• 在宅介護
  • 【公開日】2022-10-24
  • 【更新日】2023-12-20

短期入所療養介護とは?利用までの手順から選ぶポイントを徹底網羅!

短期入所療養介護とは?利用までの手順から選ぶポイントを徹底網羅!

在宅で介護をされている方で「用事があって外出をするときやリフレッシュのためにで出かけるときに本人が一人で大丈夫か心配」「医療機器があるからショートステイは難しい」などと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。本人を安心して預けられる施設があれば、利用したいですよね。

実は、ショートステイの一つである「短期入所療養介護」では、医療行為が必要な方を一時的に預かるサービスを提供しています。この記事では「短期入所療養介護」についてサービス内容や費用はもちろん利用までの流れまで徹底解説します。施設選びのポイントも併せて紹介しているので参考にしてくださいね。

医療ライター
専門分野:医療・介護系全般
職業: 医療ライター

大学卒業後、医療専門新聞社である株式会社薬事日報社に入社。 約13年間、新聞記者として厚生日比谷クラブを始めとする記者クラブに所属し、厚生労働省や日本医師会、日本薬剤師会、医療現場、大学、関連学会などを取材して歩く。 2013年にフリーランスの医療ライターとして独立。独立後は医療・介護現場を幅広く取材しつつ新聞や雑誌、書籍、ウェブサイトなどで執筆。 これまで取材してきた医師、看護師、薬剤師などの医療従事者は500人を超える。主な執筆媒体は「プレジデント」「ドクターズマガジン」「マイナビメディカルサポネット」「We介護」など。 共著は「在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期」(世界文化社)。現在、自分自身も2人の娘を育てながら認知症の母を介護中。詳しくはこちら

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短期入所療養介護とは?

短期入所療養介護とは、介護老人保健施設や病院などに短期間入居し機能訓練や医療ケアを提供してもらえるサービスです。要介護1以上の認定を受けた方を対象に、本人の生活の質向上と介護をする家族の身体的及び精神的負担の軽減を図る目的で作られました。

実際、介護者に用事があったり体調が悪くなったりして本人の介護ができないときに利用されるケースが多いようです。本人を施設へ一定期間預けることで介護者も気兼ねなく用事を済ませたり休養を取ったりできるようになります。そのため、結果的に在宅介護を長く続けられるようになるとされています。

また、理学療法士や看護師などの専門スタッフによる機能訓練や医療ケアによって、可能な限り自宅で過ごしたいと願う本人の希望を叶えられる可能性も高くなるでしょう。ただ、継続利用ができるのは最大30日までとなっています。あくまでも一時的に受け入れを行ってくれるサービスである点を忘れないようにしましょう。

短期入所生活介護との違い

短期入所療養介護と似ているサービスに「短期入所生活介護」があります。両者の違いは「医療的なケアを受けられるかどうか」です。短期入所生活介護にも医師は在籍しており、介護をする家族が急用や出張などで本人の介護が困難となった場合に利用できる点は共通ですが、提供されるサービスは食事・入浴・介護・排泄などの生活介護がメインとなっています。そのため、医療的なケアが必要な方には適していません。

一方で短期入所療養介護は、生活介護のほかに医師や看護師、理学療法士などの専門スタッフによる機能訓練や医療ケアが受けられるようになっています。そのため、医療的ケアが必要な方でも安心して預けられます。医療ケアが必要な方は「短期入所療養介護」、そうでない方は「短期入所生活介護」の利用が適していると覚えておきましょう。

対象者

短期入所療養介護は、要介護1以上の認定を受けた方が対象です。また、医療ケアが必要な方を受け入れるサービスではありますが、病状が安定していない方は対象外となります。また、インスリン投与や酸素吸入など医療ケアにもさまざまな種類がありますが、施設によって対応できる処置は異なるので注意が必要です。要支援の方は「介護予防短期入所療養介護」と呼ばれるサービスを利用できます。本人は要支援だけれど外出時などに一人にするのは心配だと思っている方は「介護予防短期入所療養介護」を利用してみるとよいでしょう。

 

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【短期入所療養介護】提供される主なサービス

ここで、短期入所療養介護で提供されている主なサービスをみていきましょう。

<サービス一覧>

食事の提供 栄養士が考えた献立が提供される。介護状態によってとろみをつける、細かく刻むなどの対応がある。
排泄介助 本人の状態に合わせてトイレやベッド上での排泄介助をしてくれる。
入浴介助 個々の状態に合わせて入浴の介助を実施。施設によっては機械浴もあり、寝たきりの方でも入浴できる。また、入浴できない場合も温かいタオルで身体を拭くなどして清潔を保ってくれる。
健康管理 看護師による体温・脈拍・呼吸などの確認、医師による病状のチェックが行われる。
医療ケア 褥瘡(じょくそう)などの処置全般、胃ろうチューブなど医療器具の調整や交換をしてくれる。
機能回復訓練 専門スタッフによるリハビリやマッサージを受けられる。
服薬管理 処方されている薬を忘れずに飲めるよう管理を行う。

