高齢化社会が進む昨今では、親の介護で兄弟間のトラブルが起こることが珍しくありません。
例えば「あなたの方が親の近くに住んでいるから…」「長男はあなたなのだから…」といった理由で、親の介護を放棄しようとする兄弟がいることも現実です。
しかし、だからといって兄弟の誰か1人がすべての介護を請け負わなければならないわけがありません。
兄弟間の不公平があるのならば、何とかして負担を分担したいところでしょう。
そこで今回は、親の介護に関して兄弟間で不公平が起こる原因や、兄弟間の不公平への対処法、気になる相続についてなど、詳しく解説して行きます。

親の介護で兄弟間の不公平が生まれる理由
親の介護において、どうして兄弟間の不公平が生まれてしまうのでしょうか?
よくある理由としては以下のようなものが挙げられます。
- 親の近くに住んでいる
- ほかの兄弟が結婚して子供がいる
- 長男だから・長女だからという押し付け
- 役割分担がうまくいっていない
それぞれについて詳しく紹介・考察をしていきます。
親の近くに住んでいる
親の介護で兄弟間の不公平が生まれてしまう理由としてまず考えられるのは、「親の近くに住んでるのだから、あなたが介護して」というような押しつけです。
ほかの兄弟が遠方に住んでいる場合などには、このような理由で介護を一方的に押し付けられるケースも少なくありません。
さらに自分が実家暮らしの場合は「親に住まわせてもらっているのだから、親の介護をすることに文句を言うな」などと心無いことを言われる場合もあり、より大きな負担となってしまいます。
しかし、介護は介護士やケアマネージャーなどの専門職が存在する立派な仕事です。親の介護と言えども1人ですべてを請け負うのは、そもそも無理があるのです。
この場合のように、ほかの兄弟が物理的な距離を理由に介護を手伝ってくれないときは、金銭的な援助を求めるなどしてバランスをとることが大切だと言えるでしょう。
以上より兄弟間の不公平が生まれてしまう理由として、親の近くに住んでいることや、親との物理的な距離が挙げられます。
ほかの兄弟が結婚して子供がいる
親の介護で兄弟間の不公平が生まれてしまう理由として2つ目に考えられるのは、ほかの兄弟が「子供の世話があるから」と介護を手伝わないケースです。
確かに育児には時間もお金もかかりますが、ほかの兄弟に一方的に介護を押し付けて良い理由にはなりません。
子供がいる・独身であることに関わらず、兄弟間で介護に対する重要性を理解し、納得のいく役割分担をすることが大切なのです。
ほかの兄弟が出産直後や子供がまだ小さくて目が離せない場合など、どうしても介護への時間を捻出できないこともあるかもしれません。
そんな時は前述のとおり金銭的な援助を求めるなど、別のところで介護への負担を分散できるような努力が大切であると言えるでしょう。
以上より兄弟間の不公平が生まれてしまう理由として、子供の世話を理由に介護を手伝わないことが挙げられます。
長男だから・長女だからという押し付け
親の介護で兄弟間の不公平が生まれてしまう理由として3つ目に考えられるのは、「長男・長女なのだからあなたが介護して」というような長男・長女への押しつけです。
長男や長女に押し付ける場合、ほかの兄弟だけではなく介護を受ける親が「あなたが長男なのだからやってほしい」「長女がやるのが当たり前」というような感覚から介護を頼まれるというケースもあります。
しかしもちろん法的には親の扶養義務は子供全員にあるため兄弟の順番は関係ありません。相続においても長男・長女だからと言って優遇されることはなく等分で分けられるのです。
したがって、このような場合は兄弟の順番は関係ないことを主張し、兄弟間で役割分担を話し合うことが大切でしょう。
以上より兄弟間の不公平が生まれてしまう理由として、「長男・長女だから」という押し付けが挙げられます。
役割分担がうまくいっていない
親の介護で兄弟間の不公平が生まれてしまう理由として4つ目に考えられるのは、兄弟間で決めた役割分担がうまく機能していないという場合です。
ほかの兄弟も介護を手伝う・何かしらの援助をする気はあるのですが、役割分担にあいまいな部分があり、結果的に一番近くに住んでいる兄弟が多くの介護を負担しなければならないというケースは少なくありません。
介護は日常的な身体的・精神的負担に加えて、急に入院が必要になったりとイレギュラーな事態が起こることもあります。
そういったときに誰がどのように対応するのか、対応できない兄弟はどのような援助をするのか、具体的に話し合うことが大切と言えるでしょう。
