グループホームへの入居を検討するなかで、「そもそも介護保険は使えるのか」「介護保険は何に適用されるのか」「毎月いくら自己負担すればよいのか」と迷っていませんか。
結論として、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は介護保険の対象サービスであり、介護にかかる費用の1〜3割負担で利用できます。
この記事では、グループホームで介護保険が適用される範囲と対象外になる費用とその理由、要介護度別の自己負担額のモデルケース、さらに費用を下げられる制度までを順に解説します。
グループホームで介護保険が適用される範囲と対象外の費用
グループホームでは、介護サービス費に介護保険が適用され、費用の1〜3割負担で利用できます。
理由は、グループホームが介護保険法上の「認知症対応型共同生活介護」という正式な保険サービスに位置づけられているためです。
一方で、家賃や食費などの生活費は保険の対象外となります。
介護保険が使える「介護サービス費」とは
グループホームで介護保険の対象になるのは、日常の介護に直接かかわる介護サービス費です。
入浴や食事の介助、見守りなど、スタッフが提供する介護サービスに保険が適用されます。
まずは全体像を一覧で確認してください。
入浴介助
週2回以上の入浴を、転倒などの心配なく受けられます。
・浴室までの移動と見守り
・衣服の着脱の介助
・洗身・洗髪・体を拭く介助
・入浴後の水分補給・体調確認
食事介助
一人で食べるのが難しくなっても、体の状態に合わせて食事を支えてもらえます。
・席への誘導と配膳
・飲み込みに合わせたきざみ食・とろみ対応
・食べる動作の介助・見守り
・食後の口腔ケア
介助は保険の対象ですが、食材そのものの費用である食費は対象外です。
排泄介助
日中・夜間を通して、排泄をサポートしてもらえます。
・トイレへの誘導・声かけ
・排泄動作・後始末の介助
・おむつ・パッドの交換
・夜間の排泄対応
見守り・声かけ
認知症の症状に合わせた見守りが、グループホームの中心的なサービスです。
・生活リズムに合わせた見守り
・不安なときの声かけ・付き添い
・外に出ようとする行動や転倒の予防
・服薬の確認・声かけ
機能訓練・生活支援
家事などを一緒に行う「生活リハビリ」で、残っている力を保ちます。
・調理・配膳を一緒に行う
・洗濯・掃除などの家事の共同作業
・買い物・散歩への同行
・レクリエーション・季節の行事
これらの介助を何度受けても、介護サービス費は要介護度ごとの定額です。
要介護度が上がるほど自己負担額は少しずつ高くなり、具体的な金額は次の章で解説します。
介護保険の対象外となる費用とその理由
家賃・食費・福祉用具レンタルなどは、介護保険の対象外です。
ただし対象外になる理由は項目ごとに異なります。
「生活のための費用だから」「別の保険で対応するから」など、なぜ保険が効かないのかを項目別に解説します。
家賃(居住費)
居室や共用スペースを使うための費用で、住まいのコストは介護保険の対象になりません。
自宅で暮らしても家賃や住宅ローンがかかるのと同じ考え方です。
立地や居室の広さで差が出やすく、都市部では高くなる傾向があります。
食費
毎日の食事にかかる食材費・調理費用で、日常生活費として自己負担になります。
特養などと違い、グループホームは食費を軽減する補足給付の対象外である点にも注意が必要です。
管理費・水道光熱費
共用部の維持管理費や、水道・電気・ガスなどの費用です。
暮らしを支えるインフラの費用にあたるため、介護保険では負担されません。
福祉用具のレンタル
車いすや介護ベッドなどの福祉用具は、グループホームでは介護保険のレンタルが使えません。
使えない理由は「サービスの併用ができない」という制度の仕組みにあります。
グループホームの介護サービス費は、日常生活の世話までを含む定額の報酬として支払われているため、そこに居宅サービスである福祉用具貸与を重ねると「二重給付(併用)」とみなされます。そのため、車いすや介護ベッドを介護保険でレンタルしようとすると保険給付の対象外となり、全額自己負担になってしまいます。
ただし、福祉用具が使えないわけではありません。
グループホームでは、次の方法で必要な用具をそろえられます。
