介護付き有料老人ホームで訪問看護は使える?利用可否や受けられるケアも紹介

介護付き有料老人ホームで訪問看護は使える?利用可否や受けられるケアも紹介

親の介護付き有料老人ホームへの入居を検討する際、「現在利用している訪問看護を施設でも続けられるのか」は非常に重要なポイントです。

結論から言うと、介護付き有料老人ホームでは原則として訪問看護を利用できません

しかし、特定の条件を満たせば例外的に利用可能なケースも存在します。

本記事では、介護付き有料老人ホームにおける訪問看護利用のルールや例外となる条件施設内で提供されるケアの実態などについて詳しく解説します。

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介護付き有料老人ホームで訪問看護は利用できる?

介護付き有料老人ホームに入居した後も、今まで利用していた訪問看護サービスを継続することはできますか?

介護付き有料老人ホームでは、原則として訪問看護を利用できません

介護付き有料老人ホームにおける介護保険サービスの適用関係
施設スタッフによるケア 介護保険が適用される(毎月の定額料金に包括)
外部の訪問看護 介護保険の適用不可(二重請求となるため)

訪問看護を利用できない最大の理由は、介護保険の二重請求となるためです。介護付き有料老人ホームは、介護保険制度において「特定施設入居者生活介護」という指定を受けています。特定施設入居者生活介護では、施設に配置された介護職員や看護職員が提供するサービス費用が、毎月の定額料金に包括されています。

したがって、施設が提供するパッケージ化された介護サービスを利用しながら、外部の事業所が提供する訪問看護サービスを介護保険で追加利用することは、制度上固く禁じられています。入居者が個人的に希望した場合でも、介護保険を適用して外部の訪問看護師を呼ぶことは不可能です。

全額自己負担(自費)であれば外部サービスを利用できると考える方もいますが、施設内の安全管理や責任の所在が曖昧になるため、施設側のルールで外部業者の介入を禁止しているケースが一般的です。

【例外】介護付き有料老人ホームで訪問看護が利用できるとき

介護付き有料老人ホームでは原則として訪問看護を利用できませんが、医療保険が適用される特定の条件を満たす場合は例外的に利用可能です。

以下の2つのケースに該当すれば、外部の訪問看護サービスを導入できます。

主治医による特別訪問看護指示書があるとき

主治医が「特別訪問看護指示書」を交付した入居者は、例外的に医療保険を利用して外部の訪問看護サービスを受けることができます。

特別訪問看護指示書による利用条件
利用可能な期間 原則として最大14日間(月に1回)
適用される保険 医療保険(介護保険ではない)

特別訪問看護指示書は、病状の急性増悪時や退院直後など、主治医が入居者に対して頻回な訪問看護が必要と判断した場合に交付する書類です。この指示書が交付されると、最大14日間、連日の訪問看護を医療保険で受けることが可能となります。

費用については、入居者の医療保険の自己負担割合(1〜3割)に応じた金額が発生します。介護付き有料老人ホームの月額利用料とは別に請求されるため、費用の準備が必要です。

特別訪問看護指示書の交付は原則として月に1回(14日間)のみです。気管カニューレを使用している状態など一部の例外を除き、継続して長期間利用できる制度ではないため、状態が安定した後は施設スタッフによるケアに戻ります。

厚生労働大臣が定める特定の疾患があるとき

厚生労働大臣が定める特定の疾患(末期の悪性腫瘍や難病など)を抱える入居者は、医療保険を利用して訪問看護を継続できます。

厚生労働大臣が定める疾病等の例
対象疾患(一部抜粋) 末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモンなど
利用制限の有無 回数や期間の制限なし

入居者が厚生労働大臣の定める「特掲診療料の施設基準等」に規定される特定の疾患に該当する場合、介護保険よりも医療保険の適用が優先されます。

このため、介護付き有料老人ホームに入居後も、回数や期間の制限なく外部の訪問看護を利用することが可能です。ただし、長期間の利用になるケースが多いため、高額療養費制度を活用して毎月の負担上限額を抑える対応が必要です。

入居前に主治医へ相談し、該当疾患の基準を満たすか必ず確認してください。

特定の疾患に該当する場合でも、主治医による訪問看護指示書は必須です。また、施設側が外部スタッフの頻繁な出入りを制限している場合は受け入れを断られる可能性があるため、事前の確認が不可欠です。

介護付き有料老人ホームで受けられるケア・サービス

介護付き有料老人ホームで訪問看護が原則不要とされている理由は、施設内に専門の看護職員および介護職員が常駐し、入居者に対する十分なケア提供体制が整っているためです。

