「認知症の家族を介護付き有料老人ホームに入居させたいけど受け入れてもらえるのだろうか?」とお悩みではありませんか。
結論から言うと、認知症の方でも入居可能な介護付き有料老人ホームは数多く存在します。特に「介護型」と呼ばれる介護付き有料老人ホームであれば、手厚いケアを受けながら安心して生活することが可能です。しかし、症状の進行度合いや施設ごとの受け入れ体制によって、入居の可否や費用は大きく異なります。
そこで本記事では、認知症の方が入居できる介護付き有料老人ホームの割合や、施設で受けられるケアの内容、具体的な費用相場のほか、認知症の方向けの施設の探し方などについても詳しく解説しています。
認知症でも入居できる介護付き有料老人ホームは9割以上
認知症の方が入居可能な介護付き有料老人ホームは、全体の約9.5割(※ケアスル 介護で掲載中の介護付き有料老人ホーム5,034件のうち、受け入れ可否が判明している2,488件対象)です。

介護付き有料老人ホームは、主に要介護認定を受けた高齢者を対象とし、24時間体制で施設常駐のスタッフから手厚い介護サービスが受けられる施設です。
民間が運営しているため特養やケアハウスなどの公的施設と比べると費用はかかりますが、人員体制や設備、レクリエーションなどのサービスが充実しているのが特徴です。
認知症の症状が進行して重度になった場合でも、食事や入浴、排泄などの身体介護を受けながら継続して住み続けられるケースが多いです。看取りまで対応可能な介護付き有料老人ホームもあります。
介護付き有料老人ホームに入居している方で認知症の人は1.5割

「ケアスル 介護」を通じて介護付き有料老人ホームに入居された方のデータでは、およそ1.5割の方が認知症であることが分かりました。
介護付き有料老人ホームは、ケアハウスなどとは異なり、日常的に介護を必要とする方がメインです。24時間体制の手厚い介護サービスが提供されるため、実際に認知症で入居されている方は他の施設と比べても多くなっています。
認知症ケアに特化したサポートを受けたいという場合は、認知症の方をメインで受け入れているグループホームも適しているため、こちらも併せて検討するとよいでしょう。
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介護付き有料老人ホームで受けられる認知症ケアとは
介護付き有料老人ホームでは、主に以下のようなケアが受けられます。
介護付き有料老人ホームは日常的な介護を必要とする方を対象としているため、施設によっては認知症ケアの知識を持つスタッフがいるなど、認知症の症状の進行に合わせた手厚いサポートを提供しているところも多くあります。
また、介護付き有料老人ホームは介護保険を定額で利用する「特定施設入居者生活介護」となるため、基本の介護サービス費用は固定です。
しかし、日常的な医療ケアや専門的なケア(インスリン注射や胃ろう、たん吸引など)については、看護師の配置状況などによって各施設で対応の限界があります。
あらかじめどのような医療・介護体制が整っているのかを細かくチェックしておくと安心です。
それぞれのケアについて詳しく解説していきます。
見守り・声掛け
介護付き有料老人ホームの最大の強みは、24時間体制で介護スタッフが常駐し、常に人の目がある環境であることです。
スタッフの定期的な巡回や居室の離床センサー・見守りカメラなどの設備を活用しているところもあるので、認知症の症状による徘徊や昼夜逆転があっても安心して暮らしやすくなっています。
万が一の際も迅速な対応が可能な点は、手厚い人員配置がある介護付き有料老人ホームならではのメリットです。
生活・健康援助
認知症の方が苦手になりやすい掃除や洗濯、買い物などの家事全般は基本的にすべてスタッフが代行するため、生活上の混乱を防ぐことができます。
また、日中(施設によっては24時間)看護スタッフが配置されていることが多く、認知症の方に多い「薬の飲み忘れ」や「過剰摂取」についても防ぎやすい環境です。
体調不良をうまく伝えられない認知症の方の「小さな変化」にいち早く気づき、看護師や医師と連携して重症化を防げるのも大きな強みとなります。
身体介護
介護付き有料老人ホームは介護保険の定額制(特定施設)であるため、身体介護が必要な場面が1日に何度あっても追加費用を気にすることなく介助を受けられます。
入浴を激しく拒否したり、介助に対して怒りっぽくなったりする認知症特有の周辺症状に対しても、専門知識を持ったスタッフがいれば適切に対応してもらえるでしょう。