以上より兄弟間の不公平が生まれてしまう理由として、兄弟間の役割分担がうまくいっていないということが挙げられます。
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また親の介護における兄弟間の不公平を解決するには、介護施設に入居するということもひとつの手段です。
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親の介護で兄弟間の不公平に悩む体験談
本章では、親の介護で兄弟間の不公平に悩む体験談を紹介していきます。
体験談①:長男だからという理由で不条理な金銭を求められた方
これまで長い間親の介護をしてきたのは長男なのにも関わらず、介護にかかる経済負担のほとんどが長男に押し付けられているという体験談です。
すると、姉夫婦より請求書が届きました。その背景は、本来母親というのは長男が面倒を見るべきだ。今回、母親を預かるのは同意した、ただし母親を預かれる環境にする為のエアコン等家具一式諸々費用がかかり、それを払えという事のようです。
これまで約50年間、母にかかる費用は全て私の家計で負担してきました。 今までは全て負担してきたが、親の面倒を見る兄弟が変わる際、長男だからと言ってこのような費用を負担しないといけない決まりや法律などあるのでしょうか?
(yahoo知恵袋より引用)
体験談②:親の介護で夫の負担ばかりが大きくなっているという方
2つ目の体験談は、入院した義両親の面倒を夫ばかりが見ており、ほかの兄弟に対して不公平を感じているという体験談です。
先日義母と義父が立て続けに入院しました。私は専業主婦ですが、まだ1歳の子どものお世話があり、子連れでそれぞれの病院に行くのは厳しいので、現在は主に夫が有休を取って対応しています。
そして夫は、この先は介護休暇を取得して、義実家の介護をしていくしかないと言っています。
私は義実家のことなので、口出しすべきではないと思い、今まで黙っていましたが、夫ばかりが介護や入院のお世話をすることに納得できていません。夫の兄弟たちはお世話どころかお見舞いにも来ません。
私は自分のできる範囲で、夫と協力していきたいとは思いますが、この不公平な状況が不満で、快く引き受けることができません。
(yahoo知恵袋より引用)
体験談③:ほかの兄弟があまりに無責任な方
3つ目の体験談は、これまで長い間親の介護をしてきたにも関わらず、ほかの兄弟がこれからの話し合いにすら応じないという体験談です。
しかし、私は障害者2級、妹は65歳、妹の夫は69歳で障害者4級と介護がいつまで続けられるか分からない年齢になっています。
兄弟に「集まってほしい。私たちの現在の状況を説明したい」と電話したところ次男は「うちは無理」ましてや「俺は婿養子だから」「この際施設にいれるしかないじゃないか」と一方的に電話口でしゃべり取り付く島もありませんでした。
一年前から続けている一万円だけは送ると電話をきられました。 兄弟合計で三万円ではショートステイと毎月の医療費、衣類、食事、緊急の入院等で足りるわけがないそれを説明しても次男、長女はわかろうとはしません。
(yahoo知恵袋より引用)

親の介護で兄弟間の不公平があるときの対処法
それでは、親の介護について兄弟間の不公平がある場合はどうすれば良いのでしょうか。
対処法としては以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
兄弟間で親の介護についての本音を話し合う
親の介護について不公平があるときの対処法として1つ目は、兄弟間で親の介護について本音で話し合うことです。
というのも、親の介護を他の兄弟に押し付ける原因としては、「経済的な余裕がない」「物理的に距離が遠い」など理由がさまざまで、介護を押し付ける理由によって分担の方法が変わってくるからです。
例えば、「経済的な余裕がない」場合であればほかの兄弟が身体面の負担を多くすることにより、身体介助面を別の兄弟が請け負ってくれるかもしれません。
その逆も然りで「物理的に距離が遠くて介護が難しい」という場合は施設の入居金を代わりに支払うなどのバランスをとることもできます。
したがって、親の介護について不公平があるときの対処法として1つ目は、兄弟間でまず親の介護についての本音を話し合うことです。
親の経済状況を確認しておく
親の介護について不公平があるときの対処法として2つ目は、親の経済状況を確認しておくことです。
そもそも親の介護にかかる費用はなるべく親の貯蓄から捻出することが望ましいとされています。
