• 親の介護
  • 【公開日】2026-05-25
  • 【更新日】2026-08-07

介護相談はどこにすればいい?状況別におすすめの相談先を紹介

介護相談はどこにすればいい?状況別におすすめの相談先を紹介

親の老いを突然目の当たりにしたり、在宅介護に限界を感じ始めたりして、何から手をつけたらいいか分からず焦りや不安を抱える方は多くいらっしゃると思います。

そこで本記事では、介護に関する最初の相談先として選ぶべき窓口をはじめ、無料で頼れる公的機関・民間サービスのそれぞれの特徴を状況別に分かりやすく解説します。

また、実際に窓口へ連絡する際のスムーズな流れや、事前に手元へ準備しておくべき具体的なメモの項目について、専門家や介護経験者のリアルなインタビューをもとにご紹介しています。

仕事や家事と介護を両立させ、一人で孤独に抱え込まないための第一歩として、お住まいの地域での具体的な行動計画の立案に活用してください。

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所有資格:看護師
専門分野:病気の治療と生活支援・介護施設紹介

看護師として多岐にわたる臨床・介護現場を経験し、株式会社ナースビジョンを設立。介護環境の改善や運営支援に尽力。看護師のアセスメント力を武器に、医学的視点と相性を見極め、後悔しない施設選びを伴走支援します。詳しくはこちら

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介護相談の状況別おすすめ相談先

介護の相談先は、地域包括支援センターをはじめ複数の窓口があり、今の自分の状況に最も近いものを選ぶことが、迷わず一歩を踏み出す近道です。

以下から、今のあなたの状況に近いものを見つけて確認してください。

親の様子が変わってきて、何か始めた方がいいか気になる

「最近もの忘れが増えた」「歩き方が不安定になった」など、親の様子に変化を感じたら、まずは「地域包括支援センター」へ相談してください。

地域包括支援センターは、各市区町村が設置している高齢者の暮らしを支える総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家が在籍しており、介護保険の申請から日々のちょっとした困りごとまで、あらゆる相談に無料で対応しています。

地域包括支援センターの基本情報
主な役割高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、健康・福祉・介護など様々な面からサポートする総合窓口
相談できること介護保険の手続きやサービスの利用方法/「親が認知症かもしれない」といった健康の不安/介護離職や家族の介護疲れに関する悩み
場所・管轄全国の各市区町村に設置。中学校の学区など「日常生活圏域」ごとに担当センターが決まる(※原則、親が住んでいる地域のセンターが窓口)
費用・受付時間相談は完全無料。平日日中(9時〜17時など)が一般的だが、緊急時は夜間・休日も電話対応可能な場合がある

「まだ介護が必要かどうかも分からないレベルだけど…」という段階でも全く問題ありません。むしろ、取り返しがつかなくなる前に、少しでも不安を感じたらすぐに相談するのが正解です。

介護福祉士である須川さん(仮名)に、介護の相談と地域包括支援センターの利用についてお話しを伺いました。

【インタビュー情報】
・実施日:2026年5月
・お名前:須川さん(仮名)
・性別:男性
・年齢:39歳
・職業:介護福祉士(経験10年)
・居住地:東京都
・状況:介護施設での現場勤務を10年継続中

須川さん:介護現場で長く働いていると、「もっと早く相談してくれていれば、ご家族がここまで疲弊せずに済んだのに」と感じるケースにたくさん出会います。ご家族だけで抱え込んで限界を迎えてからでは、取れる選択肢も狭まってしまいます。

「こんな些細なことで相談していいのかな」とためらう必要は全くありません。プロの目が入ることで防げるトラブルはたくさんありますので、少しでも親の様子に不安を感じたら、まずは地域包括支援センターを頼ってほしいですね。

参考:地域包括支援センターについて | 厚生労働省

認知症の症状が心配

「もの忘れがひどい」「同じことを何度も聞く」など認知症が心配な場合も、まずは地域包括支援センターが窓口になります。

【認知症が心配なときにできること】
地域包括支援センターで初期対応の相談ができる
専門的な診断・治療が必要な場合は「認知症疾患医療センター」への紹介も受けられる
本人・家族が同じ立場の人とつながれる「認知症カフェ」も地域包括支援センターから紹介してもらえる

