要介護認定を受けた方は、看護師や介護士が定期的に自宅に訪れて看護や介護のサービスを行う、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用することができます。
しかしながら、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の具体的なサービスの内容を正確に理解している方は決して多くない現状があります。より質の高いサービスを提供してもらうためには、サービスを利用する側も制度の内容や仕組みを正しく理解して利用する必要があるでしょう。
ここでは、24時間対応の介護サービスである「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の内容について具体的に解説していきます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、介護認定を受けた方が利用できる地域密着型サービスの中のひとつです。作成した訪問介護計画書の内容に沿って、訪問介護よりも一歩踏み込んだ介護サービスを受けることができます。
ここでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の具体的な中身や特徴を具体的に解説します。
24時間対応の定期訪問介護サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、訪問介護員または訪問看護師が要介護者の自宅を定期訪問し、介護・看護を提供する24時間対応の介護サービスです。あくまで要介護1〜5の認定を受けた高齢者を対象としており、要支援認定の方は利用できないため注意が必要です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは、平成24年4月より提供が開始されました。昼間だけでなく夜間も訪問介護と訪問看護サービスが提供されることから、要介護認定を受けた、介助が必要な高齢者を手厚くサポートする充実した内容となっています。
地域密着型サービスに分類される
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは地域密着型サービスに分類され、事業所と同じ地域に住民票があり、要介護認定1~5の要介護高齢者を対象としています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは、2006年4月に介護保険法が改正された際に新設されたサービスである「地域密着型サービス」の中の1つに位置付けられています。
地域密着型サービスは、高齢者となり介護が必要になった場合でも、そのまま自分が住んでいる地域で生活しながら介護や看護を受けることができる支援サービスのひとつです。
地域密着型サービスの誕生の背景には、毎年のように日本人の寿命が伸び、高齢化が一層加速している現状があります。家族と一緒に住んでいる元気な高齢者がいる一方で、一人住まいの高齢者や認知症を患った高齢者も増えているのです。
この定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスでは、サービスを行う事業所は市区町村が指定します。さらにその地域に住民票のある人しか定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスを利用できないので注意が必要です。
さらに、地域密着型サービスであることから、施設は地域住民と交流の持てるような利便性の高い場所に建設するように指定されています。
複数回の訪問
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは1日に複数回訪問します。1回ごとの訪問では10~20分程度滞在し、食事介助や清拭介助、排せつ介助などの短時間の身体介護を中心に行います。
サービスの利用回数は人により異なりますが、一般的に要介護度が高くなるにつれてサービスの1日の利用回数も増加する傾向があります。したがって、利用者が少ない事業所よりも利用者が多い事業所の方が訪問回数が多くなり、事業所に対する負担も大きくなっていきます。
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定期巡回・随時対応型訪問介護看護の主なサービス内容
1日に何度も利用できる定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは、介護が必要な方にとって非常に利便性の高い介護サービスです。
このサービスは24時間利用できることから、通常は事業所が対応しない深夜や明け方でもサービスを受けることができるので、このサービスを受けている高齢者やその家族は、安心して任せることができるでしょう。
この定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、具体的にどのようなサービスを利用することができるのでしょうか。具体的なサービスの中身について解説します。
定期巡回サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスのひとつとして、「定期巡回サービス」があります。このサービスは、事前に作成した支援計画に基づいて、1日に複数回の訪問介護サービスを提供する内容になっています。
定期巡回サービスの訪問回数は特に決まっておらず、利用者の健康状態やその時々の状況に応じて柔軟に回数を増やすことも減らすことも可能です。さらにサービス内容の指定も特になく、安否確認や見守り、健康チェックのみを行う場合でも定期巡回サービスを利用することができます。
介護職員と看護職員が連携して必要なサービスを提供してくれるため、安心して利用できるでしょう。
訪問看護サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスの中には、医師の指示に基づいて行う「訪問看護サービス」があります。このサービスは随時対応サービスであり、主治医から緊急性が高いと判断された場合など必要に応じて訪問して看護サービスを提供します。
看護サービスの具体的な中身としては、健康状態の観察や状態悪化の防止、療養生活の相談や生活上のアドバイス、リハビリや点滴・注射などの医療処置、痛みの緩和・軽減や服薬管理、主治医やケアマネジャーとの連携や緊急時の対応などさまざまです。
このサービスでは、訪問看護サービスは受けずに訪問介護サービスのみを利用する場合であったとしても、看護師による定期的な診断や評価を実施します。
随時訪問サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスには、「随時訪問サービス」も含まれています。この随時対応サービスとは、サービスの利用者やその家族から連絡を受けた看護師や介護福祉士、ケアマネジャーなどが、相談援助やヘルパーによる訪問の必要性を判断します。
通常24時間いつでも利用が可能であり、たとえ夜間や休日であったとしても、訪問が必要だと判断した場合には短時間で介護職員が自宅に駆けつけて、適切なサービスを施します。
随時対応サービス
「随時対応サービス」は、サービスを利用している方やその家族から連絡を受けたスタッフが、緊急性や必要性がある連絡だと認めた場合に、相談援助やヘルパー・介護福祉士などによる訪問対応を行います。
随時対応サービスでは、通常は看護師や社会福祉士、介護福祉士やケアマネジャーといった資格を持ったスタッフが対応して緊急性や必要性の判断を行います。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用概要
実際に定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスを利用する際、どのような条件のもとで利用できるのでしょうか。
ここでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用できる対象者や他の介護サービスとの併用の有無、さらに当該サービスを利用する場合にかかる料金などの詳細を解説します。
