老健と特養の違いを一覧表で比較!入居条件から費用、サービス内容の違いを比較

老健と特養の違いを一覧表で比較!入居条件から費用、サービス内容の違いを比較

老健と特養は両方とも公的な介護保険サービスとして利用することができる施設です。しかし、役割や入所できる方の条件等も異なります。

本記事では、老健と特養の違いを目的や入所者の条件など様々な観点から考察していきます。

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在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

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老健と特養の違いを一覧表で比較

老健と特養の大きな違いは、老健は介護を受けながらリハビリをして在宅復帰を目指す施設である一方で、特養は介護を受けながら長く生活することを目指している施設であるという目的の違いがあります。

老健と特養の違いの比較一覧表は以下の通りです。

特養(特別養護老人ホーム) 老健(介護老人保健施設)
施設の役割・目的 要介護3~5の方が身体介護や生活支援を受けて居住する施設 要介護1~5の方にリハビリや医療ケアを提供して在宅復帰を目指す施設
入所条件 (原則)要介護3~5 要介護1~5
入所期間 終身利用 原則3~6ヶ月
雰囲気 生活支援からレクリエーションまで行う一般的な老人ホームに近い雰囲気 医療ケアやリハビリを中心としているので病院に近い雰囲気
費用 入居一時金:なし、月額費用:8~13万円 入居一時金:なし、月額費用:8~14万円
医療費 高額な薬は処方してもらえないことがある
人員配置 介護職員の割合が多い 医療・看護スタッフが多い
サービス内容 身体介護を中心とした自立支援 医療的ケアとリハビリが中心
設備 ・浴室
・食堂
・トイレ
その他の設備は施設による
・浴室
・食堂
・トイレ
・診察室
・リハビリ室
その他の設備は施設による
居室タイプ 個室/多床室 個室/多床室
入所難易度 入所待機者が多く数ヶ月~数年以上待つ場合がある。 特養と比べると待機者は少なく比較的入所しやすい。

老健は在宅復帰を目的とした公的施設

老健は、要介護1~5の認定を受けた高齢者で「病院から退院することになったが、まだ家庭に戻って自立するのは難しい」といった場合に入所して在宅復帰を目指すことを目的とした老人ホームです。

そのため、老健は厚生労働省によって「在宅復帰・在宅療養支援のための拠点となる施設」「リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設」として位置づけられています。(引用:厚生労働省「老健」)

したがって入所後は食事や入浴、排せつなどの生活支援サービスから、リハビリ専門スタッフである作業療法士・理学療法士・言語聴覚士からリハビリテーションを受けることが出来ます。また、常勤医師の設置が義務付けられているので医療ケアも充実しています。

特養は終身に渡って利用するのが目的

特養は身体的または精神的に不安要素があり介護を常に必要としている要介護3~5の認定を受けた高齢者が、自宅で介護を受けられない場合に終身に渡って生活することを目的としている施設です。

また、民間施設と比較して安価な費用で入所することができることが特徴となっており、看取り介護まで受けられるのも老健との違いとなります。

終身に渡って介護することを目的としている特養では、入所した高齢者に対して食事や排せつなどの日常生活の介護から療養上の世話、看取りまでの介護サービスを提供する役割を担っています。

特養についてそれぞれ詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

老健と特養の違い①入所条件

老健と特養の入所条件の違いは、老健は「要介護1以上」で入所できる一方で特養は「要介護3以上」が入所できる点にあります。

ここでは入所条件の違いについて説明していきます。

老健と特養の違い①入所条件

 

 

老健の入所条件

老健の入所条件は以下の通りです。

  • 65歳以上で要介護1以上の高齢者
  • 40~65歳未満で特定疾病が認められた要介護1以上の方

老健の入所条件としては、65歳以上で要介護1~5の認定を受けている方でかつリハビリや医療ケアが必要な方と特例対象があります。

スタッフの人員配置を最低限にしていることからも、リハビリなどが必要なく生活介護のみ必要な方は入所することができません。逆に、重度の医療ケアが必要な方は入所を断られる可能性があります。