看護師や医師と連携した医療的ケア

看護職員は、入居者の日々の健康管理から、胃ろうや吸引などの医療的ケアまでを直接担当します。

介護付き有料老人ホームで看護職員が提供する主なケア
健康管理業務 バイタルチェック(血圧・体温測定)、服薬管理、口腔ケアの指導
医療的ケア業務 インスリン注射、喀痰吸引、胃ろう管理、褥瘡(床ずれ)処置など

介護付き有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」の人員配置基準によって専門的な看護職員の配置が義務付けられている施設です。

看護職員は、入居者の血圧や体温測定などの日々のバイタルチェックに加え、主治医の指示に基づいたインスリン注射、喀痰吸引、胃ろうの管理といった医療ケアを提供します。そのため、基本的な医療ケアであれば施設の看護職員がカバーできる可能性が高いです。

ご家族を介護付き有料老人ホームに入居させた方の体験談では、病院が併設していることで手厚い医療ケアが受けられたケースもありました。

【ご家族の体験談:沢口さん(仮名)のケース】
認知症と骨折を患った父を介護付き有料老人ホームに入所させました。その施設は病院が併設されており、24時間看護師が常駐し、週に1〜2回は医師が部屋まで往診に来てくれるという非常に医療体制の整った環境でした。
自宅介護の時には愚痴っぽかったお父様が、施設での生活を楽しむようになり、穏やかな性格に変わったのでとても感謝しています

ただし、介護付き有料老人ホームであればどこの施設でもあらゆる医療ケアが受けられるというわけではありません

介護付き有料老人ホームでの医療ケアについて、看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さんにお話を伺いました。

 

菅原さん_インタビュー
看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さん
株式会社ナースビジョン 菅原さん
介護付き有料老人ホームは、日中の看護師配置が基本となります。そのため、「1日3回の胃ろう」や「頻繁な痰吸引」といった、重度の医療ニーズがある場合、介護付き有料老人ホームでも看護師の人数が少ない施設では対応しきれないことがあります。
そのような場合は、人員基準の制約がない「住宅型有料老人ホーム(ナーシングホームなど)」の方が、看護師を多く配置しており手厚い医療ケアを受けられるケースがある点に注意が必要です。

介護付き有料老人ホームと一口でいっても、受けられる医療ケアの幅や質は施設ごとに違います。介護付き有料老人ホームに入居される際は「どんな医療ケアがどの程度必要なのか」について、訪問看護の担当の方と話し合っておきましょう

看護職員の配置時間は「日中のみ(9時〜18時など)」の施設が多く、夜間の痰の吸引など24時間体制の医療的ケアが必要な場合は、「24時間看護スタッフ常駐」の施設を選ぶ必要があります。

介護職員による日常的な生活支援

介護職員は、24時間体制で入居者の食事や排泄、入浴などの身体介護と生活援助を提供します。

施設内の介護職員が提供する主なサービス
身体介護 食事介助、排泄介助、入浴介助、更衣介助、車椅子への移乗介助
生活援助 居室の清掃、日々の洗濯、レクリエーションの企画と実施

介護付き有料老人ホームでは、住宅型有料老人ホームやグループホームなどと同じく、主に日中に介護職員が施設に常駐しています。

介護職員は、施設ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき、食事の介助や入浴介助、排泄介助といった身体介護から、居室の清掃や日々の洗濯といった生活援助までサポートします。

在宅介護のように訪問看護を手配しなくても、施設内のスタッフがチームとして情報共有を図りながら、必要な介護サービスを途切れなく提供する仕組みです。

母親を介護付き有料老人ホームに入所させた方の体験談では、スタッフの方がサービス範囲外のところまでサポートしてくれたという声もありました。

【ご家族の体験談:林さん(仮名)のケース】
母を介護付き老人ホームに入所させました。その施設では、決められた介護サービスの枠(ポイント)を使い切ってしまうような状況でも、施設のスタッフがボランティア的な形で洗濯をしてくれたり、困った時に臨機応変に対応してくれたりと、非常に親身なサポートを受けられました。
コロナ禍で家族が面会できない間も、介護士の方が丁寧に対応してくれたことが大きな安心感に繋がったのを覚えています

介護付き有料老人ホームにおける生活支援ケアについて、弊社のケアアドバイザーである前北にも話を聞きました。

前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北

介護付き有料老人ホームは「一般型特定施設入居者生活介護」という基準に基づき、入居者3名に対して最低1名の介護職員が配置される「3対1介護」が基本です。
日中には看護師が常駐しているため、簡単な医療ケアを受けることもできます。
ただし、施設のサービスに含まれない「買い物など外出の付き添い」などは、全額自己負担で外部に依頼するケースもあります。

入居したい介護付き有料老人ホームが希望のサービスに対応していなかった場合、全額自己負担となってしまう可能性もあるのでご注意ください。

【プロ解説】介護付き有料老人ホームでも施設によってケアの質は違う!

