老健と特養は、どちらも介護保険で利用できる公的な介護施設です。
2つの施設の一番大きな違いは目的で、老健は在宅復帰を目指してリハビリをする施設、特養は終身にわたって生活する施設です。
老健と特養の違いは、目的・役割、入所条件、入所期間、費用、サービス内容の5項目で比べると整理できます。
老健と特養の違いを一覧表で比較
老健と特養の違いは、老健は在宅復帰を目指す施設、特養は長く生活する施設という目的の違いにあります。
目的・役割、入所条件、入所期間、費用、サービス内容の違いは以下の表のとおりです。
老健は在宅復帰を目的とした公的施設
老健は、要介護1~5の方がリハビリをして自宅へ戻ることを目指す施設です。
3ヶ月ごとに在宅復帰できるかを判定するため、長く暮らす施設ではありません。
特養は終身にわたって利用するのが目的
特養は、要介護3~5の方が終身にわたって生活する施設です。
民間施設より費用が安く、看取りまで受けられる点も老健との違いになります。

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老健と特養の違い①目的と役割
老健と特養の目的と役割は、老健=在宅復帰を目指す施設、特養=手厚い介護を受けて暮らす施設です。
- 老健:医療ケアとリハビリを受けながら、自宅での生活への復帰を目指す
- 特養:入浴・排せつ・食事などの介護を受けながら、終身にわたって暮らす
- 共通点:どちらも介護保険で利用できる公的な介護施設

老健の目的・役割
老健の役割は、病院と自宅の間で、リハビリと医療ケアを受けながら在宅復帰を目指すことです。
退院後すぐに自宅へ戻るのが難しい要介護1~5の方が、主な利用者です。
特養の目的・役割
特養の役割は、自宅で介護を受けるのが難しい方に、終身にわたる生活の場を提供することです。
原則要介護3以上の方が、食事や排せつの介助から看取りまで、生活全体の支援を受けます。
老健と特養の違い②入所条件

老健と特養の入所条件の違いは、老健は「要介護1以上」、特養は「要介護3以上」で入所できる点です。
老健の入所条件
老健の入所条件は以下の通りです。
- 65歳以上で要介護1以上の高齢者
- 40~65歳未満で特定疾病が認められた要介護1以上の方
老健は、リハビリや医療ケアが必要な方に在宅復帰を促す施設です。
そのため、終身にわたって介護をしてもらいたい方は老健の対象になりません。

特養の入所条件
特養の入所条件は以下の通りです。
- 65歳以上で要介護3以上の高齢者
- 40~65歳未満で特定疾病が認められた要介護3以上の方
- 特例によって入所が認められた要介護1~2の方
要介護1~2の方でも、認知症や虐待などの事情があれば「特例入所」という形で入所できる場合があります。
一方で、24時間の医療管理が必要な方は入所を断られる可能性があります。
老健と特養の違い③入所期間と待期期間

老健は3ヶ月ごとに在宅復帰できるかを判定する施設で、特養は終身にわたって利用できます。
入所までの待機期間は、特養のほうが長くなります。
老健の入所期間
老健は3ヶ月ごとに在宅復帰できるかを判定し、3~6ヶ月程度での退所を目指す施設です。
判定で在宅復帰が難しいとされた場合は、そのまま入所を続けられます。
そのため実際の平均入所期間は309.7(299.9)日と、3~6ヶ月より長くなっています。(※出典:厚生労働省「介護老人保健施設」)
特養の入所期間
特養は原則として終身にわたって利用できる施設です。
厚生労働省の調査によると、特養の平均入所期間は3.5年です。(※出典:厚生労働省「介護老人福祉施設」)
以下のグラフは、特養の入所期間の割合です。

