• 認知症
  • 【公開日】2023-02-15
  • 【更新日】2023-02-16

認知症の前兆とは?初期症状チェックリストでセルフチェックしよう!

認知症の前兆とは?初期症状チェックリストでセルフチェックしよう!

「最近、親の物忘れが増えてきた」「怒りっぽくなってきた」などを理由に、家族が認知症になったのではと不安に思っていないでしょうか。高齢になるにつれ、認知症の前兆を疑う症状が増えてくるかと思います。

本記事では、認知症の前兆や初期症状などをチェックリスト付きで具体的に紹介します。ぜひ参考にしたうえで、病院の診察にかかるかどうか参考にしてください。

名古屋大学医学部付属病院
監修竹内 想
専門分野:皮膚科、神経内科、総合内科、呼吸器内科など

国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。 専門分野は皮膚科をはじめ、神経内科、総合内科、呼吸器内科など多岐にわたる。 現在は主に皮膚科医・産業医として勤務。詳しくはこちら

所有資格:一般社団法人 薬機法医療法規格協会 薬機法医療法遵守広告代理店認証
専門分野:化粧品や健康食品における広告表現
職業: 薬機法管理者

2003年からヘルスケア情報サービス事業・治験支援事業を行っている企業にて、主にDTC広告の企画営業に携わる。 4年ほど企画営業を担当後、自社のヘルスケアサイトの運営、製薬会社・健康食品メーカーの記事広告の制作を行うが、この時に薬機法(薬事法)についての知識を学び、広告記事の精査を経験。 2017年退社。現在は臨床研究の支援を行う企業にて研究事務局支援に携わる。東京在住。 現在は本業の傍ら化粧品や健康食品の企業の広告等の薬機法チェックを行う。詳しくはこちら

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認知症の前兆とされる軽度認知障害(MCI)とは?

認知症の前兆または初期とされる段階に、軽度認知障害(MCI)があります。

軽度認知障害(MCI)の診断基準は1つではありません。そのため一概には言えませんが大まかには認知機能の一部に低下がみられるが、基本的な日常生活には支障が出ていない状態です。

米国ADNIの研究によると、記憶障害を有する軽度認知障害(MCI)が認められた場合、1年で16%、2年で24%、3年で49%の方が認知症を発症すると報告されています。軽度認知障害(MCI)は「年だから」と見過ごしやすいですが、この段階で適切な治療や定期的な運動、生活習慣の改善などをすると、進行を抑えられる可能性があります。早く異変に気付き、治療を開始するためにも、認知症の前兆にはどんな症状が出るのか確認しておきましょう。

それでは、具体的な症状を紹介していきます。

物忘れ

認知症の症状で、代表的な症状が物忘れです。軽度認知障害(MCI)では、生活に支障はないものの、物忘れが以前よりも目立ってきます。具体的には次のような状態が見られます。

  • 言葉や名前がなかなか思い出せない
  • 知り合った方の名前を覚えにくい
  • 会う約束を忘れてしまう
  • 財布を置き忘れるようになる

ただ認知症でなくても加齢などによって起こり得るため、認知症の前兆なのか判断するのは困難です。少しでも気になったら、医療機関で医師の診察を受けるとよいでしょう。

理解力や判断力の低下

認知症の前兆として、理解力や判断力の低下が見られる場合があります。

  • 説明を理解してもらえなくなる
  • 何度も説明しなければならなくなる
  • 仕事が今までよりうまくできなくなる
  • 今まではできていた料理ができなくなる
  • お買い物の代金がいくらになるかまったくわからなくなる

上記の傾向を感じるようになったら、認知症の初期症状かもしれません。ただし、うつ病の場合でも似たような症状があるため、気になったら医師の診察を受けましょう。うつ病も認知症も早期発見、治療が重要です。