「介護付き有料老人ホーム」と一口に言っても、提供されるケアの質やサービス内容は施設によって大きく異なります。

法的な人員基準(3対1など)は定められているものの、医療ニーズへの対応力、リハビリへの注力具合は、施設によって千差万別です。

本章では、介護業界の最前線で活躍する専門家たちのリアルな声をもとに、施設選びで失敗しないためのポイントを解説します。

価格帯によるサービス実態の違いに注意

介護付き有料老人ホームは、入居金が数千万円にのぼる高級施設から、月額費用を抑えた低価格帯の施設まで幅広く存在します。

しかし、費用を抑えられる施設の中にはサービスの提供形態に注意が必要なケースもあるとのことです。

介護職員として10年間勤務され、現在は高齢者施設の紹介業を営んでいる和田さんにお話しを伺いました。

和田さん_インタビュー
元介護士であり高齢者施設紹介業を経営されている和田さんにお話しを伺いました。
和田さん
介護職員・高齢者施設紹介業経営 和田さん

元々、介護付き有料老人ホームっていうと、入居金が高額で高級な施設というイメージが強いと思うんですが、今は低価格帯のところも増えてきています。
ただ、そうした低価格帯の介護付き有料老人ホームの中には、実態は住宅型有料老人ホームと変わらないのに、「介護付きの指定を取って、介護も含めて全部うちでやりますよ」と言っているだけのところもあるんです。
結局「ここの施設に入ったら、うちの介護サービスを限度額いっぱいまで全部使ってください」と囲い込みのようになってしまっているケースも多くあります。そのため、低価格帯の介護付きと住宅型とでは、サービスの実態にあまり違いがないケースも多いと思います。

「他の老人ホームよりもサービスやケアが手厚そうだから介護付き有料老人ホームにしよう」と決めるのはおすすめしません。

和田さんが指摘するように、介護付き有料老人ホームといっても施設によっては期待していたサービスやケアを受けられない可能性があります。

リハビリの充実は「運営法人」によって差が出る

在宅復帰を目指す方やそのご家族にとって、「リハビリ」の質は施設選びを行う上で大切なポイントです。

しかし、介護付き有料老人ホームではリハビリは法的な義務ではないため、施設ごとの温度差が非常に大きいのが実態です。

介護付き有料老人ホームにおけるリハビリの実態について、ケアアドバイザーである前北に話を聞きました。

前北栞里_プロフィール画像
ケアアドバイザー前北
介護付き有料老人ホームだからといって、必ずリハビリが充実しているわけではありません。リハビリテーションは公的な義務ではないため、運営する法人によって力の入れ具合が大きく異なるんです。
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重度の医療ニーズがある場合は「別の選択肢」も視野に

介護付き有料老人ホームは日中の看護師配置が基本です。

「看護師がいるから安心」と思われがちですが、夜間の体制や医療依存度によっては、必ずしも介護付きホームが最適な選択肢とは限りません。

元看護師で高齢者施設での勤務経験が豊富な菅原さんによると、手厚い医療ケアが必要な場合は住宅型有料老人ホームなどもみておくべきとしています。

株式会社ナースビジョン 菅原さん
介護付き有料老人ホームよりも、受け入れる方に合わせて看護師を多く(夜間も含めて)自由に配置できる「住宅型有料老人ホーム(ナーシングホームやホスピス型など)」を選んだ方が、結果的に手厚い医療ケアを受けられるケースがあります。

このように、同じ「介護付き有料老人ホーム」という看板を掲げていても、得意とする分野やカバーできる範囲は異なります。

ご本人の現在の状態や、「何を一番大切にしたいか(リハビリか、手厚い医療か、費用の安さか)」を明確にした上で、複数の施設を比較検討するようにしましょう。

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プロがおすすめする、医療ケアが必要な場合に検討すべき施設

介護付き有料老人ホームでは、外部の訪問看護が原則利用できません。そのため、現在受けているケアの内容や頻度によっては、他の施設形態を検討した方が良いケースがあります。