・施設の備品を活用する:車いす・介護ベッド・手すりなどを共用備品として備える施設が多く、見学時に「何が備え付けか」を確認する
・実費でレンタル・購入する:個人で必要な用具は、民間の福祉用具レンタル・販売サービスを利用する
・自治体の助成を確認する:市区町村独自の福祉用具の給付・助成があるか、介護保険窓口や地域包括支援センターに相談する
備品でまかなえる範囲は施設ごとに違います。
入居前に「持ち込みが必要な用具」と「施設が用意する用具」を具体的に確認しておくと、入居後の追加費用を防げます。
訪問看護・医療費
訪問看護や通院・薬代などの医療費も、グループホームの介護サービス費には含まれず、介護保険からは給付されません。
理由は、福祉用具と同じ「併用できない」仕組みと、介護報酬の性質にあります。
さらに、介護保険の訪問看護も居宅サービスにあたるため、福祉用具と同様にグループホーム入居中は介護保険からの給付ができません(併用不可)。
そのため、訪問看護や通院・薬代は介護費とは別に、医療費としてかかることになります。
医療が必要になっても、対応できないわけではありません。
グループホームで医療的ケアが必要なときは、医療保険と施設の医療連携を活用します。
・医療保険で訪問看護を受ける:主治医の訪問看護指示書があれば、外部の訪問看護ステーションから医療保険で訪問看護を利用できる
・施設の「医療連携体制」を確認する:協力医療機関・訪問診療・夜間のオンコール体制があるかを見学時に質問する
・医療対応が手厚い施設を選ぶ:医療連携体制加算を算定している施設は、看護職員の配置や連絡体制が整っている
・看取り・持病への対応可否を確認する:持病や終末期のケアを希望する場合は、対応範囲を事前に確認する
医療対応の必要度が高い方ほど、介護費とは別にかかる医療費の見込みが大きくなります。
入居前に「どこまでの医療に対応できるか」を施設と共有しておくと、入居後の見通しが立てやすくなります。

とくに医療対応が必要な方は、訪問看護や通院の費用が別でかかる点を、入居前に施設へ具体的に質問しておくと安心です。
・介護保険が効くのは「介護サービス費」だけで、生活費は全額自己負担
・対象外になる理由は項目ごとに違う(生活費/別の保険で対応)
・福祉用具レンタルは在宅向け制度のため、グループホームでは使えない
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介護保険適用後、グループホームの自己負担額はいくら?モデルケースで解説
グループホームの介護サービス費は、1割負担の場合で月2.2〜2.6万円ほどが目安です。理由は、介護サービス費が要介護度ごとの定額で決まっているためです。
ここに家賃や食費などの生活費が加わり、月額の総額は15〜18万円前後になるケースが多くなります。
要介護度別の自己負担額(介護サービス費)
介護サービス費の自己負担額は、要介護度が上がるほど高くなります。
以下は1割負担の場合の、1か月あたりの目安です。1ユニット制(定員9人程度)と2ユニット制(定員18人程度)で金額がやや異なります。
グループホームは、要支援2または要介護1以上で、かつ認知症の診断を受けている方が対象です。
要支援1の方や、認知症の診断がない方は利用できない点に注意が必要です。
表のとおり、2ユニット制のほうが1ユニット制より数百円ほど低くなる傾向があります。
負担割合は「介護保険負担割合証」で確認できます。
食費・家賃を含めた月額モデルケース
介護サービス費に生活費を加えた総額は、要介護2・1割負担の方で月16万円前後が一つの目安です。
以下は標準的な費用を積み上げたモデルケースです。
このモデルケースでは、月額合計のうち保険が効いているのは介護サービス費の約24,000円だけです。
残りの約13.7万円は、保険の対象外である家賃・食費などの生活費が占めています。
家賃や食費は施設と地域によって差が大きく、東京都など都市部では総額が18万円を超えることもあります。
上の表に加えて、訪問看護を利用したときや福祉用具を実費でレンタルしたときは、次のような費用がこの合計に上乗せされるイメージです。
・訪問看護(医療保険を利用):月3,000〜10,000円程度(利用回数・医療保険の負担割合による)
