ケアハウスの人員基準は?各職員の役割や他の施設との比較情報まで紹介

ケアハウスの人員基準は?各職員の役割や他の施設との比較情報まで紹介

ケアハウスは、自立した生活を送ることが難しい60歳もしくは65歳以上の高齢者を対象にした介護施設です。

主に社会福祉法人や医療法人、都道府県知事の認可を受けた民間企業などが運営している施設であり、他の介護施設と比べ安い費用で利用しやすいのが特徴となっています。

ですが、入所するにあたっては、どの程度のサービスを受けることができるか気になるのではないでしょうか。

本記事では、ケアハウスの人員基準の解説をはじめ、各職員の役割の紹介や他施設の人員基準との比較まで行うため、サービスの手厚さや施設の特徴を理解することができるでしょう。

参考になれば幸いです。

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訪問介護事業所あんどけあ 管理者
所有資格:介護職員基礎研修、住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員、福祉用具プランナー
専門分野:介護・福祉領域全般
職業: 管理者、訪問介護員

2013年に介護職員基礎研修過程を受講した後、福祉用具貸与事業所にて勤務。相談員業務の他、事業所管理者等の経験を積みながら、地域包括支援センター主催のセミナーや、介護者向けセミナーの講師を行った。その後、サービス付き高齢者向け住宅や訪問介護事業所を運営する法人に所属し、サ高住や訪問介護事業所の運営に携わる。 2022年に訪問介護事業所を開設し、現在は管理者兼訪問介護員として地域の高齢者や障害者の生活を支援する。詳しくはこちら

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ケアハウスの人員基準

ケアハウスの人員基準は、以下の通りとなっています。

職種 配置基準 入所者100人に対して
必要な人数
施設長 1人(兼務可) 1人
生活相談員 入所者120人ごとに1人 1人
介護職員・看護職員 要支援者10人、また要介護者3人につき介護職員・看護職員のどちらかを1名配置する必要がある
(看護職員は、要介護者が30人までの施設には最低1人、それ以上については50人ごとに1名以上配置する必要がある)
合わせて34人
(看護職員は2人以上必要)
栄養士 1人以上 1人以上
事務員 1人以上 1人以上
調理員・その他職員 当該施設の実情に応じた適当数 施設により異なる

出典:厚生労働省

施設長

施設長の配置基準は1人となっています。

施設長の条件として、以下の2点のどちらかを満たす必要があります。

  • 社会福祉士などの有資格者あるいは社会福祉事業に2年以上携わった経験があること
  • 社会福祉施設長資格認定講習会(通信授業6か月・面接授業5日間)を受講している

同一施設内であれば、兼務も認められています。

生活相談員

入所者120人ごとに1人配置する必要があります。

生活相談員の条件として、社会福祉主事任用資格者・社会福祉士・精神保健福祉士などの資格を有していることが挙げられます。

また、自治体によっては、一定期間以上の介護職経験があることを条件として定めている場合があります。

介護職員・看護職員

要支援者10人、また要介護者3人につき、介護職員か看護職員を1人配置する必要があります。

ただし、看護職員については、要介護者30人までは1人、30人を超える場合は50人ごとに1人配置しなければなりません。

また、介護職員のうち1人以上は常勤である必要があります。

栄養士

栄養士は1人以上の配置が必要であり、1人は常勤でなければなりません。

ただし、入所者数が40人を下回る場合、または他の社会福祉施設等の栄養士との連携によって効果的な運営ができる場合には、配置する必要がないとされています。

事務員

事務員は1人以上の配置が必要であり、1人以上は常勤でなければなりません。

ただし、入所者数が60人を下回っており、入所者に提供するサービスに支障がないと判断される場合は配置する必要はないとされています。

調理員

調理員は、当該施設の実情に応じた適当数を配置すれば良いとされており、明確な配置基準は設けられていません。

また、入所者数が40人を下回る場合、または他の社会福祉施設等の栄養士との連携によって効果的な運営ができ、調理業務の全てを委託する場合には、配置する必要がないとされています。