そこで本章では、医療ケアが必要になる場合に検討したい以下の2施設について詳しく解説していきます。

  • 住宅型有料老人ホーム
  • 介護医療院

親の現在の身体状態や、将来的に必要となる医療的ケアを見据え、最適な選択肢を比較検討してください。

住宅型有料老人ホーム

一般的な住宅型有料老人ホームは、外部の訪問介護や訪問看護と個別に契約してサービスを利用する仕組みです。

しかし近年、外部サービスを自由に組み合わせられるという利点を活かし、医療ケアに特化した「ナーシングホーム」や「ホスピス型」と呼ばれる住宅型有料老人ホームが急増しています。

ケアマネージャーであり社会福祉士でもある桐島さんにお話を伺いました。

桐島さん_インタビュー
ケアマネージャー・社会福祉士の桐島さん
監修者プロフィール_桐島 慎治(きりしま しんじ)_株式会社ケアリサーチ
社会福祉士・元ケアマネージャー 桐島さん
最近は、住宅型有料老人ホームやサ高住であっても、看護師の配置をぐっと手厚くした医療特化型の施設が増えてきていますね。そうした施設が総称して「ナーシングホーム」「ホスピス型」と呼ばれることが多くなっています。
主に要介護3から5といった、医療ニーズが高い方たちを対象としていますよ。

元看護師の菅原さんも、ナーシングホームやホスピス型の住宅型有料老人ホームは手厚いサポートを受けられると話しています。

株式会社ナースビジョン 菅原さん
特養では受け入れが難しい人工呼吸器などの重篤な医療ケアが必要な方を専門に受け入れる、医療保険対応型の住宅型有料老人ホームが全国的に広がっています。
こうした施設は、特養の何倍も職員を手厚く配置していることが多いので、スタッフにも余裕があり、結果的にとてもきめ細やかなサポートを受けられるのが特徴です。

また、介護職員として10年間勤務され、現在は高齢者施設の紹介業を営んでいる和田さんによると、こうした住宅型有料老人ホームは看取りの場所としても選ばれているといいます。

和田さん
介護職員・高齢者施設紹介業経営 和田さん
医療ケアが手厚いホスピス型の有料老人ホームは、介護士や看護師が24時間常駐している場合が多いです。そのため、病院を退院された後に日常的な医療行為が必要な方や、「最期まで自分らしく暮らしたい」という看取りの需要を満たす受け皿としても需要が高まっています。

さらに、がん末期の方や難病の方など、より重篤な状態の方を専門に受け入れる施設も存在します。

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介護医療院

介護医療院は、「長期的な医療ケア」と「日常的な介護」の両方を必要とする要介護者向けの施設です。

医師や看護師が手厚く配置されており、看取りやターミナルケアにも対応していますが、入居前に知っておくべき注意点もあります。

元看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さんにお話を伺いました。

株式会社ナースビジョン 菅原さん
介護医療院の場合、お医者さんは配置されているものの、積極的な治療を行う場というよりは特養や老健に近い位置づけの施設になります。
お薬の調整などはもちろん可能なんですが、高度な医療的処置はほとんどできない場合もあるので、その点は注意が必要です。

介護医療院はあくまで「生活の場」としての性格が強いため、病気の根治を目指す手術や治療をメインに行う場所ではありません

日常的な医学的管理のもとで、穏やかに療養生活を送りたい方に適した施設と言えるでしょう。

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まとめ

本記事では、介護付き有料老人ホームにおける訪問看護の利用ルールと、施設で提供されるケアの実態について解説しました。

【本記事の重要なポイント】

  • 介護付き有料老人ホームでの外部の訪問看護利用は原則不可(介護保険の二重請求となるため)
  • 特別訪問看護指示書の交付や特定疾患に該当し、医療保険が適用される場合は例外的に利用可能
  • 施設内の看護職員と介護職員による24時間体制のケアへ移行するため、日常的な安全性とケアの質は十分に担保される
  • 現在の訪問看護の継続や、より手厚い医療的ケアを希望する場合は、他の施設形態の検討も有効

長年お世話になった訪問看護師から離れることに不安を感じるかもしれませんが、介護付き有料老人ホームには、利用施設スタッフによる手厚いケアが受けられる可能性が高いです。

親の現在の身体状態と、将来的に必要となるであろう医療的ケアを正確に把握し、確実に対応できる施設を見極めることが入居後の安心につながるでしょう。

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