本人が受診を嫌がる場合でも、まずは家族だけで地域包括支援センターに相談することが可能です。本人の様子を伝えるだけで、今後の進め方について助言を受けられます。

遠方に住んでいて、直接様子を見に行けない

親と離れて暮らしていて頻繁に様子を見に行けない場合は、「民生委員」に見守りを依頼するという方法があります。

民生委員の基本情報
特徴厚生労働大臣から委嘱された地域のボランティア。地域住民としての身近な視点から日常的な見守りをしてくれる
相談内容地域での安否確認、定期的な声かけ・見守り、行政窓口への連絡など
料金・相談可能日時無料。日中など常識的な範囲内で随時(※ボランティアのため明確な営業時間の規定なし)

異変があれば地域包括支援センターや役所へ繋ぐパイプ役にもなってくれるため、遠方に住むご家族の安心材料になります。担当する民生委員の連絡先は、お住まいの市区町村役場で確認できます。

参考:ご存じですか?地域の身近な相談相手「民生委員・児童委員」 | 政府広報オンライン

要介護認定の申請方法や介護保険の手続きを知りたい

介護サービスを利用するための第一歩となる「要介護認定」の申請は、市区町村の担当窓口で行います。

市区町村の担当窓口の基本情報
特徴介護保険制度に関する最も正確で公式な情報が得られる。認定手続きをその場で直接行える
相談内容介護保険の申請、要介護認定の手続き、公的サービスの利用案内など
料金・受付無料。対面・電話。平日8:30〜17:00頃(各自治体により異なる)

制度の仕組みや事務的な手続きについて最も正確な情報が得られるため、公的な手続きを確実に進めたい場合はここに足を運びましょう。窓口が分からない場合は、地域包括支援センターに聞いても案内してもらえます。

親が入院中で、退院後の生活に不安がある

親が入院中で退院後の生活に不安がある場合は、病院内の「医療相談室」「地域医療連携室」に相談してください。

病院の相談窓口の基本情報
特徴医療と福祉の両方に精通した医療ソーシャルワーカー(MSW)が対応。病状に直結した現実的な生活プランの提案が得られる
相談内容退院後の療養生活に向けた準備、転院先や介護施設の提案、医療費の相談など
料金・相談方法無料。対面(病院内の相談室)、電話。平日・土曜の日中(診療時間に準ずる)

担当医や看護師に「相談したい」と伝えれば、医療ソーシャルワーカーに繋いでもらえます。医療と介護の両方の視点から、退院後の生活へスムーズに移行できるよう支援してくれます。

介護サービスを利用しているが、内容や費用に納得できない

すでに介護サービスを使っているが内容や費用に納得できない場合は、担当のケアマネジャーに現状を伝えることから始めましょう。

【見直しの相談先】
サービス内容の調整はケアマネジャーへ(ケアプランの見直しを相談できる)
介護保険の公式な費用説明は市区町村の担当窓口へ(負担割合の仕組みなどを確認できる)

ケアマネジャーは要介護認定を受けた方のサービス調整を担当する専門職で、相談・変更の依頼はすべて無料で行えます。まずは今の困りごとを具体的に伝えてみましょう。

担当のケアマネジャーとの相性が合わない・変えたい

担当のケアマネジャーと相性が合わない場合、本人に直接伝えにくければ地域包括支援センターに相談窓口の変更を申し出られます。

ケアマネジャーは要介護認定を受けた方のケアプラン作成やサービス調整を担う専門職ですが、話しやすさや価値観の相性が合わないケースは珍しくありません。「意見を聞いてもらえない」「連絡が取りづらい」といった不満があっても、担当本人に直接伝えるのは気が引けるという人も多いでしょう。

そのような場合は、地域包括支援センターに相談すれば、変更の意向を代わりに伝えたうえで後任のケアマネジャーを紹介し、引き継ぎまで調整してくれます。ケアマネジャーの変更は正当な理由があれば認められており、費用もかかりません。感情的な対立を避けながら変更を進められるため、遠慮せず率直に「合わない」と伝えて構いません。

費用が不安で生活を圧迫しそう

介護費用の負担が重く自分の生活を圧迫しそうな場合は、「社会福祉協議会」に金銭面の相談ができます。

社会福祉協議会の基本情報
特徴公的介護保険の枠外となる、地域密着型の支援サービスが豊富な民間組織
相談内容日常生活自立支援事業(金銭管理)、配食や車椅子貸出などの地域福祉サービスの利用について
料金相談無料(※実際のサービス利用や実務サポートは一部有料の場合あり)

