今回は、1年でインスタグラムのフォロワーを3,000人獲得した社会福祉法人永春会様に、SNS運用の極意や秘訣について聞いてきました。
高齢化問題や介護人材不足などさまざまな介護問題が叫ばれる今日、SNS活用を1つのカギとして経営されている施設なので、ぜひ参考にしてみてください。
(上記写真)阿部 桂様
所属:高齢者事業部本部長/サービス管理部部長/特別養護老人ホーム秋桜施設長
経歴:前職は映像制作会社にてADとして勤務。あるきっかけから24歳のときに介護福祉士という職に出会い、介護の世界へ。介護福祉士を取得し、介護職員として勤務を得て介護支援専門へジョブチェンジ。特養入居者さんの担当ケアマネとして生活を支援してきました。現職は特別養護老人ホームの施設長として、入居者さんを笑顔になってもらえることだけを日々考えて奮闘しています。
原田瑞己様
所属:サービス管理部 広報担当職員
経歴:2021年4月に社会福祉法人永春会に入職。数ヶ月間の介護職を経験後、広報担当職員になりました。普段は求人広告・利用者募集広告のチラシやパンフレット作成/WEBサイト作成/動画撮影・編集/コーポレートブランディング業務/SNS運用を担っています。
社会福祉法人永春会様:ホームページ
永春会様の事業内容について
ケアスル編集部:
本日はインタビューをお受けいただきありがとうございます。
永春会様が運営されている、特別養護老人ホーム秋桜のインスタグラムを拝見し、ぜひお話をお伺いしたいなと思い連絡させていただきました。まず初めに、永春会様の事業概要についてお聞かせください。
※永春会様のインスタグラムアカウント
原田様:
本日はよろしくお願いいたします。では、永春会の事業概要を説明させていただきますね。社会福祉法人永春会では高齢者事業、保育事業、障害児者施設事業の3つの事業を運営しております。
高齢者事業では、特別養護老人ホームやデイサービス、ケアサービス、高齢者いきいき安心センター(いわゆる地域包括支援センター)を運営しています。 特別養護老人ホーム秋桜はこの特別養護老人ホームに当たります。
また、保育事業では、保育園を運営しています。
そして障害事業では、松戸市の就労継続支援B型事業所にて、障害を抱えている方向けにしいたけの栽培や施設の清掃といったお仕事を通じて就労に向けた支援をしています。
葛飾区の施設では、相談支援事業所、生活介護サービス、福祉型障害児入所施設を2022年より開設し、運営しています。中でも、福祉型障害児入所施設は聴覚に障害のある児童に特化した施設となっており、職員が全員手話が出来るなど、聴覚障害支援に特化した日本で1つしかない特徴的な施設です。
ケアスル編集部:
ありがとうございます。
今回特別養護老人ホーム秋桜のインスタグラム運用について詳しくお伺いさせていただきたいのですが、まず、このインスタグラムではどういった投稿をされているのでしょうか?
原田様:
日常でよくあるシーンやふとした瞬間を写真に撮って投稿しています。
レクリエーションの写真やイベントの写真など特別なシチュエーションの写真というよりは、机でうたた寝している写真や散歩している写真など、よくある日常のほんの一瞬を写真に納めてもらうようにしています。
写真は基本的に施設の職員さんに撮ってもらい、その写真を僕が加工してインスタグラムにアップしています。
インスタグラムを始めたい背景や運用体制について
ケアスル編集部:
そうなんですね。確かに、どこかほっこりするような、安心感のある写真が多いなと思いました。続いて、インスタグラムを始められた背景について教えてください。
阿部様:
ここ10年くらい、介護業界には高齢化社会や介護士不足などさまざまな慢性的な課題があり、弊社でも利用者獲得・求職者獲得をもっと推進していきたいと思っていました。
インスタグラムやYoutubeなどのSNSを活用して発信していくことも大事だという感覚はありましたが、どうもまめな作業にはなってしまうし最先端の技術も必要だし、ハードルが高く動けていませんでした。
ただ、私たちは営利目的ではなく、社会福祉法人として市民・地域のために施設を運営しています。売上が上がらないから「はい、やめます」ということは許されません。
まずはスタートラインに立たないと何も始まらないため、公益性を担保しつつ事業として継続するために色々なことにトライしようという理事長の意見を受け、広報担当を設けました。そして、まずはインスタグラムを活用してみようということで約1年前から取り組みが始まりました。
ケアスル編集部:
1年前に始められて、今は3,000超のフォロワーがいらっしゃるんですね。実際にどういった投稿頻度、体制でインスタグラム運用をおこなわれているのでしょうか?