特養の入所条件

特養の入所条件は以下の通りです。

  • 65歳以上で要介護3以上の高齢者
  • 40~65歳未満で特定疾病が認められた要介護3以上の方
  • 特例によって入所が認められた要介護1~2の方

特養の入所条件としては、65歳以上で要介護3~5の認定を受けている方ですが、24時間常時医療ケアが必要な方の入所は断られる可能性があります。

また、要介護1~2の方でも身寄りのない高齢者や生活に支障をきたす程度の認知症を患っている場合、また家族から介護放棄などの虐待を受けている場合は「特例入所」という形で入所することができる場合があります。

後述するように、特養にも医師と看護師の配置義務がありますが、24時間常駐している施設は少ないので医療施設で受けるような専門的な医療行為が必要な方は入所の対象とはなりません。

老健と特養の違い②入所期間

老健と特養の入所期間の違いとしては、老健は原則3~6か月ごとに退所判断を行い終身利用はできませんが、特養の場合は終身に渡って利用できる点が異なります。

入所期間の違いについて解説していきます。

老健と特養の違い②入所期間

 

老健の入所期間

老健の入所期間は原則として3~6か月と決まっています。3カ月ごとに在宅復帰が出来るかどうか判定し、在宅復帰が可能であるとされた場合は退所しなくてはなりません。逆に、在宅復帰が難しいとなった場合はその後も入所することができます。

厚生労働省の調査※によると老健の平均入所期間は281日と約9~10カ月となっており、3~6か月よりは少し長めとなっていますが一年以内に退所するのが一般的と言えるでしょう。(※出典:厚生労働省「令和2年介護サービス施設・事業所調査の概況」)

特養の入所期間

特養では原則として終身に渡って利用することができる点が特徴です。

厚生労働省の調査※によると、特養の平均入所期間は3.5年となっており老健が9~10カ月であることと比較するとやはり長くなっていることがわかります。(※出典:厚生労働省「介護老人福祉施設」)

また、以下のグラフは特養における平均入所期間の割合です。最も多いのは1~2年未満でやはり要介護度が高い方を対象としている点からも終末期に過ごす老人ホームと言えるでしょう。

 

特別養護老人ホームの入居期間の割合

(出典:一般財団法人 日本総合研究所「特養の入所申込者の実態把握に関する調査研究」より独自に作成)

老健と特養の違い③費用

老健と特養の違い③費用の違い

老健と特養の費用はともに入居一時金が無いため初期費用が掛かりません。月額費用の内訳も両施設ともに同じで、

  1. 施設サービス費用
  2. 居住費
  3. 食費
  4. その他日常生活費

が月額費用として掛かります。以下の表は、老健と特養の月額費用の相場の一覧表です。

入居一時金 月額費用
老健 0円 8.0万~14.0万円
特養(介護老人福祉施設) 0円 8.0万~13.0万

ここでは老健と特養の費用の違いについて解説していきます。

老健の費用

老健の費用としては、月額8.0万円~14.0万円が目安です。リハビリや医療ケアを中心としている施設であるため、その分特養よりも費用が高めに設定されています。

また、特養と比較して常勤の医師が1名必要であることや、入所定員100名に対して看護職員9名、介護職員25名、理学療法士、作業療法士、もしくは言語聴覚士1名が必要であることなどから毎月の介護サービス費用が特養よりも高くなっています。

以下は要介護3の認定を受けている方の老健費用(ユニット型個室)の目安となります。

介護サービス費用 27,090円
居住費 60,180円
食費 43,350円
その他日常生活費 6,000円
合計 136,620円

※減免措置無し、30日間入居、自己負担1割の場合

※出典 厚生労働省「介護報酬の算定構造

特養の費用

特養の費用としては、月額8.0~13.0万円が目安です。介護サービス費用は老健と同じく介護度ごとに定められています。

老健と違って食事や入浴などの生活介護を中心としているため、老健よりも比較的安い費用で利用することができます。以下の表は要介護3で特養(ユニット型個室)に入所した場合の費用の目安となります。

