特養に入所している人の中には費用を払えなくなった、あるいは今後費用を払っていくのが難しくなりそうという方も少なくないと思います。
特養の費用が払えない場合は、通常2カ月~3カ月の猶予期間があったのち、3週間から1カ月程度の予告期間を置いて強制退去となります。したがって、特養の費用が払えなくなってもすぐに強制退去となることはありません。
そのため、特養の費用が払えなくなった場合は猶予期間のうちに軽減制度や融資制度を利用して費用を賄ったり、場合によっては民間の費用の安い老人ホームに転居する必要があります。
今回は特養の費用が払えなくなった場合にどうなるのかや対処法について解説していきます。

特養の費用が払えないとどうなる?
介護度の進行によって毎月の介護サービス費用が高くなったり、身内からの援助が難しくなった場合に特養の費用が払えなくなることがあると思います。そこで、本章では特養の費用が払えない場合はどうなるのかについて解説していきます。
本人が払えない場合は身元保証人に請求される
特養の費用は通常本人の口座から口座引き落としなどによって支払いますが、本人の支払いが難しくなった場合は契約時に身元保証人となっている人に代わりに請求されます。
一般的には子供や親族が身元保証人となっている場合がありますが、身元保証人からの仕送りなどが難しくなり費用が払えなくなった場合、つまり身元保証人も払えない場合は以下のような流れで進んでいきます。
3カ月程度の期間を置いたのち強制退去となる
特養の費用を払えない場合は2~3カ月の猶予期間で支払う必要がありますが、身元保証人に費用の請求があってもなお費用を支払えない場合は3週間から1カ月間の予告期間をもって契約解除となり強制退去しなくてはならなくなることもあります。施設との契約書や重要事項説明書に記載がありますのでよく確認しましょう。
とはいえ、特養に入所している人で身寄りのない方や在宅介護が難しい方は強制退去となっても介護が難しいことがあるので、通常契約書において以下のような形で移転先の確保の協力義務が発生することがほとんどです。
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特養の費用が払えない場合の相談先と対処法
特養の費用が払えなくなった場合の相談先としては、ケアマネージャーや施設の生活相談員にまずは相談するようにしましょう。誰にも相談せずに費用を滞納してしまうと、いずれ強制退去となってしまうほか、相談することによって軽減制度の利用や多床室への移動などで費用を抑えられる可能性があります。
というのも、特養は「ユニット型」呼ばれる1ユニット9~10人程度で生活するタイプの居室の場合多床室(相部屋)タイプと比較して費用が高くなっている可能性があるので、多床室タイプの特養に移動することによって費用を抑えられる可能性もあるのです。
また、ケアマネージャーに相談することによって近隣の費用が安い老人ホームを紹介してくれたりする可能性もあるので、なるべく早く周囲に相談するのが必要です。
ケアマネージャーに相談しても費用を賄うことが出来ない場合は以下の対処法で対応しましょう。
- 減免・軽減制度を利用する
- 費用の安い老人ホームに転居する
- 生活保護を受給する
- 融資・援助を受ける
- 必要資金を作る
特養の費用を払えない時の対処法①減免・軽減制度を利用する
特養の費用を払えない時の対処法としては、減免・軽減制度を利用して対応しましょう。特養で利用出来る減免制度としては以下の5種類あります。
減免制度名 | 減免される費用項目 | 概要 | 申し込み方法 |
---|---|---|---|
特定入所者介護サービス費 | 居住費・食費 | 4段階の所得段階ごとに、居住費と食費を減免することが出来る制度 | お住いの市区町村の役所にて申込 |
高額介護サービス費 | 介護サービス費用の自己負担額 | 1カ月の利用者負担額が所得ごとの区分限度額を上回った時に払い戻される制度 | お住いの市区町村の役所にて申込 |
高額医療・高額介護合算療養費制度 | 医療費と介護サービス費用の自己負担額 | 医療費と介護サービスの自己負担額の1年間の支払額が基準を超えた場合は払い戻される制度 | お住いの市区町村の役所にて申込 |
社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 | 介護サービスの自己負担額、居住費および食費 | 市区町村税世帯非課税で特定の条件を満たした場合は、利用者負担の1/4が軽減される制度(老齢福祉年金受給者は1/2) | お住いの市区町村の役所にて申込 |
医療費控除 | 介護サービスの自己負担額・居住費・食費 | 所定の費用項目は確定申告を行うことで所得税から医療費控除をとして控除を受けることが出来る制度 | 確定申告にて申請 |
それぞれの減免制度の概要や適用条件、減免額、申請方法等については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

特養の費用を払えない時の対処法②費用の安い老人ホームを探す
特養の費用が払えない場合の対処法としては、費用の安い老人ホームを探すことが次にあげられます。費用の安い老人ホームの特徴と探し方について解説していきます。