老健の入所までの待機期間
老健は3ヶ月ごとの判定で入所者が入れ替わるため、入所待ちがほとんどなく、スムーズに入所できます。
(※参照:厚生労働省「介護老人保健施設」)
特養の入所までの待機期間
特養は費用が安く人気があるため、入所待ちが数ヶ月から数年にわたることがあります。
入所待ちの期間で最も多いのは3ヶ月未満で22.4%、次に多いのが6ヶ月~1年で21.9%です。


老健と特養の違い④費用

老健と特養はどちらも入居一時金が0円で、月額費用は老健が8.0万~14.0万円、特養が8.0万~13.0万円が目安です。
月額費用のうち介護保険が適用されるのは介護サービス費用で、自己負担は所得に応じて1~3割です。
居住費・食費・その他日常生活費は介護保険の対象外で、全額自己負担になります。
老健の費用
老健の費用は月額8.0万円~14.0万円が目安です。
医師やリハビリ専門職の配置が多いため、特養より介護サービス費用が高くなります。
以下は、要介護3の方が老健(ユニット型個室)に入所した場合の目安です。
※減免措置無し、30日間入居、自己負担1割の場合
※出典 厚生労働省「介護報酬の算定構造」
条件を変えて老健の費用を試算したい方は、以下のシミュレーターをお使いください。
費用シミュレーター
- 1ヶ月ご利用料金(30日を基準とした概算)
- 0円
- 1日あたり(①+②+③)
- 0円
- ①介護保険自己負担額
- 0円
- ②食費
- 0円
- ③居住費
- 0円
※ 1単位10円として計算しています。
※ 加算項目は含まれていません。
※ 日数や端数の処理によって誤差が出ることがございます。
※ 出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」「利用者負担の軽減について」
特養の費用
特養の費用は月額8.0~13.0万円が目安です。
食事や入浴などの生活介護が中心のため、老健より安い費用で利用できます。
以下は、要介護3の方が特養(ユニット型個室)に入所した場合の目安です。
※減免措置無し、30日間入居、自己負担1割の場合
※出典 厚生労働省「介護報酬の算定構造」
条件を変えて特養の費用を試算したい方は、以下のシミュレーターをお使いください。
費用シミュレーター
- 1ヶ月ご利用料金(30日を基準とした概算)
- 0円
- 1日あたり(①+②+③)
- 0円
- ①介護保険自己負担額
- 0円
- ②食費
- 0円
- ③居住費
- 0円
※ 1単位10円として計算しています。
※ 加算項目は含まれていません。
※ 日数や端数の処理によって誤差が出ることがございます。
※ 出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」「利用者負担の軽減について」