介護サービス費用 23,790円
居住費 60,180円
食費 43,350円
その他日常生活費 6,000円
合計 133,320円

※減免措置無し、30日間入居、自己負担1割の場合

※出典 厚生労働省「介護報酬の算定構造

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老健と特養の違い④サービス内容

老健と特養のサービス内容の違いとしては、老健は在宅復帰ができるようにリハビリテーションを重視した介護サービスや医療的なケアを受けることができますが、特養では日常生活の介助や健康管理、機能訓練などの生活支援のサービスが中心となる点があります。

ここでは老健と特養の介護サービスの違いについて解説していきます。

老健と特養の違い④サービスの違い

医療・看護ケアの違い

老健の医療・看護ケア

老健には必ず1人以上の医師が常勤していることが特徴です。看護師の数も比較すると特養よりも多く、たん吸引やインシュリン注射、経管栄養などにも対応しています。

ただし、老健の医師・看護師は施設によって日中のみしか常駐しないことがあるので注意が必要です。

特養の医療・看護ケア

特養では老健と比較して医師が非常勤の配置でよく、看護職員も入所者30名に対して1人配置すればよいため重度の医療・看護には対応できません。

緊急時や夜間はすぐに提携医療機関に連絡が取れるようにオンコール体制を敷いています。

特養は介護職員の割合が老健よりも多く、食事や入浴などの生活介助サービスがメインなので医療・看護観点では老健の方が優れていると言えるでしょう。

リハビリサービスの違い

老健のリハビリ

老健はリハビリ専門スタッフを1名以上配置することが義務付けられているので、特養よりもリハビリサービスが充実しているのが特徴です。最低でも週2回以上のリハビリを受けることが出来、入所後3ヵ月間は希望次第で週3回以上のリハビリを実施することが出来ます。

特養のリハビリ

特養では、リハビリ専門スタッフである作業療法士、理学療法士、言語聴覚士の配置が義務づけられていないので、施設によってはリハビリを行っていない施設もあります

機能訓練指導員として、看護師の配置でもよいので、リハビリが必要な場合は各施設の人員配置状況を確認して、入所前にリハビリを受けることが出来るか確認するようにしましょう。

食事サービスの違い

老健も特養もともに入所者100名に対して1人以上の栄養士が配置されており、食事サービスに大きな違いはありません

入所者それぞれの体調に合わせたメニューを用意し、持病によって摂食制限がある場合でも対応することが出来ます。また、嚥下(えんげ)機能が低下している場合でも、ミキサー食やきざみ食などで対応することが可能です。

入浴サービスの違い

老健も特養も入浴サービスに大きな違いはなく、共に週に2~3回程度入浴できるのが特徴となっています

老健では在宅復帰に備えるためにもリハビリの一環として入浴が行われるのが特徴となっています。また、特養では要介護度が高い方が多いことから、施設にもよりますが機械浴※などを利用して安心して入浴サービスを受けることが出来ます。

機械浴とは?
・・・機械浴とは要介護度が高い方が利用する入浴機械で、ストレッチャーがついているストレッチャー浴と、キャスターがついた椅子に座った状態で入浴するチェアー浴の2種類があります。

掃除・洗濯サービスの違い

老健の掃除・洗濯サービス

老健の場合、掃除は利用料金に含まれていますが洗濯については提供されていない場合がほとんどです。

家族が持ち帰って洗濯をしたり、外部の洗濯代行業者に依頼する必要があることに注意しましょう。ただし、施設によっては洗濯サービスとして週2回程度の洗濯料金を月当たりで清算する施設もあります。

