• 介護保険
  • 【公開日】2021-01-12
  • 【更新日】2022-11-29

民間介護保険の必要性は?タイプごとの特徴や選ぶ際のポイントも解説

民間介護保険の必要性は?タイプごとの特徴や選ぶ際のポイントも解説

老後は資金面で心配する人が多く、特に介護費用が足りるか不安に感じてしまう人は少なくありません。介護費用の負担を抑える方法としては、公的介護保険と民間介護保険の2つがあります。

それぞれの保険を利用することで、費用負担に備えることができます。公的介護保険と民間介護保険の違いを把握し、上手に活用することで、老後の生活に必要な資金を確保しましょう。

ウーマンライフパートナー
所有資格:ファイナンシャルプランナーAFP,年金アドバイザー3級
専門分野:社会保険,税金
職業: ファイナンシャルプランナー

仕事と介護を両立しながら、親の介護を15年経験。ケアマネに相談し、介護保険制度を最大限に活用して在宅で過ごす。病気が進行して障害者になり、税制優遇制度も有効に利用。長年の介護経験から、FP勉強会でセミナー講師を務め、わかりやすいと定評がある。詳しくはこちら

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公的介護保険との違い

まずは公的介護保険と、民間介護保険には、どのような違いがあるのかを知っておきましょう。それぞれ介護保険という区分は同じですが、制度の内容や実施されている目的は異なります。そもそもの保険制度の仕組みが異なるため、どのような点が違うのかを把握しておくことが大切です。

公的介護保険とは

日本で実施されている公的介護保険は、40歳から加入し、保険料は生涯支払い続けなければなりません。保険料の納付は40歳の誕生日の前日から始まり、毎月1日生まれの人は誕生月の前月から支払いが必要であることは覚えておきましょう。

公的介護保険は、市区町村に申請して、要支援や要介護と認定された場合に、介護サービスの利用が可能です。介護保険サービスは原則65歳以上で、要支援か要介護の認定を受けている人が利用可能であり、介護の度合いによって給付額は異なります。

民間介護保険とは

公的介護保険とは違って、任意で加入できる点が、民間介護保険の特徴です。民間介護保険は一定の年齢を超えたからといって、絶対に加入しなければならないというものではありません。

民間介護保険に加入していなくても、40歳以上なら公的介護保険に加入しているため、介護サービスの利用は可能です。ただし、民間介護保険にも加入していることで、より幅広い範囲で保障を受けることができ、金銭的な負担は軽くなります。

また、支払う保険料や保険タイプによって給付額は異なり、自分で自由に設定できる点も民間介護保険の特徴です。保険料によって給付額は異なるため、どの程度の保障を受けたいか慎重に保険を選びましょう。

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公的介護保険でカバーできない費用

将来介護にかかる費用を貯めておくためには、どのようなことで費用がかかるのかを知っておく必要があります。

特に公的介護保険ではカバーできない費用を知っておくことは重要であり、自己負担しなければならない費用の内訳を知っておきましょう。

公的介護保険の利用によって介護にかかる費用は削減できますが、介護関連のすべての費用が捻出できるわけではありません。カバーできる部分とできない部分があるため、この違いは把握しておくことが大切です。

65歳未満の方が介護を必要とした際の費用

公的介護保険サービスを利用するには、基本的には65歳以上でなければなりません。65歳以上で要支援や要介護の認定を受けている人が保険の対象となるため、65歳未満では介護サービスの費用は全額負担しなければなりません。

ただし、40歳から64歳までの人でも、特定疾病16種によって介護認定を受けている人は、介護保険の利用が可能です。

  • 末期がん
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦じん帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗しょう症
  • 多系統萎縮症
  • 早老症
  • 初老期における認知症
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭さく症
  • 糖尿病性神経障害
  • 糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 進行性核上性麻ひ
  • 大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性関節リウマチ
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

40歳以上の人で、要支援や要介護を受けていない場合は、介護にかかる費用は公的介護保険の給付対象外となることは覚えておきましょう。

介護サービス以外の費用

公的介護保険は、特定の介護サービスを利用する場合のみ保障を受けられますが、それ以外にかかる費用には保険は対応していません。

例えば介護に必要なおむつやその他日用品は、公的介護保険の対象とはなりません。

介護に要する費用

実際に介護にどれくらいの費用がかかるのかを知っておくことも大切です。介護にかかる費用は、平均で月8.3万円程度です。1年で約100万円の費用がかかり、介護に関する自己負担は少なくありません。