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老健と特養の違い⑤サービス内容

老健と特養のサービス内容の違いは、老健は医療ケアとリハビリが中心、特養は生活全体の介護が中心という点です。
医療・看護ケアは老健のほうが手厚いものの、特養も日常的な医療ケアや看取りに対応しています。
医療・看護ケアの違い
医療・看護ケアは、医師が常勤する老健のほうが手厚いものの、特養でも日常的な医療ケアや看取りを受けられます。
老健の医療・看護ケア
老健には医師が1人以上常勤し、看護職員も入所者100人に対して9人と多く配置されています。
たん吸引やインスリン注射、経管栄養など、日常的に医療ケアが必要な方も施設内で対応してもらえます。
ただし、医師・看護師が日中のみ常駐する施設もあり、入院が必要な治療は病院で受けることになります。
特養の医療・看護ケア
特養は医師が非常勤でもよく、看護職員は入所者30名に対して1人以上の配置です。
配置医師による健康管理や、看護職員による服薬管理・健康チェックなど、日常的な医療ケアを受けられます。
たん吸引や経管栄養は研修を受けた介護職員も行えるため、医療ケアが必要な方も施設の体制によっては入所できます。
一方で、夜間は看護職員がおらずオンコール対応の施設が多く、24時間の医療管理が必要な方の受け入れは難しくなります。
リハビリサービスの違い
リハビリは、専門職の配置が義務づけられた老健のほうが充実しています。
老健のリハビリ
老健では最低でも週2回以上のリハビリを受けられ、入所後3ヶ月間は希望すれば週3回以上実施できます。
特養のリハビリ
特養は作業療法士・理学療法士・言語聴覚士の配置が義務ではなく、リハビリを行っていない施設もあります。
リハビリが必要な場合は、入所前に受けられるかを施設に確認してください。
食事サービスの違い
老健も特養も入所者100名に対して1人以上の栄養士が配置されており、食事サービスに大きな違いはありません。
体調や持病に合わせたメニューのほか、ミキサー食やきざみ食にも対応しています。
入浴サービスの違い
老健も特養も週に2~3回程度入浴できます。
老健ではリハビリの一環として入浴を行い、特養では施設によって機械浴(寝たまま・座ったまま入れる入浴設備)も利用できます。
掃除・洗濯サービスの違い
掃除・洗濯は、洗濯まで施設に任せられる特養のほうが家族の手間は少なくなります。
老健の掃除・洗濯サービス
老健では掃除は利用料金に含まれますが、洗濯は提供されていない場合がほとんどです。
家族が持ち帰るか外部業者に依頼し、施設によっては週2回程度の洗濯料金を月ごとに精算する洗濯サービスもあります。
特養の掃除・洗濯サービス
特養では掃除や洗濯も、施設の職員や委託業者に行ってもらえます。
クリーニングが必要な衣類は、別途料金がかかります。
排せつサービスの違い
老健も特養も、職員が付き添ってトイレで排せつするのが一般的です。
自力で移動できない場合はベッドの上で介助を受けられ、夜間も介護職員が24時間体制で対応します。
レクリエーションの違い
レクリエーションは、特養は季節の行事や娯楽、老健は機能訓練の一環として行われます。
特養はレクリエーション行事の実施が運営基準で義務づけられており、季節ごとのイベントや施設の外へのお出かけも実施されます。
老健と特養の違い⑥人員配置
老健と特養の人員配置の大きな違いは、老健は医療・リハビリの職員が多く、特養は介護職員が多い点です。
老健は「治して自宅へ戻す」ための体制、特養は「毎日の暮らしを支える」ための体制といえます。
※入所者100人に対しての人数
※1作業療法士・理学療法士・言語聴覚士のいずれかの資格を持つもの
老健の人員配置
老健は医師が常勤1名、看護職員が入所者100人に対して9人と、医療職の配置が手厚い施設です。
作業療法士・理学療法士・言語聴覚士のいずれかも配置され、退院後のリハビリに対応できます。
特養の人員配置
特養は介護職員が入所者100人に対して31人と、老健より多くの介護職員が配置されています。
食事・入浴・排せつなど、生活全体の介護を手厚く受けられる体制です。
老健と特養のその他の違い
老健と特養には、5項目のほかに雰囲気・医療費・居室タイプの違いもあります。
- 雰囲気:老健はリハビリに励む人が入れ替わる場、特養は同じ顔ぶれで長く暮らす場
- 医療費:老健は外部の医療機関を受診すると医療保険が使えない場合がある
- 居室タイプ:どちらも個室・多床室など4タイプに分かれる
老健と特養の雰囲気の違いは?
老健はリハビリに励む人が行き交う病院に近い雰囲気、特養は同じ顔ぶれで毎日を過ごす住まいに近い雰囲気です。
老健の雰囲気
老健には、病院を退院したばかりで、自宅に戻るためにリハビリに取り組む人が多く入所しています。
日中はリハビリに呼ばれる人が行き来し、レクリエーションも体を動かす内容が中心です。
3ヶ月ごとの判定で退所する人もいるため、入所者の顔ぶれは入れ替わっていきます。
口コミでも「入居者の方々とも、交流もあり、入居施設内でのお友達もできやすい環境でした」という声がありました。
特養の雰囲気
特養には、要介護3以上で日常生活の多くに介助が必要な人が、終身にわたって暮らしています。
リハビリの予定に追われることはなく、食事と入浴以外の時間は自室や共用スペースで思い思いに過ごします。
入れ替わりが少ないため、同じ入所者や職員と長く顔を合わせ、季節の行事やお出かけを一緒に楽しむ生活になります。
老健と特養の医療費(外部医療・薬代)の違いは?
老健と特養の医療費の大きな違いは、入所中の医療保険の適用有無です。
老健の医療費
老健では、施設の医師の許可なく外部の医療機関を受診すると、医療保険が適用されず10割自己負担になる可能性があります。
薬代は施設が負担するため、高額な薬は処方してもらえない場合があります。
特養の医療費
特養では、配置医師の専門外の場合や緊急の場合に外部の医師を受診しても、医療保険を適用できます。
老健と特養の設備・居室タイプの違いは?
老健と特養の設備に大きな違いはなく、居室は個室か多床室か、従来型かユニット型かで4タイプに分かれます。