ただし、専門的な医療ケアが介護が必要になる場合は、施設での対応に限界があるケースもあります。対応可能やケアについては、施設ごとに確認しておきましょう。
レクリエーション
介護付き有料老人ホームはでは、リハビり体操などのほか、認知症の進行予防や精神的な安定を目的としたレクリエーションがある施設もあります。
集団での行動が苦手な方であっても、手厚い人員配置のある介護付き有料老人ホームならスタッフが本人のペースに合わせて参加をサポートできる点も強みです。
認知症を受け入れている介護付き有料老人ホームの費用相場
ケアスル 介護で掲載中の、認知症を受け入れている介護付き有料老人ホームの費用相場(中央値)は、初期費用が300,000円、月額費用が134,405円です。介護付き有料老人ホーム全体では、初期費用が300,000円、月額費用は110,000円となりました。

初期費用は同じですが、月額費用では認知症受け入れをしている介護付き有料老人ホームの方が2万円ほど高くなっています。
なお、食費や光熱費などは月額費用に含まれているケースが一般的です。施設によっては実費請求のところもありますのでご注意ください。
社会福祉士でケアマネジャーの桐島さんに、介護付き有料老人ホームの費用について伺いました。

また、一般型介護付き有料老人ホームで介護サービスを利用する場合は介護保険が使えます。介護保険を使う場合の負担割合は1~3割で、収入や世帯構成などによって変わりますのでご注意ください。
介護付き有料老人ホームに入居させたいけど、お金がない場合の対処法
介護付き有料老人ホームに入居させたいけど、お金がない場合は以下の4つの方法があります。
- ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
- 費用が安い施設を探す
- 減免制度を活用する
- 生活保護を受給する
介護付き有料老人ホームへの入居でお金に不安がある場合でも、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに現状の予算などを相談し、専門家のアドバイスを受けましょう。
その上で、費用が安い特別養護老人ホーム(特養)などの公的施設も検討しつつ、月々の介護保険の自己負担額が上限を超えた際に払い戻される「高額介護サービス費」といった負担軽減制度が利用できるかを確認することが重要です。 (※「特定入所者介護サービス費」による居住費・食費の軽減は公的施設が対象となり、介護付き有料老人ホームには適用されません)
「どうしてもそれほど費用が用意できない」という場合は、福祉事務所に相談して生活保護の受給を検討することもできます。ただし、生活保護受給者の規定の範囲内で入居できる介護付き有料老人ホームは数が限られるため、対象施設を絞って探す必要があるでしょう。
介護付き有料老人ホームをはじめとした施設への入居でお金に不安がある方は、以下の記事もご覧ください。
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認知症の方が介護付き有料老人ホームに入った時に起こりうるトラブル
認知症の方の場合、暴力・暴言などによって他の入居者とトラブルになる可能性もあります。

なかでも、介護付き有料老人ホームに入ったときに起こりうるトラブルとして特に多く考えられるものには、以下の2つです。
- 行動制限(身体拘束・薬物)によるトラブル
- 重度な周辺症状による入院・退去トラブル
認知症の本人と施設側のトラブルもありますが、このようにご家族と施設側の認識のずれによるトラブルも発生する可能性があります。
介護付き有料老人ホームは24時間体制でスタッフが常駐し、手厚い見守りが行われていますが、複数人が集まる共同生活である以上、入居前にはこれらのリスクを想定し施設側のサポート体制や対応方針をしっかりと確認しておくことが重要です。
2つのトラブルについて詳しく解説していきます。
ケア方針をめぐるトラブル
身体介護が必要な方が入居する介護付き有料老人ホームでは、転倒や骨折といった事故のリスクが他の施設よりも高いです。
人員配置が手厚いとはいえ、常時1対1での見守りは難しくなります。そのため、認知症の方の行動によっては事故を未然に防ぐ目的で身体拘束や薬物で動きを抑える対応がとられることもあるでしょう。
しかし、動く機会を奪われることで、ご本人の身体機能や認知機能がさらに低下してしまう(廃用症候群)リスクもあるので慎重な判断が必要です。
行動制限は家族の同意の上行われますが、ケアの方針をめぐることで施設側とトラブルに発展しやすいポイントでもあります。
認知症の症状悪化による退去勧告トラブル
「介護付きだから最後までずっと診てくれるはず」とご家族が安心して入居したものの、認知症が進行して想定外のトラブルになるケースもあるでしょう。
施設スタッフの手に負えないほどの激しい暴力や暴言、夜間の大声、介護に対する強い抵抗(入浴拒否など)といった重度な周辺症状が現れた場合、施設での対応限界を超えてしまいます。
問題行動があると、途中で理由で精神科病院への入院を促される、または退去(契約解除)を求められたりするといった可能性もあるので注意が必要です。
問題行動について不安な場合は、あらかじめ施設側に「どのような場合に退去を促されるのか」についても確認しておくようにしましょう。

