• 認知症
  • 【公開日】2023-02-19
  • 【更新日】2023-02-16

認知症の症状で言うことを聞かない?向き合い方についての提案!

認知症の症状で言うことを聞かない?向き合い方についての提案!

「認知症の親が言うことを聞かない……」「手を挙げてしまいそうになる」そんな悩みを持つ方も少なくはありません。頑張りすぎた結果、心身ともに疲弊してしまう方も多いでしょう。

この記事では、認知症の方が、なぜ言うことを聞かなくなってしまうのかを解説します。また、認知症の方が言うこと聞かないときに、どのような対応をしたらよいのかも紹介しますので、参考にしてください。

医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター
所有資格:日本内科学会総合内科専門医
専門分野:アレルギー、神経内科, 消化器内科, , 呼吸器内科, 総合内科など

米国内科学会上席会員、日本内科学会総合内科専門医などの資格を保有。 主な研究内容・論文として「生活習慣関連因子と大腸カプセル内視鏡検査」がある。 専門分野はアレルギー・膠原病内科, 神経内科, 消化器内科, 血液内科, 肝胆膵内科, 呼吸器内科, 総合内科, 感染症科, 循環器内科, 腎臓内科, 内分泌代謝科, 糖尿病内科, 内科など多岐に渡る。詳しくはこちら

所有資格:一般社団法人 薬機法医療法規格協会 薬機法医療法遵守広告代理店認証
専門分野:化粧品や健康食品における広告表現
職業: 薬機法管理者

2003年からヘルスケア情報サービス事業・治験支援事業を行っている企業にて、主にDTC広告の企画営業に携わる。 4年ほど企画営業を担当後、自社のヘルスケアサイトの運営、製薬会社・健康食品メーカーの記事広告の制作を行うが、この時に薬機法(薬事法)についての知識を学び、広告記事の精査を経験。 2017年退社。現在は臨床研究の支援を行う企業にて研究事務局支援に携わる。東京在住。 現在は本業の傍ら化粧品や健康食品の企業の広告等の薬機法チェックを行う。詳しくはこちら

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認知症の方が言うことを聞かない理由とは?

認知症になると、家族が話した内容を無視したり、してはいけないことをしてしまったりするケースが多くなります。

しかし、本人に悪気があるわけではありません。これは認知症による認知機能の低下が原因です。認知症により認知機能が低下すると以下のような症状が現れます。

  • もの忘れが多くなる(記憶障害)
  • 時間や場所、人がわからなくなる(見当識障害)
  • 理解力や判断力が低下する
  • 仕事や家事ができなくなる(実行機能障害)
  • 言葉がわからない、出てこなくなる(言語障害)
  • 服を着られない、スプーンの使い方がわからない(失行)
  • 右もしくは左どちらかのものを認識できない(失認)

話した内容を無視して違う行動をとるのは、記憶障害により会話そのものを忘れているか、言語障害により内容が理解できないことが原因です。また、実行機能障害や失行によってやり方がわからないケースもあります。

徘徊など、危険な行動を取る場合は、認知症の方に「今何をしたいのか」を聞いたうえで対応する工夫が必要です。

言うことを聞かないために、介護する方が怒ってしまうと、認知症の方も反発してくる可能性があります。また、怒られた理由がわからず、被害妄想に繋がってしまい「嫌な方だな」と思われてしまうかもしれません。認知症の方に寄り添った対応を心がけましょう。

また認知症の方が入居できる老人ホーム・介護施設をお探しの方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では全国で約5万もの施設から、入居相談員がご本人様・ご家族様のご要望にぴったりの介護施設を紹介しています。

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言うことを聞かない認知症の家族との向き合い方

認知症の方が言うことを聞かない時、どのように対応したらいいか悩んでしまうかもしれません。

その時は、自分の意見を押し通さず、認知症の方の意見を聞いてあげましょう。お互いに「どうして」の理由が見えないため、負の感情がぶつかりあってしまうかもしれません。

また、言うことを聞いてもらえないために、怒って手をあげてしまいそうになるのは、よくある出来事です。しかし、手をあげないで済むように、コミュニケーションを取って意思の疎通をはかれるよう意識をしましょう。