立地の良くない老人ホームを探す
老人ホームの費用は通常の不動産賃貸住宅と同じように好立地の施設の費用は高く、駅から遠かったり交通の便があまりよくない立地にある老人ホームは費用が安くなるのが特徴となっています。したがって、費用の安い老人ホームを探す際は立地の良くない老人ホームを探しましょう。
駅からの距離などにも加えて都道府県単位でもやはり都心部に位置している老人ホームは費用が高くなりがちなので、現在都心部に住んでいる場合は少しエリアを地方に外して探すのも選択肢の一つです。
以下の表 は介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームの3つの民間施設に限ってエリア別の費用相場を算出した表となります。
埼玉県 | ¥3,136,444 | ¥221,136 |
---|---|---|
千葉県 | ¥3,338,749 | ¥214,124 |
東京都 | ¥11,094,947 | ¥362,729 |
神奈川県 | ¥5,574,282 | ¥279,679 |
首都圏平均 | ¥5,786,106 | ¥269,417 |
岐阜県 | ¥462,462 | ¥157,686 |
静岡県 | ¥3,604,523 | ¥190,444 |
愛知県 | ¥2,858,473 | ¥222,330 |
三重県 | ¥109,689 | ¥145,789 |
中部圏平均 | ¥1,758,787 | ¥179,062 |
滋賀県 | ¥2,610,474 | ¥178,893 |
京都府 | ¥8,388,119 | ¥249,590 |
大阪府 | ¥3,284,091 | ¥193,424 |
兵庫県 | ¥5,703,543 | ¥257,732 |
奈良県 | ¥4,893,138 | ¥219,081 |
和歌山県 | ¥430,519 | ¥126,506 |
近畿圏平均 | ¥4,218,314 | ¥204,204 |
全国 | ¥4,539,812 | ¥232,312 |
上記の表を見てもわかるように、やはり全国費用と比較して関東の一都三県などの都心部の費用は高くなっているのがわかります。
費用を安くしたい場合は地方部にて老人ホームを探してみるのも一つの選択肢と言えるでしょう。
多床室タイプのある老人ホームを探す
費用の安い老人ホームの特徴の二つ目は、多床室タイプのある老人ホームです。
特養の場合も所得別の費用軽減が無い場合の要介護3の多床室の 食費・居住費・介護保険自己負担の合計費用が98,652円(1割負担)であるのに対して、ユニット型と呼ばれる少人数での介護を実施する特養では134,112円(1割負担) となっており、3万円ほど費用が高くなっているのが特徴です。
民間の施設でも相部屋タイプのある老人ホームから個室タイプしかない老人ホームまで様々あるので、費用の安い老人ホームを探したい場合は多床室のある老人ホームに絞って探すようにしましょう。
参考:港区公式ホームページ
空室の多い老人ホーム
費用の安い老人ホームを探したい場合は、空室の多い老人ホームを探しましょう。
というのも、費用の安い老人ホームは立地が悪かったり設備が古いなどで集客が出来ていない可能性が高いので、入居時に値引き交渉などが出来る可能性があります。
施設側からすると空室によって毎月の費用を回収できないよりも1~2万円割り引いて入居してもらった方がトータルの利益が多くなるケースも少なくないので、人気のある施設ではなく立地などの観点で空室が多くなっている施設を探すのもポイントです。
したがって、特養の費用が払えず費用の安い老人ホームを探したい場合は空室の多い老人ホームを探しましょう。
「予算に合う特養に入りたい」「費用を抑えつつ特養に入りたい」という方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。
ケアスル介護なら入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができ、その後の見学予約から日程調整も無料で代行可能です。
費用は抑えたいけれど特養探しで失敗したくないという方は、ケアスル介護で無料相談をしてみてはいかがでしょうか。
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特養の費用を払えない時の対処法③生活保護を受給する
特養の費用が払えなくなった時の対処法として次にあげられるのは、生活保護の受給です。
特養に居住している際に生活保護を受給すると、上述した特定入所者介護サービス費によって大幅に食費・居住費が安くなる他、受給者自身は食費・居住費・介護サービス費用の自己負担額が給付されるので、自己負担額はなくなります。
また、介護保険料も生活保護の給付によって賄うことが出来るので費用負担が無くなります。
ただし、生活保護の受給には世帯収入が基準額よりも少ない必要があったり、資産をすべて生活費に充てること、また扶養義務者からの扶養を活用できないなどの厳しい条件があるので簡単には受給することはできません。
したがって、特養の費用が払えなくなった場合の最後の手段として生活保護の受給を検討しておきましょう。