認知症で判断能力が低下した方の預貯金出し入れを手伝う事業も行っているため、介護保険以外の生活密着型のサポートが必要な際にも頼りになります。

参考:地域福祉・ボランティア | 社会福祉法人 全国社会福祉協議会

兄弟姉妹など家族間で、介護の分担や意見が合わない

誰が主に介護を担うか、費用をどう分担するかで意見が対立することは少なくありません。第三者の専門家を間に挟むことが有効です。

【家族間の話し合いを整理する方法】
地域包括支援センターやケアマネジャーに間に入ってもらい、話し合いの場を整理してもらう
感情的になりやすい話題だからこそ、専門家を挟んで事実ベースで進める
経済状況の目安(年金額・預貯金の概算など)を先に共有しておく

感情的な対立になりやすい話題ほど、地域包括支援センターのような公的な第三者に整理してもらうことで、家族関係を保ちながら現実的な分担を決めやすくなります。

特に費用の分担は、誰がいくら負担するかを曖昧にしたまま進めると後々のトラブルにつながりやすい項目です。親の年金額や預貯金の概算など経済状況の目安を先に家族間で共有しておくことで、専門家に相談する際もスムーズに現実的なプランを提案してもらえます。介護を主に担う人(キーパーソン)と、いざという時に手伝える親族が近くにいるかも、あらかじめ整理しておきましょう。

介護に疲れてしまい、誰かに話を聞いてほしい

「専門的な手続きの相談ではないけれど、誰かに話を聞いてほしい」というときは、身近な人に話すだけでも気持ちが軽くなることがあります。

【身近な人に相談するときのポイント】
「ちょっと聞いてほしいんだけど…」と気軽に切り出してみましょう
介護を経験したことがある人に話すと、具体的なアドバイスをもらいやすいです
話した内容は、あとで専門の窓口に相談するときのメモとして使えます

身近な人では足りない場合は、匿名・無料で利用できる電話相談窓口や、地域の民生委員に話してみるのも一つの方法です。

電話相談窓口の基本情報
特徴匿名での相談が可能な場合が多く、心理的なハードルが極めて低い。24時間365日対応の窓口もある
相談内容介護の悩み全般、緊急時の相談、日々の介護ストレスや愚痴の傾聴
料金無料(※通話料のみ自己負担の場合あり)

参考:よりそいホットライン | 一般社団法人 社会的包摂サポートセンター

施設への入居を考えている

在宅介護が難しくなり施設入居を考え始めたら、介護施設紹介サイトのスタッフに無料で相談できます。

施設の種類・費用・空き状況は数が多く自分だけで比較するのは大変ですが、「ケアスル 介護」のような介護施設紹介サイトに希望条件を伝えれば、条件に合う施設をスタッフが無料で整理・提案してくれます。

【施設紹介サイトに伝えると相談がスムーズなこと】
希望する地域・予算の目安
本人の要介護度や医療行為(透析・インスリン管理など)の有無
入居を急ぐ理由(在宅介護の限界、退院時期など)

これらを伝えておくと、条件に合う候補を効率よく絞り込めます。気になる施設が見つかったら、必ず見学をして本人と家族の目で直接確認しましょう。

施設ごとの入居条件・費用の詳細は変動するため、必ず各施設または紹介サイトのスタッフに直接確認してください。

すでに入居している施設のサービス・スタッフの対応に不満がある

すでに入居している施設のサービスやスタッフの対応に不満がある場合は、まず施設のスタッフまたは施設長に相談するのが最短です。

「対応が雑に感じる」「説明が不十分」といった不満は、日々の業務の中でのすれ違いから生じていることも多く、直接伝えることで改善されるケースもあります。契約内容や費用に関する疑問も、まずは施設側に確認しましょう。

直接相談しても解決しない場合は、各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)へ苦情申し立てをするという手段もあります。国保連は介護サービスに関する苦情を第三者の立場で受け付ける公的な窓口で、相談は無料です。転居を考えている場合も、まずは施設側に状況を伝えることから始め、必要であれば地域包括支援センターに他の施設の情報を相談してみましょう。

成年後見制度の利用や相続トラブル、施設との契約問題など法的な手続きで困っている場合は、「法テラス」に相談してください。

法テラスの基本情報
特徴国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所。収入要件を満たせば弁護士・司法書士への無料相談や費用の立て替え制度が利用可能
相談内容成年後見制度の利用、相続に関するトラブル、施設との契約問題などの法的相談
料金・受付相談無料(※収入等の利用条件あり)。平日9:00〜17:00(面談は要事前予約)