認知症の方も、できていた物事ができなくなっている事実に不安や戸惑い、恐怖を感じているかもしれません。そのため、そういった点を考慮して接する心がけが大切です。

また、介護での悩みを地域包括支援センターの方や地域の方に相談しましょう。些細な出来事でも相談することが大切です。一人で抱え込まないようにしてください。

相談の場として、認知症カフェに参加するのも一つの方法です。認知症カフェは認知症当事者やその家族、地域の方、介護の専門職の方が集う場です。お茶やアクティビティだけではなく、地域の方に協力をお願いしたり、専門職に介護の相談をしたりできます。本人、家族ともに気分転換をしつつ、外部との関わりを増やせます。

参照:『認知症カフェ

認知症の方で会話が成り立たないのは体調不良が原因かも

認知症の症状により会話が成り立たない場合も多いですが、体調不良で会話が噛み合わないケースも少なからずあります。

この場合、水分量の不足や便秘が原因であるケースが多くあります。

自分がどういう健康状態なのかをうまく伝えられないもどかしさで、気持ちが昂り、言うことを聞かないのかもしれません。ちゃんと、水分補給ができているか、お腹の調子は大丈夫かなどの細かい体調管理が大切です。

便秘の場合は、ソワソワし始めたり、声をあげたりするケースも多くみられます。普段から、認知症の方の様子を観察すると体調不良に気付きやすくなります。普段との違いに気づいてあげられるよう、日頃から意識していきましょう。

認知症の方が言うことを聞かなくてもしてはいけない対応

認知症の方が言うことを聞かないと、イライラしたり、辛くなったりしてしまう方も多いかと思います。

認知症だから仕方ないとわかっていても、なかなか感情を鎮められず感情的になってしまうケースも少なくはありません。しかし、どんなに苛立っても、認知症の方に対してしてはいけない対応があります。

認知症の方にしてはいけない対応として以下のものが挙げられます。

  • 叱る
  • ストレスを与える
  • 放置する

認知症の方は、不安、恐怖、焦燥感などを抱え、とても繊細な状態です。先ほど挙げた3つの行為は、認知症の方を追い詰める原因となります。

叱る

認知症の方を頭ごなしに叱りつけてはいけません。

先ほど伝えた通り、認知症の方はとても繊細な状態です。そのため、相手の怒りに敏感に反応し、自分を守ろうとしてしまい、大声や暴言などに繋がります。

認知症の方は、認知機能が低下するものの、感情はしっかりと残っています。そのため、「叱られた理由」がわからなくとも、叱られた事実や、叱られた悲しみ・怒りなどの感情は覚えてしまうのです。また、プライドなども残っているため、叱り方によってはプライドが傷つけられてしまいます。

介護では、お互いの信頼関係が大切です。信頼関係が崩れてしまわないように注意しましょう。また、負の感情は、認知症の症状を進行させる危険性があります。できる限り冷静な対応を心がけましょう。

ストレスを与える

認知症の方にストレスは与えないようにしましょう。

認知症の方はうまくストレスを発散できません。ストレスの発散方法が分からないために、暴力的になったり、大きな声を出したりしてしまうかもしれません。そうならないためにも、ストレスを与えないように注意してください。

どういったものがストレスになるかは、人それぞれ違います。しかし、嫌なことをされたらストレスになるのは認知症の方も同じです。「細かく注意をする」「否定する」などの行為はしないように心がけましょう。

認知症の方の気持ちや「できない事が増えている」点を受け入れて接することが大切です。ミスをしても、できる限り寛容に受けとめ、どうしたら失敗をせず、できるようになるかを一緒に考えてあげましょう。

