親がグループホームへ入居するとき、毎日の薬をきちんと飲めるのか、誰が薬を管理してくれるのか、不安に感じる方は少なくありません。
本記事では、グループホームの薬の管理について、「誰がどこまで関与できるのか」「どこで・誰が管理するのか」「薬を飲む前後の流れ」「服薬拒否・飲み忘れ・誤薬が起きたときの対応」まで順番に解説します。
入居前に施設へ確認しておきたい質問リストもまとめました。
薬の管理で後悔しない施設選びの判断材料として、ぜひ最後までご覧ください。
グループホームの薬の管理で介護スタッフが対応可能な範囲
グループホームの介護スタッフは、一定の条件のもとで薬の介助に関われます。
医師法第17条と厚生労働省の通知によって、「医療行為にあたらない服薬介助」の範囲が定められているためです。
一包化された薬の内服介助や、点眼・湿布の介助などが、その代表例にあたります。
介護スタッフができること・できないこと一覧
介護スタッフが対応できるのは、決められた薬を飲む手伝い(服薬介助)までです。
薬の種類や量を判断する行為は、看護師や医師の役割になります。
介護スタッフが服薬介助を行えるのは、厚生労働省が平成17年(2005年)に出した通知で「原則として医療行為にあたらない」と整理された行為に限られます。
医療行為(いりょうこうい)とは、医師や看護師でなければ行えない医療上の処置のことです。
ただし、介護スタッフの服薬介助は、どんな状況においても認められるわけではありません。
厚生労働省の通知では、以下の条件をすべて満たす場合に限り「医療行為ではない」と整理されています。
・本人の容態が安定している
・入院や治療の必要がなく、医師・看護師による継続的な経過観察が必要ない状態である
・医師の処方と薬剤師の服薬指導にもとづいている
・内服薬が一包化されているなど、飲み間違いが起きにくい状態である
これらの条件を満たさない場合に飲む薬を判断するといった行為は、介護スタッフには認められていません。
その場合は、看護師や医師が対応します。
医療行為が必要なときは誰が対応するのか
介護スタッフの範囲を超える医療行為は、協力医療機関の医師や、外部の訪問看護と連携して対応するのが一般的です。
グループホーム単独ではなく、医療職と役割を分担しながら入居者を支えます。
グループホームは、看護師の配置が法律で義務づけられているわけではありません。
そのため、医療的なケアが必要な場合は、協力医療機関の医師や外部の訪問看護と連携して対応します。
多くのグループホームは「医療連携体制加算」を受け、看護師と連携できる体制を整えています。
インスリン注射や床ずれの処置など、継続的な医療行為が必要になった場合は、訪問看護師が定期的に訪問して対応する形が中心です。
持病がある場合は、入居前に「どの医療行為まで対応できるか」を必ず確認してください。
グループホームの薬はどこで・誰が管理しているのか
グループホームの薬は、原則として施設が一括で管理します。
認知症の入居者が多く、本人管理では飲み忘れや飲み間違いのリスクが高いためです。
自己管理できると判断された一部の入居者に限って、例外的に本人管理が認められるという位置づけになります。
原則は施設管理、本人管理は例外的なケース
本人管理が認められるのは、自己管理できると医師やスタッフが判断した場合に限られます。
施設管理が原則となるのは、飲み忘れ・飲み間違い・過剰服用といったリスクを施設側で防ぐためです。
本人管理を認めるかどうかは、「薬を飲む意味を理解できるか」「決められた時間を守れるか」「薬を自分で保管できるか」といった点をもとに判断します。
管理方法は、入居時に作成するケアプランのなかで本人・家族と話し合って決めます。
一度決めた方法も、認知症の進行や体調の変化に応じて途中で見直される場合があります。
・薬の管理は施設が担うのが原則、本人管理は例外
・本人管理でも、スタッフが定期的に残薬を確認する
・管理方法は入居時に固定せず、状態に応じて見直される
薬の保管場所
薬は、入居者ごとに分け、誤薬や紛失を防ぐ形で保管されるのが基本です。
他の入居者の薬と混ざらないよう、名前や日付で明確に区別して管理します。
保管の基本方針は、誤薬・紛失・盗難を防ぎ、他人の薬と混ざらないようにすることです。
多くの施設では、複数の保管方法を組み合わせて使います。
たとえば、日々の内服薬はお薬カレンダーや個別ボックスで管理し、管理に注意が必要な薬は鍵付き保管庫に分けて保管します。
冷蔵が必要な薬は、専用スペースで温度管理をしながら保管する形が一般的です。