ただし、調理員の条件として、国家資格である調理免許を持っている必要があります。

その他の職員

その他の職員は、調理員同様、当該施設の実情に応じた適当数を配置すれば良いとされており、明確な配置基準は設けられていません。

その他の職員として、以下の職種が挙げられます。

機能訓練指導員

機能訓練指導員とは、主にリハビリ等の業務を担当する職種です。

また、機能訓練指導員の条件として、以下のいずれかの資格を有している必要があります。

  • 理学療法士(リハビリの実施)
  • 作業療法士(心理的なリハビリの実施)
  • 言語聴覚士(言語のリハビリの実施)
  • 柔道整備士(靭帯の損傷などに対応)
  • あん摩マッサージ指圧師(入居者の身体の不調に対応)
  • 看護師
  • 准看護師
  • 鍼灸師

計画作成担当者(ケアマネジャー)

計画作成担当者は、いわゆるケアマネジャーのことを指します。

介護支援専門員の資格が必要で、兼務も可能となっています。

ケアハウスへの入所を検討しているという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。

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ケアハウスで働く各職種の仕事内容

本項目では、ケアハウスで働く各職種の仕事内容について紹介します。

施設長

施設長の仕事内容は、施設全体の管理業務を担うことが多い職種です。

主な管理業務として、以下の業務が挙げられます。

入所者管理
  • 入所者ごとに適切な介護サービスが提供されているかどうかの確認
  • 入所者やご家族との面談
職員管理
  • 職員の採用や育成
  • 職員の配置
  • 労務管理
運営管理
  • 法令を守ったうえで施設の運営ができているかの確認
  • 外部への広報や営業活動
行政管理
  • 必要書類の作成・提出
  • 施設運営に必要な手続きの遂行
収支管理
  • 入所者との契約業務や保険請求業務
  • 人件費の管理や介護報酬の請求

これらの業務の一部は事務員が担当することもありますが、施設長は多くの業務を担当する必要があり、責任の重い職種になります。

生活相談員

生活相談員は、施設利用で必要な窓口業務、入所者やその家族の日常的な相談、地域との連携業務、関連機関との連絡・調整などを担当しています。

施設での暮らしに関することやそれ以外の悩みについても気軽に相談することができ、入所者やその家族にとって大きな支えとなることも多いです。

介護制度について分からないことや、サービスについての費用面など気負わずに相談してみると良いでしょう。

介護職員

入所者の生活を、「身体介護」「生活援助」「余暇活動」など、あらゆる面から支援するスタッフです。

具体的な内容としては、食事・入浴・排せつの介助のほか、洗濯・掃除といった生活援助、レクリエーションの企画・運営などが挙げられます。

24時間の常駐義務はありませんが、多くの施設では夜間でも介護職員が配置されています。そのため、夜間に入居者の体調が急変した場合でも、迅速な対応・処置を行ってくれます。