認知症の親の財産をどう守るか、あるいは親族間で意見が対立してしまった場合など、専門的な解決が求められる場面で活用しましょう。

参考:無料法律相談の流れ | 法テラス

終末期・看取りについて相談したい

「延命治療をどうするか」「最期はどこで過ごしたいか」といった終末期の相談は、担当のケアマネジャー、入院中であれば病院の医療ソーシャルワーカーが窓口になります。

本人の意思を確認できる段階で早めに相談しておくことで、いざというときの家族の決断の負担が減ります。判断に迷う場合は自己判断せず、必ず担当の医療・介護の専門職に確認してください。

本人がまだ元気なうちに希望を共有しておくと、実際にその時が来たときに家族が迷わず対応できます。ケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーは、こうした相談にも継続して対応してくれます。

「延命治療を望むか」「自宅・病院・施設のどこで過ごしたいか」「意思表示ができなくなったときに誰に判断を委ねるか」など、話しにくい内容だからこそ、事前に本人の考えを聞いておくことが家族の助けになります。ケアマネジャーに相談すれば、こうした話し合いの場を設けるタイミングについても助言をもらえます。

介護の相談をするときの主な流れ

相談先がなんとなくイメージできたところで、「実際にどうやって相談すればいいの?」「専門用語なんて分からないけど大丈夫?」という疑問にお答えします。

基本の流れは以下の3ステップです。特別な知識は一切不要ですので、安心してください。

  • ステップ1:相談先を決める
  • ステップ2:予約をいれる
  • ステップ3:状況を伝える

それぞれ詳しくご紹介します。

ステップ1:相談先を決める

まずは、前章を参考に相談する窓口を決めましょう。

迷った場合や、まだ介護認定を受けていない全くの初期段階であれば、親がお住まいの地域の「地域包括支援センター」を選ぶのが最も確実です。

インターネットで「(親が住んでいる市区町村名) 地域包括支援センター」と検索するか、親の住む役所の代表電話に「実家の親の件で包括支援センターに繋いでほしい」と問い合わせてみましょう。

親と離れて暮らしている子世代が、自分の自宅から電話をかけても全く問題ありません。

ステップ2:予約をいれる

相談先が決まったら、いきなり窓口へ訪問するのではなく、まずは電話で予約を入れましょう。

担当者が不在だったり、他の相談者の対応で長く待たされたりして、せっかくの時間が無駄になってしまうのを防ぐためです。

初めて電話をかける時は緊張するかもしれませんが、以下のように伝えるだけで大丈夫です。

【最初の電話での伝え方例】
「実家の親の介護(今後の生活)について、初めて相談したいのですが、お話を聞いていただける面談の予約をお願いできますか?」

これだけで、担当者が「ご本人のお住まいはどちらですか?」「今はどのような状態ですか?」と優しくリードしてヒアリングし、スムーズに日程調整をしてくれます。

「ネットでうまく検索できない」「どこに電話すればいいかやっぱり迷う」という場合は、自治体の広報誌や情報誌を活用して、まずは代表窓口に電話をかけてみるのもおすすめです。

実際に介護を経験した方や専門家も、手元にある情報からまずは連絡をとってみることをおすすめしています。

介護福祉士である須川さん(仮名)にもお話しを伺いました。

【専門家インタビュー】
インタビュー情報(クリックして開く)
・実施時期:2026年5月
・お名前:須川さん
・性別:男性
・年齢:39歳
・職業:介護福祉士(10年)
・居住地:東京都

須川さん:
どこに相談すればいいか分からない時は、タウンページなどの冊子にいろんな電話番号が載っているので、そこにかけてみるのもいいと思いますよ。
そこに電話をして「もうめちゃくちゃ大変で、どうにかしたいんですけど」と率直に相談してみる方法も全然ありです。

介護経験者の山田さん(仮名)にお話しを伺いました。

【ユーザーインタビュー】
インタビュー情報(クリックして開く)
・実施時期:2026年4月
・お名前:山田さん(仮名)
・性別:女性
・年齢:65歳
・職業:自営業・フリーランス
・居住地:東京都
・当時の状況:フリーランスの仕事をしながら、脳梗塞で寝たきりとなった80歳頃の母親を姉と協力して介護。親の年金だけでは個室代などが足りず、資産把握も困難だったため、不足分を姉と折半した。1円単位で厳密に帳簿をつけて金銭トラブルを防ぎ、役所に相談して相性の合わないケアマネジャーを変更し精神的負担を軽減した。