特養の掃除・洗濯サービス

特養では生活介助として、掃除や洗濯も含めて施設の職員や施設から委託された業者に行ってもらうことが出来ます

洗濯も基本的には任せることが出来ますが、クリーニングに出す必要がある場合は別途料金がかかることに注意しましょう。

排せつサービスの違い

老健も特養も介護度が高く自力で立ち上がれない場合や排せつを行えない場合は、職員が付き添ってトイレで排せつを行うのが一般的です。

寝たきりの場合で介護度が高い場合やサポートを受けても移動できない場合はベッドの上での介助を受けることも可能です。

レクリエーションの違い

老健と特養のレクリエーションは、特養は年間行事・娯楽を意識しているのに対し、老健は機能訓練の一環で行われます

老健の場合は在宅復帰を目的に、特養の場合は終身に渡って利用することを目的としているからです。

特養では、季節ごとのイベントや施設の外へのお出かけなどが実施されており、娯楽も提供されているのが特徴です。また、外出して買い物に行けない方には買い物代行サービスもあります。

老健と特養の違い⑤人員配置

老健と特養の人員配置の大きな違いは、介護職員と看護職員の数です。老健はリハビリサービスが豊富に提供されていることから看護職員やリハビリスタッフが多く、特養は生活介助を主なサービスとしているので介護職員が多くなっています。

それぞれ具体的に説明していきます。

職種 老健 特養(特別養護老人ホーム)
医師 常勤1人 1人(非常勤可)
看護職員 9人 3人
介護職員 25人 31人
リハビリ専門スタッフ 1人※
栄養士 1人 1人

※入所者100人に対しての人数

※1作業療法士・理学療法士・言語聴覚士のいずれかの資格を持つもの

老健の人員配置

老健の人員配置はリハビリ専門スタッフとして作業療法士・理学療法士・言語聴覚士の専門職が配置されている他、看護職員の割合が特養よりも多いことが特徴です。

理由は、老健が在宅復帰を目的としている施設だからです。病院からの退院後に入るケースも少なくなく、医療・看護的なケアやリハビリサービスが充実しているのです。

例えば医師も老健の場合は常勤医師1名が最低人員として配置義務がありますが、特養の場合は非常勤でも問題ないこととなっています。

したがって特養と比較すると老健は医療・看護的なケアが手厚く、リハビリサービスを提供できる人員配置になっていることがわかります。

老健の人員配置についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

特養の人員配置

特養の人員配置は医師・看護師の割合が比較的少なく介護職員の数が多くなっているのが特徴です。

理由は、特養は終身に渡って利用することが目的の介護施設であり、重度の医療ケアを必要としていない比較的状態の落ち着いた方を対象としている施設だからです。

上の表より介護職員の数も老健が入居者100名に対して25人であるのに対して、特養は31人であることがわかると思います。

食事や入浴などの生活介助を主なサービスとしている特養では介護職員の割合が多くなっているのが特徴と言えるでしょう。

老健と特養の違い⑥働きやすさの違い

老健と特養の働きやすさの違いは、老健が医療ケアやリハビリサービスを提供している一方で特養が生活介助サービスを主として提供していることから看護師や介護士など職種によって働きやすさが異なります。

本章では看護師、介護士それぞれの働きやすさの違いについて解説していきます。

介護士の働きやすさの違い

老健と特養の介護士の働きやすさの違いは、特養の場合は食事や入浴、排せつなどの生活介助が主なサービスであることや入所者の数が多いことから体力的な自信がないと働きづらいと言えるでしょう。

一方で老健の場合は、基本的にはリハビリケアを中心とした生活介助となる他、医師や看護師、理学療法士など他の職種の方が多数配置されているので、利用者に何かあった場合も安心して対応することが出来ます。

また、老健の場合は介護がメインの特養と比較すると入所者の要介護度も低いので、特養ほど体力的な自信がなくとも働きやすいと言えるでしょう。

看護師の働きやすさの違い

特養と老健の看護師の働きやすさの違いは、特養が医師が常駐しておらず夜勤も介護士が行い、何かあった場合は「オンコール」で電話での対応になる一方、老健の場合は看護師が夜勤となることもあるため働く時間が異なります