短期入所療養介護では、食事の提供や入浴・排泄介助といった介護はもちろん褥瘡(じょくそう)も処置やインスリンなどの注射、医療機器の交換など個々の状態に合った適切な医療ケアを実施してもらえます。

専門スタッフによる機能訓練も提供されているので、施設へ入ったために本人の身体機能が落ち在宅での生活が困難になるといった心配もいりません。急変時の医療連携もしてくれます。そのほか、自宅療養に向けた指導や介護をする家族への相談対応も行っています。

【短期入所療養介護】利用できる施設は主に3つ

短期入所療養介護に利用できる施設は、主に以下の3つです。

介護老人保健施設 在宅復帰に向けて医学的管理下のもと医療・看護・介護・機能訓練などを行っている施設。特にリハビリに力を入れている。
介護医療院 長期にわたり療養が必要な要介護1以上の方に対して、療養上の管理や看護・介護・機能訓練などを行っている施設。
介護療養型施設 療養病床を持つ病院や診療所などにて医療ケアが必要な要介護1以上の方を対象に、看護や介護、機能訓練などを行っている施設。

上記のほかに介護療養型施設には該当していないですが、短期入所療養介護を利用できる病院や診療所もあります。

短期入所療養介護の費用

短期入所療養介護ではどのくらい費用がかかるのでしょうか。ここでは、介護老人保健施設にて短期入所療養介護を利用した場合の費用の目安をみていきましょう。

介護老人保健施設の場合(一日あたり)

多床室 個室
要介護1 826円 753円
要介護2 874円 798円
要介護3 935円 859円
要介護4 986円 911円
要介護5 1,039円 962円

参照:土岐医師会立介護老人保健施設ひざし「短期入所療養介護基本料金表 1割負担

上記のほか、以下のように食費や日用品、教養・娯楽費なども発生します。

滞在費 食費 日用品費 教養・娯楽費
多床室 370円 1,380円 200円 200円
個室 1,640円 1,640円 200円 200円

参照:土岐医師会立介護老人保健施設ひざし「短期入所療養介護基本料金表 1割負担

上記を見てわかる通り、介護老人保健施設にて短期入所療養介護を利用すると1割負担でも1日あたり3,000~4,000円程度かかります。最大30日まで利用可能ですが、かかる金額も考慮したうえで利用日数を決めるとよいでしょう。

また、31日目以降は自己負担額が10割負担となる可能性があるので基本の利用日数を超えて利用する場合には特に注意が必要です。

そのほかショートステイの費用に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

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【短期入所療養介護】利用で得られるメリット3つ

短期入所療養介護へのショートステイはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、特に大きなメリットを3つ紹介します。

①医療ケアが必要な方も安心して過ごせる

短期入所療養介護は医師や看護師による専門的なケアが受けられます。看護師による健康状態のチェックや医師による病状のチェックはもちろん、酸素吸入やインスリン投与、褥瘡の処置など幅広い医療ケアに対応してくれます。

そのため、日々医療的なケアが必要な方も安心して過ごすことが可能です。

②介護者の負担を軽減できる

医療的なケアが必要な方を介護する家族は、本人を自宅で一人にするわけにもいかないため、中々休息を取れていない方も多いでしょう。短期入所療養介護なら医療的なケアが必要な方を十分にフォローできる体制が整っているので、安心して預けられます。

リフレッシュしたいときに利用できれば、家族にかかる負担もかなり軽減できるでしょう。出張や急用などで家を空けなければならないときにも、短期入所療養介護を利用すれば本人の心配をせずに目の前の物事に集中できます。

③心身機能の維持・向上を図れる

短期入所療養介護には、作業療法士・理学療法士といった専門スタッフが在籍しており機能回復訓練を提供しています。専門スタッフによるリハビリを受ければ、身体機能の維持・向上が期待できるでしょう。また短期入所療養介護ではレクリエーション活動なども行われており、コミュニケーションを取るよい機会にもなります。このような活動により、心身機能の維持・向上も期待できるでしょう。

短期入所療養介護にある3つのデメリット

短期入所療養介護の利用にはメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、特に挙げられる3つを紹介していきます。

①ストレスにより健康状態が悪化する可能性がある

いつもとは違う環境に短期間でも身を置くのは、本人にとって大きなストレスになる可能性があります。ストレスにより、心身の状態が悪化するケースもあるようです。

認知症の方は不安な状態から行動・心理症状(BPSP)が重くなってしまうケースもあるとされています。かかりつけの病院などできるだけ人が慣れている場所で利用したり、1泊から徐々に慣らしていったりすることが大切です。

②ほかのサービスを使えなくなる可能性がある

介護サービスは1割の負担で利用ができますが、利用できる額には上限があります。在宅介護の場合はデイサービスや訪問介護、訪問入浴などを利用されている方も多いでしょう。

ただ、短期入所療養介護を頻繁もしくは長期間継続して利用すると、限度額を超えてしまいほかのサービスを受けられなくなったり、全額自己負担をしなければならなくなったりする可能性があります。利用しているサービスや上限額を確認したうえで、利用期間を決めるようにしましょう。

