ご自身やご家族がデイサービスの利用を検討される際、いろいろな種類のデイサービス施設があり、悩んだり迷ったりされることが多いのではないでしょうか。
今回は、いろいろな種類のデイサービスの中から「小規模デイサービス」についてご紹介します。
小規模デイサービスの特徴やサービス内容、一般的な通常規模のデイサービスとの違い、利用条件、費用などを詳しく紹介しますので、デイサービスを選ぶ際の参考にしてください。
そもそもデイサービスとは
居宅サービス>通所型サービス>通所介護
自宅で生活をする人を対象とした介護保険サービス全般のことを「居宅サービス」といい、居宅サービスの中に、
- 訪問型サービス
- 通所型サービス
- 短期入所型サービス
- その他のサービス
があります。
通所型サービスの中にも種類があり、その中の一つである「通所介護」を通称「デイサービス」と呼んでいます(以下、「デイサービス」称す)。
デイサービスにも種類がある
デイサービスは「通所介護」と「地域密着型通所介護」に二分されます。
デイサービスを規模別に分類すると、以下の3つに分類できます。
- 通常規模型:1月あたりの平均利用延人数が750人以内
- 大規模型(Ⅰ):1月あたりの平均利用延人数が750人を超えて900人以内
- 大規模型(Ⅱ):1月あたりの平均利用延人数が900人超
一方の地域密着型通所介護は、1日の利用定員が18人以下、1か月の利用者数が450人以下のデイサービスです。
この「地域密着型通所介護」を、通称「小規模デイサービス」と呼びます。
デイサービスの目的
介護が必要になった場合でも可能な限り自宅において、持っている能力に応じて自立した日常生活が継続できるよう「必要な介護サービス」「心身の機能の維持や改善のための機能訓練やレクリエーション」を提供し、合わせて利用者の社会的孤立や孤独感の解消、介護者の介護負担の軽減を図ることを目的としたサービスです。
- 関連記事デイサービスの内容やメリットについて|費用や利用方法も解説カテゴリ:デイサービス更新日:2023-01-30
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小規模デイサービスとは
この章では、地域密着型通所介護(通称「小規模デイサービス」)について詳しくご紹介します。
住み慣れた地域・家での生活を支える
2016年4月の介護保険法改正によって、利用定員18人以下の小規模デイサービスを「地域密着型通所介護」として、「デイサービス(通所介護)」とは別に区分されました。
高齢者などが重度な介護状態となっても、医療や介護などの支援を地域一体で連携しながら行う仕組みを「地域包括ケアシステム」といいますが、その地域包括ケアサービスの一つに「地域密着型通所介護(小規模デイサービス)」が位置づけられたのです。
関係機関と連携を取りながら地域の実情に合わせ、地域に根付いたデイサービス運営を行うことが期待されています。
管轄は市区町村
1日の利用定員が19人以上の大規模・通常規模のデイサービスの管轄は都道府県ですが、小規模デイサービスは市区町村が管轄です。
小規模デイサービスの利用条件
小規模デイサービスを利用する条件は、以下の通りです。
- 小規模デイサービス事業所が所在する市区町村に住民票があること
※境界に近い場合は例外もあるので、ケアマネジャーに相談してください。
- 要介護認定を受け、要介護1以上であること
※要支援1~2の人は利用できません。
小規模デイサービスの特徴
この章では、小規模デイサービスの特徴について詳しくご紹介します。
文字通り「小規模」
1日の利用定員は18人以下と定められていますが、実際には10人程度の定員のところが多いようです。少人数のため個別性や柔軟性を持った食事・排泄・入浴などの介護サービス、機能訓練やレクリエーションなどが行われやすくなります。
また、利用者同士が顔馴染みになりやすいというメリットがあります。
スタッフも少人数
小規模デイサービスは、利用定員数が少ないために、介護職員も少人数です。
小規模デイサービスの人員基準を見ると、利用者数が1日15人以下の場合、介護職員の配置は1人以上でよいとされています。
一方、通常規模のデイサービスで必要な介護職員の最低人数は、以下の計算式で算出します。
- (利用者数-15人)÷5+1
例えば、1日の利用者数が40人の通所介護事業所の場合、必要な介護職員の数は以下の通りです。
- (40人-15人)÷5+1=6人
通常規模のデイサービスには、介護職員だけでも最低6人は配置されています。
