介護付き有料老人ホームにおけるリハビリの本来の目的は、病院のような「機能回復」ではなく「生活機能の維持」になります。
多くの施設でリハビリを受けられますが、提供される体制や内容は施設によって異なったり、リハビリ室を設置していない施設もあるため注意が必要です。
実際にケアスル 介護に掲載されている介護付き有料老人ホーム3,780件を調査したところ、リハビリ室を備えている割合は67.4%でした。


本記事では、介護付き有料老人ホームにおけるリハビリの目的やリハビリの内容、他の施設とのリハビリの違いなどについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
介護付き有料老人ホームにおけるリハビリの目的
介護付き有料老人ホームのリハビリは、「生活リハビリ」と呼ばれ、身体機能の維持が大きな目的です。老化に伴う機能低下を防ぎ、自立した生活を続けるための訓練が中心となります。
そのため、病院で行われるリハビリとは目的も内容も異なるのでご注意ください。
以下に、介護付き有料老人ホームと病院のリハビリの違いについてまとめました
介護付き有料老人ホームにおけるリハビリの内容
介護付き有料老人ホームでは、具体的にどのようなリハビリが行われるのでしょうか。
本章では、リハビリメニューの例や担当職員、頻度など、介護付き有料老人ホームにおける一般的なリハビリついて詳しくご紹介していきます。
なお、ここでご紹介するリハビリはあくまでも一例としてご覧ください。実際のリハビリ有無や内容は施設によって異なります。
リハビリメニューの例
介護付き有料老人ホームのリハビリメニューは、筋力訓練や歩行訓練といった機能訓練だけでなく、着替えや家事動作を活用した生活リハビリまで幅広く用意されています。
なかには、リハビリ室にマッサージベッドや平行棒など、設備を設置してリハビリを行っている介護付き有料老人ホームもあります。
なお、施設内での生活において行うドライヤーやテーブル拭きといった日常動作も立派なリハビリの一つです。専門的なリハビリ計画に基づく訓練というよりも、生活場面に合わせて各々が自然に行う動作をリハビリとして捉えている施設が一般的となります。
リハビリを担当する職員
介護付き有料老人ホームのなかには、リハビリに関係する専門職が配置されているところもあります。
たとえば、理学療法士や作業療法士を配置している介護付き有料老人ホームも多いです。
介護付き有料老人ホームでリハビリを担当する主な職員とその役割をまとめました。

なお「ケアスル 介護」で掲載している介護付き有料老人ホームにおける各リハビリ専門職の在籍割合を調べたところ、最も多いのは理学療法士でした。

各各職種ごとに専門分野やリハビリ内容について詳しくみていきましょう。
理学療法士
理学療法士は、立ちや座りといった身体動作の維持を専門に支援する国家資格者です。
平行棒を使った歩行練習や、転倒を防ぐためのバランス訓練を担当します。歩行時の姿勢や癖を確認しながら、安全に動けるよう指導を行います。
作業療法士
作業療法士は、食事や着替えといった日常生活動作の維持を専門的に支援する国家資格者です。着替えの動作を分解して練習したり、家事動作を通じた生活リハビリのプログラムを組み立てたりします。
言語聴覚士
言語聴覚士は、会話や飲み込み機能の維持を専門的に支援する国家資格者です。発声や滑舌の訓練、食事中にむせないようにするための嚥下訓練を担当します。
先ほどご紹介したように介護付き有料老人ホームにおける言語聴覚士の配置率は1%と、配置されていない施設も多いです。
リハビリの頻度と時間
介護付き有料老人ホームのリハビリは、週1〜2回、1回あたり20分程度の頻度で行われることが一般的です。
個別機能訓練を受ける場合、公的介護保険の個別機能訓練加算が適用されます。
自己負担1割の場合、1日あたり約120円の費用がかかります。頻度や時間は入居者の心身状態や施設の体制によって変わるため、契約前の確認が必要です。
リハビリの場所
介護付き有料老人ホームのリハビリは、施設内の機能訓練室や共用スペース、居室など複数の場所で行われます。
リハビリ専用のスペースがない介護付き有料老人ホームも多いです。その場合、ラウンジや廊下、外などの共用スペースを使って体操や歩行訓練を行います。
生活リハビリについては、居室や廊下など日常生活の場そのものが訓練の場です。
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介護付き有料老人ホームにおけるリハビリ費用(加算)
介護付き有料老人ホームでのリハビリは、日々の体操や生活動作のサポートといった生活リハビリの範囲であれば、施設の基本料金に含まれます。オプションでお金がかかるといったことはありません。
しかし、専門的な計画に基づく個別の訓練を受ける場合は、基本料金とは別に「個別機能訓練加算」として1日約120円の自己負担(1割負担の場合)が発生しますのでご注意ください。
加算の算定要件や金額は、施設の人員配置体制(理学療法士などの専従配置の有無)によって異なります。
入居前に必ず料金プランと加算の有無を確認しておきましょう。
介護付き有料老人ホームでリハビリをするメリット・デメリット
介護付き有料老人ホームでのリハビリは、24時間体制の見守りとリハビリを両立できる反面、施設によってその質に差が大きいといったデメリットもあるでしょう。
本章では、介護付き有料老人ホームでリハビリをするメリットとデメリットについて詳しくご紹介していきます。
介護付き有料老人ホームでリハビリをするメリット
介護付き有料老人ホームでリハビリを行う最大のメリットは、24時間体制の「見守り」という安全な環境の中で、日常生活に直結した機能訓練を受けられる点です。