原田様:
はい、2022年8月から始めて3,183フォロワー(2023年8月21日現在)なので、おおよそ1年くらい運用を続けています。特に最初の3ヶ月間で一気にフォロワーが増えましたね。
投稿頻度としては、最初の方は毎日投稿をしていましたが、今はほかのアカウントも複数運用しているので週1回くらいの運用になっています。チーム体制は私がメイン担当となって運用・画像の加工等をおこなっており、画像の撮影自体は施設の職員さんにお願いしています。
普段生活しているような自然体の写真が、定期的に私のもとに届くようになっています。
ケアスル編集部:
1年ちょっとで3,000フォロワーも獲得しているんですね..!実際にインスタグラムを運用する中で、どういった点に注意をして運用をされているのでしょうか?
原田様:
色々な施設の方のお手本になるようなインスタグラム運用をしています。実際周りの施設でも、SNS運用を始めたいけれどどうやって運用すればよいかわからないという声を聴きます。
そういった介護施設の方や介護士の方に向けて簡単に加工したコンテンツを出し、誰でもインスタグラムを始められるような、参考になるコンテンツを出すことを心がけています。
実際フォロワーを見ていただくと、介護施設の職員さんや介護士の方からのフォローを多く獲得できているため、その点ではある程度うまくいっているかなと思います。
ケアスル編集部:
ありがとうございます。逆に、まだまだできていないことや今後挑戦していきたいことはありますか?
原田様:
まだまだ、入居希望者や求職者などのメイン層にリーチできていないので、そこが課題かなと思っています。足元では3,000フォロワーを獲得でき、ある程度信頼感のあるアカウントにはできているのではないかなと思っています。
そのため、次はメインのターゲット層に届くコンテンツを作っていきたいと思っています。介護技術の紹介、教育、治療のような投稿・コンテンツも増やしていくことで、読者の幅を広げつつ、安心できるコンテンツを発信していきたいと思っています。
インスタグラムを活用したい施設へのアドバイス
ケアスル編集部:
ありがとうございます。これまでは比較的順調にフォロワーも獲得しているのかなとお見受けするのですが、インスタグラムを運用するうえで何か壁になったことや困難なことってありましたか?
原田様:
周りの協力を仰ぐことが難しかったです。直接言われないまでも、「どうしてやるのか」「やって効果があるのか」と思われることも多くあり、最初は中々周りの協力を借りづらいなかで運用をする必要がありました。
ただ、ある程度フォロワーも増えて影響力が大きくなり、DMなどで感謝の声もいただくにつれ、ほかの社員からも少しずつ注目を集め始め、次第に協力体制を築けるようになってきました。
何もわからない最初の段階で協力を仰ぐのは難しいので、ある程度結果を出して見てもらう、ということも必要かもしれません。
ケアスル編集部:
なるほど、結果で示すということですね。最後に、インスタグラムなどSNS運用をしようか悩んでいる施設担当者の方へ、何かアドバイスをいただけないでしょうか。
原田様:
インスタグラムを難しく捉えず気軽に運用すべきだと思っています。どうもインスタグラムとなると、かっこいい写真やきれいな写真を投稿しないといけないと思われる方も多いですが、必ずしもそうではありません。
そのようなキラキラした写真を見る層と、介護施設の写真を見たい層は違うので、わざわざかっこいい方に寄せる必要はないと思っています。
むしろ、日常のホームビデオのような何気ない写真の方が受け入れられると思うので、一回投稿してみて反響を見て、その施設ごとに合った投稿を続けていくことが大事かなと思います。
阿部様:
SNS運用をやりたいと考えている施設の担当者の方は多いと思います。
ただ、実際に始める際には運用担当者だけが重荷を背負って運用し続ける体制はやめておいた方が良いと思います。正直続かないケースがほとんどです。
企業で本腰を上げてSNS運用に取り組む文化・風土を作っていき、チームでSNS運用を続けていくことが大切になると思います。
まとめ
今回は、SNSを活用して1年ちょっとで3,000フォロワーを獲得した永春会様にインタビューをし、SNS運用の秘訣について聞いてきました。
介護人材不足が謳われる今日、SNS等のツールを駆使してうまく集客できる施設が強いんだろうなと痛感したインタビューになりました。
今後も引き続き、ケアスル介護ではさまざまな介護施設・介護事業者にインタビューし、最先端の取り組みや技術について取り扱っていきますので、楽しみにしていて下さい。