介護関連の情報をみていると「老人ホーム」「介護施設」という似た2つの言葉を目にする機会も多いかと思います。
しかし、それぞれが何を指しているのか、正確に答えられる方は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、老人ホームと介護施設の違いについて、サービス・費用・介護保険の3つの観点で詳しく解説するほか、老人ホーム・介護施設の種類についてもご紹介していきます。
老人ホームと介護施設の違いは?
老人ホームと介護施設は似た意味で使われますが、指す範囲が異なります。
老人ホームは高齢者が生活する施設全体の総称であるのに対し、介護施設は主に身体介助などや医療ケアが行われる場所を指すことが多いです。
それぞれの言葉の定義について解説していきます。
老人ホームとは
老人ホームとは、高齢者が生活するための施設全体をまとめた総称です。
法律で定められた正式名称ではなく、幅広い施設を指す言葉として日常的に使われています。
また、老人ホームは大きく「公的施設」と「民間施設」の2種類に分かれています。公的施設は国や自治体・社会福祉法人が運営するため、費用が安い傾向があります。
一方の民間施設は設備やサービスが充実している施設が多い反面、費用が高くなるケースが多いです。
老人ホームの種類についてくわしく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
・介護サービスがある施設かどうか(種類によって異なります)
・入居するための条件(要介護度・年齢・所得)を施設ごとに確認する
・公的施設と民間施設では費用の目安が大きく異なる
介護施設とは
介護施設とは、介護保険法(かいごほけんほう)に基づいて、要介護認定を受けた方に介護サービスを提供する施設のことです。
老人ホームよりも狭い意味で使われる言葉です。
「老人ホーム=介護施設」と思われがちですが、シニア向け分譲マンションや住宅型有料老人ホームのように、介護保険のサービスが施設に組み込まれていない老人ホームも多くあります。
介護施設に入居するには「要介護認定(ようかいごにんてい:どのくらい介護が必要かを判定する手続き)」を受けていることが条件になります。認定を受けていない方は、まず市区町村の窓口に申請することからはじめましょう。
・要介護認定(要介護1〜5)を受けているかどうかを確認する
・介護保険が適用されると費用の自己負担額が1〜3割になる
・要支援(ようしえん)の段階では入れない施設もある
【サービス編】老人ホームと介護施設の違い
老人ホーム全体では生活支援が中心のサービスが提供される一方、介護施設では身体介護や機能訓練など身体的なケアも受けられます。
なお、食事や清掃、見守りといった生活支援は、老人ホーム・介護施設問わず受けられるサービスです。
また、老人ホームのなかでも、介護付き有料老人ホームは介護職員が常駐が義務となっているなど身体介護ケアが充実している施設となります。
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【費用編】老人ホームと介護施設の違い
老人ホーム全体の月額費用の中央値は約14.8万円である一方、介護保険が適用される介護施設(特養・老健・介護医療院)の月額費用の中央値は約11.5万円です。
なお、老人ホーム全体の月額費用の中央値約14.8万円は、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・グループホーム・サ高住の月額費用をもとに算出した値です。
一方、特養や老健、介護医療院といった介護がメインの介護施設に絞ると、月額費用の中央値は約11.5万円とやや低くなります。
これは、介護保険が適用される施設では居住費や食費が所得に応じて調整され、自己負担割合が原則1〜3割に抑えられるためです。
民間施設を含む老人ホーム全体では、設備やサービス内容の違いにより費用の幅が大きくなる傾向があります。
【介護保険編】老人ホームと介護施設の違い
老人ホーム全体のうち、特定施設の指定を受けた介護付き有料老人ホームなどのみが公的介護保険の対象となります。
公的介護保険の対象になると、施設での身体介護や生活支援にかかる費用に介護保険が適用されるため、月額費用の負担が軽減されます。
なお、要介護1で1割負担の場合の介護サービス費の目安は月額16,140円です。これに居住費や食費、光熱費などが実費負担でかかります。理美容や買い物代行、旅行の付き添いといったサービスも介護保険の対象外で実費です。
一方、住宅型や健康型の老人ホームは施設サービスとしては介護保険の対象外で、必要に応じて訪問介護などを個別に契約する形になります。個別に契約したサービスについては、介護保険を使えますので全額負担にはなりません。
施設選びでは老人ホームと介護施設の違いは気にしなくて良い
施設選びで「老人ホーム」か「介護施設」かという言葉の違いについて気にする必要はありません。
施設選びで本当に重要なのは、施設の「種類・費用・入居条件」の違いを理解することです。
まずは現在の介護度と月々の予算を確認することが、施設選びの第一歩となります。
・「老人ホーム」「介護施設」という言葉の違いより、施設の種類の違いを理解することが先
・まず「現在の要介護度」と「月々の予算」を確認して施設を選ぶ
・要介護認定をまだ受けていない場合は、市区町村の窓口に相談する
老人ホーム・介護施設の全体像は2軸で整理
老人ホーム・介護施設の全体像は「誰が運営しているか」と「どのくらい介護が必要か」の2つの軸で整理できます。