従来型個室
1つの部屋を1人で使う一般的な個室で、プライバシーを確保できます。
従来型多床室
1つの部屋を通常4人で使う相部屋で、個室よりも料金が安くなります。
ユニット型個室
個室がリビングなどの共用スペースに接しており、10人程度のユニットごとに専任スタッフが介護します。
ユニット型個室的多床室
大部屋をパーテーションなどで区切って個室のようにした居室で、音などは伝わります。
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老健と特養のメリット・デメリット
老健は医療ケアとリハビリが手厚い一方、入所期間が限られます。
特養は費用が安く終身利用できる一方、入所待ちが長くなります。
老健のメリット・デメリット
老健のメリットは、医療ケアとリハビリを受けながら在宅復帰を目指せる点です。
一方で、3ヶ月ごとに入所継続の判定があり、状態が安定すると退所を促されます。
特養のメリット・デメリット
特養のメリットは、月額費用を抑えて、終身にわたって暮らせる点です。
一方で、原則「65歳以上かつ要介護3以上」に限られ、数ヶ月から数年の入所待ちも珍しくありません。
老健と特養に向いている人の違い
老健は退院後に在宅復帰を目指す人、特養は手厚い介護を受けながら長く暮らしたい人に向いています。
老健に向いている人
老健は3ヶ月ごとに在宅復帰を判定する施設のため、退院後、自宅へ戻るまでの期間にリハビリを受けたい人に向いています。
老健は公的施設で費用が安いため、特養の入所待ちの間に利用する人も少なくありません。
特養に向いている人
特養は、手厚い介護を受けながら、費用を抑えて終身にわたって暮らしたい人に向いています。
月額費用は8.0~13.0万円が目安で、原則要介護3以上の方が対象です。
たん吸引や経管栄養などの医療ケアが必要な方も、施設の体制によっては入所できます。
老健と特養を選んだ人の口コミ
口コミでは、老健・特養ともにスタッフの対応の良さを評価する声が多く見られました。
一方で、施設へのアクセスの悪さを残念に感じる声も目立ちます。
老健を選んだ人の口コミ
老健の口コミでは、スタッフとの距離感が近く、医療サポートが充実していたことを評価する声が多く見られました。
費用の負担や、公共交通機関で施設へ行きにくいことを残念に感じる声もあります。
特養を選んだ人の口コミ
特養の口コミでは、スタッフの対応の良さや費用の安さを評価する声が多く見られました。
老健と同じく、施設へのアクセスの悪さや、施設内で医療行為が難しいことを挙げる口コミもありました。
老健と特養の違いについてのまとめ
老健と特養の一番の違いは目的です。老健は在宅復帰を目指してリハビリをする施設、特養は終身にわたって生活する施設になります。
入所条件・入所期間・費用・サービス内容の違いも、目的の違いから生まれています。
施設の目的が家族の利用目的と合っているかを軸に、より適した施設を選んでください。
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