(参考:介護保険法)
実際には、最低限の介護職員が配置されている事業所と、手厚い介護を行えるよう職員を多く配置している事業所があります。問い合わせや見学の際に確認することをおすすめします。
なお、「小規模デイサービス」「通常規模のデイサービス」のどちらであっても、管理者・生活相談員・看護師・機能訓練指導員の配置は義務づけられています。
小規模デイサービスはスタッフが少人数のため、情報共有が十分に行われ臨機応変な対応がしやすいともいえるかもしれません。緊急の利用、利用時間の変更などにも柔軟に対応しているところが多いようです。
施設らしくない
小規模であるため、一軒家、古民家を改装したような施設も多く、見慣れた馴染みのある空間やアットホームな雰囲気に人気があります。
通常規模のデイサービスより“施設を利用する”という抵抗感が少ないかもしれません。
受けられるサービス内容は共通
小規模デイサービスセンターの基本的な提供サービスは、通所介護事業所と大きく違いはありません。
受けられるサービスについて、細かく解説していきます。
送迎
通常規模のデイサービスでは、朝と夕方の送迎サービスが受けられますが、小規模デイサービスでも、同様に送迎サービスを提供しています。
利用者人数の多い通常規模のデイサービスは送迎範囲が広くなりがちですが、小規模デイサービスでは地域密着型のため、送迎エリアが狭く乗車時間が短くて済む可能性もあります。
介護サービス
小規模デイサービスでは、通常規模のデイサービスと同じように、食事や入浴サービスが提供されたり、移動や排泄の介助が受けられたりします。
通常規模のデイサービスと比べると、よりアットホームな雰囲気でサービス提供される場合が多いでしょう。
例えば入浴の場合、通常規模のデイサービスでは、銭湯のような入浴施設で「集団浴」を行う施設が一般的です。
一方で小規模デイサービスでは、1日の利用者数が少ないことと、施設の特色から一般家庭と変わらない浴槽で「個浴」を提供する施設もあります。
同じ入浴サービスでも、集団浴と個浴では雰囲気が大きく異なるでしょう。
ただし、実際に提供されるサービスの内容は事業所ごとに異なるため、事前の確認をおすすめします。
レクリエーション
小規模デイサービスでも、レクリエーションを提供しています。
体を動かす運動系の内容から認知症予防につながる脳トレのようなもの、季節に応じたイベントなど、事業所ごとに工夫が凝らされています。
小規模デイサービスなら、利用者一人ひとりが、より個性が尊重された主体的なレクリエーションへの参加が期待できるでしょう。
通常規模のデイサービスでのレクリエーションは、多人数ならではの良さ、広さを利用したレクリエーションも展開できる一方で、なかなか自分の順番が回ってこないということもあります。
小規模デイサービスは、少人数だからこその良さを活かしたレクリエーションを楽しめるといえます。
機能訓練
通常規模のデイサービスで実施される機能訓練についても、小規模デイサービスでも受けられます。
機能訓練指導員(多くは看護師が兼務)とスタッフが協力して、レクリエーションを通じた日常生活動作の練習や、グループ体操などを実施しています。
また、個別機能訓練を取り入れた小規模デイサービスもあります。機能訓練指導員が個別機能訓練計画を作成し、5人程度以下の小集団または個別の機能訓練を実施します。個別機能訓練を希望される場合は、担当ケアマネジャーに相談するか、通所を希望する施設に確認しましょう。
小規模デイサービスの利用料金
小規模デイサービスの基本的な利用料金は、介護保険法により金額が定められています。
基本料金
基本料金は、以下3つの要素により金額が定められています。
- 施設の規模(小規模/通常規模/大規模(1)/大規模(Ⅱ)
- 施設に滞在した時間の長さ
- 利用者自身の要介護度
これら3つの要素から、基本料金が決まります。
施設規模が小さく、滞在時間が長く、介護度が重いほど、利用料金は高くなります。
例えば、「小規模、1日7時間以上8時間未満の利用、要介護1」の場合、基本料金は「7,500円」と定められているのです。
自己負担割合が1割の方だと、自己負担額は750円です(一定以上の所得者の場合は2~3割、逆に負担軽減措置もあります)。
※詳しい料金は、担当のケアマネジャーに確認するとよいでしょう。
(参考:独立行政法人社会福祉機構「介護給付費単位数等サービスコード表(令和3年4月施行版))
加算料金のかかるサービス