安全な環境の中で無理なく身体を動かし続けられる点が、介護付き有料老人ホームならではの特徴です。
介護付き有料老人ホームでリハビリをするデメリット
介護付き有料老人ホームは主に民間運営のため、充実したリハビリ環境のある施設は費用が高めになります。
本格的な機能回復が必要な場合、医療機関などへの通院・利用も考えておきましょう。
介護付き有料老人ホームでのリハビリが向いている人・向いていない人
介護付き有料老人ホームにおけるリハビリ内容や、メリット・デメリットなどをご紹介していきました。
では、介護付き有料老人ホームでのリハビリが向いている人はどのような人でしょうか。
そこで本章では、介護付き有料老人ホームでのリハビリが向いている人と向いていない人について詳しくご紹介していきます。
介護付き有料老人ホームでのリハビリに向いている人
介護付き有料老人ホームでのリハビリは、生活の中で無理なく身体機能を維持したい人に向いています。身体機能の回復よりも「今の生活を維持したい」場合に合っているでしょう。
日常動作をそのまま訓練として活用する生活リハビリは、意欲を持って取り組める人ほど意味や効果を感じやすいです。
介護付き有料老人ホームでのリハビリに向いていない人
リハビリへの意欲がない人や病院のような本格的な機能回復(治療)を望む人には向いていません。
リハビリ体制が整っている施設は費用が高い傾向にあります。意欲がないまま入居すると、費用に見合った効果を得られない可能性があるでしょう。

介護付き有料老人ホームとほか種別のリハビリ比較表
リハビリを重視して施設を探す際、介護付き有料老人ホーム以外にも「特養(特別養護老人ホーム)」「老健(介護老人保健施設)」「住宅型有料老人ホーム」が選択肢に入ることがあります。
本章では、それぞれの施設におけるリハビリ体制の違いを比較表にまとめました。
介護付き有料老人ホームと特養(特別養護老人ホーム)は、どちらも「生活機能の維持」を目的としており、リハビリ体制はよく似ています。
しかし、特養は原則として「要介護3以上」でなければ入居できず、待機期間も長くなりやすいという特徴があります。そのため、すぐに入居して生活リハビリを受けたい場合は、介護付き有料老人ホームが現実的な選択肢となります。
一方で、より手厚いリハビリによる機能回復を目指す場合は老健が選択肢となります。老健は在宅復帰を目的とした施設であるため、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)といった専門職が多数在籍しており、高頻度で集中的なリハビリを受けられます。ただし、原則として終身での入居はできません。
住宅型有料老人ホームは、施設内でのリハビリ提供がない代わりに、外部のサービスを自由に組み合わせられる点が強みです。お気に入りのデイケアや訪問リハビリを継続して利用したい場合は、住宅型が適しています。
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介護付き有料老人ホームのリハビリ体制が施設ごとに違う理由
介護付き有料老人ホームのリハビリの充実度は施設ごとにまったく異なります。
本章では、施設ごとのリハビリ体制に差が生まれる理由と、なにが異なっているかについて解説します。
「運営法人」によってリハビリに対する方針が異なるため
リハビリ体制の充実は、施設を運営する法人の基本方針に大きく左右されます。

