• 親の介護
  • 【公開日】2023-02-15
  • 【更新日】2024-02-09

親の介護車を購入する際のポイントや免税・助成制度について解説

親の介護車を購入する際のポイントや免税・助成制度について解説

「親のために介護車を購入したいけど、車両価格が高くて手が出せない」

「購入時の税金や維持費が気になる」

このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。介護車(福祉車両)は、通常の車よりも値段が高いです。しかし、数多くの免税・助成制度があるため、想定よりも総額が安くなるケースもあります。

そこで、本記事では福祉車両に適用される免税・免除制度や助成金の種類について解説していきます。福祉車両の購入を検討している方の参考になれば幸いです。

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株式会社アテンド 代表取締役
専門分野:介護全般

旧三菱銀行およびみずほ銀行で10年ほど窓口やローンアドバイザーに従事したのち、 2013年に介護事業を運営する株式会社アテンド設立。 同年6月にリハビリ特化型「あしすとデイサービス」開設。 メディア実績は厚生労働省老健事業「サービス活用販促ガイド」、週刊ダイヤモンド、 経済界、シルバー新報、聖教新聞、ABEMA Rrime など 介護事業経営と父の介護を8年経験したスキルを活かし、現在は講師として著者として介護のノウハウを提供。介護する人とされる人が安心して暮らせる環境つくりに邁進している。詳しくはこちら

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親の介護で購入できる福祉車両は2種類

介護が必要な方を乗せるための車を「福祉車両」といいます。主に親の介護を目的に購入する場合が多いでしょう。

福祉車両には以下の2種類があり、想定する利用者によって運転装備が異なります

  • 介護車両
  • 自操車(本人運転型)

それぞれの特徴についてみていきましょう。

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1.介護車両

介護車両とは、自身で乗り降りが難しい方を乗降・移動させるための装備が搭載されている車です。自動車メーカーが製造・販売しているものと、健常者用の車を改造したタイプの2種類があります。

普通車と同じ外見の福祉車両も多く、近年は軽自動車タイプも販売されるようになりました。基本的には介護ありきの乗降が前提となっているため、介護者・要介護者の負担が軽減される装備が備えられています。そのなかでも代表的な装備が以下の3点です。

  • 回転昇降シート+車いす固定具
  • 車いす昇降装置+車いす固定具
  • 回転昇降シートのみ

それぞれの特徴について解説していきます。

1.−(1)回転昇降シート+車いす固定具

シートが自動で回転し、昇降するタイプの装備です。可動式シートのおかげで車両乗降時に足の上げ下ろしが不要になり、介護が必要な方でもスムーズに乗降できます。

回転昇降シートは助手席と後部座席のどちらかが動くタイプとなっています。また、車両後部には車椅子の固定具もついているため、移動先へ要介護者の車椅子も持参可能です。

1.−(2)車いす昇降装置+車いす固定具

車両後部にスロープなどがついており、車椅子ごと乗り込めるタイプの介護車です。車椅子から降りる必要がないため、要介護者・介護者の負担がとても軽減されます。

「立てない」「立てるが数歩しか歩けない」といった方に向いている介護車です。本人用ベルトと車椅子用固定具が装備されているため、砂利道などでも安心して運転できます。

1.−(3)回転昇降シートのみ

車椅子を固定する装置がついておらず、回転昇降シートのみのバージョンです。常に車椅子移動ではないものの長距離歩行が困難な方や、足の上がりが悪いといった方に向いています

2.自操車(本人運転型)

自操車(本人運転型)とは、自分で運転ができる身体障害者のための介護車です。体の不自由な部分を補うための運転装置が備えられています。装備の一例は以下のとおりです。

  • 足踏みウィンカー
  • 足動運転装置
  • 手動運転装置
  • 左アクセルペダル

身体障害者手帳を所有しており、ある程度自立した生活が営める方に最適な介護車です。乗り降りも1人で行えるのが前提となっています。

親の介護で福祉車両を購入する際に利用できる免税制度や助成金

親の介護で介護車を購入する際には、さまざまな優遇税制や助成制度が利用できます。代表的な制度は以下の4つです。

  • 消費税の免税
  • 自動車税(種別割・環境性能割)の免税
  • 市町村が管轄の補助金・助成制度
  • 社会福祉協議会が管轄の低金利融資

利用する制度によって管轄が異なるため申請の際には注意が必要です。それぞれの詳細を順番にみていきましょう。

消費税の免除

介護車を購入する場合、消費税が免除になります。対象者に制限はありませんが、対象の車は決められています。免税の対象となる車は以下のとおりです。

  • 回転昇降シート+車いす固定具
  • 車いす昇降装置+車いす固定具(リフトorスロープ)

対象車を見てもらえればわかるとおり「回転昇降シートのみ」の車は対象ではありません。なぜなら、制度の対象が「車椅子を一緒に移動できる装備を整えている車両」と限定されているためです。消費税の免除を受けたい場合は十分注意しましょう。