基本料金とは別に、入浴サービスを利用した場合や、個別機能訓練を受けた場合に料金が加算されます。
例えば、通常の入浴介助を受けた場合には400円(入浴介助加算Ⅰ)、利用者の自宅での入浴の自立を図る観点から、個別の入浴計画作成や計画に基づいた個別の入浴介助を受けた場合には550円(入浴介助加算Ⅱ)が、それぞれ加算されます。
自己負担割合が1割の方は、1回の入浴につき40円、または55円を支払う計算になります。
このように、施設滞在時間中に受けたサービスによって、料金が上乗せされます。
実費負担となるもの
通常規模のデイサービスや小規模デイサービスに通う場合、食事代、おやつ代、おむつ代、レクリエーション費などの消耗品が全額実費負担となります。
頻繁にイベントやレクリエーションなどを行うデイサービスの場合は、実費が多めにかかる可能性もあるでしょう。
詳細な料金や内訳は、ケアマネジャーまたは通所を検討している施設に相談または確認をしてください。
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こんな方には小規模デイサービスがオススメ!
ここまで、小規模デイサービスの特徴やサービス内容、通常規模のデイサービスとの比較などをご紹介しました。
小規模デイサービスのならではの特徴を考慮すると、特に次のような方に利用をおすすめします。
施設選びにお悩みの方は参考にしてください。
人見知りの方
1つ目は、人見知り傾向のある方です。
デイサービスに通い始める際は、知らない人ばかりの環境に身を置くことになります。
大人数が苦手な方、内気な方、照れ屋な方、周りに気を遣い過ぎるような方などには、小規模デイサービスの方が向いているかもしれません。
人数が少ないため、利用者同士お互いの顔と名前も憶えやすいので、馴染みの関係を築きやすくなることが期待できます。
人見知りの方にとって、安心できる環境といえます。
車での長時間の移動が苦手という方
地域密着型のサービスであるため、送迎サービスのエリアが通常規模のデイサービスより狭い可能性があります。
居住している市区町村内の概ね中学校区くらいの範囲内にある小規模デイサービスに通うと考えると、送迎の際の乗車時間を短くできるでしょう。
長時間車に乗ることが困難な方、車酔いをしやすい方、身近な施設に通いたいという方におすすめです。
スタッフとの関係を大切にしたい方
小規模デイサービスは、利用者・スタッフ共に少数のため、利用者とスタッフの関わりは密接になります。
相性が良い上に、スタッフへ“プロとして、人として”も信頼や敬意を深めることができると、信頼できる相手に介護を受ける安心感はより増すことになります。
結果的に、デイサービスが心身共に落ち着く“通いたい場所”になります。
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小規模デイサービスならではの良さを知ろう!
今回は、小規模デイサービスについてご紹介しました。
通常規模や大規模デイサービスとの違い、実際に提供されるサービスや特徴、利用料金など、幅広く知ってもらえたと思います。
地域との交流を大切にし、住み慣れた地域や家での生活を続けられるよう、また最期まで地域社会の一員として過ごせるよう支援しようというのが、小規模デイサービスの役割です。
実際のサービス内容や雰囲気は事業所ごとに異なるため、ぜひ希望する曜日に見学や一日体験をしてください。相性の善し悪しや、ご自身やご家族の要望に合うかどうかを十分に確認してから利用契約をすることをおすすめします。
そのほかデイサービスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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地域の介護施設を検索するサービスとして、厚生労働省が提供する「介護サービス情報公表システム」を利用しましょう。お住まいの地域や受けたいサービス内容などにより、施設を条件検索できます。事業規模も記載されているので、小規模デイサービス探しにご利用ください。詳しくはこちらをご覧ください。
小規模デイサービスにも、看護職員は配置されます。ただし提供時間の間ずっと配置する必要がないため、利用中ずっと看護職員がいるとは限りません。また、近くの病院と一定の提携している場合は看護職員が配置されているとみなすため、デイサービスではなく病院側に看護師がいる状態の施設もあります。詳しくはこちらをご覧ください。