• 介護保険
  • 【公開日】2021-01-12
  • 【更新日】2023-03-02

介護保険料を支払う年齢は?加入年齢や介護保険徴収の話まで徹底解説

介護保険料を支払う年齢は?加入年齢や介護保険徴収の話まで徹底解説

介護保険を利用するには、保険料を支払う必要があります。保険料の支払いは若いうちから始まるわけではなく、一定の年齢を超えた時点から支払いをします。

介護保険は介護サービスを利用するための重要な制度であり、これを上手に活用することで、費用負担を押さえて介護サービスが受けられます介護保険がどのような制度なのか、加入する年齢や保険料の支払いなど、さまざまな面から理解を深めておきましょう。

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所有資格:ファイナンシャルプランナーCFP®,住宅ローンアドバイザー,宅地建物取引士
専門分野:老後の資金全般
職業: ファイナンシャルプランナー

子育て・受験、住宅取得、介護、看取り、相続等、豊富な経験を活かし、相談やセミナー講師、コラム執筆などを行っている。詳しくはこちら

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介護保険とは

そもそも介護保険とはどのようなものなのか、制度についての基本的な理解から深めておきましょう。介護保険は介護保険料や税金によって財源を確保して、それによって被保険者が利用する介護サービスの費用を、市区町村や国が一部負担するというものです。

条件によって被保険者が支払う費用は異なりますが、介護サービスの1~3割程度の負担で利用できるため、利用者は金銭的な負担を抑えることができます。公的医療保険は医療費が1~3割負担となるものであり、この介護版のものが、介護保険と考えて良いでしょう。

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介護保険の加入と介護サービスの利用

介護保険はどのように加入し、いつからサービスが利用できるのかも知っておきましょう。介護保険への加入には年齢の要件があり、若いうちは非加入となります。また、介護保険を利用した介護サービスも、利用するための条件があるため、これらを把握しておくことが大切です。

介護保険料の支払いは満40歳から始まる

介護保険料の支払いが始まるのは、「満40歳に達したとき」からです。これは「40歳の誕生日の前日」のことを指し、保険料の支払い開始となるのは誕生日前日が属する「月」となります。

つまり、9月15日が誕生日の場合は、9月14日が「満40歳に達したとき」となり9月から介護保険料を支払います。40歳から64歳までの間は「第2号被保険者」となります。

65歳以上の人は第1号被保険者となり、こちらも介護保険料の支払いは必要です。第1号と第2号のどちらでも介護保険料は支払いますが、第1号は公的医療保険と一緒に支払い、第2号は市区町村へ支払うという違いがあります。

1日生まれの方は注意

保険料は、誕生日前日の属する付きから徴収開始されるので、1日生まれの人は前月から支払いがスタートする点には注意が必要です。

9月1日生まれの場合は、満40歳が8月31日となるため、8月から介護保険料を支払わなければなりません介護保険料は長期間支払うもののため、1ヶ月前倒しになったからといって損をするわけではありませんが、徴収開始のタイミングが異なるケースもあります。

介護保険サービスは65歳から利用可能

保険料の支払い自体は満40歳から始まりますが、実際に介護保険サービスを利用できるのは、65歳からです。65歳以上は第1号被保険者となり、ここから介護保険のサービスが受けられます。

原則として、第2号被保険者は介護保険料の支払いのみとなり、第1号被保険者に切り替わってからサービスが受けられるようになります。ただし、介護サービスを受けるには、市区町村に申請をして要介護認定を受けてからとなります。

65歳未満でも介護サービス利用できる場合がある

第2号被保険者である40歳から64歳までの人は、原則として介護保険のサービスは利用できません。しかし、第2号被保険者であっても、特定の疾病がある場合については、介護認定を受けることでサービスの利用対象となります。特定の疾病とは、次の通りです。

(1)がん(末期)

(2)関節リウマチ

(3)筋萎縮性側索硬化症

(4)後縦靭帯骨化症

(5)骨折を伴う骨粗鬆症

(6)初老期における認知症

(7)進行制核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病

(8) 脊髄小脳変性症

(9)脊柱管狭窄症

(10)早老症

(11)多系統萎縮症

(12)糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症

(13)脳血管疾患

(14)閉塞性動脈硬化症

(15)慢性閉塞性肺疾患

(16)両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関
節症

これらのうち、いずれかに該当する疾病がある場合に限り、第2号被保険者でも介護保険のサービスを利用できます。

介護保険サービス利用には要介護認定を申請

65歳以上からは第1号被保険者に切り替わりますが、介護保険のサービスを受けるには、要支援や要介護の認定を受けなければなりません。

これらの認定を受けるには、市区町村の介護保険窓口で申請を行い、認定調査を受けることになります。年齢の要件を満たし「介護保険被保険者証」を取得後は自動的に利用可能となるわけではない点に注意しましょう。

