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  • 【公開日】2022-10-19
  • 【更新日】2023-03-31

介護保険申請ができる人は?具体例からできない人、申請の流れまで解説

介護保険申請ができる人は?具体例からできない人、申請の流れまで解説

親が病気にかかって介護が必要になったり、外出中や自宅での転倒などによって介護が必要になった方にとって、必要不可欠な制度に介護保険制度があります。

介護保険制度は、40歳以上の国民が強制加入となる保険制度で、介護が必要になった方はヘルパーなどの介護保険サービス自己負担1~3割の費用で利用することが出来ます

ただし、介護保険制度は申請する本人の要件を満たしている必要がある他、申請する要件を満たしているからと言ってすぐに介護保険サービスを利用することはできません。

そこで本記事では、介護保険申請が出来る人や具体例、介護保険を申請する流れについて解説していきます。

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公益社団法人青少年健康センター 理事
所有資格:CFP®,FP技能士1級,総合旅行業務取扱管理者
専門分野:高齢期の資金計画
職業: ファイナンシャルプランナー
出身組織: 駒沢大学大学院

1963年、東京都港区生まれ。 大学1年生のときにフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後は、新聞、雑誌、ウエブに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などもおこなう。 ひきこもりのいるご家庭向けに生活設計アドバイスをおこなう「働けない子どものお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスをおこなう「高齢期のお金を考える会」、教育資金アドバイスをおこなう「子どもにかけるお金を考える会」を主宰している。著書・監修書は、「おひとりさまの大往生 お金としあわせを貯めるQ&A」(主婦の友社)ほか、70冊を超える。プライベートでは、二男一女の母。詳しくはこちら

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介護保険申請ができる人

介護保険申請が出来るのは65歳以上の第一号被保険者にあたる方、40歳以上65歳未満の第二号被保険者で16種類の特定疾病と診断された人に限ります

本章では介護保険申請が出来る人について解説していきます。

介護保険申請ができる本人の要件

介護保険申請が出来る本人の要件としては、65歳以上で第一号被保険者にあたる方、40歳以上65歳未満の第二号被保険者で16種類の特定疾病と診断された方に限ります。

16種類の特定疾病は以下のものです。

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※
  2. 関節リウマチ※
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※【パーキンソン病関連疾患】
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症※
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険申請が出来る人の要件をまとめると以下の表のようになります。

65歳以上の方(第一号被保険者) 40歳以上65歳未満の方(第二号被保険者)
申請できる人 65歳以上の方 40 歳以上 65 歳未満の健康保険組合、協会けんぽ(全国健康保険協会)、居住地の国民健康保険、後期高齢者医療制度などの医療保険加入者
受給要件 ・要介護状態

・要支援状態

要介護(要支援)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病※)による場合に限定。
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介護保険申請ができる人でも受給できない可能性がある

介護保険申請が出来るのは上記で解説した人になりますが、介護保険申請が出来るからと言ってすぐに介護保険を利用することが出来るわけではないことに注意しましょう。

というのも、介護保険サービスを利用するには要介護認定の申請をした後に、医師の診断書や人調査員による訪問調査、コンピュータによる判定などを経て要支援1~2、要介護1~5の7段階のいずれかに分類されます。ただし、要支援、要介護とも「非該当」という判定が出る場合もあります。

介護度が重くなるほど、利用できる介護サービスの量も増えていきます。つまり、要支援などの認定を得た場合は、要介護5などと比較して利用できる介護保険サービスが限られる他、介護保険サービスごとに定められた単位に上限があるので頻度も少なくなることに注意しましょう。

すでに介護が必要だと認められた場合は、認定が受ける前に介護サービスを開始できるケースもあります。

また、第二号被保険者で特定疾病の診断をされた方でも、要支援・要介護状態に陥った理由として特定疾病が原因として推察できない場合は要介護認定の対象とならないことに注意しましょう。(出典;厚生労働省「介護保険(第2号被保険者向け)リーフレット1 18-0920-2」)

したがって、介護保険申請が出来るのは第一号被保険者にあたる65歳以上の方、第二号被保険者で16種類の特定疾病と診断された方となりますが、申請が出来るからと言ってすぐに介護保険サービスを利用することは出来ないことに注意しましょう。

本人と家族以外に代理で申請できる人

介護保険申請ができる場合は自治体の窓口にて要介護認定の申請をすることとなりますが、本人と家族以外にも地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業者、介護保険施設が申請を代行することも可能となっています。

