「父が認知症による症状をなかなか認めてくれなくて、病院にも連れていけない」と悩んでいませんか?
一見、認知症は自身の症状に気づいていないと思われがちですが、実は自分自身で症状に気づいている可能性も十分あり得ます。
本記事では、家族に認知症であると自覚させる方法を解説します。また、認知症であると本人に自覚させたあとの流れについてもお伝えしますので、ぜひご覧ください。
認知症の方に症状を自覚させるには?
ここでは、認知症の疑いがある家族に症状を自覚させる方法と、注意点を3つ解説します。認知症の疑いがある方に診察を受けさせるには、まず自分の症状について自覚させなければいけません。
しかし、直接的に「あなたに認知症の疑いがある」と告げてしまったら、傷つけてしまう恐れがあります。ここで解説する内容を参考にすれば、ご家族を傷つけずに病院へ連れて行きやすくなるでしょう。
嘘をつかないように気をつける
嘘をついて無理やり認知症の受診をさせると、家族に対して不信感を募らせる可能性があるため、嘘をつかないように気をつけましょう。
認知症の方が家族に対して不信感を募らせてしまっては、誰も信用できなくなってしまう恐れがあります。
認知症の方を病院へ連れていく際は、オブラートに包んで「最近少し物忘れがあるから、病院で診てもらおうか?」と声かけをするとよいでしょう。
なお、診察を受けてもらうためには、無理やり病院へ連れていくのではなく、本人の意思で診察に行ってもらうことが大切です。
家族以外の第三者から受診を勧めてもらう
家族から受診を促されると、甘えや見栄を張って病院へ受診してくれない可能性があるので、家族以外の第三者から受診を勧めてもらうようにすると、受け入れてもらいやすくなるでしょう。
特にかかりつけ医からの勧めは、定期的なコミュニケーションによる信頼関係もあるため、診察を受けてくれやすくなります。
もしかかりつけ医がいないようであれば、友人の方から受診を勧めてもらうと、聞き入れてもらいやすいでしょう。
本人の気持ちを理解する
認知症になった本人が一番不安を感じているため、その気持ちを理解したうえで、受診を勧めるように心がけてください。
例えば、本人と話す際は「怒らない」「発言を否定しない」を心がけたうえで、コミュニケーションを取るとよいでしょう。
本人の話に怒ってしまったり、発言を否定したりすると、不安が増幅してしまいます。それどころか、自分の殻に閉じこもってしまってしまい、周囲に対して不信感を抱き始めるかもしれません。
本人が一番つらい状況であると理解したうえで、これまでと変わらずに接するとよいでしょう。
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認知症の方が症状を自覚できない理由は?
ここでは、認知症の方が症状を自覚できない理由を3つ解説します。
- 不安を感じやすくなる
- 以前より失敗しやすくなった自分を認めたくない
- 疲労が蓄積する
なかには、意地でも自分が認知症であると認めない方もいるでしょう。
認知症だと認めたくない姿勢を見せる場合には、まず気持ちに寄り添うことが大切です。どのような心理状態なのかを把握したうえで、認知症の治療を勧めるようにしましょう。
不安を感じやすくなる
認知症の方は集合場所や時間を覚えるのが難しいため、不安を感じやすく、苛立ちも伴いやすくなります。なぜなら、認知症になると記憶を司る海馬へのダメージによって、記憶障害が起こってしまうからです。
ほかにも、認知症になると理解力や判断力が低下してしまったり、以前まで関わりがあった方の名前を忘れてしまったりします。例え、この記事を読んでいるあなたが父親だと認識していたとしても、認知症のお父様からすると、他人に思えてしまうのです。
他人と認識している人から病院へ行こうと言われても、付いていこうとは思わないでしょう。認知症の症状があらわれると、周囲に対する不信感が生まれ、症状を自覚しにくくなるといえます。
以前より失敗しやすくなった自分を認めたくない
認知症が進行していくと、失禁や道に迷うなど失敗と捉えられる行為の回数が多くなります。そんな失敗しやすくなった自分を認めたくないとの考えから、敢えて自覚していない素振りを見せる場合があります。
本人は頑なに認知症であると認めないため、本当に症状を自覚していないのではないかと思う方も多いでしょう。しかし、本当は症状は自覚しているけど、症状が悪化する不安や家族に見放されるのではないかという不安から、認めない場合がほとんどです。
過度に失敗について指摘すると、本人のプライドを傷つけてしまいます。そのため、失敗には触れずに、「何か困ったことがあったらいつでも相談に乗るよ」と悩みや相談に耳を傾けるようにしましょう。
疲労が蓄積する
認知症の方は、自分で何か物事を行おうとすると、人一倍の集中力が必要なため、疲労が蓄積する傾向にあります。
頭の中で「自分が認知症ではないか?」「いや、認知症であるはずがない」と考えるだけでも、本人にとっては疲れの一因になり得ます。
認知症の方は健常者よりも、人一倍疲労を溜め込んでしまう傾向にあるため、過度に自分の症状から目を背けている方もいます。
本人が症状を自覚しやすい環境を整えるためにも、周囲で騒がしくしたり、無理に話しかけたりするのは控えましょう。

認知症だと自覚せず治療を受けてくれない場合は?