法律上の基準を満たしていれば、最低限の機能訓練は提供されます。しかし、「どこまで本格的な訓練を行うか」は法人の裁量に委ねられています。
リハビリを重視するなら、施設種別ではなく「運営法人の方針」を見極めることが非常に重要です。
「人員」と「設備」が異なるため
施設によってリハビリ体制に大きな差が出る主な理由は、「人員配置」と「設備環境」の違いです。
法律上、施設には機能訓練指導員を1名以上配置する義務があります。ただし、指導員の資格は看護師などでも満たせるため、専門職以外が兼務している施設も少なくありません。
本格的なリハビリを希望する場合は、理学療法士などの専門職が「常勤(専従)」で配置されている施設を選ぶのがおすすめです。
また、設備環境も施設によってピンからキリまであります。一般的な施設では共有スペースでの体操が中心ですが、リハビリに特化した施設では、高齢者でも安全に使えるパワーリハビリ用のマシンが並び、スポーツジムのような環境が整っているケースもあります。
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介護付き有料老人ホームにおけるリハビリ目的で入居する場合の注意点
リハビリを重視して介護付き有料老人ホームを選ぶ際、以下の3つのポイントを事前に注意しておくことが大切です。
【入居前に確認すべき3つの注意点】
- 病院とのリハビリ量の違いを把握する
- 外部のデイケアや訪問リハビリは「原則利用できない」
- 見学時に「個別機能訓練計画書」を作ってくれるか確認する
注意点①:病院とのリハビリ量の違いを把握する
退院直後の入居を検討している場合、病院との「リハビリ量のギャップ」がある点を理解しておくことが大切です。
病院から退院を控えている方は「もっと良くなりたい」と、ほぼ全員がリハビリを強く希望する傾向にあります。しかし、毎日集中的に訓練を行っていた病院から介護付き有料老人ホームへ移ると、目的の違いからリハビリの量が落ちることがほとんどです。
そのため、ご本人が「これしかやってくれないの?」「全然リハビリをしてくれない」と大きなギャップを感じてしまうケースが少なくありません。
介護付き有料老人ホームのリハビリ目的が「機能の維持」であることを、入居前にご本人へしっかりと説明し、心構えを持ってもらうことが必要になります。
注意点②:外部のデイケアや訪問リハビリは「原則利用できない」
「施設でのリハビリが足りないなら、外部のサービスを頼めばいい」と考える方も多いですが、外部のデイケア(通所リハビリ)や訪問リハビリは原則として利用できません。
介護付き有料老人ホームは、施設のスタッフが包括的にサービスを提供する仕組みになっているためです。
入居後に「やっぱりもっとリハビリを受けたいから、外部の専門サービスを使いたい」と思っても、自由に追加することはで難しいため、外部のサービスを自分の希望に合わせて柔軟に組み合わせて使いたい場合は、介護付きではなく「住宅型有料老人ホーム」を検討しましょう。
注意点③:見学時に「個別機能訓練計画書」を作ってくれるか確認する
施設が本当にリハビリに力を入れているかどうかは、「個別機能訓練計画書」を作ってくれているかを確認するとよいでしょう。
入居者一人ひとりの身体機能や生活環境、意向を踏まえ、機能訓練指導員(PT・OT・ST・看護師等)が中心となって作成するリハビリ計画
本格的なリハビリを提供している施設では、入居者一人ひとりの現在の身体状況や今後の目標に合わせた個別の計画書を作成し、それに基づいて訓練を実施しています。
見学時に「うちではこういう計画を立ててリハビリを行います」と具体的に説明してくれる施設であれば、リハビリを重視している施設であるという判断ができるでしょう
ぜひ見学の際に、個別機能訓練計画書の作成について質問してみてください。
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リハビリ対応の介護付き有料老人ホームの探し方
親の身体状況や希望するリハビリ体制に合った施設を探すなら、ケアスル 介護の検索機能を活用するのがおすすめです。

ケアスル 介護では、全国の豊富な施設情報から、ご希望の条件に合わせて絞り込み検索ができます。「エリア」を選択したあと、こだわり条件で「リハビリ・機能訓練」にチェックを入れるだけで、リハビリに対応している施設を簡単に見つけられます。
施設ごとの特徴や費用も比較できるため、まずはご自宅や希望エリアの近くにどのような施設があるか、実際に検索して確認してみてください。
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介護付有料老人ホームのリハビリについてのまとめ
介護付き有料老人ホームにおけるリハビリは、病院のような「機能回復」ではなく、毎日の生活動作を通じた「生活機能の維持」が目的です。
とくに退院直後の方で介護付き有料老人ホームに入居するとリハビリの内容にギャップを感じやすいため、注意が必要です。
リハビリの充実度は、施設を運営する法人の基本方針や、専門職(理学療法士など)の配置状況によって大きく異なります。
本記事で紹介した「老健や住宅型との違い」や「見学時の注意点」を踏まえ、最適な施設を見つけましょう。