山田さん:
どこに相談していいか分からない時は、ご両親が住んでいる自治体の広報誌を見てみるのが一つの手かなと思います。シニアや介護の欄を見ると、相談窓口のヒントが載っていたりするんですよね。
私も実際に区の広報誌を見て、そこに書いてある直通の電話番号にかけて問い合わせをしたところ、担当の方に繋いでもらうことができました。
あるいは、まずは区役所や保健所に電話してみて「こういう問題はどこに聞きに行けばいいですか?」と聞いて担当機関や担当者に繋いでもらうという方法もお勧めです。

ステップ3:状況を伝える

予約した日時に窓口へ行く、あるいは電話で、親の現状や家族の困りごとを伝えます。

順序立ててうまく話せるか不安になるかもしれませんが、相手は毎日何件もの相談を受けているプロです。

「仕事との両立が限界で夜も眠れない」「イライラして親にきつく当たってしまう」といった、家族のリアルな悩みや愚痴をそのまま吐き出してしまって構いません。

むしろ、遠慮して「まだ頑張れます」と見栄を張ってしまうと、緊急性が低いと判断され必要な支援が後回しにされてしまう可能性があるので注意が必要です。

介護経験者の方からも、「自分の限界や金銭事情を正直に伝えることが重要」というリアルな声が寄せられていますのでご紹介します。

インタビュー_古川さん
親の介護で極限状態であることを伝えた古川さん
【ユーザーインタビュー】
インタビュー情報(クリックして開く)
・実施時期:2026年4月
・お名前:古川さん
・性別:女性
・年齢:39歳
・職業:パート・アルバイト
・居住地:東京都
・当時の状況:自身の家庭を抱えながら、車で1時間の距離を週3回通い、若年性アルツハイマー(要介護3)の母親を介護。しかし父親の急死後、母の貯蓄がほぼないことが判明。徘徊などの症状も重なる中で金銭的・体力的に限界を迎え、「介護費用はこれ以上出さない」と決断。

古川さん:
役所に相談した際、なかなか相手が動いてくれなくて、思わず「このままだと母のこと殺しそうですけど大丈夫ですか?」と極限状態を伝えたんです。そこまで言って、やっと役所が動き出してくれました。
だからこそ、自分にはお世話ができない、費用が負担できないということは、最初からはっきりと言ってしまった方がいいと思います。

介護の相談をする前に準備しておくこと

介護の相談をする前には、担当者に「今のリアルな状況」を正確に把握してもらうため事前に情報を整理しておくのがポイントです。

初めての相談では緊張したり、焦って現状をうまく説明できなかったりすることがよくあります。

相談前に準備しておくことは以下の3つです。

  • 本人の基本情報と心身の状況をメモする
  • 家族関係とその状況をメモする
  • 自分が今一番困っていることや希望を整理する

それぞれ詳しくご紹介します。

本人の基本情報と心身の状況をメモする

親の生年月日、住所、かかりつけ医、持病や飲んでいる薬などの基本情報に加え、「最近できなくなってきたこと」や「気になる変化」を具体的に書き出しましょう。

【本人の情報で整理しておくこと】

  • 基本情報:氏名、年齢、住所、電話番号、かかりつけの病院、お薬手帳の有無
  • 生活状況:食事、着替え、入浴、排泄は自分でできているか(介助が必要か)
  • 身体の状況:歩行時にふらつきはないか、最近転んでいないか
  • 認知の状況:物忘れがひどい、同じことを何度も聞く、怒りっぽくなった、鍋を焦がす等の変化はないか

「たまにトイレを失敗する」「お風呂に1週間入っていない」といった言いづらいデリケートな情報ほど、必要なサポートを見極めるための重要な手がかりになります。

離れて暮らしていて分からない項目については、「数ヶ月会っていないので現状は分からない」と伝えることも立派な情報です。

また、実際に介護の相談をしに行った方によると、言葉で現状を説明するのが難しい場合は「写真」を活用するのも効果的だと言います。

【ユーザーインタビュー】
インタビュー情報(クリックして開く)
・実施時期:2026年4月
・お名前:吉田さん
・性別:女性
・年齢:47歳
・職業:会社員
・居住地:岡山県
・当時の状況: 同じ町内に住む78歳(要介護2)の母親が、庭で転倒して骨折したことを機に介護が開始。非協力的な2人の兄に対し、自身の更年期障害による体調不良を理由に一時音信不通となり、強制的に役割分担させた。介護を仕事のプロジェクトと捉え、公的機関をフル活用することで、自身の負担を大幅に軽減。