ここでは、認知症だと自覚せずに治療を受けてくれない場合の対処法を2つ解説します。
- 健康診断として医療機関の受診を間接的に促す
- 地域包括支援センターを利用する
できるだけオブラートに包んで認知症の傾向があると伝えることが大切です。
直接的に「あなたは認知症だ」と伝えると、相手の自尊心を傷つけてしまい、認知症治療をより受けなくなってしまうかもしれません。
そのため、間接的な方法で治療を進められるように、できる工夫からやっていきましょう。
健康診断として医療機関の受診を間接的に促す
健康診断と称して医療機関の受診を促せば、診察を受けてくれるかもしれません。また、自分が普段通っているかかりつけ医であれば、本人も話を聞き入れてもらいやすくなるでしょう。
さらに、健康診断で物忘れの程度が客観的にわかれば、「脳の健康チェックも受けましょう」と流れに沿って認知症検査も受けてもらいやすくなります。
「もの忘れ外来」を利用する
健康診断を受けたばかりのタイミングだと、健康診断の受診を促すのは難しいです。
そのような場合は、医療機関の「もの忘れ外来」を利用するとよいでしょう。「もの忘れ外来」では認知症対策の専門医師が在籍しているため、安心して診察を任せられます。
なお、「もの忘れ外来」で診断してもらった結果、認知症ではなく、老化による物忘れと診断される場合もあります。
「最近、物忘れが増えてきて少し不安だから、一度受診してみない?」とオブラートに包みつつ「もの忘れ外来」の受診を勧めてみましょう。
地域包括支援センターを利用する
地域包括支援センターを利用すれば、高齢者に対するサポートに慣れていて、安心して任せられます。
地域包括支援センターとは、介護・医療・保険・福祉などさまざまな側面から高齢者を支える窓口です。
地域包括支援センターを利用すれば、認知症医療疾患センターを紹介してくれたり、認知症診療のサポートを行ってくれたりと、さまざまな支援が受けられます。
ただ、認知症の方からすれば見ず知らずの他人から支援を受けることを拒んでしまう可能性も考えられるでしょう。
そのため、地域包括支援センターを利用する際は、最初に家族が相談をして、その次に本人につなげると利用するハードルが下げられます。

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認知症の方が入所できる施設
ここでは、認知症の方が入所できる以下5つの施設を紹介します。
- 特別養護老人ホーム
- グループホーム
- 介護老人保健施設
- 介護付き有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
本記事を読んでいる方の中には、認知症のご家族の介護で心身ともに疲れを感じている方も多いのではないでしょうか。
プロに任せれば、より本人が治療に専念しやすい環境が作れます。また、ご家族の負担も軽くなります。
それでは、入所可能な施設について見ていきましょう。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、常時介護を必要としていて在宅での介護が困難な高齢者に生活全般の介護を提供する施設です。
特別養護老人ホームは施設数が多く、リーズナブルな価格で入居が可能です。「多床室」「従来型個室」「ユニット型個室多床室」「ユニット型個室」と4種類の部屋が用意されています。
基本的に4人部屋へ入居する場合が多いですが、中には2人部屋や個室も用意されています。
なお、特別養護老人ホームには、一時的に入所できる短期入所療養介護や日帰りで利用する通所介護が利用できます。
このように特別養護老人ホームは、一時的に施設へ入居させたい方や介護が1日だけ難しいから施設へ預けたい場合などに適しているでしょう。
グループホーム
グループホームとは、認知症の進行を抑える機能維持を目的とした小規模の介護施設です。グループホームの中では、最大9人のユニットと呼ばれるグループに分類されて、家事を分担して日常生活を送ります。
具体的なサービス内容としては、食事・排せつ・入浴などの介護サービスや認知症ケア、医療的ケア、看取り等のサービスを行っています。
グループホームは少人数の個室であるため、一人ひとりに適切な対処をしてくれるでしょう。さらに、認知症ケアの専門スタッフも常駐しているため、安心して施設へ入居させられます。
介護老人保健施設