集中力の低下

認知症になると、集中力が低下する場合があります。日常生活における具体的な例は次のとおりです。

  • 新聞を読まなくなった
  • 本を読まなくなった
  • 映画を最後まで見られなくなった
  • 短時間でできる料理しかやらなくなった

集中力が低下すると、従来まではできていた作業を継続できなくなります。紹介した例のほか、会話の途中で退屈してしまう場合もあるでしょう。

人柄や性格が変わってしまう

認知症によって、感情をコントロールする機能が低下し、人柄や性格が変わってしまう例も見られます。具体的には次のとおりです。

  • 怒りっぽくなる
  • 暴言を吐くようになる
  • 暴力を振るうようになる
  • ふさぎ込んでしまう

ただし、人柄や性格が変わるのは認知症だけが直接の原因とは言い切れません。個人差があるものの、物忘れを自覚して不安や焦燥感が出現し、怒りっぽくなるなどの例も見られています。

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認知症の初期症状チェックリストでセルフチェックしてみよう!

「認知症の前兆に当てはまっているかよくわからない」そう悩む方もいるかもしれません。そんな方のために、認知症の初期症状について、チェックリスト形式でまとめました。

  • 同じ内容を何度も話したり、聞いたりする
  • 財布や鍵などのしまい忘れや置き忘れが増え、いつも探し物をしている
  • 料理や片付け、計算、運転などのミスが多くなる
  • テレビの内容が理解できなくなっている
  • 怒りっぽいなど喜怒哀楽が激しくなっている
  • 今日が何月何日かわからなくなる頻度が多くなっている
  • 約束の日時や場所を間違えるようになっている
  • 伝えたい内容がすぐに言葉に出せなくなっている
  • 慣れた道でも迷うようになっている
  • 「このごろ様子がおかしい」と感じる
  • 外出時、持ち物を何度も確かめている
  • 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなっている
  • 金銭の管理ができなくなっている

このチェックリストに当てはまる数が多いほど、認知機能や社会生活に支障が出ている可能性もあります。不安な場合は医師の診察を受けるようにしましょう。

認知症の前兆をそのままにするとどうなる?

認知症の前兆をそのままにすると、脳細胞が損傷し続け、さらに認知機能が低下していく可能性があります。日常生活にほとんど支障はなかったところ、支障をきたすようになってくるため注意しましょう。

認知症診療ガイドラインによると、認知症で認められる主な認知機能障害が次のように挙げられています。

認知機能 障害の状態
全般性注意 作業への注意を維持できずミスが増える など
遂行機能 物事を段取りよく進められない
記憶 過去の出来事を思い出せない など
言語 コミュニケーションがうまく取れなくなる
計算 筆算や暗算ができない
視空間認知 よく知っている場所で道に迷う など
行為 バイバイなどのジェスチャーができない など
社会的認知 相手や周囲の状況を認識できず不適切な行動をする

もし、認知症の前兆をそのままにすると、上記のような症状が現れ、悪化していくかもしれません。

参照:『一般社団法人 日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」

認知機能が低下すると行動・心理症状が出現する

認知症の前兆をそのままにすると、認知機能の障害が進行し日常生活に支障をきたすようになると紹介しました。

実際には認知機能の障害だけでなく、ストレスや不安によって行動・心理症状(BPSD)と呼ばれる二次的な症状も出現する場合があります。ただし環境や性格、これまでの人生経験なども影響するため、出現する行動・心理症状(BPSD)には個人差があるのが特徴です。

行動・心理症状(BPSD)の代表的な例を紹介します。

無気力・無関心になる

まず挙げられるのが、無気力・無関心になる症状です。自発性や興味・関心、動機づけ、感情などが低下した状態をアパシーと呼びます。気分が上がりも下がりもせず、他者にも自分にも興味がなくなる特徴があります。

アパシーはアルツハイマー型認知症の方によくみられる行動・心理症状です。認知症になると今までできていたことができなくなり、自信を喪失します。自信喪失により行動意欲が低下し、無気力・無関心につながるのです。また、閉じこもり気味になったり、外出時の服装に気を遣わなくなったりします。

本人の気持ちに寄り添いながら、徐々に人との関わりや行動を増やすよう心がけましょう。初めは本人のペースに合わせ、日光浴や軽い体操などから始めるとよいかもしれません。

