続して使い続けることが可能です。
住宅型有料老人ホームは、施設スタッフが直接介護を提供するのではなく、入居者が外部の訪問介護・通所介護などの居宅サービス事業者と個別に契約して利用する形式の施設となります。
そのため法律上「居宅(自宅)」として扱われ、在宅のときと同じように福祉用具貸与(レンタル)の事業者と契約可能で。
在宅でレンタルしていた車いすや介護ベッドなどは、入居後もそのまま継続利用できるでしょう。
ただし、施設によっては独自に福祉用具を備えていたり、提携する居宅介護支援事業所が決まっていたりする場合があります。
入居前に「外部の福祉用具レンタル事業者との継続契約が可能か」を確認しておくと安心です。
・介護保険の支給限度額は要介護度によって異なります。訪問介護など他の居宅サービスと合算して上限を超えた分は全額自己負担になります
・施設が独自に福祉用具を用意しているケースもあるため、入居前に「外部レンタルの継続が可能か」を施設へ必ず確認してください
サ高住
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のうち、一般型では介護保険を使った福祉用具のレンタルが利用できます。
ただし、「介護型サ高住(特定施設)」と呼ばれるタイプでは原則利用できません。入居前に施設の種類を必ず確認しておきましょう。
サ高住はもともと「賃貸住宅」の一種として法律上定義されており、一般型では住宅型有料老人ホームと同様に外部の居宅サービス事業者と個別に契約できます。
そのため、在宅と同じように福祉用具貸与(レンタル)を継続して利用することが可能です。
一方、「特定施設入居者生活介護(特定施設)」の指定を受けた介護型サ高住は、介護付き有料老人ホームと同じ扱いになります。
介護保険の給付がすべて施設のサービス費に組み込まれるため、外部の福祉用具レンタル事業者と個別に契約することができません。
・入居を検討しているサ高住が「一般型」か「介護型(特定施設)」かを必ず確認してください
・「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設は介護型です。重要事項説明書やパンフレットで確認できます
ケアハウス
ケアハウス(一般型)でも、介護保険を使った福祉用具のレンタルが利用できます。ただし、「介護型ケアハウス(特定施設)」では原則利用できません。
入居前に種類を確認することが大切です。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)は、身寄りが少ない方や収入が少ない高齢者が比較的低い費用で入居できる施設です。
一般型ケアハウスは居宅として扱われるため、外部の居宅サービス事業者と個別に契約でき、福祉用具貸与も利用できます。
一方、「介護型ケアハウス(特定施設)」では、施設が介護保険のサービスを一括して提供します。
介護付き有料老人ホームや介護型サ高住と同様に、外部の福祉用具レンタル事業者との個別契約はできません。
・入居を検討しているケアハウスが「一般型」か「介護型(特定施設)」かを必ず事前に確認してください
・一般型でも、訪問介護など他の居宅サービスと合算して支給限度額を超えた分は全額自己負担となります
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介護付き有料老人ホームで福祉用具を利用するのにお得なのはレンタル?購入?
介護付き有料老人ホームで福祉用具を利用する場合、自費レンタルと自費購入、どちらがお得になるのかは、多くの方が気になる部分なのではないでしょうか。
結論から述べると、自費レンタルと自費購入のどちらがお得になるかは使用する期間によります。
例えば、電動車いすの場合、自費購入の相場が20~40万円、自費レンタルの相場が月額1~4万円です。
同じ型の電動車いすを20カ月(約1年8カ月)以上使用するのであれば、購入のほうが安く済みますが、20カ月以下の場合にはレンタルのほうがよいでしょう。
つまり、長期間同じ福祉用具を利用するのであれば、購入のほうが安くなりますが、短期間で交換する可能性があるのであればレンタルの方がおすすめです。
ここからは、自費レンタルと自費購入、それぞれのメリットとデメリットについて説明していきます。
料金に加えメリットとデメリットも比較したうえで、レンタルと購入のどちらが合っているのかを決めるとよいでしょう。
介護施設で福祉用具を自費レンタルするメリット・デメリット

介護付き有料老人ホームをはじめとして、介護施設で福祉用具を自費レンタルするメリットとデメリットは以下の通りです。
自費レンタルには、「身体状態に合わせて臨機応変に福祉用具を変更できる」メリットがあります。しかし、「借り物のため、汚せない」といったデメリットがあるのを覚えておきましょう。
レンタルは、購入と比較すると安価です。そのため、身体状態の悪化などが理由で、使用している福祉用具が合わなくなった場合でも臨機応変に対応できます。
また近年では、月額レンタルだけではなく、日数単位や週数単位でレンタルできる業者も増えてきており、気になっている福祉用具をお試ししやすい点も、レンタルのメリットです。
ただしレンタル品は、業者からの借り物です。必要がなくなれば業者に返却しなければなりません。汚染や破損させないよう丁寧に扱う必要があります。
介護施設で福祉用具を自費購入するメリット・デメリット

介護付き有料老人ホームをはじめとして、介護施設で福祉用具を自費購入するメリットとデメリットは以下の通りです。
自費購入には「自分のものであるため、汚しても問題がない」メリットがある一方で「身体状態に変化があっても簡単に対応できない」デメリットがあります。
購入はレンタルとは異なり、お金を払った後は自分自身の物になるため、汚染や破損があっても問題はありません。
レンタルの場合だと汚染や破損を気にしすぎてしまい、思うように使用できない方もいるかもしれません。しかし、自費購入なら自分の物になるため、好きなように使用できます。
ただし、購入の場合は、レンタルのように安価ではないため、身体状態に変化があっても、簡単には対応できません。また、故障があった際のメンテナンス作業を自身で行う必要があります。できない場合には業者を探す必要もあるでしょう。
まとめ
介護付き有料老人ホームにおける福祉用具のレンタルに関する重要なポイントを整理します。
本記事の要点
- 介護付き有料老人ホームでは、介護保険を利用した福祉用具のレンタルは原則不可。
- 介護付き有料老人ホームには介護ベッドや車椅子などの標準的な備品が用意されており、追加費用なしで利用可能。
- 現在の用具を介護保険で継続利用したい場合は、住宅型有料老人ホームなどが代替案となる。
入居先の施設を決定する前に、施設の備品状況や個人の福祉用具の持ち込みルールを必ず見学時に確認してください。
個人の身体状況に合わせた特殊な車椅子などを使い続ける必要がある場合、全額自己負担によるレンタル・購入を選択するか、介護保険のレンタルが可能な施設形態へ希望条件を変更する必要があります。