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「高齢者虐待防止法」とは?法制定の背景や虐待が起きる理由

「高齢者虐待防止法」とは?法制定の背景や虐待が起きる理由

高齢化社会を迎えている日本では、介護が重要な問題になっています。介護における問題はさまざまありますが、特に危険視されているのは高齢者への虐待です。

高齢者への虐待は増えており、これを抑止する法律として高齢者虐待防止法が制定されています。高齢者虐待防止法の制定によって、虐待の通報や相談などを受け付ける窓口が設置されています。これがどのような法律なのかを知り、高齢者の虐待についての実情を知っていきましょう。

高齢者虐待防止法が制定された背景

そもそもなぜ高齢者虐待防止法が制定されたのか、この背景を知っておきましょう。法律が制定されるからには、それだけの理由があります。高齢者虐待防止法がなぜ制定されるに至ったのか、社会的な背景を知ることで、介護においてどのような問題があるのかを把握しておくことが大切です。

高齢者に対する虐待が年々増加している

高齢者虐待防止法が制定された背景としては、高齢者に対する虐待が年々増加していることがあげられます。日本は高齢者社会が進行しており、高齢者の多さから超高齢化社会と呼ばれることもあります。

高齢者の増加によって家族や介護業界での介護の負担は増え、これによって虐待が生じてしまうケースも少なくありません。また、家庭内や施設内など、閉ざされた場所であるため、虐待が起きてもその事実が外部になかなか露見しないということも多いです。

つまり、介護が必要で弱い存在となってしまった高齢者が増加したこと、虐待の事実が周囲に知れ渡りにくいことなどの問題を受けて、高齢者虐待防止法が制定されました。

高齢者への虐待が起きるケース

高齢者虐待防止法が制定されたのは、高齢者への虐待が増えたことが理由です。この背景を理解をするには、なぜ虐待が起きるのか、そのケースを知っておきましょう。虐待が起きるケースとしては、次の2つがあげられます。

  • 家族や親族など身内からの虐待
  • 入居している施設での虐待

これら2つのケースでの虐待が、近年では非常に増えています。

家族や親族など身内からの虐待

介護は自宅で行うことも多く、家族や親族など身内が高齢者を虐待するケースは少なくありません。平成27年度の調査では、市区町村が高齢者が虐待を受けたと判断した事例は、合計15,976件にも上ります。

平成26年度のデータでは15,739件であり、前年と比較すると237件の増加です。虐待件数の増加率は約1.5%であり、身内によって虐待が起きているケースは少なくありません。 

入居している施設での虐待

介護施設に入居していても、高齢者による虐待が起きないわけではありません。入居している施設で介護スタッフなどから虐待を受けるケースもあり、この件数は年々増加しています。

平成26年度で見ると件数は108件でしたが、平成27年度では虐待と認められたケースは408件にも上ります。家庭だけではなく、施設も周囲の目が届きづらく、閉鎖された環境にあるため、虐待は起きやすいです。

高齢者に対する虐待の種類

高齢者に対する虐待にはさまざまな種類があり、代表的なものは次の5つです。

  • 身体的ダメージを与える虐待
  • 日々の介護放棄による虐待
  • 精神的疲労を与える虐待
  • 性的な虐待
  • 金銭に関する虐待

虐待にはさまざまな種類があるため、どのようなケースで高齢者が傷つけられているのかを知っておきましょう。

身体的ダメージを与える虐待

虐待といってイメージされやすいのは身体的なダメージを与えるものであり、この種類の虐待が発生してしまうことは少なくありません。高齢者に暴力行為を働くことはもちろん、威嚇や脅迫なども虐待に含まれることは理解しておきましょう。

身体的な虐待は行動や言動の制限が含まれ、高齢者の意思を無視するような身体的な拘束は、虐待として考えられています。もちろん、緊急時や認知症の進行などによって高齢者が暴れるなどの際に、身体的な拘束をすることは虐待ではありません。

あくまで必要ではないときに行動や言動を制限する、強制するといった行為が虐待に該当すると考えましょう。

日々の介護放棄による虐待

家庭内でも施設内でも起きやすい虐待の種類として、日々の介護の放棄があげられます。介護を必要とする人に適切なサポートをしないことで、高齢者の心身状態が悪化してしまうことは少なくありません。

