「親がデイサービスに行きたがらない」「デイサービスに行きたがらない理由がわからない」
デイサービスのお迎えがきたときに、本人が行きたがらなくて困った経験がある方は多いはずです。
また「デイサービスの準備しようね」と声をかけたら、強く拒否されて「どうしたらいいのかわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
実は、デイサービスに行きたがらない方は珍しくなく、多くの方が悩んでいる問題です。
本人が楽しく通い、家族の負担が減って心身ともに楽になり、みんなが幸せになれたらいいですよね。
そこで本記事では、デイサービスに行きたがらない理由や解決に導く方法を解説します。
それぞれに合った対応をして、最終的にデイサービスにこだわらず、適切な介護サービスを受けられる状態を目指しましょう。

デイサービスに行きたがらない方は多い
デイサービスに始めから問題なく通える方もいれば、行きたがらない方もいます。もともと自宅で過ごす時間が長く、外出しないタイプの方にとっては、外出が億劫に感じるでしょう。
また知らない方とのコミュニケーションが苦手な方にとって、デイサービスはハードルが高いはずです。このように本人の性格によっては、デイサービスを大変負担に感じてしまいます。
行きたがらない状況は不思議ではないため、焦らず本人に寄り添った対応が大切になります。
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デイサービスに行きたがらない
デイサービスに行きたがらない方の中で、よくある理由は以下のとおりです。
- 外出が嫌だ
- 他人とコミュニケーションをとりたくない
- 行く必要性がわからない
ほかにもデイサービスでトラブルがあった、まわりに馴染めない、世話されたくないなど、さまざまな理由があります。
ここでは、代表的な理由について詳しく紹介します。
理由1.外出が嫌だ
インドア派の方であれば、デイサービスに限らず、そもそも外出が億劫だと感じるでしょう。また年齢を重ねて疲れやすくなったり、気力が失われていたりすると、外出したいと思えなくなってしまうパターンもあります。
今まで自宅で自由に過ごしていた方にとっては、共同生活やデイサービスの予定に抵抗を感じてしまいます。
年齢に関係なく、若い頃から家にいる時間が好きで1人の時間が多い方は、デイサービスに行きたがらなくても不思議ではありません。
理由2.他人とコミュニケーションをとりたくない
他人とコミュニケーションをとりたくないという方は少なくありません。わざわざ知らない人と話したくない、新しい環境に飛び込むのが不安など、他人との関わりに抵抗を感じてしまうからです。人は年を重ねれば重ねるほど、変化を受け入れたくないと思ってしまいます。
また高齢になると、若い頃と比べて関わる人が限られてきます。家族や限られた友人としか話していない方にとって、デイサービスはハードルが高いでしょう。
理由3.行く必要性がわからない
なぜデイサービスに行くべきなのか理解していないと、行かない事態になってしまいます。特に「自分はまだ元気で世話をしてもらう必要ない」と思っていると、本人は行く必要性がまったくわかりません。自分の世話は自分でできると思っている方は、プライドが邪魔してしまうからです。
介護の必要性があると自覚し、本人が認めている場合は問題ないでしょう。ただし家族間でデイサービスに行く理由を共有していないと、行く必要性がわからなくて揉めてしまいます。
デイサービスに行きたがらない場合は理由を探ろう
デイサービスに行きたがらない場合は、まず理由を探りましょう。本人になぜ行きたくないのかを聞いてください。理由がわからない場合は、専門家へ相談すると原因がわかる可能性もあります。
行きたがらない理由がわからないと何も始まりません。デイサービスが嫌な理由がわかれば、外出が面倒なら誘い方を工夫したり、行く必要性がわからないなら理由を伝えたりなどの対策を考えられます。
1.まずは率直に本人に理由を聞いてみよう
デイサービスに行きたがらない本当の理由がわかるのは、本人しかいません。行かないとわがままを言っていると思い、無理に「行かなきゃダメだから」と連れて行ってしまうのは逆効果です。デイサービスに嫌な思いを抱き、別の事業所を利用してもうまく続かないでしょう。
きちんと行きたくない理由を聞いて、一緒に考えていく姿勢が大切です。お迎えがきていると、思わず「行かなきゃダメ」と言ってしまいがちではないでしょうか。職員は行きたがらない方もいると承知しているため、相談すれば対応を考えてくれます。落ち着いて本人に行きたくない理由を聞いてみましょう。
2.担当のケアマネジャーやスタッフに相談してみよう