特養で看護師が働く場合は、利用者の急変時は現場から看護師に直接連絡がいくことになるので提携医からの指示を仰ぐ場合や現場に駆け付ける場合があります。

一方で老健の場合はオンコールではなく、看護師も夜勤を行いますが医師が常駐しているので看護師目線で老健と特養の違いを考えると安心と言えるでしょう。

給料の違い

老健と特養の給料の違いは、厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査」によると、老健の介護職員の月給が33万8920円であるのに対し、特養の介護職員の平均給与が35万430円となっており特養の方が給料は高いことがわかっています。

ただし、老健と特養共に民間の介護施設と比較すると給料は高いため、民間施設よりは両者とも給料が良いと言えるでしょう。

特養の場合は、利用者の要介護度が高いため、その分介護士も体力勝負となることから給料も高くなっていると考えてよいでしょう。

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老健と特養のその他の違い

最後に、老健と特養の違いについてよくある質問に回答していきます。

老健と特養の入所難易度(待機期間)の違いは?

老健と特養の入所難易度の違いは、老健の場合は入所待ちがほとんどありませんが、特養は費用が安く人気があることからも場合によっては数年にわたって入所待ちをしなくてはならない点にあります。

老健と特養の違い③入所難易度

 

老健の入所難易度(待機時間)

老健の場合は3~6か月ごとに退所の審査が行われる他、老健の平均入所期間は281日であることからも比較的に入所待ち期間が無くスムーズに入所できることが特徴です。

また、老健の中でもベッドの回転率や在宅復帰率が高い施設は「超強化型老健」、「在宅強化型老健」と呼ばれ、在宅復帰率が高いため待機時間が短くなります。一方で、強化型はその分費用が高くなることに注意しましょう。

特養の入所難易度(待機時間)

特養は費用が安くて人気があることからも、入所待ちが数カ月から数年にわたることがあります。厚生労働省の調査によると、2015年の入所待ち人数は約52万人でしたが、入所条件を要介護1から3に上げたことによって2019年には29万人に減少しています。

また、以下の表は特養の入所待ち時間の割合を示した円グラフとなります。最も多いのは3カ月未満で22.4%、次に多いのが6か月~1年で21.9%となっています。

特別養護老人ホームの入居待ち期間の割合

 

(出典:一般財団法人 日本総合研究所「特養の入所申込者の実態把握に関する調査研究」より独自に作成)

老健と特養の雰囲気の違いは?

老健と特養の雰囲気の違いとしては、老健はリハビリや医療ケアが充実している点からも病院に近い雰囲気である一方、特養は老健よりも落ち着いた老人ホームとしての雰囲気が強いと言えるでしょう。

老健の雰囲気

老健は医療ケアやリハビリを中心とした介護サービスを提供している施設なので、外観なども含めて雰囲気は病院に近い施設となります。また、レクリエーションもリハビリを意識していたり、利用者が交代でリハビリに呼ばれるため、リハビリ施設に近い雰囲気でもあります。

特養の雰囲気

一方で特養は終身に渡って介護を受けることができる施設でリハビリなどを目的としていないので、食事と入浴以外の時間は基本的に自由に過ごすことができます。したがって、老健よりも落ち着いた雰囲気で、一般的な老人ホームのイメージに近い施設となります。

老健と特養の医療費(外部医療・薬代)の違いは?