本人が入院していて家族が遠方に住んでいるという場合は家族が郵送で申請することもできます。

また介護保険申請をしたあと、老人ホーム・介護施設をお探しの際には、ケアスル介護への相談がおすすめです。

ケアスル介護では全国で約5万もの施設から、入居相談員がご本人様にぴったりの介護施設を紹介しています。

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介護保険申請ができる人の例

介護保険申請ができる人の例としては、認知症などによって身の回りの世話が出来なくなってしまった方や、現在病院に入院していて、食事や歩行に介助が必要なる方、自宅で骨折や転倒などによって日常生活に介助が必要になった方が具体例として挙げられます。

内閣府の調査によると、要介護者のうち介護が必要になった原因としては「認知症」が17.618.1%として最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」が16.1%、「高齢による衰弱」が12.8%、「骨折・転倒」が12.5%となっています。(出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和元年)

中でも現在病院に入院している方の場合は、入院中は医療保険と介護保険を併用することはできないので申請は退院のめどがついた際にすることとなります。要介護認定の申請から認定結果が出るのは1カ月程度期間がかかるので余裕をもって申請するようにしましょう。

介護保険申請ができない人

介護保険申請が出来ない人としては、第一号被保険者にあたらない人や、40歳以上65歳未満で16種類の特定疾病と診断されていない方に加えて、一度要介護認定を受けて60日以上期間が経過した人などが考えられます。

というのも、、コンピュータによる一次判定や、介護認定審査会による二次判定審査が行われますが、要介護認定の結果に納得できない場合は「不服申し立て」として結果を受け取った翌日から60日以内であれば、介護保険審査会に申し立てを行えます。

そのため、60日間を経過すると不服申し立てとして再度申請をすることが出来ない他、原則として新規申請の場合は要介護認定結果の有効期間が6か月間となるので、残りの4か月間は不服申し立てとして再申請出来ないこととなります

ただし、病気やけがによって要介護度が変わったと判断できる場合には「区分変更申請」としていつでも申請を行うことが出来るので、不服申し立ての期間が過ぎてしまって再申請ができない人でも状況が著しく変化下という場合は再申請することが可能になっています。

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介護保険申請の流れ

介護保険申請の流れとしては、以下の7ステップあります。

  1. 申請書類の提出
  2. 主治医から意見書をもらう
  3. 訪問調査
  4. 一次判定(コンピュータによる判定)
  5.  二次判定(介護認定審査会による判定)
  6.  要支援・要介護認定の認定と認定結果の通知
  7.  ケアプランの作成

それぞれの介護認定の流れについて確認していきます。

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申請書類の提出

介護保険申請の最初のステップとしては申請書類の提出があります。申請に必要な書類は以下の5種類となります。

  1. 介護保険要介護認定・要支援認定等申請書
    └書類は自治体の窓口やホームページからダウンロードすることが出来ます
  2. 介護保険被保険者証
  3. 医療保険被保険者証のコピー(特定疾病と認められた第二号被保険者のみ)
  4. 窓口に来所する方の本人確認書類(どちらか1点)
    1. 写真付きの公的身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、住基カード、障碍者手帳など)いずれか一点
    2. 写真無の公的身分証明書(介護保険被保険者証、医療保険被保険者証、介護保険負担割合証)いずれか2点
  5. 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)

また、本人以外が申請する場合は「委任状」「印鑑」「代理人の身元を確認することが出来るもの」が必要となることに注意しましょう。

本人や家族以外では、居宅介護支援事業者や介護保険施設、社会保険労務士などが申請を行えます。

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主治医から意見書をもらう

介護保険申請の2つ目のステップとしては、主治医からの意見書の提出です。というのも、介護認定の中でも認定調査の流れとしては以下の図のように主治医の意見書をもとに判断を下すことが一般的です。

要介護認定の調査内容と流れ

したがって、かかりつけ医がいる場合は市区町村の依頼をもとに主治医に意見書を作成してもらい、これを提示して要介護認定の判断材料としてもらいましょう。

主治医やかかりつけ医がいないという場合は市区町村による紹介を受けて、医師の診断を受けます。

訪問調査

介護保険申請の3つ目のステップは訪問調査です。訪問調査では、市区町村の担当者やケアマネージャーが自宅や入院先を訪問して申請者本人の心身の状態を確認したり、生活状況・家族構成などの聞き取り調査を実施します。

要介護認定ではその人に対してどの程度の介護が必要かについて以下の5つの項目から判断されます。以下の項目ごとに、「この人であればそれぞれの介護についてどのくらい時間を要するか」という「要介護認定基準時間」を自動的に算出し、要介護度の認定がなされます。