見学の際は、薬の保管場所・施錠の有無・誰が鍵を管理しているかを確認しておくと安心です。
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グループホームにおける薬の受け取りから服薬までの流れ
グループホームの服薬は、「薬局からの受け取り→仕分け→服薬介助→記録・申し送り」という流れで管理されます。
一連の流れを仕組み化することで、飲み忘れや誤薬を防いでいます。
各段階でスタッフが複数回にわたって薬を確認する点が特徴です。
薬局からの受け取りと一包化
薬は、施設が薬局から受け取り、多くは一包化された状態で届きます。
一包化(いっぽうか)とは、1回に飲む複数の薬を1つの袋にまとめることです。
一包化された薬には、日付・氏名・服用する時間帯が印字されます。
飲み間違いや飲み忘れを防ぎやすくなるため、施設での服薬管理では一包化が広く使われています。
訪問薬剤師が施設まで薬を届け、あわせて服薬指導を行う形も一般的です。
・処方内容(氏名・薬・日数)が合っているか
・前回からの変更点(増量・減量・中止・追加)はないか
・一包化の袋に日付・氏名・服用時間が正しく印字されているか
服薬管理表へのセット
受け取った薬は、服薬管理表やお薬カレンダーに、朝・昼・夕・眠前など時間帯ごとにセットされます。
一包化されていない薬や頓服は、種類ごとに分けて管理します。
「熱が出たときの頓服」を、介護スタッフが自分の判断で渡してよいわけではありません。
薬を使うかどうかを決める「処方」は、医師だけができる行為だからです。
頓服薬は、医師があらかじめ「どんなときに・どの薬を・どれだけ使うか」を処方(指示書)で決めています。
介護スタッフができるのは、その条件に当てはまったときに、指示どおり薬を渡す(服薬介助)ところまでです。
服薬介助時の確認手順
服薬介助のときは、その場で「誰の・いつの・どの薬か」を確認してから手渡します。
思い込みで渡すと誤薬につながるため、一つひとつ照合する流れが徹底されています。
・正しい人か(本人であること)
・正しい薬か(氏名・薬の種類)
・正しい量か(錠数・包数)
・正しい時間か(服用タイミング)
・正しい方法か(内服・外用などの飲み方)
手渡したあとは、その場で飲み込みまで見届けます。
むせや誤嚥(ごえん)を防ぐため、いすに座った姿勢で、水やお茶と一緒に服用してもらいます。
口の中に薬が残っていないかまで確認して、服薬介助は完了となります。
服薬後の記録と申し送り
服薬後は、飲んだ・飲まなかった・残薬の有無などを記録し、次のスタッフへ申し送ります。
記録を残すことで、飲み忘れや二重服用を防ぎます。
・服薬した時間と内容
・飲めなかった・拒否した場合は、その理由と対応
・残薬の数
・体調の変化や副作用の有無
「薬をきちんと飲めているか」は、家族が最も気にする点の一つです。
多くの施設では服薬状況を介護記録に残し、定期面談・連絡帳・電話などで家族へ共有します。
飲み忘れや服薬拒否が起きた場合、誤薬や副作用が起きた場合は、その都度家族へ連絡が入ります。
入居前に、家族への連絡・報告のルールを確認しておくと安心です。
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グループホームにおける飲み薬以外の薬の管理方法
塗り薬・点眼薬・貼り薬などの外用薬も、内服薬と同じく自己管理と施設管理に分かれます。
誤飲などのリスクの有無で、どちらで管理するかが決まるためです。
塗り方の上手・下手ではなく、安全に管理できるかどうかで判断されます。
誤飲の心配がなく手順を守れる方は、薬を手元に置き、自分のタイミングで使います。
自分の判断で、必要なときに塗ったり貼ったりできる状態です。
一方、塗り薬や湿布を食べ物と勘違いして口に入れてしまうおそれがある方は、本人に持たせず施設が預かります。
施設管理の場合は、スタッフが決まった時間に塗る・貼るといった形で介助します。
・塗り薬や湿布を食べ物と勘違いして口に入れてしまう(誤飲の)おそれがある
・貼り薬をはがして貼り直したり、何枚も重ねて貼ってしまう
・点眼などの手順を自分で守るのが難しい
どちらで管理するかは、内服薬と同じくケアプランのなかで本人・家族と話し合って決めます。
認知症の進行や体調の変化に応じて、途中で管理方法が見直される場合もあります。
自己管理となった場合でも、正しく使えているかをスタッフが定期的に確認します。