今後このサービスを利用しようと考えている方は参考にされることをおすすめします。
対象者
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は誰でも利用できる介護サービスというわけではなく、このサービスを利用できる方は、1〜5いずれかの「要介護認定」を受けた方に限られます。
そもそも介護認定を受けるためには、介護認定の申請を行い、実際に調査を経て要介護1~5の認定を受ける必要があります。しかし調査の結果「要支援」の認定を受けた場合は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスの利用はできないため注意が必要です。
他のサービスとの併用
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスは、他の訪問型・通所サービスである夜間対応型訪問介護サービスや看護小規模多機能型居宅介護サービス、小規模多機能型居宅介護サービスとの併用はできないようになっています。
さらに、これまで他の事業所の訪問介護サービスを利用している場合などは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用することで以前から利用していたサービスが利用できなくなります。
ちなみに、病院に行く際の付き添いや診察手続きなどを行う「通院等乗降介助」とこのサービスの併用は可能となっています。
利用料金
気になる定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用料金ですが、具体的な利用者負担額は認定された要介護度によって異なります。
以下の表は、訪問看護サービスを受ける場合にかかる月額の利用者負担額を、介護認定に応じて整理しています。
要介護度 | 月額利用料金 |
要介護1 | 8,287円 |
要介護2 | 12,946円 |
要介護3 | 19,762円 |
要介護4 | 24,361円 |
要介護5 | 29,512円 |
負担の割合は原則1割負担ですが、一定以上の所得のある方の場合は2割もしくは3割負担となるため注意が必要です。さらに利用者の要介護度に応じたサービスの提供の有無によっても負担額が変わってくるため、最終的には個々によって負担額が変わってくる可能性があるでしょう。
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定期巡回・随時対応型訪問介護看護を一体型事業所で利用する場合
この定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、サービスを提供する事業所における看護師の有無によって一体型と連携型の2つに分類されます。
「一体型」とは、訪問看護を行う看護師がいる事業所を指します。一方で「連携型」とは、看護師がいない事業所のことを指します。
どちらの方がサービスが手厚いという訳ではなく、一体型と連携型それぞれにメリットやデメリットがあります。定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスを利用するのであれば、この一体型と連携型それぞれのメリットやデメリットを把握しておくことをおすすめします。
ここでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護を一体型事業所で利用する場合のメリットとデメリットを解説します。
利用するメリットとは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を一体型事業所で利用する最大のメリットは、訪問介護と訪問看護が連携しやすい点です。訪問介護と訪問看護がそれぞれ同じ事業所において提供されていることから、互いに情報交換しやすく状況に応じた迅速かつ適切な判断が可能となります。
具体的には、医療的知識の乏しい介護職員は、看護師から直接情報を得ることができます。その結果、介護職員であっても医療的な目線をもって訪問できるなど、訪問介護と訪問看護が一体的にサービス提供してくれるメリットがあります。
利用するデメリットとは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を一体型事業所で利用するデメリットは、このサービスは地域密着型サービスであることから、事業所と同じ地域の住民でないと利用できない点があげられます。
たとえ近隣であっても事業所の管轄外であれば、その事業所が提供する一体型サービスを受けることができないのです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を連携型事業所で利用する場合
前者の「一体型」の場合は、定期巡回サービスや随時訪問サービス、随時対応サービスなど定期巡回・随時対応型訪問介護看護におけるすべてのサービスを提供することができます。
しかし、後者の「連携型」においては、サービスの利用に制限があるため注意が必要です。
ここでは定期巡回・随時対応型訪問介護看護を連携型事業所で利用する場合のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
利用するメリットとは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を連携型事業所で利用するメリットは、連携型の場合は複数の事業所が互いに連携を取ることから、地域全体の情報を素早く入手し共有できる点です。
その地域における専門医や適切な病院情報など、リアルな医療状況を把握しやすいといったメリットがあります。
利用するデメリットとは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を連携型事業所で利用する場合のデメリットとして、訪問介護と訪問看護同士の連携が取りづらい点があげられます。
その結果利用者に必要な情報を迅速に収集できず、適切な訪問看護が行われないなど利用者に負担をかける可能性があるのです。
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定期巡回・随時対応型訪問介護看護を積極的に利用していこう
今回は、24時間対応の介護サービスである定期巡回・随時対応型訪問介護看護について解説しました。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は地域密着型の介護サービスであり、要介護認定を受けている方であれば利用できる非常に利便性の高い内容となっています。
定期的な巡回や随時通報を行うことにより、利用者の自宅において入浴や排せつ、食事等の介護など生活の援助を行ってくれます。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間365日サービスを提供しており、利用者が安心して活用できる体制が整えられています。
さらにこのサービスは、介護職員だけでなく医学的な知識を持った看護師も加わることから、看護と介護が一体となったサービスを受けることできます。今回の記事の内容を参考にして、積極的に定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用してみてはいかがでしょうか。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、介護認定を受けた方が利用できる地域密着型サービスの中のひとつです。作成した訪問介護計画書の内容に沿って、訪問介護よりも一歩踏み込んだ介護サービスを受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は誰でも利用できる介護サービスというわけではなく、このサービスを利用できる方は、1〜5いずれかの「要介護認定」を受けた方に限られます。詳しくはこちらをご覧ください。