例えば、医療面でどこまでの処置が可能なのか、看護師さんはいつ・何人体制で配置されているのかといった点ですね。そうした体制の中身よって施設の限界が変わってくるため「現実的にどこまで対応してもらえるのか」を直接担当の方に確認していただきたいなと思います。
認知症で介護付き有料老人ホームから追い出されてしまうケースは?
- ほかの入居者に迷惑をかけてしまった
- 「介護拒否」による安全確保・健康管理の限界
介護付き有料老人ホームは、日常的な介護を必要とする方を対象とし、24時間体制で手厚いケアを提供する施設です。
しかし、どれほど体制が整っていても、認知症の進行による重度な問題行動が目立つ場合は、サポートの限界を超え退去を求められるケースがあります。
介護付き有料老人ホームをはじめとした老人ホームにおいて、認知症の方が退去を促されてしまうケースについては以下の記事で詳しく解説しています。
ほかの入居者に迷惑をかけてしまった
認知症の症状による「他の入居者への迷惑行為」はどの施設でも起こり得ますが、介護付き有料老人ホームにおいては、他の施設よりも入居者同士のトラブルが増える傾向にあります。
特養や認知症メインのグループホームなどと大きく異なるのは、介護付き有料老人ホームには「身体介護は必要だが、認知機能はしっかりしている方」が多く生活している点です。また、穏やかな老後を求めて入居されている方も多いため、グループホームのような「お互い様」という寛容な雰囲気も成り立ちにくいといえます。
そのため、夜間の大声や食堂での問題行動などがあると、入居同士の衝突や施設にクレームが入りやすくなり退去を促されるケースが多いです。
「介護拒否」による安全確保・健康管理の限界
介護付き有料老人ホームでは、介護の必要がある方を受け入れているため、ご本人の「介護拒否」が強くなると施設での生活が難しくなります。
認知症の進行に伴い、「お風呂を拒否して不衛生な状態が続く」「処方された薬を飲まない」「スタッフの介助を怒って振り払う」といった症状が出ることがあるでしょう。いくら人員配置が手厚い施設であっても、スタッフが力ずくで無理やりケアを行うことはありません。
その結果「介護拒否により、施設としてお約束している安全確保と健康管理がこれ以上提供できない」という事態になってしまいます。
安全を守るというサービス提供の前提が崩れてしまうため、施設側の対応限界として契約解除(退去)の対象となってしまうのです。
介護職員として10年間勤務され、現在は高齢者施設の紹介業を営んでいる和田さんにお話しを伺いました。

認知症の方が入れる介護付き有料老人ホームの探し方

認知症の方が入居できる介護付き有料老人ホームを探すときには、予算や必要になるケアや配慮などをもとに候補を絞り込んでいきます。
施設ごとに認知症の受け入れ基準や提供可能なケア内容(人員配置のゆとりや、夜間の医療対応など)は大きく異なります。施設探しを進める際は、希望条件を整理した上で複数の施設を比較検討しましょう。
介護付き有料老人ホームを検討している場合は、認知症の受け入れ実績が豊富で、専門的な知識を持つスタッフの配置があるか、将来的な症状の進行(重度化や看取り)にも対応できる体制が整っている施設を中心に探すのがおすすめです。
介護付き有料老人ホームをはじめとした施設の選び方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
介護付き有料老人ホーム以外に認知症の方が入れる施設
介護付き有料老人ホーム以外で認知症の方を受け入れている施設について、本人の要介護度や必要とするサポート体制によって、主に4つの選択肢があります。
- グループホーム
- 特別養護老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- ケアハウス
まず、少人数制の家庭的な環境で認知症ケアに特化したサポートを受けたい場合は「グループホーム」がおすすめです。
また、要介護度が高く(原則要介護3以上)、費用を抑えながら終の棲家として長期的なケアを受けたい場合は公的な「特別養護老人ホーム」が適しています。
一方で、施設が提供する定額制の介護ではなく、外部の訪問介護サービスなどを自分の状態に合わせて自由に組み合わせて利用したい場合は「住宅型有料老人ホーム」が、症状が比較的軽度で費用を抑えつつ生活のサポートを受けたい場合は「ケアハウス」が考えられます。
各施設についてはそれぞれ以下の記事で解説しておりますので、ぜひご覧ください。
まとめ
認知症の方が入居できる介護付き有料老人ホームは多数存在します。入居者の症状や予算に合わせた施設選びが重要です。
【本記事の重要なポイント】
- 認知症の方で介護付き有料老人ホームを希望する場合は、専門知識を持つスタッフの配置など、認知症ケアの受け入れ体制が整った施設が安心。
- 入居前に、夜間の見守り・医療体制や、将来の退去要件(重度化した場合など)を必ず確認する。
- グループホームや特養などの代替施設も同時に比較検討する。
施設探しは、入居希望者の現在の状態と将来の進行リスクを見据えて行います。要介護度や認知症の周辺症状に合致する施設を個人で探し出すことは困難です。
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