心身状態に支障をきたしたり、生活環境を悪化したりすることは、介護放棄による虐待になると考えましょう。これは育児放棄と同様のイメージをするとわかりやすく、介護を放棄することで高齢者に多大な悪影響を与えてしまうこともあるため、注意しなければなりません。

精神的疲労を与える虐待

虐待は目に見える形だけで行われているわけではなく、精神的な疲労を与える種類もあります。心理的な虐待としては言葉の暴力や脅迫などがあげられ、高齢者の尊厳を踏みにじるような行為が該当すると考えましょう。

他にも高齢者を侮辱したり、無視したりすることも心理的な虐待の1つです。精神的な疲労やダメージを負う行動や言動は、すべて心理的な虐待に含まれます。

介護は大変な労力を必要とするものであり、介護者自身が疲労していくことも少なくありません。介護から受けたストレスを、知らないうちに高齢者にぶつけて心理的な虐待をしてしまっていることもあるため、注意が必要です。

性的な虐待

高齢者に対して性的な虐待が行われることもあり、これも尊厳を踏みにじる行為です。わいせつな行為や性行為の強要、性的な暴力をふるうことは、性的な虐待に該当します。

また、性的な辱めを受けさせるような行動や言動も、虐待として問題視されています。介護では入浴の介助や着替えのサポートなど、高齢者が裸になるシーンも少なくありません。そのため、高齢者自身も羞恥の感情を覚えやすく、介護者が悪意を持って接することで、性的な虐待へと発展してしまうことも多いです。

金銭に関する虐待

虐待は心身を対象としたものだけではなく、金銭に関するものもあります。高齢者の財産を本人の合意なしに勝手に使用する、取り上げるなどの行為は経済的な虐待に該当します。

例えば認知症が進行していて判断能力が低下した人は、その人が持っている資産の管理や運用を成年後見人に委託することがあり、この際に経済的な虐待が起きることは多いです。本人の合意がない、あるいは所有者の不利益となる資産の運用や管理などを行い、それが虐待行為として認められることもあります。

認知機能が低下した高齢者が不動産を所有しているケースをイメージするとわかりやすく、これを本人の合意なしに売却したり、不利益になるような取引をしたりすると、経済的な搾取と判断されることが多いです。

また、所有する資産といった巨額の金銭だけではなく、普段の生活に必要なお金を渡さない、使用を過度に制限するなども、経済的な虐待に含まれることは理解しておきましょう。

高齢者に対する虐待が起きる理由

日本では社会全体での高齢化の進行とともに虐待の件数も増加していますが、これにはさまざまな理由があります。どのような理由で虐待が起きているかは、自宅なのか施設なのかによって異なります。それぞれの違いを把握し、高齢者の虐待問題についてさらに理解を深めていきましょう。

自宅で介護を行っている場合

自宅での介護で虐待が起きる理由の多くは、家族や親族が介護に疲れてしまったり、ストレスを感じてしまったりすることがあげられます。介護はプロでも大変なものであり、特に外部の介護サービスを利用しない場合は、家族の負担が大きくなってしまうことも少なくありません。

付きっ切りの介護をするために自宅にこもりきりになったり、場合によっては仕事を辞めたりする人もいます。自分の生活のすべてが介護に向いてしまうことで、日々の生活に疲れやストレスを感じやすく、その発散先が介護対象者に向かってしまうことも少なくありません。

介護は大人1人の体を支える入浴や着替えのサポートなど、肉体的な疲労を覚えることが多く、これが精神的な疲労につながることも多いです。また、排せつ物の処理などが精神的な負担になってしまうこともあり、これも介護疲れを引き起こす原因です。

介護はいつまで取り組めば良いのかがわからず、ゴールが見えないことがストレスになることもあるでしょう。自宅での介護は閉鎖された環境になりやすく、介護者自身がいっぱいいっぱいになってしまうことで、虐待に発展するケースも多いです。