介護老人保健施設とは、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職が常駐しており、安定した機能訓練が受けられる施設です。
在宅復帰を目的に運営されており、一般的に3~6カ月での退去が一般的です。
そのため、リハビリによる機能改善を果たして在宅復帰をしてほしい方に適している施設といえるでしょう。
とはいえ、入所から3~6カ月経過したとしても、リハビリで適切な身体状態に回復しない場合や、家族の受け入れ態勢が整わない場合があっても、退去させられるリスクはないので安心してください。
介護老人保健施設では24時間手厚い医療ケアが受けられるほか、機能訓練も充実しているため、短期的に身体状態を回復させたい認知症の方に適している施設といえます。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、24時間介護スタッフが常駐して掃除や洗濯を中心とした身の回りの世話や食事・入浴などの身体的介助を行う施設です。
介護付き有料老人ホームでは、主に以下6つのサービスを提供しています。
- 介護
- 生活支援
- 健康管理・医療管理・緊急対応
- 食事
- リハビリ
- レクリエーション・イベント
介護付き有料老人ホームでは介護を行うものの、あくまで自立支援に向けたサービスであるため、残存能力を引き出す工夫をした介護を行います。
また、日中には看護師が常駐しているので、服薬管理を中心とした健康管理や軽いけがの手当てなどのサポートが可能です。
介護付き有料老人ホームで行われるレクリエーションでは、カラオケや手芸など利用者が楽しめる工夫が凝らされたイベントが開催されます。
そのため、介護付き有料老人ホームでは、認知症で落ち込み気味の気分だったとしても、楽しい日常生活が送れるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅では、安否確認と生活相談のサービスが受けられて、外出の付き添いや食事の提供などのサービスを受けられます。
なお、サービス付き高齢者向け住宅の入居条件は60歳以上の高齢者、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方です。サービス付き高齢者向け住宅は、施設ではなくあくまで賃貸住宅です。
そのため、下記の3つの条件を満たせば、利用者以外の方も同居できます。
- 配偶者
- 60歳以上の親族、要支援・要介護認定を受けている親族
- 特別な理由によって同居させる必要があると知事が認める者
ただし、サービス付き高齢者向け住宅入居中に、認知症の症状が重くなってしまうと、入居条件から外れてしまい、住み続けられなくなる可能性があります。
サービス付き高齢者向け住宅へ住み続けられるかが不安な方は、一度施設に相談してみるとよいでしょう。

また「たくさん施設があってどれが良いか分からない」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
ケアスル介護では、入居相談員が施設ごとに実施するサービスや立地情報などをしっかりと把握した上で、ご本人様に最適な施設をご紹介しています。
「身体状況に最適なサービスを受けながら、安心して暮らせる施設を選びたい」という方は、まずは無料相談からご利用ください。
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まとめ|認知症の方の気持ちを理解したうえで自覚をしてもらおう
一見、認知症になった方は、自分の病状について自覚していないと思われがちです。しかし、自分が認知症であることを認めたくなくて、あえて自覚していないふりをしている可能性があります。
そのため、まずは本人の気持ちをきちんと理解したうえで、治療を勧めたほうがよいでしょう。
また、認知症治療を始めるタイミングは、進行を遅らせるためにも早めに治療を勧めたほうがよいです。
認知症を早期治療すれば、症状軽減につながったり、認知症症状の進行を遅らせられたりとさまざまなメリットが得られます。
本記事を参考に、ご家族の気持ちを理解しつつ認知症の治療を勧められるように努めましょう。
若年性アルツハイマーと呼ばれる認知症もあるぐらいなので、20代の若者でももちろんなる可能性はあります。詳しくはこちらをご覧ください。
物忘れは何かをしようとしていたことは覚えていますが、認知症はしようとしたこと自体を忘れてしまう違いがあります。詳しくはこちらをご覧ください。