特に介護は何年続くかわからず、場合によっては10年以上介護サービスを受け続けるということもあります。実際の生活では、介護に要する費用に加えて、日常生活の費用も捻出しなければならず、老後の生活にかかる費用は高額といえるでしょう。

介護費用を捻出するには、保険制度を上手に活用することが大切です。公的介護保険はもちろん、民間介護保険の利用も視野に入れておき、安心して老後の生活が送れる資金計画を立てておく必要があります。

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民間介護保険の加入は必要か

公的介護保険とは違って、民間介護保険は加入が義務付けられていないため、利用するかどうかは個人の自由です。そのため、絶対に加入が必要というわけではないことは理解しておきましょう。

民間介護保険への加入がおすすめなのは、将来への不安を少しでもなくしたい人、公的な介護保険ではカバーしきれない部分のコストでも保障を受けたい人があげられます。

仮に介護が必要だったとしても、公的介護保険だけで費用がまかなえるなら、無理に民間保険に加入する必要はありません。別途保険に加入すると保険料がかかり、人によってはこの支払いが多くなり、出費が増えるということもあります。

介護費用が、公的介護保険や貯蓄だけでまかなえるなら、民間の保険に加入する必要はありません。

民間介護保険には2タイプある

公的介護保険とは違い、民間の保険会社が販売している介護保険には、2つのタイプがあります。

  • 貯蓄
  • 掛け捨て

それぞれでメリットやデメリットがあるため、違いを把握して自分に合ったタイプを選ぶことが大切です。

貯蓄

支払った保険料が貯蓄され、もし介護サービスの利用などによって保障を受けなくても、死亡時に保険金がもらえることが貯蓄タイプの特徴です。保険利用の対象となった際に一時金として給付を受けるだけではなく、保険商品によっては年金として保険料が受け取れたり、障がいを抱えた際にも給付が受けられることもあります。

また、解約時に保険料が返戻されるものも多く、支払った保険料が加入者に還元されることが大きなメリットです。ただし保険金を受け取れるからこそ保険料が高い点には注意しましょう。

最終的には保険によって多くの保障が受けられるものの、費用負担が大きくなりやすいことは、貯蓄タイプのデメリットです。

掛け捨て

解約時に保険料の返戻がなかったり、死亡保障がないことが、掛け捨てタイプの特徴です。介護保障が不要な際には保険加入のメリットが得られませんが、支払う保険料が貯蓄型よりも安いことがメリットです。

つまり、掛け捨てタイプは保障の範囲を貯蓄型よりも狭くすることで、保険料を抑えて利用できます。介護保障が不要な際には支払った保険料が戻ってこないというデメリットはあるものの、保険料が安いことから加入しやすい点がメリットといえます。

受け取り方法は3種類

民間の介護保険は、保険金の受け取り方法が次の3つにわけられます。

  • 年金
  • 一時金
  • 一時金と年金が併用しているタイプ

同じ保険会社でも、商品や契約内容によって支払いのタイプが異なることもあるため、加入時にはこの点もチェックしておく必要があります。

年金

一定の年齢を超えた際に、年金のように継続して保険金の支払いが受けられることが、年金タイプの特徴です。月に1回や複数月ごとに保険金が入るため、毎月かかる介護費用に充てられることがメリットです。

保険金を毎月受け取ることができ、場合によっては高額な資金が手元に残ることもあります。

一時金

一時的にまとまった金額を支給され、手元に多くのお金を集めやすい点が一時金タイプのメリットです。一度の保険金で、多くの資金が得られるため、入居費用などでまとまったお金が必要となった際にも対応できます。

また、まとまったお金が手元に入ることで、老後の生活にも安心感が出やすい点も魅力でしょう。ただし、介護期間が長くなり、継続した出費が必要となった際には一時金だけでは費用が足りないケースもあります。

