「グループホームに入居するときには住民票は移すの?」「住民票を移して不都合はないの?」グループホームへの入居を検討している介護者のご家族の中には、このような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、グループホームへの住民票の異動にまつわる各種手続きやそれによって生じる介護費用の変化について解説しますので、金銭的な面が気になる方も必見です。
この記事を読めば、住民票にまつわる失敗を防げるようになります。入居の忙しい時期に余計なトラブルを抱え込まないためにも、しっかり確認していきましょう。

グループホーム入居時は住民票を移すのが一般的
グループホームに入居するときは、住民票はグループホームの住所地に移します。実は法律で定められた義務でもあります。
具体的には、同じ市区町村内のグループホームに入居するときは、転居日から14日以内に転居届の提出が必要です。
実際に手続きをするときまでに提出する書類の名称を覚えておく必要はありません。市区町村の役所に出向き、住民票を移したい旨を伝えれば手続きを進められます。
これは法律で定められた義務であるため、住民表を移さないという選択肢はありません。
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グループホームに住民票を移すと起こること
グループホームの住所地に住民票を移すと起こることとして、次の2つが挙げられます。
- 郵便物・宅配便が手元に届く
- 介護保険料が安くなる場合がある
なぜ住民票を移すと郵便物や宅配便が手元に届き、介護保険料が安くなる場合があるのかについて確認していきましょう。
郵便物・宅配便が手元に届く
住民票を移すと、住民票の住所宛てに送られる郵便物や宅配便がきちんと手元に届きます。例えば、市区町村から送付される郵便物は、住民票上の住所に送付されます。そこで住民票を移していなければ、郵便物は前住所に届いてしまうのです。
すると前住所にいる家族が郵便物を確認してグループホームに送り直したり、直接持参したりする手間が生じてしまいます。その点、住民票を移しておけばグループホームに直接送付されるため、送り直したり持参したりする手間を抑えられます。
なお、郵便局に転居届を提出すると前住所ではなくグループホームに郵便物を転送も可能ですが、転送不要郵便は転送の対象外となります。
介護保険料が安くなる場合がある
グループホームの住所地に住民票を移すと、介護保険料が安くなる場合があります。その理由は、住民税非課税世帯になる場合があるためです。
65歳以上の介護保険の被保険者は、第1号被保険者と呼ばれます。第1号被保険者が負担する介護保険料は世帯や個人の所得に応じて設定されています。
詳しくは後述しますが、例えば前住所に働き手がいて住民税の課税世帯であった場合などは、住民票を移したあとには、それぞれ独立した世代となり、ご本人の世帯が住民税非課税世帯となることで、保険料負担を抑えられる場合があるのです。

グループホームに住民票を移したときの注意点
メリットに続いて、グループホームに住民票を移すデメリットも確認しておきましょう。住民票を移すデメリットとして、次のポイントを紹介します。
- 郵便物の対応について
事前にどのような注意点があるのか把握し、気持ちの準備をしておくようにしましょう。
郵便物の対応について
基本的に郵便物はグループホームに届くようになります。対応が必要な行政の手続きや、何かの契約の継続や解約の手続きのお知らせも届きます。
ご本人が対応できないようでしたら、ご家族が代行することになる可能性は高いのですが、グループホームから転送することになるので、行き違いやタイムラグも発生する可能性もあります。
他にも詐欺や付き合いに注意が必要な相手からの郵便物も届くかもしれません。
施設側と、どのような郵便物をご本人に渡すのか、どのような郵便が届いたら家族へ送ってほしいのか、ひとこと連絡が欲しいのかなどを、前もって話し合う必要があるでしょう。
住民票が家族と分かれると介護費用が軽減される場合も
住民票が家族と分かれると、介護保険料の負担が軽減するとともに、介護サービスを利用したときの負担を軽減できる場合があります。
- 介護保険料の負担軽減
- 介護サービスの利用負担軽減
なぜ負担が軽減するのか解説しますので、それぞれ確認していきましょう。
住民票を移すことで介護費用が軽減されるというわけではなく、住民票を移し、世帯分離が行われることによって得られる影響になります。
ケアスル介護には世帯分離に関する記事もあるため、詳しく知りたいという方はそちらの記事もご覧ください。
監修者:志寒 浩二(しかん こうじ)
介護保険料の負担軽減
住民票が家族と分かれると、介護費用の軽減が可能になる場合があります。仮に従来の住民票に所得のある家族がいる場合、所得のある家族と分かれて所得のない単独世帯となれば、保険料負担が抑えられるのです。
東京都世田谷区を例にとると、次のような世帯構成の場合、介護保険料は年額74,160円(令和3~5年度)となります。
- 要介護者本人は所得がなく住民税非課税で、年金収入とそのほかの所得の合計額が年額80万円超え
- 要介護者の同一世帯に住民税が課税されている方がいる
上記の世帯構成から、要介護者がグループホームに入居して住民票を移動させると、介護保険料は年額37,080円(年金収入とそのほかの所得の合計額が80万円超え120万円以下の場合)または48,204円(年金収入とそのほかの所得の合計額が120万円超えの場合)と抑えられるのです。
年額74,160円から年額37,080円と介護保険料が半額になる場合もあるため、大きな軽減効果が期待できます。
介護サービスの利用負担軽減