認定調査は現在の身心状況や生活環境などを加味して審査されます。本人への聞き取りの他、家族からも聞き取ります。

また、この際には主治医からの意見書も参考にされますが、市区町村がかかりつけ医に作成を依頼するので、申請者が自ら準備する必要はありません。

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介護保険料の支払い

年齢の要件を満たすと介護保険料の支払いが必要となり、これは生涯払い続けなければなりません。また、第1号被保険者と第2号被保険者では、支払いの方法が異なりますどのように介護保険料を支払うのか、年齢や経済状況によって異なる点も把握しておきましょう。

40~64歳までは公的医療保険から一緒に天引き

第2号被保険者に該当する40歳から64歳までは、公的医療保険、つまり加入している健康保険と一緒に天引きとなります。満40歳を迎えると、介護保険料の支払いも開始となるため、保険料の徴収額が増えることになります。

また、会社に勤めている人は、会社と被保険者で保険料を半分ずつ負担することになり、これは厚生年金保険料や健康保険料と同じです。

自営業などで国民健康保険に加入している場合の介護保険料は、国民健康保険料一緒に天引きとなります。

40歳~64歳までは、現在支払っている公的医療保険から一緒に天引きとなるため、別途介護保険料の支払い手続きなどは不要です。

65歳以上の保険料支払い方法は2種類

第1号被保険者に該当する65歳以上の介護保険料の支払い方法は次の2通りです。

  • 年金天引き(特別徴収)
  • 納付書払い(普通徴収)

どちらの支払い方法になるかは、年金の受給額で決定します。

年金天引き(特別徴収)

介護保険料の支払いが年金天引き(特別徴収)になるのは、65歳以上の人で年金の年間受給額が18万円以上の人です。対象となるのは国民年金や厚生年金、共済年金のほか、老齢年金や退職年金、また遺族年金や障害年金も含まれます。

別途介護保険料の支払い手続きをする必要はなく、受給している年金から自動的に支払われることになります。ただし、年間年金受給額が18万円を超えていても、65歳になってから一定の期間や、他の市区町村に転入した後などは、一時的に納付書で支払いをする場合があります。

納付書払い(普通徴収)

年金の繰り下げをしている無年金の期間や、あるいは年間の年金受給額が18万円以下の場合は、納付書払い(普通徴収)となります。銀行や役所、コンビニなどで納付書を利用して直接自治体に介護保険料の支払います。また、口座振替も利用できます。納付書には、振り込み期限がありますので支払い忘れに注意しましょう。

滞納に注意

介護保険料は継続して支払い続ける必要があり、滞納しないように注意しなければなりません。年金天引きの場合は滞納の心配は少ないですが、納付書払いでは、払い忘れによる滞納が起きることがあります。

介護保険料を滞納すると、自治体から督促状が届き、滞納期間が長いと財産の差し押さえや受けられるサービスの制限が出ることもあります。

支払いを1年以上滞納すると、介護サービスを受ける際に一度自分で全額支払いをしなければなりません。

その後申請によって介護保険の負担分9割(一定以上の所得がある場合は8割または7割)が給付されますが、1年6ヶ月以上の滞納になると、滞納している介護保険料を支払うまで、給付分の一部または全額が差し止めとなります。

さらに2年以上滞納していると、本来1~2割の負担となるはずが、3割負担(もともとは7割)となってしまう点にも注意が必要です。滞納期間が長くなるほど、金銭的な負担は増えるため、介護保険料は滞りなく支払うことが大切です。

減額・減免できる場合もある

収入の減少や災害による被災などのケースでは、介護保険料の減額や減免措置が受けられることがあります。そのため、保険料の支払いが苦しい場合は、自治体などに相談して、これらの措置が受けられないかを確認しましょう。