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グループホームで服薬拒否・飲み忘れ・誤薬が起きたときの対応
服薬拒否や飲み忘れ、誤薬などのトラブルが起きたとき、グループホームは決められた手順に沿って対応します。
拒否・飲み忘れ・紛失・誤薬のいずれも、記録・報告・医療連携の流れがあらかじめ決まっているためです。
なかでも誤薬や副作用が起きた場合は、家族への連絡と医療機関への相談が最優先されます。
服薬拒否への対応
・少し時間をおいてから、あらためて声をかける
・拒否の理由(不安・飲みにくさ・体調)を確認する
・飲みやすい剤形(粉薬・ゼリー状・貼り薬など)への変更を医師・薬剤師に相談する
親が服薬を拒否しても、施設は無理に飲ませず、原因を探りながら時間や方法を工夫します。
認知症の方が薬を拒むこと自体は珍しくなく、施設も対応に慣れています。
拒否の背景には、薬だと認識できない、飲み込みにくい、体調がすぐれないなど、さまざまな理由があります。
無理強いはむせや誤嚥、スタッフへの不信感につながるため、施設では避けられます。
施設では自己判断で混ぜず、薬剤師に確認したうえで対応します。
飲み忘れが発覚したときの施設の対応
・すぐに飲ませてよいか、看護師・医師・薬剤師に確認する
・2回分をまとめて飲ませない
・記録に残し、原因と再発防止策をスタッフ間で共有する
薬の飲み忘れに気づいたとき、施設は自己判断で飲ませず、まず医師・薬剤師に確認します。
薬の種類や時間の経過によって、飲ませてよいかどうかが変わるためです。
飲み忘れを防ぐため、多くの施設ではお薬カレンダーやダブルチェックを取り入れています。
薬を紛失したときの施設の対応
・保管場所や受け渡しの記録をたどって探す
・誤飲や、他の入居者の薬への混入がないか確認する
・医師へ連絡し、必要なら再処方を依頼する
・家族へ報告し、施錠やダブルチェックなど再発防止策を講じる
誤薬・副作用が起きたときの報告フローと家族への連絡・医療連携
①本人の状態を確認する(意識・呼吸・症状の観察)
②看護師・医師・協力医療機関へ連絡し、指示を仰ぐ(緊急時は救急要請)
③家族へ速やかに連絡する
④事故報告書を作成し、必要に応じて市町村へ報告する
⑤原因を分析し、再発防止策を共有する
誤薬は、その場で終わらせず、記録と報告を徹底するのが基本です。
副作用が疑われる場合も、施設が自己判断で様子を見ることはなく、必ず医療職へつなぎます。

見学のときに「誤薬が起きたらどう連絡が来るのか」「家族への報告はどのタイミングか」を質問してみてください。
手順を具体的に説明できる施設ほど、日ごろの管理体制が整っている目安になります。
入居前にグループホームへ確認すべき質問リスト
入居前には、薬の管理体制について具体的に質問しておくことをおすすめします。
薬の管理やトラブル時の対応は、施設ごとに差が大きいためです。
「誰が管理するか」「医療連携」「トラブル時の対応」を軸に確認すると、施設の体制が見えてきます。
・薬の管理・保管:誰が・どこで・どう管理するか
・医療連携:看護師・訪問看護・対応できる医療行為の範囲
・トラブル対応:拒否・飲み忘れ・誤薬時の手順と家族連絡
薬の管理・保管について確認する質問
まずは、日々の薬を誰が・どのように管理するかを確認します。
本人管理が可能かどうかも、あわせて聞いておくと安心です。
医療連携・トラブル対応について確認する質問
次に、医療的ケアの範囲と、トラブルが起きたときの対応を確認します。
持病がある場合は、対応できる医療行為の範囲を必ず聞いておきます。
複数の施設に同じ質問をすると、管理体制の違いを比べやすくなります。

見学のときに、質問にその場で具体的に答えられるかどうかも、施設を見極める大切な材料になります。
まとめ|グループホームの薬の管理は「施設の体制確認」がカギ
グループホームの薬の管理は、原則として施設が担い、介護スタッフが一定の条件のもとで服薬介助を行います。
薬の受け取りから服薬、記録・申し送りまでの流れが仕組み化され、拒否・飲み忘れ・誤薬にも決められた手順で対応します。
薬の管理体制は施設によって差があるため、入居前の確認が施設選びの重要なポイントになります。
・介護スタッフができるのは服薬介助まで。薬の判断や注射は医師・看護師の役割
・薬は原則として施設が管理し、本人管理は自己管理できる人に限られる
・薬は個別管理ボックス・お薬カレンダー・鍵付き保管庫などで保管される
・拒否・飲み忘れ・誤薬は、記録・報告・医療連携の流れで対応する
・入居前に「管理方法・医療連携・トラブル対応」を確認しておく