介護士は介護のプロフェッショナルであるとともに、入居者にもっとも近い位置でサポートを提供し、入居者の心のパートナーとして心豊かな暮らしを支えています。

看護職員

看護職員は、入所者の健康管理や日常的な処置が必要な医療行為など、医療面のサポート全般を担当するスタッフです。

体温や脈拍、血圧などのバイタル測定をはじめ、医師の指導のもと投薬やインスリン投与、たん吸引といった幅広いケアを提供します。

看護職員は介護士・リハビリ職と密接に連携し、入所者の体調や生活リズムやしっかりと管理しています。

日常的な健康管理から、高度な医療ケアまで、きめ細やかなサポートで、入居者の健やかな生活を守る役職です。

栄養士

栄養士は、入居者の健康のため、食事の面から栄養ケア・マネジメントを担うスタッフです。

具体的には日々の献立の作成や食材の発注・調理、一人ひとりの身体状況に合わせてソフト食や刻み食の対応などを行います。

季節のイベント時には、旬の食材を使用した特別メニューを用意するなど、余暇活動の面からも健康にアプローチしています。

食が細くなりがちな高齢者のため、美味しく・楽しい食事を大切に、元気の源を提供しています。

事務員

事務員は、介護報酬の請求や備品発注、電話対応などのデスクワークを主に行っており、施設職員のサポートを担っている職種になります。

あくまでも、事務作業や施設職員のサポートが主な業務内容であるため、実際に施設入所者の介護をする必要はありません。

ですが、自治体や国などの関連機関に対する業務もあるため、介護保険や施設に関する条例について詳しい人でなければ難しい仕事であると言えるでしょう。

調理員

調理員は、施設の入所者に提供する食事の調理業務を担当している職種になります。

主な業務内容としては、調理・配膳・片付けをはじめ、メニューの考案や食材の管理(発注や買い出し)などがあり、調理に関しては、入所者一人ひとりの身体状況に合わせてソフト食や刻み食の対応などが求められます。

入所者の身体の健康を維持できるよう、味付けや調理方法を工夫し、美味しく食べることができる食事を提供しています。

機能訓練指導員

機能訓練指導員は、入所者の身体機能の維持・回復を目指し機能訓練(リハビリ)を行う職種です。

仕事内容としては、機能訓練だけでなく、入所者の身体機能の評価や機能訓練計画表の作成、また3か月ごとの機能訓練計画表の見直しなどが挙げられます。

残された身体機能で可能な限り自立した生活が送れるよう、身体機能という面から入所者を支援する重要な仕事です。

計画作成担当者(ケアマネジャー)

計画作成担当者は、入所者一人ひとりに最適なケアプランを作成する職種です。

業務内容としては、ケアプランの作成であり、大規模な施設では100人ほどのケアプランを任されることもあります。ケアプランは、施設内で提供されるサービスを組み合わせ、入所者一人ひとりに最適なかたちで作成する必要があるため、介護職員や看護職員などの他の施設職員と密に連携を取ることが重要になります。

なお、小規模な施設の場合は、必要に応じて入所者の介護を任される場合もあります。

ケアハウスで受けることができるサービス

ケアハウスで受けることができるサービスは、「一般型」「介護型」で異なります。

一般型では、生活援助や食事の提供を主に行っており、介護型ではそれらに加えて介護サービスや医療ケアを提供しています。

それぞれのケアハウスで受けることができるサービスは、以下の通りです。

一般型ケアハウス 介護型ケアハウス
身体介護(入浴・排せつなど) ×
医療ケア ×
機能訓練(リハビリ) ×
生活援助サービス(掃除・洗濯など)
食事の提供
緊急時対応

1つずつ見ていきましょう。

身体介護

身体介護とは、食事や入浴、排せつ、着替えなどの介護であり、直接肌に触れて行う介護のことを指します。

介護職員を24時間配置する義務はありませんが、多くの施設では介護職員が24時間常駐していると思っても問題ありません。

そのため、夜間に介護が必要になった場合でも、介護を受けることができます。

医療ケア

医療ケアとは、日常生活を送るうえで必要な医療処置のことを指します。

提供できる医療ケアは、介護職員と看護職員で異なっており、介護型のケアハウスでは専門的な医療ケアを受けることが可能です。

医療ケアに該当するものは、以下の通りです。

  • 痰の吸引
  • 経管栄養
  • インスリン注射
  • 床ずれの処置
  • 人工呼吸器の管理

日常生活を送るうえで医療ケアが必要な方は、介護型のケアハウスを検討するといいかもしれません。

機能訓練

機能訓練とは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士等の資格を持った職員による身体機能のリハビリを指します。

基本的なリハビリの内容としては、以下の通りです。

  • 寝返り・立ち上がり・起き上がり等の基本動作
  • 箸を使う・ドアの開閉動作・浴槽のまたぎ動作などの日常生活動作
  • 掃除機の操作・洗濯ものを干す・食事の配膳等の家事動作