参照:

国税庁「No.6214 身体障害者用物品に該当する自動車」

国税庁「身体障害者用自動車の付属品の取扱い」

自操車も非課税の対象

身体障害者が自ら運転する「自操車」も消費税免除の対象です。車両本体だけでなく、以下の項目も免除の対象となっています。

  • 持っている車を介護車に改造するための費用
  • 運転を補助する製品を取り付けるための費用
  • 取り付け時に発生する諸経費
  • メンテナンス費用
  • 装備品の修理費用

車椅子を所有している方であれば、車椅子を固定するための装備品も非課税対象と認められています。

自動車税(種別割・環境性能割)の免税

身体障害者手帳をお持ちの方は、以下の自動車税が免税となる制度が利用できます

  • 自動車種別割(自動車税)
  • 自動車環境性能割(自動車取得税)

自動車種別割とは、車を所有している方に対して毎年課税される税金です。4月1日時点で車を所有しているかが判断基準となっています。

自動車環境性能割は、車を手に入れた際に1度だけ発生する税金です。エコカー減税との併用も可能で、車の燃費性能に応じて課税される金額が異なります。

どちらも「県税」ですので都道府県が管轄となっています。そのため、免税額は各都道府県によってさまざまです。

自動車種別割の場合、東京都では45,000円が免税上限額です。一方、青森県の免税額は43,500円となっています。

自動車環境性能割の方は、東京都の場合「課税標準額300万円相当分に税率を乗じて得た額」と定められています。一方、青森県は250万円が上限です。

ただし、軽自動車の場合は市町村が管轄となっています。自動車税(種別割・環境性能割)の対象者は以下のとおりです。

  1. 障害者手帳1級・2級を持つ本人またはご家族
  2. 障害者等の送迎で利用する法人

「1.」の場合、本人または本人の家族が所有者であるのが原則です。また「2.」に関しては、車椅子ごと本人を移動させるのを前提としている8ナンバー車が対象となっています。

申し込みは介護車を購入した自動車販売店、もしくは県税事務所からとなっています。申請に必要な書類は以下のとおりです。

  • 身体障害者手帳(原本)
  • 運転免許証のコピー(両面)
  • 納税通知書
  • 車検証(原本)
  • 印鑑
  • 家族が所有する車の場合は、同一生計を証明できる書類

必要な書類は各都道府県によって定められているため、一覧と若干異なる場合もあります。また、対象となる介護車は1人1台と決められていますそのため乗り換えの際には、以前乗っていた介護車の抹消登録または移転登録が完了していなければなりません。

市町村が管轄の補助金・助成金

多くの市町村では、介護車の改造費用を助成してくれる制度が用意されています。「自動車改造費の助成金」といった名目で用意しているケースが大半です。対象者は障害者手帳1級・2級を持った方となっています。ただし、補助金・助成金の有無は市町村によって異なり、対象者の基準もさまざまです。

一例として、東京都新宿区の場合は以下のような条件が定められています。

対象者
  • 18歳以上
  • 身体障害者手帳1級または2級を交付されている
  • 上肢・下肢もしくは体幹機能の障害者である
所得制限 前年度の所得が所得制限限度額の範囲内
金額 133,900円が上限

一方、青森県青森市の場合は「身体障害のある方や難病に罹患している方」が対象です。また、金額は「改造費の3分の2または100,000円どちらか少ない方」とされており、東京都と条件が異なります。

申請は各市町村の役所・役場となっており、以下の書類が必要です。

  • 障害者手帳の原本
  • 免許証
  • 車検証
  • 改造にかかった費用の見積書など
  • 本人の通帳
  • 本人の印鑑
  • 改造前後の写真

必要書類は各市町村によって若干異なるため、事前に確認しておくと確実です。

社会福祉協議会が管轄の低金利融資

各地域の社会福祉協議会では、介護車の購入に係る費用を無金利または低金利で貸付してくれる融資制度があります

対象者は障害者や介護が必要な高齢者のいる世帯となっており、所得制限が設けられているケースが多いです。介護車の購入資金だけでなく、購入に必要な諸経費も融資の対象となっています。

ただし、詳細な部分は各社会福祉協議会によって異なるため事前の確認が必要です。例えば東京都の場合は以下のような条件となっています。

条件
  • 身体障害者が自ら運転する介護車
  • 生計を同一としている介護者が、身体障害者のために運転する必要があり購入する介護車
貸付上限額 250万円
返済期間 8年以内

社会福祉協議会の低金利融資を申し込む際に必要な書類は以下のとおりです。

  • 借入申込書
  • 住民票の写し
  • 借入申込者の世帯の収入証明
  • 連帯借受人の収入証明
  • 連帯借受人の住民票の写し
  • 連帯保証人の収入証明(設定している場合
  • 連帯保証人の住民票の写し
  • 資金種類ごとに必要な書類