吉田さん:
私の場合、制度のことが100%分からない状態で福祉事務所に駆け込みました
その際、言葉で説明するだけでなく、親のケガの状態がひと目でわかる写真を見せて「今こんな状態で大変なのですが、どうやって助けてもらえますか?」と相談しました。
それが迅速な支援につながる一番の行動だったと思います。

家族関係とその状況をメモする

介護は親本人だけでなく、家族全体のサポート体制をどう構築するかが鍵となります。

また、介護サービスを利用する上で「お金」の問題は避けて通れません。以下の項目を整理しておきましょう。

【家族関係の情報で整理しておくこと】

  • 同居の有無:親は誰と同居しているか(または一人暮らしか)
  • キーパーソン(主な窓口):主に誰が動くのか、その人の仕事や家庭の状況(フルタイム勤務、育児中など)
  • 協力者の有無:いざという時に手伝ってくれる他の親族(兄弟姉妹など)は近くにいるか
  • 経済状況の目安:親の年金額、預貯金の概算など、毎月介護に充てられる予算(※分かる範囲で)

これらを伝えることで、家族が仕事や自分の生活と両立して共倒れにならないための、予算に見合った現実的なプランを相談員が提案しやすくなります。

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自分が今一番困っていることや希望を整理する

「何から話していいか全く分からない」という場合は、今一番ストレスに感じていること、あるいはどうしても譲れない希望などを整理しておきましょう。

例えば、以下のような「本音」で構いません。

【介護における困りごとや希望の例】

  • 「日中は仕事で誰もいないから、とにかく日中の一人歩きによる事故を防ぎたい」
  • 「自分の睡眠時間が削られて限界なので、夜間だけでもどうにかしたい」
  • 「絶対に今の仕事は辞めたくない(介護離職は避けたい)」
  • 「下の世話(排泄介助)だけは自分ではどうしてもできない」

「こんなことを言ったら冷たい家族だと思われるのでは…」と体裁を気にする必要は一切ありません

プロはその「SOS」と「家族の限界ライン」を受け止めたうえで、必要な支援の優先順位をつけてくれます。

看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さんに、状況を整理して伝えることの大切さについてお話を伺いました。

菅原さん_インタビュー
看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さん
株式会社ナースビジョン 菅原さん
ご家族が介護に対して何を求めていて、どうすれば負担がなくなるのかを整理し、正直に伝えていただくことが最適な提案につながります
例えば、お金をかけてサービスに頼って負担を減らしたいのか、それともお金をかけずに自分たちでカバーするのか、そういったご家族の優先順位を明確にしてご相談いただければと思います。

また、こうした本音や限界を伝える際は、ただ感情をぶつけるだけでなく「事実ベース」で整理しておくことも大切です。

介護経験者の吉田さん(仮名)も以下のように語っています。

【ユーザーインタビュー】
インタビュー情報(クリックして開く)
・実施時期:2026年4月
・お名前:吉田さん
・性別:女性
・年齢:47歳
・職業:会社員
・居住地:岡山県

吉田さん:
介護の相談をするときは、感情論で動かない方がいいと思います。まずは「何が困っているのか」を事実ベースで書き出してみてください
それを整理することで、自分たちで解決すべきことなのか、それとも公的サービスで解決できる課題なのかを見極めやすくなります。

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まとめ

親の介護は、ある日突然、あるいは徐々に始まります。

仕事や家事でただでさえ忙しい中、介護の知識ゼロの状態で一人抱え込んでしまうと、あっという間に心身の限界を迎えてしまいます。

本記事の重要なポイントは以下の通りです。

【本記事の重要なポイント】

  • はじめての介護相談は、親が住む地域を管轄する「地域包括支援センター」がおすすめ。
  • 相談は基本的に無料。「まだ早いかも」と思う段階での相談が、後悔しない介護の鍵になります。
  • 相談をスムーズに進めるために、親の心身の状況や家族の就労状況などを事前にメモしておくようにしましょう。

専門的な知識がないのは当たり前です。「今の状況なら、まずは地域包括支援センターに電話をかければ道が開ける」

この具体的な第一歩を踏み出すだけで、介護のプロがあなたの味方になり、一緒に伴走してくれます。

決して一人で悩まず、地域包括支援センターなどの機関に相談の予約を入れてみましょう。

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