一般型のケアハウスでは、提供していない可能性が高いので注意が必要です。

生活援助

生活援助とは、掃除や洗濯、薬の管理等の日常生活を送るうえで必要になる生活動作のサポートになります。

こちらのサービスは、一般型・介護型の分類を問わずどちらでも受けることができるサービスとなっています。

食事の提供

ケアハウスでは、基本的に毎日3食の食事が提供されます。

そのため、入所者が自炊をする必要がなく、一部負担を軽減することができます。

ケアハウスでは、栄養士を配置する義務があるため、栄養士によって考えられた栄養価の高い健康的な食事を摂ることができます。

こちらのサービスも、一般型・介護型の分類を問わずに受けることができるサービスとなっています。

緊急時対応

緊急時対応とは、夜間などの職員の少ない時間帯に、入所者の緊急事態に対応するサービスとなっています。

意識レベルや身体状態の確認、怪我の処置や救急車の手配など、起こった事態に応じて介護職員や看護職員等の施設職員が必要な対応をしてくれます。

緊急時対応は一般型・介護型の分類を問わず提供している場合が多いです。

サービスの手厚い施設に入所したいという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。

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ケアハウスと他施設の比較

ここまで、ケアハウスの人員基準や各職員の役割、受けることができるサービスについて紹介してきました。

本項目では、ケアハウスと他施設の人員基準を比較し、違いを見ていきます。

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ケアハウスと特養(特別養護老人ホーム)の人員基準の違い

ケアハウスと特養の人員基準の違いは、以下の通りです。

職種 配置基準
ケアハウス 特養
医師 必要数
施設長 1人
生活相談員 入所者120人ごとに1人 入所者100人ごとに1人
介護職員・看護職員 要支援者10人、また要介護者3人につき1人 入所者3人につき1人
栄養士 1人以上 1人以上
機能訓練指導員 必要数 1人以上

出典:厚生労働省ホームページ

特養は、原則として要介護3以上の高齢者を対象とした公的な介護施設であり、ケアハウスより介護の必要性が高い比較的重度の高齢者を介護する必要があります。

そのため、ケアハウスにはない医師や機能訓練指導員の配置義務があるなど、より専門的な医療ケアやリハビリサービスを受けることができます

要介護度が高い方や専門的な医療ケアを必要とする方は特養の方が適していると言えるでしょう。

ケアハウスと介護付き有料老人ホームの人員基準の違い

ケアハウスと介護付き有料老人ホームの人員基準の違いは、以下の通りです。

職種 配置基準
ケアハウス 介護付き有料老人ホーム
施設長 1人 1人
生活相談員 120人ごとに1人 必要数
介護職員・看護職員 要支援者10人、また要介護者3人につき1人 必要数
栄養士 1人以上 必要数
調理員 1人以上 必要数
機能訓練指導員 必要数 必要数

出典:厚生労働省ホームページ

介護付き有料老人ホームは具体的な人員配置基準が定められておらず、入所者数に対し、必要だと思われる人数分を配置すれば良いとされています

そのため、施設によって職員の数が大きく異なり、それに伴いサービスの手厚さも大きく異なります。

サービスの手厚さから快適に生活できる施設もあれば、医療ケアや機能訓練を受けることができないという施設もあるため、事前に確認することをおすすめします。

必要最低限のサービスが保証されている施設に入りたいという方は、ケアハウスの方が向いていると言えます。

まとめ

本記事では、ケアハウスの人員基準をはじめ、各職員の仕事内容や受けることができるサービスの解説や、他施設との比較を行いました。

ケアハウスは、有料老人ホーム等の民間団体が運営する施設に比べ、各職種に明確な基準が定められているため、サービス内容や手厚さが保証されており、安心して入所することができる施設と言えます。

ケアハウスは看護職員や栄養士等の配置義務があるため、医療ケアや食事面のサービスが手厚いことが分かります。

入所を検討する際は、人員基準や受けることができるサービスを把握し、施設の特徴を理解したうえで決断するようにしましょう。

 


ケアハウスの人員基準は?
ケアハウスには、施設長や生活相談員、介護・看護職員、栄養士、調理員などの職種に人員基準が定められています。詳しくは、こちらをご覧ください。

ケアハウスではどんなサービスが受けられるの?
ケアハウスでは、介護サービスや医療ケア、生活援助、食事の提供、機能訓練等のサービスを受けることができます。詳しくは、こちらをご覧ください。
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