分類 内容
直接的生活介助 入浴、排泄、食事等の介護
間接的介助 洗濯、掃除等の家事援助
問題行動関連行為 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為 輸液の管理、上則の処置等の診療の補助

認定調査員による訪問調査では上の5つの情報を総合して要介護認定の審査は行われるため、必要な情報は漏れなく伝えておくようにしましょう。特に認知症の場合はどの程度進行が進んでいるのか、実際の生活においていかなる支障をきたしているのかなども、細かく伝えておかなければなりません。

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一次判定

介護認定の4つ目のステップは、医師による意見書や訪問調査によって得た情報を調査する一次判定です。ここでは申請者や代理申請者は特にやるべきことはありません。

認定調査員による訪問調査と主治医意見書などのデータをもとに、約3,500人に対して行った「1分間タイムスタディ・データ」から要介護度を推計します。「1分間タイムスタディ・データ」については厚生労働省より以下のように説明されています。

要介護度判定は「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」を判断するものですから、これを正確に行うために介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間にわたり、どのような介護サービス(お世話)がどれ位の時間にわたって行われたかを調べました(この結果を「1分間タイムスタディ・データ」と呼んでいます。)。(厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」より抜粋)

「1分間タイムスタディ・データ」の中から調査された方と最も近い方を探し出して、要介護度を推計します。推計は、5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)から要介護認定介護時間を算出し、その時間と認知症加算の合計をもとにして介護度を判定します。

要支援1 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2要介護1 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態

二次判定

介護認定の5つ目のステップは介護認定審査会による二次判定です。

一次判定の結果や主治医の意見書などを参考にして、介護認定審査会(保健医療福祉の学識経験者5名程度で構成)で2次判定が行われます。

介護認定審査会、介護はもちろん、保健や医療、福祉などの各分野の専門家が集まっている階になります。二次判定の結果で支援や介護が必要と判断されると、要支援または要介護の認定が下ります。

要介護認定の通知

介護認定の6つ目のステップは、要支援、あるいは要介護認定の認定を行い、その結果の通知です。認定結果は「申請日から30日以内に利用者に通知する」という決まりがあるので、1カ月以内には認定結果が届きます、

認定結果は「非該当(自立)」「要支援1・2」「要介護1~5」のいずれかとなっており、要介護度が明記された結果通知書と、被保険者証が届きます。認定ごとの体の状態については以下の一覧表のとおりです。

介護度の段階 状態
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定日常生活において部分的に介護が必要
要介護2 立ち上がりや歩行が自分でできないことが多い日常生活全般に部分的な介助が必要
要介護3 立ち上がりや歩行が自分では困難日常生活全般に全介助が必要認知症の症状により日常生活に影響がある状態
要介護4 立ち上がりや歩行が自力ではほとんどできない食事などの日常生活が介護がないと行えない理解力の低下により意思疎通がやや難しい状態
要介護5 寝たきりの状態日常生活全般ですべて介助が必要理解力の低下が進み意思疎通が困難な状態

認定の結果に納得できない場合は、市区町村役場の介護保険課の、認定審査係の担当者に結果についての相談をしましょう。どのような理由でその認定結果になったのか、理由を確認したり、要支援度や要介護度を上げられないかなどの相談をしたりすることがおすすめです。

もし担当者から説明を受けても納得できないなら、各都道府県に設置されている「介護保険審査会」に審査請求を行いましょう。

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ケアプランの作成

介護認定の最後のステップはケアマネージャーによってケアプランを作成してもらうステップです。というのも、介護保険サービスは要介護認定を受けただけでは利用することが出来ず、どのサービスをどの程度利用するのかの計画書である「ケアプラン」を自治体に提出する必要があります。

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介護保険申請が出来る人は申請に向けて動きだそう

本記事では介護保険申請が出来る人に焦点を当てて申請の条件等について確認してきましたが、介護保険申請が出来る人はぜひ申請に向けて動き出しましょう。

というのも、在宅介護をする場合においても施設への入所を検討している場合は介護保険サービスの利用が必要不可欠になってきます。

介護保険サービスの利用の流れを意識してぜひ申請に向けて動き出しましょう。

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介護保険申請ができる人とは?

介護保険申請ができる人は、「65歳以上の第一号被保険者にあたる方」と「40歳以上65歳未満の第二号被保険者で16種類の特定疾病と診断された人」となります。詳しくはこちらをご覧ください。

介護保険申請ができない人は?

第一号被保険者にあたらない方や、40歳以上65歳未満で16種類の特定疾病と診断されていない方、1度要介護認定を受けてから60日以上経過した方などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

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