施設を利用している場合

介護施設でも虐待が起きるケースは多く、これは介護スタッフの教育や知識不足、介護技術の拙さなどが理由になっています。介護スタッフの教育が不十分でモラルなどが欠如し、虐待が起きるケースは多いです。

また、知識や介護技術が不足していることで、本来必要なサービスを提供することができず、これが虐待として認められるケースもあります。介護の現場は過酷なものであり、激務による疲労やストレスなども、虐待を引き起こしてしまう理由の1つでしょう。

介護業界は深刻な人手不足に悩まされており、スタッフ1人あたりの業務量が増えている施設は少なくありません。また、過酷な労働環境であることが離職の原因にもなっており、これによってさらに人手が足りなくなるといった、負のサイクルがあることも現状です。

現場で働いている介護スタッフは心身ともに余裕がないケースも多く、これらも高齢者の虐待を引き起こしている大きな理由といえます。

3つの柱による虐待防止の取り組み

高齢者に対する虐待は社会問題として重要視されており、これを抑止するために高齢者虐待防止法が制定されました。高齢者虐待防止法には3つの柱があり、これらによって虐待の早期発見や防止などに取り組んでいます。

  • 介護事業者向け
  • 市町村の職員向け
  • 地域の方向け

3つの柱がどのようなものなのかを把握して、高齢者虐待防止法についての理解を深めていきましょう。

介護事業者向け

介護施設や介護サービスなどは、スタッフだけの閉鎖された環境になっていることが多く、虐待があってもその事実が周囲に知れ渡らないこともあります。また、認知症の利用者が多い施設では、利用者同士でも虐待があることを判断できない場合も少なくありません。

これらの問題点を解決するために、地域住民との積極的に交流できる機会を作り、外部からの目を入れるようにしていることが、介護事業者に向けた対応です。また、地域支援事業の一環である、「介護相談員派遣事業」の活用も進んでおり、第三者の目が入るような環境作りが推進されています。

閉ざされた環境にあると虐待の事実がわからないだけではなく、スタッフ内でも発散できないストレスが溜まってしまうことも少なくありません。施設という開かれた環境を整えることは、虐待の事実があった場合にそれを明るみに出すだけではなく、介護スタッフの心の負担を解消するといった意味合いもあります。

市町村の職員向け

高齢者虐待防止法は市町村の職員向けの取り組みを行っており、これによって虐待の通報窓口を広く知ってもらうための活動を推進しています。都道府県の職員が市町村の職員を対象として、法制度に関する研修を実施しています。

この取り組みは、高齢者虐待防止法についての周知を図ったり、市町村職員の法制度の理解度を向上させることが狙いです。

また、虐待の通報や相談窓口の存在を知ってもらうために、都道府県または市町村のWebサイトで情報を発信するといった取り組みもあります。まずは窓口の存在を知ってもらうこと、その際の職員の対応をスムーズに行うための教育や研修を行うことが、市町村の職員向けの対応です。

地域の方向け

高齢者の虐待の防止は地域ぐるみで取り組むべき問題であり、いかに地域住民からの理解や協力を仰げるかが重要視されています。地域の人に対する取り組みとしては、高齢者の虐待防止が推進されていることを周知したり、虐待に関する通報や相談窓口の存在を発信したりすることがあげられます。

地域住民の協力を得るには、高齢者虐待防止法があること、そのための取り組みや相談できる場所があることを知ってもらわなければなりません。

情報を広く発信するために、地域住民に向けたリーフレットを作成する取り組みもあり、より多くの人への周知が図られています。

高齢者虐待防止法による取り組みを知っておこう

高齢者の虐待は社会問題となっており、軽視できないほど年々その件数は多くなっています。虐待が起きるのは家庭内や介護施設などさまざまです。根本的な原因となっているのは、介護者の疲労やストレス、閉鎖された環境にあることであり、これらを解消するための取り組みは多数あります。

地域に虐待の通報や相談などの窓口を設置したり、外部に開かれた介護施設を作るために第三者の目が届くようにしたりするなど、虐待の防止や早期発見の取り組みはさまざまです。

いかに開かれた環境で介護が行われるか、介護者の負担を取り除けるかが重要な問題であり、高齢者虐待防止法が問題改善の第一歩になるといえるでしょう。

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