足りないお金を兄弟間で話し合って負担することも多いですが、お金の問題にはトラブルがつきものです。
したがってなるべく早い段階で確認しておくことをおすすめします。
- 預貯金額
- 年金などの収入
- ローンの有無
- 通帳や印鑑などの保管場所
介護の話と同様に、話すきっかけやタイミングが難しいものではあります。しかし認知症の症状がでた後では確認が難しいこともあります。
「親に安心の老後を過ごしてもらうため」と少しずつ話を進めることが大切です。
以上より親の介護について不公平があるときの対処法として2つ目は、親の経済状況を確認しておくことが挙げられます。
経済的援助・生活介助など具体的な役割分担をする
親の介護について不公平があるときの対処法として3つ目は、兄弟間で経済的援助・生活介助など具体的な役割分担をすることです。
「物理的に距離が遠いから」「金銭的に余裕がないから」「自分は長男ではないから」と兄弟の言い分はさまざまですが、本来親の介護の負担は兄弟で分担するものです。
兄弟間で「何ができるのか・できないのか」をしっかりと話し合いましょう。
例えば、遠距離に住んでいるがフルタイムの正社員で安定した収入のある兄弟に対して経済的援助を求めたり、施設に入るときの費用の援助を求めたりするなどが分担方法として考えられます。
また、高齢者の介護には急な入院などイレギュラーな事態が起こることも多いです。緊急時の対応についても話しておくことで、慢性的に誰かの負担が増えることを予防しましょう。
以上より親の介護について不公平があるときの対処法として3つ目は、経済的援助・生活介助など具体的な役割分担をすることが挙げられます。
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親の介護で兄弟間の不公平がある場合に相続はどうなる?
親の介護で兄弟間の不公平がある場合に、相続はほかの兄弟よりも多くもらえるのでしょうか。
本章では相続について解説していきます。
兄弟間の不公平があっても多く相続できる法律はない
親の介護を一人で行ったとしてもそれだけで多く相続してもらえるという法律はありません。
というのも、介護した分の財産を多くもらうには「寄与分」として他の兄弟よりも多く貢献したことを認めてもらう必要がありますが、寄与分の判断をするのはほかでもなく介護をしていない兄弟となります。
したがって、他の兄弟が認めない限り寄与分として多く相続してもらうのは法律的にも現実的にも難しいというのが実情なのです。したがって、親の介護を私ばかりしているからと言って将来の相続に期待するのは難しいでしょう。
多く相続するには遺言状を書いてもらうことが大切
親の介護で兄弟間の不公平があった場合、多くの相続をしてもらうには、遺言状を書いてもらうことが大切です。
介護をしている人は親に遺言状を書いてもらうのは気がひけるかもしれませんが「親の責任として書いてほしい」などと勇気をもって伝えることも大切です。遺言状を書いてもらうことも選択肢の一つとなるのです。
したがって、寄与分から他の兄弟よりも多くを相続するのは現実的ではないので、遺言状を書いてもらうのが確実であると言えるでしょう。
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まとめ
親の介護で兄弟間の不公平を感じる方は多いです。
「物理的に距離が遠い」「子供の世話があるから」「私は長男じゃないから」などの理由で、親の介護を放棄しようとする兄弟がいることも現実です。
しかしそれは誰か1人に介護を押し付けて良い理由にはなり得ません。
親の介護で兄弟間の不公平ある場合は、本音での話し合いの上で具体的な役割分担をすることが大切です。
兄弟間で「できること・できないこと」を明確にすることで、物理的な距離が遠いのであれば経済的な援助を多くしてもらうといった負担の分担をすることができます。
親子ともに健康で生きてゆくためにも、自分のストレスと正直に向き合い、兄弟と納得のいく付き合い方をすることが大切です。
よくある理由としては以下のようなものが挙げられます。①親の近くに住んでいる ②ほかの兄弟が結婚して子供がいる ③長男だから・長女だからという押し付け ④役割分担がうまくいっていない詳しくはこちらをご覧ください。
対処法としては以下の3つのポイントを抑えることが大切です。①兄弟間で親の介護についての本音を話し合う ②親の経済状況を確認しておく ③経済的援助・生活介助など具体的な役割分担をする詳しくはこちらをご覧ください。