放置する

放置も認知症の方が言うことを聞かなくなる原因です。

放置や無視をされると「孤独感」が強くなってしまい、ストレスとなる可能性があります。家事などで忙しく、話を聞いてあげられないときは、「待っててね」と一言でも声をかけてあげるようにしましょう。無視は厳禁です。自己肯定感が低下し、うつ病につながる可能性があります。

ストレスを発散させるため、満足するまでおしゃべりに付き合ったり、一緒に活動したりするのも大切です。なるべく、認知症の方のペースに合わせて行動をするよう心がけるようにしましょう。

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認知症の方が言うことを聞かないときのポイント

具体的には次のような対応をとるとよいといわれています。

  • 認知症の方のペースに合わせてコミュニケーションを取る
  • 共感をしながら頷いて会話をする
  • 耳元でわかりやすく話す

認知症の方が言うことを聞かない場合、「どうして」といった理由を探る必要があります。理由を探るためには、会話などのコミュニケーションが重要です。介護現場は、「バリデーション」と呼ばれるコミュニケーション技法を使用しています。バリテーションは、傾聴、共感、嘘をつかない、誤魔化さない、ペースを合わせる、この5つを意識して接する方法です。「理解したい」「あなたのことを教えてほしい」といった姿勢で接するように心がけましょう。

認知症の方のペースに合わせてコミュニケーションを取る

認知症の方のペースに合わせてあげる姿勢が大切です。認知症の方は、会話が止まらなかったり、タイミングの良くない時に声をかけてきたりするかもしれません。

しかし、できる限り認知症の方のペースに合わせてあげましょう。そうすることで、安心感や信頼感を得られ、認知症の症状の緩和が期待できます。

ペースを合わせるときは、話し方だけでなく、会話のタイミング、頻度も重要です。たくさんお話ししたい方もいれば、少しだけお話ししたい方もいます。その方に合わせて、どのようなペースが望ましいか、模索していきましょう。

共感をしながら頷いて会話をする

話を聞いてあげるときは、しっかりと目線を合わせ、頷きながら聞いてあげましょう。

適度に相槌を入れたり、共感したりしてあげると「話を聞いてもらえている」と安心できます。否定や訂正はせず、受けとめながら会話をするよう心がけましょう。

また、手を握るなどのスキンシップも効果的です。適度なスキンシップは安心感を生みだし、信頼感に繋がります。信頼されると、認知症の方もいうことを聞いてくれるようになるかもしれません。

また、「どうして?」と質問を投げかけると、どういった思いがあるのかを知れるかもしれません。いうことを聞かないのはなぜなのか、理由を探っていきましょう。

耳元でわかりやすく話す

認知症の方は、失語や判断力の低下により、うまく言葉を理解できないときがあります。そのため、大きくハッキリとした声で話しかけるよう心がけましょう。

乱暴なトーンや聞き取りにくい声色だと、怖い印象を与えてしまう恐れがあるため信頼関係が崩れてしまう可能性があります。

また、加齢により聴力も低下していきます。認知症のせいで話の内容がわからないと思っていたら、聞こえていないだけだったケースも少なくはありません。大きく、はっきり、ゆっくりと話すことが大切です。

明るく話すと、話しかけている側も明るい気持ちになれます。気持ちにゆとりをもちながら会話を楽しんでいきましょう。

認知症の方の介護を一人で抱え込まない工夫が大切!

ストレスを溜めてはいけないのは介護する自分も一緒です。一人で抱え込まないよう心がけていきましょう。

認知症の方と接するときは、相手を受けとめてあげる姿勢が大切です。しかし、受けとめようと頑張っているうちに、ストレスが溜まっている可能性もあります。

ストレスを溜め過ぎるとどうなるのか、ストレスを溜めないためにはどうしたらよいのか、説明していきます。

介護うつに注意!