物を盗られる妄想をしてしまう

認知症によって記憶障害が進むと、物を誰かに盗られてしまったと信じて疑わない場合があります。この状態は一般的に「物盗られ妄想」としてよく知られている認知症の症状です。

なお妄想とは、訂正のきかない誤った思い込みを指します。本人は盗まれたと強く確信しており、訂正はできないため、家族の方が無理に訂正をしようとすると悪影響につながるかもしれません。

物盗られ妄想をしている場合は、一緒に探し、本人に見つけてもらうようにするなどの対応を心がけましょう。どうしても興奮がおさまらない場合は、否定的な対応をしないよう、そっとその場を離れるのもよいでしょう。

外出時の道に迷ってしまう

認知症が進行すると、一般的には時間・場所・人の順でわからなくなっていきます。これを見当識障害と言います。認知症が中程度進むと、今どこにいるのかわからなくなり、外出時に道に迷ってしまう場合があるのです。

さらに記憶力や判断力も低下すると、今どこにいるかわからず自宅にいるのに家に帰ろうとする場合もあります。そこまで認知症が進行するといわゆる徘徊(ひとり歩き)に繋がり、自宅に戻るのが困難になるため、家族は注意深く見守っておく必要があります。GPS端末を携帯させるのも一つの手でしょう。

幻覚を見る

認知症が進行すると、幻覚を訴えて周囲の方が対応に困る場合があります。幻覚とは実際には存在しない知覚を体験してしまうことを指し、幻視や幻聴も含まれます。

幻覚を原因に妄想が生じる場合があり、例えばレビー小体型認知症では幻視を背景にした嫉妬妄想や同居人妄想をする例も少なくありません。嫉妬妄想は配偶者の浮気等を疑う妄想、同居人妄想は自分の家の中に知らない人たちが住み込んでいると思い込む妄想です。

物盗られ妄想があったときと同様に、否定せず相手に合わせ、寄り添う対応が望まれます。暗い場所で幻覚が起きやすいため、部屋の明るさを工夫するなども効果的です。

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認知症が一気に進む原因とは?

認知症でも最も多いアルツハイマー型認知症は、緩やかに進行するといった特徴が知られています。

一方で、脳梗塞や脳出血を原因とする脳血管性認知症は脳卒中を起こすたびに認知機能が階段状に悪くなるのが典型的です。脳卒中が連発し、認知症が一気に進むケースも少なからずあります。

しかし、認知症が一気に進む原因になるのは認知症の原因となっている疾患に限りません。

  • 生活習慣の乱れによる脳の刺激不足
  • 周囲の不適切な対応(ストレス)
  • 病気

どうしてこれらが認知症の進行につながるのか、解説していきます。

生活習慣の乱れによる脳の刺激不足

生活習慣が乱れると、脳への刺激が不足して認知症の進行が加速する場合があります。

仮に入院して身の回りの世話を周囲の方にやってもらうと、自分でほとんど何もしなくて済みます。すると脳を刺激できず、呆然と過ごす時間が増えてしまうのです。

入院はしていなくても、これまで楽しんでいた趣味もうまくやれずやめてしまうなどの理由によって生活習慣が変わる場合もあります。できる行為は自分でしてもらい、できないもののみサポートする、そういった姿勢が重要です。

周囲の不適切な対応(ストレス)

認知症の進行を抑えるためのカギとなるのが、周囲の方の対応です。

認知症の方に冷たくあたってしまったり、強く叱ったりしてしまうと、強いストレスを感じるため症状が悪化します。ただでさえ不安である本人に対し、周囲の方が寄り添う姿勢を見せなければ不安を助長してしまうのです。