③必要なときに予約が取れない可能性がある

短期入所療養介護は人気が高いサービスのため、すぐに予約が埋まってしまいます。予約が取れるまで2、3か月空いてしまうケースもあるようです。利用したい日があるのなら、できる限り早めにケアマネージャーへ相談しましょう。

また、有料老人ホームなどでも短期入所療養介護を受け付けているケースがあるようです。外せない用事などでどうしても本人を預けなければならない場合には、有料老人ホームなどにも確認を取ってみましょう。ただし有料老人ホームは私営の場合も多く、費用が高額になりやすいので注意が必要です。

【短期入所療養介護】利用までに必要な5つのステップ

ここで、短期入所療養介護を利用したい方へ向けて、利用までに必要な手順を解説します。どうすれば利用できるようになるのか分からない方は、以下の手順に沿って対応してみましょう。

  1. 介護認定を受ける
  2. 見学して利用申し込みをする
  3. マネージャーを交えて面談
  4. 契約

それぞれ解説していきます。

①介護認定の判定を受ける

短期入所療養介護を利用するには、要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は、居住している市区町村の窓口で申請が可能です。申請が難しい場合には、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などで代行してくれるので、相談してみるとよいでしょう。要介護認定の結果は、申請日から30日以内に郵送で送られてきます。要介護1以上であれば、短期入所療養介護を利用できるので、まずは結果通知が届くのを待ちましょう。

②施設見学をする

要介護1以上の認定を受けたら、基本的に担当のケアマネジャーが付きます。ケアマネジャーは、介護サービスを利用するうえで大切な「ケアプラン」を作成する重要な役割を持っています。

ケアマネジャーに、本人の状態や困っている点などを話してみましょう。相談をすれば、本人に最適な施設探しから紹介、見学の手続きまでしてくれます。

施設見学の際に注目すべき点は、以下の通りです。

  • 施設の設備
  • スタッフの態度
  • ほかの入所者の様子
  • 清潔感 など

見学できない箇所がある場合は、設備やサービスが不足している可能性もあるので注意が必要です。

③申し込みをする

施設見学で利用する施設を決めたらケアマネージャーを通してサービスの利用申し込みを行います。ショートステイは人気が高く、2、3か月先まで予約が埋まっているケースもあるのでできるだけ早めに申し込みを行いましょう。

④ケアマネージャーを交えて面談をする

申し込みが完了したら施設の相談員とケアマネージャーを交えて、病状や心身の問題についての面談を行います。利用日もこの面談で決定します。

⑤契約をする

ケアマネージャーがサービス利用開始日からのケアプランを作成し、施設側が職員会議で受け入れを決定したのちに短期入所療養介護を利用できます。

 

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【短期入所療養介護】最適な施設の選び方

利用できる施設について解説しましたが、実際施設を選ぶ際にはどのような点に注目すればよいのか分からない方もいるでしょう。ここでは、特に重視すべき2点に絞って解説します。

①予約の取りやすさで選ぶ

娯楽やイベントなどレクリエーションが充実していたり、サービスの質が高かったりする施設は、人気が高いケースが多いです。そのため、予約も取りづらくなっています。介護者の急病などで突然利用する必要がある場合は、予約の取りやすい施設を選択するとよいでしょう。

②医療の必要度で選ぶ

短期入所療養介護は専門的なケアを受けられるショートステイではありますが、設備や受けられるケアの内容で選択する施設が変わってきます。人工肺の方など手厚い処置が必要な方は介護医療院での利用をおすすめします。

短期入所療養介護を利用して適度に休息を取りながら本人とともに穏やかな毎日を過ごせるようにしよう

在宅での介護におけるリスクとして介護疲れや、急用などにより本人の介護ができないといったケースが挙げられます。特に医療ケアが必要な方を介護する家族は、医療機器の管理や服薬介助などさまざま面に気を遣わなければならず、大きなストレスがかかっているでしょう。

本人とできる限り自宅で過ごせる時間を増やすためには、短期入所療養介護を利用して家族が休息を取る時間を作るのも大切です。短期入所療養介護では専門スタッフによる機能回復訓練も受けられるので、本人の身体機能の維持・向上も期待できます。適度に短期入所療養介護を利用して、無理なく在宅介護を続けられるようにしましょう。

短期入所療養介護に関してのよくある質問

Q. 短期入所療養介護は短期入所生活介護と何が違うのですか?

A.短期入所療養介護と短期入所生活介護は、「医療行為を受けられるかどうか」が大きな違いとなります。短期入所療養介護は介護老人保健施設や病院、診療所で実施されている場合がほとんどで、医療機器の調整や交換といった医療行為が必要な方向けのサービスとなっています。

Q.30日を超えての利用はできないのでしょうか?

A.原則30日までとなっているので30日を超えての利用は基本的にはできません。また、30日までしか保険適用とならないため31日を超えて利用した場合には全額自費になります。1日帰宅してそのあとに利用する場合も連続利用とみなされるので注意が必要です。あくまでも短期入所療養介護は短期間の利用を目的としているので、長期利用しなければならない場合は施設入居の検討をおすすめします。

そのほかショートステイについての知識や、居宅介護サービスについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

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