また、介護保険料だけでなく実際に介護サービスを利用するときの負担も軽くなる場合があります。介護保険制度には、1ヶ月の介護サービス利用にかかる負担の上限を定める高額(医療合算)介護サービス費制度があります。
例えば、住民税課税世帯であれば一般的な世帯で世帯あたり毎月44,000円です。住民票が分かれて住民税非課税世帯となれば、世帯あたり毎月24,600円以下に抑えるのが可能です。
以上を大まかにまとめると、介護保険料と毎月の介護サービスの負担上限額が半額となります。
利用者負担段階区分 | 上限額 |
年収約1,160万円以上 | 1世帯あたり140,100円 |
年収約770万円以上約1,160万円未満 | 1世帯あたり93,000円 |
年収約383万円以上約770万円未満 | 1世帯あたり44,000円 |
一般(住民税課税世帯) | 1世帯あたり44,000円 |
住民税非課税世帯 | 1世帯あたり24,600円 |
住民税非課税世帯のうち年金収入と合計所得金額の合計が80万円以下の方など | 1人あたり15,000円 |
生活保護受給者等 | 1人あたり15,000円 |
※年収は目安です。
ただし、住民票が家族と分かれると介護保険料ではなく国民健康保険料の負担が増えてしまう可能性があります。この点について、詳細は市区町村の役所で確認しておくとよいでしょう。
グループホームの費用に関する記事は以下をご覧ください。
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グループホームの費用はいくら?カテゴリ:グループホームの費用更新日:2024-05-31
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グループホーム入居で住民票を移すときの手続き方法
グループホームに入居するとき、住民票はグループホームの住所地に移さなければなりません。そこでここでは、住民票を移すときの手続き方法について紹介していきます。
住民票を移す手続きは難しくありません。簡単にまとめてしまうと同一市区町村での転居となりますので、転居してから14日以内に本人確認書類(あればマイナンバーカード)を持って市区町村の役所で手続きをするだけです。
書類の記入方法は窓口で教えてもらえます。
住民票を移す手順
住民票を移す手順としては、引っ越しをしてから14日以内に本人確認書類(あればマイナンバーカード)を持って市区町村の役所で手続きをするだけです。
具体的には「住民異動届(転居届)」の届出を行いますが、市区町村の役所に設置されています。もし書き方がわからなければ、役所の担当者にたずねてみましょう。
なお、マイナンバーカードを発行している場合は記載事項の変更が必要となるため、転入届を提出するときにマイナンバーカードを持って手続きをする必要があります。
必要な書類等
住民票を移す際に必要な書類等は次のとおりです。
- 写真付きの本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・写真付き基本台帳カード・パスポートなど)
- マイナンバーカード(持っている場合)
- 国民健康保険被保険者証
- 介護保険被保険者証
- 委任状(家族が代理で届け出る場合)
- 印鑑
印鑑は不要な場合もありますが、国民健康保険や介護保険など、そのほかの手続きで必要になる場合もあります。念のために持っておくとよいでしょう。
グループホームに住民票を移したあとに行う手続き
グループホームの住所地に住民票を移したあとに行う手続きは次のとおりです。
- 郵便局に転送届を提出
- 運転免許証・運転経歴証明書の住所変更
手続きを忘れてしまうと、重要な郵便物が届かない可能性もあります。運転免許証の住所変更も道路交通法で定められている義務ですが、運転免許証更新のお知らせが届かなくなってしまうかもしれません。
そのため、忘れないように手続きをしておきましょう。
郵便局に転居届を提出
必須ではありませんが、郵便局に転居届を提出しておくとよいでしょう。転居届とは、郵便局に提出すると、届出日から1年間、従来の住所宛ての郵便物等を新住所に無料で転送してくれる郵便局のサービスを利用するための届出です。
郵便局の窓口で届出をするのはもちろん、自宅からインターネットを使って提出できます。ただし、自宅から提出する場合はマイナンバーカードの読み取りまたは顔写真付き本人確認書類を用意して自撮りするなどの本人認証手続きが必要です。
運転免許証・運転経歴証明書の住所変更
運転免許証や運転経歴証明書の住所変更も忘れずに行いましょう。運転免許証や運転経歴証明書に記載されている住所の変更は、警察署や運転免許更新センター、運転免許試験場などで可能です。
運転免許証はもちろん、新しい住所が確認できる書類として住民票の写しやマイナンバーカード、健康保険証などを準備して窓口に出向きましょう。
なお、住民票を移す本人だけでなく、住民票に併記されている家族が代理人として申請もできます。
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グループホームに住民票を移すなら各種変更も忘れずに
住民票を家族と別にすると、介護保険料や介護サービスの利用などの負担額軽減にもつながる可能性があります。
住民票を移す手続きは、引っ越してから14日以内に市区町村の役所に転居届を提出します。マイナンバーカードがある場合、マイナンバーカードの住所変更手続きも必要であるため、忘れずに持参するようにしましょう。
また、住民票の手続きだけでなく、郵便局に転居届の提出、運転免許証や運転経歴証明書の住所変更手続きも漏れなく行っておきましょう。
グループホームに関連する記事は以下をご覧ください。