実際に日本神経学会が公表している認知症診療ガイドラインでは、周囲の不適切な対応によって暴言や暴力などの攻撃性に発展する場合があると記載されています。

本人にストレスを与えていないか、自分の行動を振り返ってみましょう。

病気

日本において有病率が高いアルツハイマー型認知症は緩やかに進行する場合が多いものの、原因となる病気(疾患)や環境によっては急速に認知機能が低下する場合があります。

急激に進行する認知症は「急速進行性認知症(RPD)」と呼ばれ、RPDの原因となる病気(疾患)として挙げられているものは次のとおりです。

  • 神経変性疾患 プリオン病
  • 自己免疫性脳炎

神経変性疾患とは、アルツハイマー病に代表される脳や脊髄の神経細胞が徐々に障害される疾患を指します。プリオン病は、プリオンと呼ばれる感染性のあるタンパク粒子が原因でうつや不安などの精神症状から始まり、1~2年で死亡にいたる神経難病です。神経変性疾患はアルツハイマー病を含むため、緩やかに進行する場合が多いと紹介した内容と矛盾しているように感じるかもしれません。

しかし、ポイントとなるのは早期発見したかどうかです。早期発見ができなかった場合、一般的には緩やかに進むといわれるアルツハイマー型認知症も進行が早まる場合があります。

認知症の前兆があるときはどうすればいい?

「親に認知症の前兆が見られる」「今後、どうしたらよいかわからない」「病院に行くのを嫌がる」認知症の前兆があると、このように不安を覚える方が多いでしょう。

不安があるときこそ、適切な対処法を実践するのが重要です。

  • 対処法1.病院の診察にかかる
  • 対処法2.リハビリをする

適切な対処法をそれぞれ紹介していきますので、ぜひ実践してください。

対処法1.病院の診察にかかる

まずは病院に行って医師の診察にかかることが重要です。

高齢になると物忘れも出てきますが、認知症の症状によるものなのかどうか判断するのは簡単ではありません。加齢のせいだろうと考えず、まずは医師に診てもらいましょう。

ただし、本人としては認知症だと認めたくない気持ちがあります。病院に行くのを嫌がる方も多いです。その場合には、例えば次のように受診を誘ってみてはいかがでしょうか。

  • 頭痛や風邪の症状が出たときに病院に行き、そのタイミングで認知症について相談する
  • 健康診断に行こうと誘い、そのタイミングで認知症について相談する
  • 子どもに病院に行ってみたらと誘ってもらう
  • 仲のいい友人と一緒に病院に行ってもらう

「認知症かもしれないから」と直接伝えるより、本人も行きやすくなるはずです。

対処法2.リハビリをする

認知症の治療は認知機能の改善だけでなく、生活の質(QOL:Quolity of Life)の向上も目的の一つです。

薬物療法については医師の判断によりますが、リハビリなど非薬物療法なら、家族を含む周囲の方でも対応できます。特に行動・心理症状(BPSD)に対する治療は、例外を除いて薬物療法より非薬物療法を優先すべきと考えられています。

認知症のリハビリを含む非薬物療法の概要は次のとおりです。

認知機能訓練 認知機能にあわせた課題を行って認知機能の改善を図る
認知刺激 グループ活動などで認知機能の強化を図る
認知リハビリテーション 日常生活機能の改善のためにセラピストが個別かつ戦略的に個人療法をする
運動療法 有酸素運動や筋力強化訓練などを行う
音楽療法 音楽を聴いたり歌ったり、あるいは演奏をする
回想法 過去の人生の歴史を話してもらい、聞き手が共感・支持することによって心の安定を図る

できる家事をしてもらう生活に密着したリハビリも効果的です。始めやすく、成功体験が積み重ねやすいため、自己肯定感があがりやすくなります。

認知症の前兆をとらえて早めに対処をしましょう!

認知症の前兆を早期に捉えられれば、進行速度を抑えられるほか、場合によっては認知症に至らないケースもあります。しかし、早期発見が重要視されている一方で、認知症の前兆は加齢によるものと区別がつきにくいのも事実です。

物忘れ、理解力や判断力の低下、集中力の低下、人格の変化など、本記事で紹介した認知症の前兆症状がないか、注意深く観察が必要です。もし不安であれば早めに医師の診察にかかるようにしましょう。

認知症の前兆にはどのような症状がありますか?

個人によって差はありますが、物忘れや理解力・判断力・集中力の低下、性格が変わってしまうなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

認知症の前兆があるかもしれないと不安な場合はどうすればよいでしょうか?

少しでも気になったら、早めに病院に行って医師の診察を受けましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

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