この2軸を押さえるだけで、施設の種類が多くても「本人に合う施設の範囲」を絞り込めるでしょう。
それぞれの軸について分かりやすく解説していきます。
軸①:誰が運営しているか
施設は「公的施設」と「民間施設」の2種類に分けられます。
費用の安さを優先するなら公的施設、入居のしやすさを優先するなら民間施設がよいでしょう。
なお、公的施設は費用が安く人気が高いため入居待ちになることがあります。
特に特別養護老人ホーム(特養)は需要が多く、入居まで数か月〜数年かかるのが一般的です。
民間施設は費用の幅が広く、比較的早く入居できる施設が多いです。緊急性が高い場合や待機期間を設けられない場合は、民間施設を中心に探すことになります。
・公的施設は費用が安い分、入居条件が厳しく待機期間が長くなる場合がある
・民間施設は費用の幅が広く、比較的早く入居できる
・急いでいる場合は民間施設を中心に探す
軸②:どのくらい介護が必要か
「介護の必要度」によって、入居できる施設の種類がある程度決まります。
要介護認定を取っていない場合、その申請結果を確認してから施設を探すと選択肢を絞り込みやすくなるのでおすすめです。
施設探しを始める前に、市区町村の窓口(地域包括支援センターなど)で要介護認定の申請手続きを確認しておくとよいでしょう。
・特養は要介護3以上が入居条件
・グループホームは認知症の診断が入居条件
・老健は退院後のリハビリが目的のため入居期間に上限がある
・要介護認定をまだ受けていない場合は地域包括支援センターに相談する
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【一覧表】老人ホーム・介護施設の種類
老人ホーム・介護施設には、公的・民間合わせて主に以下の8種類です。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 住宅型有料老人ホーム
- 介護付き有料老人ホーム
- サ高住
- グループホーム
- ケアハウス
各施設の分類分けは以下のようになります。

それぞれの施設によって入居条件や費用、受けられるサービスが大きく異なりますので、ご紹介していきます。
特別養護老人ホーム(特養)
特養は公的施設の中で最も需要が高い施設です。
費用が安く終身で住み続けられますが、入居まで数か月〜数年待つケースがあります。
特養について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
介護老人保健施設(老健)
老健は、病院を退院した後に自宅へ戻るための準備をする施設です。
リハビリを中心としたケアが特徴で、「終身で住む場所」ではなく「在宅復帰に向けた一時的な施設」という位置づけです。
介護老人保健施設について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、食事・生活支援サービスが付いた民間施設です。
介護が必要になった場合は、外部の介護事業者と個別に契約します。介護サービスの利用量によって毎月の費用が変動する点が特徴です。
住宅型有料老人ホームについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、施設スタッフが直接24時間体制で介護を提供する民間施設です。
介護保険が適用されるため、介護度が上がっても毎月の介護費用が大きく変わらない点が特徴です。
介護付き有料老人ホームについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住は「安否確認」と「生活相談」を基本サービスとする賃貸住宅です。介護が必要になった場合は外部の事業者と個別に契約します。一般的な賃貸住宅と同様に入居者の権利が法律で守られています。
サ高住について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
グループホーム
グループホームは、認知症(物忘れや判断力の低下などの症状)の高齢者が少人数で共同生活を送る施設です。
1ユニット9人以下の家庭的な環境でのケアが特徴で、認知症の症状が比較的安定している方に向いています。
グループホームについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ケアハウス(軽費老人ホーム)
ケアハウスは、自宅での生活が難しくなった60歳以上の高齢者を対象とした公的施設です。
食事・洗濯・清掃などの生活支援サービスが受けられます。収入に応じた費用助成制度があり、費用を抑えやすい施設となっています。
介護医療院について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
介護医療院
介護医療院は、医師が常駐し医療ケアと介護サービスを同時に受けられる公的施設です。
たん吸引・胃ろうなどの医療処置が必要な方でも、老健とは異なり終身で住み続けられる点が大きな特徴です。
介護医療院について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
まとめ
「老人ホーム」と「介護施設」という言葉の違いは気にする必要はありません。
施設選びで重要なのは、各施設の種類・費用・入居条件の違いを把握してご本人の状況に合った施設を絞り込むことです。
施設の種類を理解した上で候補を絞り込むには、専門家への相談が近道となります。
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