老健と特養の医療費の大きな違いは、入所中の医療保険の適用有無にあります。ここでは老健と特養の医療費の違いについて解説します。

老健の医療費

老健に入所中は、施設に常勤している医師の診察によって薬などが処方されるので、不必要に外部の医療機関で受診などを行った場合は医療保険が適用されず10割自己負担となります。

というのも、老健は「不必要に入所者のために往診を求めたり、入所者を病院もしくは診療所に通院させてはならない」と法律で定められているので、入所中に老健の医師の許可なく診断してもらった場合は医療保険が適用されず全額自己負担となることがあるのです。

ただし、レントゲンや歯科診療などの老健医師の専門外の治療が必要な場合は医療保険を利用することが出来ます。また、老健の入所者の薬や注射、点滴や検査などにかかる費用は、施設側が全額負担します。老健では介護保険を利用しており医療保険と同時利用できないため、高額な薬は処方してもらえないことがあることに注意しましょう。

特養の医療費

特養では非常勤で配置医師が入所者の健康管理を行いますが、配置医師の専門外の場合や緊急の場合には外部の医師の診察を受けても医療保険を適用することが出来ます

というのも、基本的には特養は介護度は高いものの常に医療ケアを必要としている方は入所していないので、配置医師の診察や回診を行って医療ケアを行います。そのため、高額な薬を処方しなくてはならないケースが多くなく、そもそも外部医師の診察を受けることも同様に少なくなります。

ただし、上述したように緊急の場合や専門外の場合は老健と同じように医療保険を適用して診察を受けることが可能です。

老健と特養の医療費関係では、特に老健での対応に注意してください。、老健は退院後の方が入所しているので高度な医療ケアを必要としている場合がありますが、老健の経営上の理由から高額な薬を処方してもらえないことがほとんどです。そういった場合に、勝手に外部の医師の診察を受けると全額自費となるので注意が必要です。

老健と特養の設備・居室タイプの違いは?

老健と特養の施設には大きな違いはなく、いずれの施設も生活に必要なトイレや浴室、食堂などが完備されています。とはいえ、老健はリハビリや医療ケアを提供し在宅復帰を目指す施設なので、特養と比較してリハビリ施設が充実しているのが特徴です。

居室のタイプは個室か多床室(相部屋)か、また従来型かユニット型かで4つに分類することができます。ユニット型とは、10人程度の「ユニット」という少人数のグループごとに介護する「ユニットケア」を行っており、中央に共同生活室を備えているのが特徴です。

老人ホームの4つの居室タイプ

それぞれの居室の特徴は以下のとおりです。

従来型個室

従来型の個室は、一つの部屋を一人で使用するタイプの一般的な個室です。多床室(相部屋)とは異なり、プライベートを確保することができるのが特徴です。

また、後述するユニット型の個室とは異なり、部屋をでてすぐに共用スペースが無く廊下と接しているため落ち着いた時間を過ごすことが出来るイメージです。したがって、従来型個室は完全に独立した生活を送りたい方向けの居室と言えるでしょう。

従来型多床室

従来型多床室は、一つの部屋を通常4人で共用して利用する相部屋タイプの居室です。限られた空間で多数の入所者のケアを行うので施設からすると効率が良く、個室よりも料金は安いのが特徴です。

他の方との間にはカーテンやパーテーションがあり一定プライバシーは担保するように努力していますが、やはり寝息やいびきなど他の人の声も聞こえてくるのでストレスを感じるケースも少なくありません。入所者が他の人の生活音が気にならないかどうか配慮をしたうえで居室を決めましょう。

ユニット型個室

ユニット型個室は一つの部屋を一人で利用する点では従来型個室と変わりませんが、上図のように個室が廊下と接しているのではなくリビングなどの共用スペースと接しているため自宅に近い環境で過ごすことが出来ます

1ユニットごとに専任スタッフが付き介護や生活支援を送ることが特徴となっています。

ユニット型個室的多床室

ユニット型個室的多床室は、大部屋をパーテーションなどで区切り個室のようにしている居室となります。完全に区切られているわけではなく音などは伝わってしまうので、完全にプライバシーを確保することは難しいと言えるでしょう。