「生活保護受給者は特養に入居できるのか知りたい」「生活保護受給者が特養に入居する際の手続きが知りたい」という方は、以下の記事も併せてご覧ください。

特養の費用を払えない時の対処法④融資や援助で賄う
特養の費用が払えない場合の対処法として次にあげられるのは公的な融資制度を利用するほか、親族などからの援助を頼む方法です。具体的に解説していきます。
生活福祉資金(長期生活支援資金)で融資してもらう
特養の費用を払えない場合は、生活福祉資金で融資してもらうことで一時的に費用を支払うことが出来ます。生活福祉資金とは、低所得者の高齢者世帯で一定の居住資産を保有しており、将来にわたってその住居に住み続けることを希望している場合に、当該不動産を担保に資金を融資してもらえる制度です。
したがって、高齢で親の費用を賄っている場合などで仕送りが出来なくなった際は生活福祉資金を利用することで一時的に融資を受けて親の特養の費用を払うなどの選択肢があります。
貸付対象としては、
- 借入申込者が単独で所有(同居の配偶者との共有を含む。)する不動産に居住していること。
- 不動産に賃借権、抵当権等が設定されていないこと。
- 配偶者又は親以外の同居人がいないこと。
- 世帯の構成員が原則として65歳以上であること。
- 借入世帯が市町村民税の非課税世帯程度の世帯であること。
などがあります。特養の費用が払えない場合に融資してもらうことを考えているなら、一度検討してみてはいかがでしょうか。
親族に対しての援助を求める
特養の費用が払えない場合は親族に対して資金援助を頼むなどの方法があります。特に親が特養に入所していて子供が資金を賄っている場合は、子供が複数人いる場合兄弟間で話し合って資金を出し合うなどの選択肢があります。
また、兄弟が無く一人っ子の場合はその他の親族に対して協力を求めるのも一つの選択肢と言えるでしょう。費用分担の例としては、
- 兄弟全員で平等に払う
- これまで介護を重荷になってきた人以外の兄弟が多めに支払う
- 親族で経済的に余裕のある人が費用を支払う
などの分担方法があります。
特養の費用が払えない場合は親族などに頼って資金援助をしてもらえないか頼んでみましょう。
特養の費用を払えない時の対処法⑤資産の現金化を行う
特養の費用が払えない場合は、所有している資産を現金化して払うという方法もあります。具体的に高齢期にできる資産の現金化の方法は以下の通りです。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、所有している不動産を担保にして金融機関から融資を受けることが出来る融資制度で、不動産の所有者が死亡した後に売却することによって融資を返済する仕組みとなっています。
したがって、高齢期に入り特養に入った結果自宅はまだ売却していないという状況や子供が住んでいる場合などに子供が住みながら自宅を担保に融資してもらうなどのパターンが考えられます。
マイホーム借り上げ制度
マイホーム借り上げ制度とは、一般社団法人移住・住み替え支援機構(JTI)が運営している制度で50歳以上のシニア世代が自宅を貸し出すことが出来る制度となっています。通常の賃貸住宅とは違ってJTIが借り上げを行った一般の人に転貸する仕組みとなっているので、空室時も収入が入り空室リスクが無いのもメリットです。
一方でJTIに対して手数料を支払わなくてはならないので、手数料がかかるため一般の不動産賃貸の相場の8割程度の賃料で貸し出しをしなくてはなりません 。また、築25年以上の物件はJTIの建物診断を自己負担で行うことになります。
高齢期で現在の自宅に住んでいないという場合はマイホーム借り上げ制度によって収入を得ることも選択肢の一つとして入れておきましょう。
「予算に合う特養に入りたい」「費用を抑えつつ特養に入りたい」という方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。
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特養の費用が払えない場合のまとめ
ここまで特養の費用が払えない場合の対処法などについて解説してきましたがいかがでしょうか。
まず特養の費用が払えない場合はすぐに強制退去となることはなく、数カ月間の猶予期間を持った後契約解除となります。
猶予期間にできる払えない場合の対処法としては、
- 減免・軽減制度を利用する
- 費用の安い老人ホームを探す
- 生活保護を受給する
- 融資や援助で賄う
- 資産の現金化を行う
などの選択肢があります。これらの対処法で自分の場合はどれを使って対処すればいいのかわからないという場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターなどで相談して対処するようにしましょう。
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まずはケアマネージャーや施設の生活相談員に相談するようにしましょう。誰にも相談せずに費用を滞納してしまうと、いずれ強制退去となってしまうほか、相談することによって軽減制度の利用や多床室への移動などで費用を抑えられる可能性があります。詳しくはこちらをご覧ください。