介護でストレスを溜めすぎた結果、「介護うつ」になってしまう可能性があります。介護うつは、介護によって溜まった疲労やストレスが原因で、うつ症状が発症することです。

体が疲れやすくなってしまったり、倦怠感や疲労感が抜けなかったりする症状から始まり、最終的には何事に対してもやる気が起きなくなってしまいます。

介護うつを防ぐためには、ストレスを溜めないよう心がける必要があります。自分なりのストレス発散方法を見つけてみてください。

また、弱音を吐いたり、悩みを打ち明けたりできる場所を見つけるのもよいでしょう。相談窓口として、認知症カフェや地域包括支援センターなどがあります。抱えている悩みや弱音を吐き出せるだけでなく、よい解決策やアイデアをもらえるかもしれません。

参照:『一般社団法人 町田市医師会|身近な医療情報

参照:『厚生労働省|認知症に関する相談先

参照:『認知症カフェ

介護サービスの利用を検討

どんなに本人は大切でもずっとつきっきりでは疲れてしまいます。「自分しかいない」「もっと頑張ろう」とは思わず、適度に介護サービスを利用しましょう。

在宅で利用できる介護サービスには以下のようなものがあります。

訪問介護(ホームヘルパー) 認知症の方の自宅を訪問し、身体介護と生活支援をしてくれるサービス
通所介護(デイサービス) 介護施設などを日替わり利用できるサービス

日常生活の支援や食事・入浴などのサービスを受けられる

短期入所(ショートステイ) 介護施設などに短期間宿泊できるサービス

入浴や食事の支援、機能訓練のサービスを受けられる

心身機能の回復や介護家族の負担を軽減が期待できる

このうち、訪問介護、通所介護、短期入所は「レスパイトケア」としても利用できます。レスパイトケアとは、介護する方の休養のために利用するサービスです。休むために利用していい、そんなサービスがあると知るだけでも心が軽くなるかもしれません。すべて一人で抱えてしまうと心身ともに疲弊してしまいます。ぜひ、介護サービスの利用もご検討ください。

介護施設の利用を検討

認知症の方を介護施設に入所させるのも一つの方法です。プロの介護職員の元で面倒を見てもらい、介護している家族の疲れや疲労を軽減することができます。

認知症の方でも利用できる施設は次の通りです。

特別養護老人ホーム 要介護度が重い方向けの施設
介護老人保健施設 退院後、在宅に戻るまでにリハビリをする施設
有料老人ホーム 食事サービス、家事援助、介護サービス、健康管理のいずれかのサービスを提供する施設
グループホーム 認知症の方のみが入所できる施設

認知症の方のみが入所できるグループホームは、認知症ケアに特化した対応を行っているため、任せる家族も安心です。地域包括支援センターや施設紹介サイトを利用すると、地域にあるさまざまな施設について調べられます。

参照:『厚生労働省|認知症に関する相談先

「老人ホームに入居したいけど、どこまでの介護サービスや医療行為が必要になるか分からない」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。

ケアスル介護では、入居相談員が施設ごとに実施するサービスや立地情報などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。

「身体状況に最適なサービスを受けながら、安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。

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認知症の方が言うことを聞かない状況は辛いけれど上手に付き合っていこう

認知症の方が言うことを聞かない状況は辛く、怒ってしまいたくなる場面も多々あるかと思います。しかし、認知症の方は判断力などが鈍っているものの、感情は残っています。叱ったり、放置したりすることで、かえって言うことを聞かなくなるかもしれません。そうならないためにも、本人に寄り添った対応を行っていきましょう、

自身のストレス発散も、介護をするうえで欠かせません。辛い時は介護サービスなどの利用をぜひ検討してください。

なぜ認知症の方は言うことを聞かないの?

認知機能の低下が原因です。話した内容を無視して違う行動をとるのは、記憶障害により会話そのものを忘れているか、言語障害により内容が理解できなかいのかもしれません。また、実行機能障害や失行によってやり方がわからないケースもあります。詳しくはこちらをご覧ください。

言うことを聞かなくて怒ってしまいます。

お互いが辛くなってしまう場合は、介護サービスの利用や施設入所を検討していきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

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