ユニット型個室的多床室も共用スペースと接しているので自宅に近い環境で生活することが出来るのが特徴となっています。

老健と特養のメリット・デメリット

老健と特養の違いを理解するにはそれぞれの施設のメリット・デメリットを理解する必要があります。ここではメリット・デメリットをそれぞれ解説していきます。

老健のメリット・デメリット

老健のメリットとしては以下の2つです。

  • 医療ケア・リハビリを受けることができる
  • 自宅への受け入れ態勢を整えられる

まず老健は上述したように、在宅復帰をするためのリハビリや医療ケアを受けることができます。もちろん入所期間中の日常生活の介護も受けることができるので、要介護度が高い方でも利用することができるのはメリットでしょう。

また、病院から退院した後の在宅復帰に備えて在宅介護の準備を整えることができるのもメリットと言えるでしょう。自宅の段差をなくすためのバリアフリー工事や手すりの設置、主たる介護者を決めるなどの時間を取ることができるのはメリットと言えるでしょう。

老健のデメリットとしては、以下の2つがあります。

  • 入所期間が短い
  • 介護保険と医療保険を同時に使えない

まず最初に入所期間が限定されているので、ずっと入所することができません。また、老健では必要な医療については施設サービス費用に含まれているので、医療行為を受けても別途医療費がかかることはありません。

その一方で、老健以外の医療機関を老健医師の許可なく受診した場合には医療保険を使うことができないので全額自己負担で賄う必要があるのです。外泊や外出中に体調が悪くなった場合も施設に連絡して判断をあおる必要があります。

そのほか老健の退所先について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

特養のメリット・デメリット

特養のメリットとしては以下の2つが挙げられます。

  • 費用が安い
  • 終身に渡って利用できる

まず、特養は老健と比較しても安い費用で介護を受けることができます。また、終身に渡って介護を受けることができ、看取り介護まで行ってくれるので終身に渡って利用することができます。

一方で特養のデメリットとしては以下のもの2つが挙げられます。

  • 入所待ちの時間がかかる
  • 医療体制が整っていない場合がある

まず、特養は人気があることから入所待ちの時間がかかることがあります。費用が安いことや終身に渡って利用できるので、入所するまでに時間がかかるのがデメリットです。

次に、特養は医師・看護師の24時間配置が義務付けられていないので、夜間のたん吸引などの医療的ケアを受けることができない場合があります。

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特養(特別養護老人ホーム)のデメリットは?
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老健と特養に向いている人

老健と特養に向いている人はどのような人なのでしょうか。それぞれ解説していきます。

老健に向いている人

まず老健に向いている人としては以下の人が挙げられます。

  • 病院から退院した人で在宅復帰を希望している人
  • 医療的なケアやリハビリテーションを希望している、必要としている人
  • 特養の入所待ちをしている人

老健の一番の特徴は医療ケアやリハビリテーションを受けることができる点です。したがって、病院から退院したがすぐに在宅復帰することができない方は老健に向いていると言えるでしょう。

また、特養の入所待ちで利用する人も少なくないのが実情です。というのも、老健は特養と同じく公的施設なので民間施設と比較すると費用が安いことや、介護度が高い方でも利用できる点から数カ月間の入所待ちで利用する人も少なくないのです。

特養に向いている人

特養に向いている人としては以下の人が挙げられます。

  • 老人ホームに入所したいが費用は抑えたい人
  • 終身に渡って利用できる施設を探している人
  • 要介護3以上で、重度の医療ケアなどは必要としていない比較的体調が安定した人

特養は老健や他の民間施設よりも費用が安く済むので、費用を抑えたい方に向いている施設と言えます。また、終身に渡って利用することができるので在宅復帰を視野に入れていない方にも向いていると言えるでしょう。

老健と特養の違いとは?

老健と特養の大きな違いは、老健は介護を受けながらリハビリをして在宅復帰を目指す施設である一方で、特養は介護を受けながら長く生活することを目指している施設であるという目的の違いがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

老健に向いている人、特養に向いている人とは?

老健に向いている人としては、「病院から退院した人で在宅復帰を希望している人」「医療行為やリハビリを希望している人」などが挙げられます。特養に向いている人としては、「老人ホームに入所したいが費用は抑えたい人」「終身に渡ってい利用できる施設を探している人」などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

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