・福祉用具の実費レンタル(車いす・介護ベッドなど):月5,000〜15,000円程度(用具の種類による)
※いずれも目安で、利用状況により変動します。医療対応や福祉用具が必要な方は、この分を上乗せして見積もると安心です。
参考:厚生労働省「サービスにかかる利用料」(介護サービス情報公表システム)

・介護サービス費は要介護度別の定額(1割で月2.2〜2.6万円が目安)
・生活費を含めた総額は月15〜18万円前後になりやすい
・比較するときは「総額」で見比べる
グループホームの全国的な費用相場や、初期費用・月額の細かい内訳まで詳しく確認したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
グループホームの費用を介護保険以外でさらに下げる制度3つ
グループホームの費用は、介護保険に加えて3つの軽減制度でさらに下げられる場合があります。
理由は、所得が低い方や医療費が高い方を対象に、自己負担の上限や割引を定めた公的な仕組みがあるためです。
要件に当てはまれば、申請することで負担を減らせます。
グループホームでは食費・家賃の補足給付は使えない点に注意してください。
① 高額介護サービス費制度
1か月の介護サービス費の自己負担が上限を超えると、超えた分が払い戻される制度です。所得の区分ごとに、世帯単位の上限額が決まっています。
この制度で払い戻されるのは、あくまで介護サービス費の部分だけです。
家賃・食費・管理費といった生活費は、高額介護サービス費の対象には含まれません。
上限を超えた場合は、市区町村から申請の案内が届くことが多く、初回のみ申請すれば以降は自動で振り込まれる自治体もあります。
② 高額医療・介護合算制度
1年間に支払った医療費と介護費の合計が上限を超えたとき、超えた分が払い戻される制度です。
医療と介護の両方を使っている世帯の負担を軽くする仕組みです。
通院や入院が多く、介護サービス費とあわせて負担が重い世帯ほど効果が大きい制度です。
上限額は年齢・所得によって異なるため、対象になるかどうかは市区町村や医療保険の窓口で確認できます。
高額介護サービス費で払い戻された分は、この合算制度の計算からは差し引かれます。
③ 社会福祉法人等の軽減制度・自治体の助成
住民税非課税などの条件を満たすと、食費や利用料が割引される制度があります。
運営主体や自治体によって内容が異なるため、個別の確認が必要です。
これらの制度は、全国一律ではなく自治体や運営法人ごとに条件が異なります。
利用を検討する際は、入居先の市区町村の介護保険担当窓口や、地域包括支援センターに相談すると確実です。
グループホームは補足給付が使えない分、こうした自治体独自の助成があるかどうかが費用を抑える鍵になります。
・高額介護サービス費・合算制度で戻るのは「介護費・医療費」部分のみ
・グループホームは補足給付(食費・家賃の軽減)の対象外
・自治体独自の家賃助成や社会福祉法人の軽減は、窓口で個別確認する
軽減制度が自分に使えるか判断が難しいときは、公的な窓口に無料で相談できます。
制度の対象になるかどうかや、地域の施設情報も教えてもらえます。
・市区町村の介護保険担当窓口(負担割合・軽減制度の確認)
・地域包括支援センター(施設情報・ケアプランの相談)
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まとめ│介護保険を使ってグループホームに入居した場合の月額目安
介護保険を使ってグループホームに入居した場合、月額の目安は15〜18万円前後です。
理由は、保険で軽くなるのは介護サービス費(1割で月2.2〜2.6万円)のみで、家賃・食費などの生活費が総額の大半を占めるためです。
この構造を押さえると、グループホームが現実的かどうかを判断しやすくなります。
記事全体のポイントは、「保険が効く費用」と「効かない費用」を分けて考えることです。
以下に、費用項目と保険の適用可否、軽減制度をまとめます。
月額合計のうち、介護保険で軽減されるのは介護サービス費だけです。
負担をさらに減らしたい場合は、高額介護サービス費や高額医療・介護合算制度、自治体独自の助成が使えないかを確認してください。
これらを踏まえると、年金収入や貯蓄で無理なく払い続けられるかを、総額ベースで判断できます。