減額や減免措置を受けることで介護保険料の支払いは軽減され、保険料を滞納するリスクも回避しやすくなります。

介護保険制度を活用してサービスを受ける

介護保険制度の介護サービスは、どのようなものがあるのかを知っておきましょう。介護保険サービスはさまざまな種類があり、それぞれで特徴が異なりますまた、利用時には注意点もあるため、問題なく活用するためにも、細かいポイントまで把握しておくことが大切です。

介護保険サービスの種類は主に3種類

介護保険で受けられるサービスの種類は、大きく次の3つにわけられます。

  • 居宅サービス
  • 施設サービス
  • 地域密着型サービス

居宅サービスは、自宅に住みながら受けられるサービスであり、訪問介護や通所サービスなどが該当します。また、施設への短期入所も、居宅サービスに含まれます。

施設サービスは、施設に入所した人に対して行われる介護や医療などが該当し、主な施設は次の通りです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院

自宅ではなく、施設で介護サービスを受けることが特徴であり、施設によっては長期間の入所も介護保険の適用範囲に含まれます。

地域密着型のサービスは、須美奈r他地域で高齢者が快適に生活を続けるためのものです。該当するものとしては、自宅への訪問介護やデイケアなどの通所、施設への短期入所などを組み合わせて利用できるサービス(小機能型居宅介護など)があげられます。

また、認知症に人に向けたサービス(グループホーム)や小規模な特定施設及び介護保険施設でのサービスなども含まれています。ただし、地域密着型のサービスは、お住まいの市区町村によって内容が異なりますので、どのようなサービスが利用できるかはケアマネージャーや市区町村の福祉担当者にお問い合わせください。

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福祉用具を購入・レンタルすることも可能

介護保険は、福祉用具の購入やレンタルなどにも適用できます。福祉用具の購入やレンタルによって、介護者の負担を軽減したり、介護される人の自立した生活を促したりすることができます。介護保険を利用して購入やレンタルが可能な福祉用具は、次の通りです。

購入 レンタル
腰掛便座

特殊尿器

入浴補助具

簡易浴槽

移動用リフトのつり具の部分

手すり

スロープ

歩行器

歩行補助杖

車いす

車いす付属品

特殊寝台

特殊寝台付属品

床ずれ防止用具

体位変換器

認知症老人はいかい感知機器

移動用リフト

自動排せつ処理装置

購入できる福祉用具は「特定介護福祉用具」と呼ばれており、年間10万円が上限となりその1~3割が自己負担となります。

特定介護福祉用具を購入するには申請が必要

特定介護福祉用具を購入したからといって、自動的に介護保険が適用されるわけではありません。介護保険を適用するには、申請が必要です。申請は市区町村の窓口でできます。

どのような福祉用具を選べばよいかは、ケアマネージャーに相談しましょう。介護の専門知識を持ったプロに相談することで、保険の適用対象となる用品が確実に購入できるほか、介護される人に合ったものを選ぶことができます。

介護用品購入の注意点

介護保険を適用して特定介護福祉用品を購入する場合は、次の点に注意しましょう。

  • 特定福祉用具販売の指定を受けた事業所で購入する
  • インターネットでの購入は適用対象外
  • 購入時にかかる費用は一度全額自己負担する

介護保険を適用するには、特定介護福祉用具販売の指定を受けている事業所で、購入しなければなりません。福祉用具自体は保険の適用対象でも、事業所が指定を受けていない場合は、全額自己負担となるため注意が必要です。

また、指定を受けている事業所でも、インターネットで購入すると介護保険は適用対象外となるため、事業所で直接購入しましょう。

特定介護福祉用具は、購入した申請書と領収書を市区町村で提出し、そこから給付を受けます。そのため、購入時にかかった費用は一度全額自己負担し、後から給付を受けて金銭的な負担を軽減することになります。

各種条件は自治体によって異なることがあるため、特定介護福祉用具の購入で介護保険を利用する場合は、ケアマネージャーに事前に確認しておきましょう。

65歳になったとき賢く利用するため介護保険の理解が必要

65歳以上、あるいは40歳以上から介護保険制度を活用するためには、制度についての正しい理解を持っておく必要があります。適用対象となる条件やサービスは把握しておき、どのような場合に利用できるのかは知っておかなければなりません

介護にかかる費用を軽減するためにも、制度への理解を深めておき、必要になった際には賢く活用しましょう。

そのほか介護保険料を支払いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
介護保険料はいつから支払う?払わなくてよいケースも詳しく解説

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