本人に聞けなかった場合は、担当ケアマネジャーやデイサービスの職員に相談してみましょう。近くにいると気づかない些細な出来事や変化が、行きたがらない理由につながっている可能性もあります。
専門家は知識やこれまでの経験があるため、さまざまな観点から原因を考え、導いてくれるでしょう。また第三者であるからこそ、気づける変化もあります。なぜ行きたがらないのかはもちろん、行ってくれるようになるための方法を考えてくれます。
デイサービスに行ってほしい理由を整理しよう
本人が行きたがらない場合、デイサービスに行ってほしい理由を整理し、きちんと伝えましょう。行きたがらない場合は、なぜ行くべきなのかを伝え、本人だけでなく家族の状況も共有してわかり合うべきです。デイサービスに行ってほしい理由は、家族の状況によって異なります。
- 日中ずっと見守りが必要だが、毎日は難しい
- 食事がちゃんと摂れているか心配
- 安全に入浴できているか心配
- 身の回りの心配はないが、気分転換してほしい
上記のように、デイサービスに行ってほしい理由を具体化しましょう。人によっては「家族の負担を減らしたい」「仕事に行きたい」など、家族が大変な思いをしていると知って、行く決断ができる場合もあります。またどうしても行きたがらない場合は、行ってほしい理由をもとに、ほかの介護サービスを検討する手段もあります。
デイサービスに行きたがらないときは誘い方を変えるのも有効
デイサービスに行きたがらないときは、誘い方を工夫すると行けるようになる可能性があります。ここでは、2つの例をもとに具体的な誘い方を解説します。
- 【タイプ1】「年寄り扱いするな!」とプライドが高いタイプ
- 【タイプ2】「外出したくない」と引きこもっているタイプ
拒否する理由がわかれば、それに合った誘い方で少しずつ前向きになってもらうアプローチができます。
【タイプ1】「年寄り扱いするな!」とプライドが高いタイプ
「世話なんて必要ない、年寄り扱いするな!」とプライドが高い方は、デイサービスを介護してもらう場所と思い、強い拒否反応を示します。
プライドが高い方には、手伝いをしてほしいと誘い出し、軽作業や職員のお手伝いなどをお願いする方法が効果的です。例えば「庭仕事が得意なお父さんに、木の手入れを手伝ってほしいと言われたの」と誘い、実際にやってもらいましょう。
この誘い方を実行する場合は、あらかじめ職員に行きたがらない理由を伝え、協力してほしい旨を伝えてください。デイサービスに行きたがらない場合は、さまざまな方法でアプローチするため、職員の方も協力してくれるはずです。
何度か通ってから、年寄り扱いされたくないと拒否するようになった場合は、ほかの方が介助されているのを見て嫌な気持ちになった可能性もあります。その場合は、曜日や時間帯を工夫して、介護度の低い方が多い時間に行くようにするとよいでしょう。
【タイプ2】「外出したくない」と引きこもっているタイプ
「とにかく家から出たくない、外出したくない」と引きこもっている方は、ただ面倒と思っていたり、新しい環境が不安だったりする場合があります。この場合、どれだけ「みんなと遊べるよ」「ほかの方と交流できるよ」と楽しさをアピールしても、効果はないでしょう。
引きこもっている方には、下記の誘い方やお願いの仕方が効果的です。
- 家の前まで送迎者がきているから、せめて挨拶だけしてほしい
- 家族が心配しているから行ってほしい
- 契約したから、行かないと気まずいし、顔を立ててほしい
家族が困ったり、他人に迷惑がかかったりすると「申し訳ないな」「家族のためなら行こうかな」と行く気持ちになる可能性があります。引きこもりタイプの方は、行ってからの内容よりも「準備や外出が面倒」なのです。迷惑をかけたくない思いから行き始めたとしても、通っていくうちに楽しさがわかってくるでしょう。
デイサービスの選び方を解説
デイサービスを嫌がる場合、単純に今の事業所が合っていない可能性もあります。
下記のポイントを押さえて選びましょう。
- 個性に合った事業所を選ぶ
- 家族の都合も大切にしよう
本人がやりたいものや家族の希望を総合的に考えて選ぶと、みんなが納得できるデイサービスを選択できます。
選び方1.個性に合った事業所を選ぶ
デイサービスは本人の健康状態や性格など、個性に合った事業所を選びましょう。デイサービスは、目的によって大きく分けて4種類あります。
デイサービスの種類 | 特徴 |
---|---|
一般型 | 一般的なデイサービス
一日型と半日型がある |
リハビリ特化型 | 歩行訓練や筋力トレーニングなど、リハビリを重視
食事や入浴などは、基本的に行わない |
認知症対応型 | 認知症の方限定
認知症の方に特化したケアを受けられる |
療養型 | 医療ケア必要な方対象
重度の要介護者やがん末期患者など |