書類に関しても各社会福祉協議会によって詳細が異なるため、事前に確認しておくと安心です。

親の介護に使う福祉車両の購入以外で利用できる助成制度

購入以外でも、介護車には以下のようにさまざまな制度が用意されています

  • 高速道路の料金が割引になる制度
  • カーフェリーの料金が割引になる制度
  • ガソリン代を助成してくれる制度
  • 運転免許の取得金を助成してくれる制度

各制度の詳細についてみていきましょう。

高速道路の料金が割引になる制度

介護車で高速道路を走行する場合、各市町村の窓口で事前申請を行えば高速道路の料金が割引になるサービスがあります。対象車は身体障害者本人が運転する介護車もしくは介護者が身体障害者を乗せて運転する介護車です。

ちなみに手続き後はETCを利用しても割引が適用されます。

カーフェリー料金が割引になる制度

カーフェリーへの乗船運賃が割引になる制度もあります。窓口は各カーフェリー会社です。割引の対象は、「旅客運賃」「乗船運賃」のどちらか、もしくは両方が割引になる会社もあります。

ガソリン代を助成してくれる制度

各市町村では、介護車にかかるガソリン代を助成してくれる制度が用意されています。「自動車燃料助成金」と表記している場合が多く、毎月のガソリン代を一定額助成してくれる制度です。

東京都新宿区の場合は以下のような内容になっています。

対象者
  • 身体障害者手帳の下肢・体幹機能障害・内部障害1~3級、視覚障害1~2級、平衡機能障害3級
  • 自動車税または軽自動車税(4輪のみ)の減免を受けている方
助成金額 毎月3,150円を上限として助成

詳細は市町村の福祉課に問い合わせましょう。

運転免許の取得金を助成してくれる制度

身体障害者が運転免許証を取得する際の費用を助成してくれる制度もあります。対象者は「就労が見込まれる身体障害者」です。一般的には、教習費用の3分の2、もしくは上限100,000円~200,000円程度とする自治体が多いようです。

市町村が管轄ですので、申し込みは役所・役場の福祉課となっています。

参照:総務省「障害者自動車運転免許取得費助成事業の適切な運用について

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親の介護に使う車は新車と中古車どちらにするべきか

介護車に対する各種の制度は、新車・中古車どちらにも利用できます。そのため、購入する際に「新車と中古車どちらにするべきか……」と悩む方も多いのではないでしょうか。そこで、本項では新車・中古車のメリット・デメリットについて解説していきます。

新車を購入するメリット・デメリット

介護車を新車で購入する際のメリット・デメリットは以下のとおりです。

<メリット>

  • ディーラーを数件見るだけで比較検討が可能
  • 専門のスタッフと話し合いながら装備を決められる

<デメリット>

  • 車両本体価格が高額
  • 要介護者の身体状況が変化した際に買い替えが必要になる可能性もある

現状の状況に合わせて購入した場合、身体機能の低下により装備が足りなくなる危険性があります。進行性の疾患がある場合は注意しましょう。

中古車を購入するメリット・デメリット

介護車を中古で購入する際のメリット・デメリットは以下のとおりです。

<メリット>

  • 新車よりも安い値段で購入できる。
  • 展示車として在庫があるため、すべての介護車を目視で確認できる

<デメリット>

  • 中古車販売店を自分で探さなければならない
  • 本人の身体状況にぴったりの介護車が手に入りにくい

中古車の場合、すでに完成されたものがほとんどのため「オプションで装備を付け足す」といった注文が難しい場合があります。ただし、新車よりも安く手に入るのは大きなメリットです。

「今は介護車で移動できるけれど、ゆくゆくは親の入る施設を探さなければ……」とお考えではないでしょうか。高齢者施設はすぐ入れるものではありません。良い施設が見つかっても、入居まで3年、4年待ちといったところもあります。

施設は親御さんが動けるうちに探しておくのが良いでしょう。ケアスル介護では、施設探しのお手伝いをさせていただいています。経験豊富な相談員による完全無料のサポート体制も用意しているので、ぜひ1度お試しください。

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親の介護に必要な車の購入にはさまざまな税金の免除がある

親の介護で車を購入する際には、さまざまな免税制度や助成制度が利用できます。ただし、対象となる介護車には条件があるため、購入の際には注意が必要です。障害者手帳の等級によっても利用できる制度が異なるため、詳細は各制度の窓口に問い合わせてみましょう。

介護車の優遇税制や助成金の制度は覚えておいて損はありません。制度をうまく活用し、最小限の負担で親のために介護車を用意しましょう。

福祉車両の購入に介護保険は使えますか?

介護車の購入に介護保険は利用できません。詳しくはこちらをご覧ください。

車を購入する際のチェックポイントはありますか?

以下のポイントは確認しておくとよいでしょう。①車高が低くなるか ②ドアの開閉方法 ③乗降の際につかまるところはあるか 要介護者の身体状況や麻痺側に配慮して購入する車を検討してください。詳しくはこちらをご覧ください。

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