そのため、介護期間によっては資金が不足してしまい、保険金だけで出費をまかなえない場合もある点には注意しなければなりません。

一時金と年金が併用しているタイプ

一部を併用タイプもあります。併用タイプは急な出費や介護期間の長期化などさまざまなシーンに対応しやすく、金銭的な不安を解消できる点がメリットです。

手厚い保障を受けたい人にはおすすめですが、その分保険料が高くなる点には注意しましょう。幅広いシーンに対応できるからこそ、保険金を受け取るまでの自己負担は大きくなりやすいです。

将来への不安が強い人にはおすすめですが、現役時代で問題なく高い保険料を支払えるかどうかが、加入時にチェックしておきたいポイントといえます。

保険期間は2種類

民間の介護保険は、保険金を受け取れる期間にもタイプがあります。

  • 定期
  • 終身

それぞれの違いを知り、自分に適した支払い期間を選ぶことも大切です。

定期

保険金の給付期間を定め、その期間内で条件を満たした場合に保険金を受け取れることが定期タイプの特徴です。給付期間の定めは契約内容によって異なり、一定の年齢から10年と決めたものや、何歳から何歳までと年齢指定をすることもあります。

定期タイプは保険料の安さが加入しやすいメリットです。また、定めた期間を超えた場合には更新も可能です。ただし、更新時には保険料が見直され、これまでよりも支払いが高額になりやすい点には注意しましょう。

保険の内容を定期的に見直し、そのときの保険料率や経済状況に柔軟に対応しやすい点は、定期型のメリットでもあります。

終身

加入時から生涯保障が受けられることが、終身タイプの特徴です。期間の定めがないため、死亡するまで継続的に保障が受けられる点は、大きなメリットでしょう。また、途中で保険料が上がる心配もなく、ずっと変わらない点も魅力です。

ただし、終身タイプは定期タイプよりも保険料が高額であることも多いです。加えて、世間的に保険料が安くなった場合でも、契約時の保険料が適用されるため、場合によってはより高いコストを支払わなければならないこともあります。

保険内容の見直しがしづらく、経済状況の変化などへの対応が遅れやすいことは、注意点として覚えておきましょう。

支給要件は2タイプある

保険金の支給要件も、民間の介護保険では加入している保険商品によって異なります。

  • 公的介護保険連動型
  • 独自基準型

それぞれの違いを知り、どちらがよりメリットとなるのかを考えておきましょう。

公的介護保険連動型

民間介護保険の中には、公的介護保険と連動して保険金が受け取れるものがあります。これは公的な介護保険を利用する際に、プラスして民間介護保険からの保障を受けられるため、一度に得られる保障の内容は手厚くなります。

しかし、要支援や要介護の認定を受けられず、公的介護保険の利用対象外となる場合は、民間介護保険も適用できません。公的な基準を満たさない限り、民間の保険も適用できないことから、場合によってはリスクになる可能性があることも考慮する必要があります。

独自基準型

公的介護保険の利用とは別で、保険会社独自の基準で支給を受けられるタイプもあります。保険会社の独自基準型の場合は、要支援や要介護などの認定を受けていなくても、保障が受けられるケースもあることがメリットです。

ただし、どのような基準を定めているかは保険会社によって異なるため、加入時にはこの点に注意しなければなりません。保険会社ごとに細かく要件が定められているため、複数社で比較して加入先を選ぶ必要があります。

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その他の確認しておきたいポイント

民間介護保険に加入する際には、保険料がいくらか、それに対してどれくらいの保障が受けられるかは確認が必要です。保障の内容が手厚いとしても、保険料があまりに高額すぎると、結果的に金銭的な負担が大きくなり、デメリットとなることも少なくありません。

反対に保険料が安くても、受けられる保障が少ないと、メリットが十分に得られないこともあるため注意が必要です。保険料と保障のバランスは加入時に確認しておく必要があり、自分の場合はどれくらいの出費で、どのような保障が必要なのかはよく考えておかなければなりません。

民間介護保険は介護に関する不安への対策の1つ

老後の生活や将来必要になるかもしれない介護に対する不安を解消するには、民間介護保険に加入することがおすすめです。民間の保険に加入することで、公的介護保険だけではカバーできない部分も、保障が受けられます。

ただし、民間介護保険への加入は、すべての人に必要であるとは限りません。経済状況や加入者の状態によって必要かどうかは異なるため、自分の状況を正しく判断して、加入すべきかどうかを見極めましょう。

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