年寄り扱いされたくない方は、食事や入浴介助がないリハビリ特化型にすると、行きやすくなるはずです。また外出したくない方であれば、近所の事業所を選ぶとよいでしょう。
選び方2.家族の都合も大切にしよう
デイサービスを選ぶ際、本人の気持ちばかり考えてしまいますが、家族の都合も大切にしてください。本人の気持ちと家族の都合は、どちらかだけを考えて選ぶと長く続けられません。
例えば健康的な食事ができているのか、安全に入浴できているのか心配ならば、食事と入浴介助のサービスは外せないでしょう。家族が「外で気分転換してほしい」と思っていて本人が嫌がっているのなら、一日型ではなく半日型に通うのも一つの方法です。
ただしこれらの家族の都合は、デイサービス以外の方法で解決できる可能性もあります。例えば食事が心配なら宅食、運動してほしいなら訪問リハビリです。
何をしてもデイサービスに行きたがらない場合に試したい対処2つ
何をしても行きたがらない場合は、以下の対処法を試してみましょう。
- 違う事業所への移動を考える
- デイサービス以外の介護サービスに切り替える
誘い方を工夫したり、行き方を工夫したりしても拒否がなくならない場合は、今通っているデイサービスにこだわる必要はありません。可能なら、ほかの事業所や違う種類のデイサービスに変える方法もあります。またほかにもさまざまな介護サービスがあるため、選択肢はたくさんあります。
対処1.違う事業所への移動を考える
なかなか行きたいとならない場合は、今通っている事業所にこだわらず、別の事業所への移動を検討しましょう。特に本人が「職員と気が合わない」「ほかの利用者と馴染めない」と言っている場合は、違う事業所に移動すると問題が解決する可能性があります。
またデイサービスには、一般型・リハビリ特化型・認知症対応型・療養型の4種類があります。半日型やリハビリ型は、ほかのデイサービスよりも介護度が低い方が多い傾向があるため、プライドが高い方や人との関わりが苦手な方には向いているでしょう。
同じ療養型でも音楽に力を入れていたり、食事にこだわっていたり、デイサービスごとの特色があります。本人が重視・希望が実現できると、前向きになってくれるはずです。
対処2.デイサービス以外の介護サービスに切り替える
何をしても行きたがらない場合は、デイサービスを利用する目的を考え、別の介護サービスに切り替えられるか検討しましょう。食事や入浴が心配な場合は、訪問介護や宅食でも対応できます。また運動してもらいたい場合は、訪問リハビリを選択してもよいでしょう。
ただし目が離せない、家族が遠く離れているなどの場合は、デイサービスや老人ホームが向いているケースもあります。なぜデイサービスを利用したいと思ったのか、目的を言語化すると必要なサービスが見えてくるはずです。
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デイサービスに行きたがらないときの最後の手段
本記事では、デイサービスに行きたがらない代表的な理由や2つの例をもとに具体的な誘い方を解説しました。デイサービスに行きたがらない場合は、まず本人に理由を聞き、寄り添いましょう。
誘い方や行く曜日や時間を工夫すれば、本人が前向きに通ってくれる可能性もあります。無理に行かせず、担当ケアマネジャーやデイサービスの職員にも協力してもらいながら、さまざまな対処法を試してみましょう。
もしどうしても行きたがらないのであれば、今の事業所から移動したり、別の介護サービスを利用したりする最終手段もあります。最終的には、デイサービスにこだわらず、本人の気持ちと家族の都合に合った介護サービスを見つけてください。
デイサービスに関するよくある質問
Q1.父が要介護3で3年ほどデイサービスを利用しています。最近、急に拒否するようになって行けない日が増えてしまい、何かよい案はありますか?
A1.急に拒否が始まった場合、職員や利用者、デイサービスの運営方針など何か変わった点があるかもしれません。まずはケアマネジャーさんに相談し、ご本人からお話が聞けるようなら確認してみましょう。
また特に理由がなくとも、認知症が進むなどで急に拒否する場合も珍しくありません。施設の職員さんやケアマネジャーさんと相談しても、拒否が続くようでしたら、ご本人様に施設があっているのか見直し、施設の変更も視野にいれてみましょう。
Q2.要介護1で独居の80代の母親がおり、認知症はないのですが、足腰が悪く食事や入浴が心配です。自分のペースで生活したいとデイサービスを拒否していますが、何か方法はありますか?
A2.認知症もなく、最低限の身の回りの作業ができているのでしたら、無理にデイサービスに行かず、訪問介護入浴や買い物、食事などの支援を受けられます。
デイサービス以外の介護サービスもあるので、ケアマネ―ジャーさんに相談してみましょう。