介護施設への入居を検討している方にとって、老人ホームの費用を誰が負担するものなのか気になる方も多いと思われます。
今回、介護施設のマッチングプラットフォーム「ケアスル 介護」において、介護施設の入居経験がある方、もしくはその関係者250名を対象に、要介護認定に関するインタビューを実施しました。
要介護認定の訪問調査時の注意点も伺ったので、これから要介護認定を申請する方は、ぜひ参考にしてみてください。
アンケート結果概要
調査の結果、介護施設の費用を負担している人は「入居者自身」が64.0%で最も多く、次に多いのが「入居者の子ども」の24.8%という結果になりました。
介護施設に入居するにあたって不動産を売却した方は9.5%、家族信託を利用した方は6.4%であることが分かりました。
アンケート結果詳細
続いて、各アンケートの内容とその結果をそれぞれ紹介します。
Q1. 介護施設の料金は主に誰が支払っていますか?
事前調査で被介護者が「介護施設に入っている」または「入っていた(退去済)」、「被介護者を介護施設に入れる予定」と回答された方に対して、介護施設の費用を主に誰が支払っているか伺いました。
なお、支払う人が複数いる場合は、支払う割合が最も多い方を選択してもらっています。
回答内容 | 回答人数 |
入居者自身 |
160(64.0%) |
入居者の子ども |
62(24.8%) |
入居者の配偶者 |
16(6.4%) |
入居者の孫 |
4(1.6%) |
入居者の兄弟・姉妹 |
3(1.2%) |
友達・知り合い |
1(0.4%) |
生活保護などの助成制度 |
1(0.4%) |
その他 |
3(1.2%) |
調査の結果、介護施設の費用は「入居者自身」が負担すると回答された方が64.0%で最も多い結果となりました。
前回の調査結果(介護アンケート Ver.4)においても、「費用の安さ」を介護施設の入居の決め手にしてる方が多く、年金でやりくりする必要があったり、退職金でまかなえる施設から選んでいる方が見受けられました。
介護施設による費用は施設種別や運営母体、居室タイプなどによって異なります。老人ホームを探す際は、資金計画に無理のない範囲で過ごせる施設から探しましょう。
次に多いのが「入居者の子ども」の24.8%であり、約4人に1人は介護施設の費用を入居者の子どもが負担していることが分かります。
2019年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、高齢者世帯の14.3%が「貯蓄がない」と回答しています。そのため、老人ホームの費用を入居者の子どもが負担しなければならないケースも多いです。
老人ホームの費用を入居者自身の収入のみでは支払えない場合は、親戚で話し合って費用負担を分担することが考えられます。
一般的に、親の介護に関して「役割も責任もなく、何もしていない」人がいるのは望ましくないため、兄弟や親族でしっかりと話し合うことが大切です。
なお、「その他」と回答された方には、以下のような回答がありました。
家の売却分
遺族年金
介護施設の費用を、不動産を売却することで賄ったという回答がありました。住んでいた不動産を売却することにより、まとまった資金を得ることができます。詳しくはQ2で紹介します。
Q2 .介護施設に入居するにあたり、住んでいた不動産を売却しましたか?
次に、介護施設に入居するにあたり、住んでいた不動産を売却したのか伺いました。
回答内容 | 回答人数 |
売却した |
23(9.5%) |
売却していない |
220(90.5%) |
介護施設に入居するにあたり不動産を売却したと回答された方は9.5%という結果となりました(なお、「その他」と回答された7名は「不動産を所有していない・賃貸」であったため、除外しております)。
Q1で老人ホームの費用を「家の売却分」で賄っている方がいるように、自宅を売却することである程度まとまったお金を得られるため、老人ホームや生活に必要な費用に充てることができます。
しかし、不動産を売却することは法律や税金の問題が関係します。また、入居後に退去することになった際に、同居するか賃貸に住むという選択肢しかなくなってしまいます。
少しでも損をしないためにも、老人ホームに入居すると決まった段階で、一度家の処分について話し合うことが大切です。
なお、家を残したまま老人ホームに入る際の資金調達方法として、家を担保にして金融機関などから融資を受けられる「リバースモーゲージ」があります。金融機関や自治体から融資を一定額または一括で受け取り、契約者の死亡後に住宅を売却して資金返済に充てます。
ただし、固定資産評価額の50~60%程度しか融資を受けられないことや、変動金利などで金利が上昇すると返済金額が上がってしまうため注意が必要です。
参照:全国有料老人ホーム協会「リバースモーゲージ」
Q3. 介護施設に入居するにあたり、家族信託を利用しましたか?
最後に、介護施設に入居するにあたり、家族信託を利用したか伺いました。
回答内容 | 回答人数 |
利用した |
16(6.4%) |
利用していない |
233(93.6%) |
調査の結果、介護施設に入居するにあたり家族信託を利用した方は6.4%でした。
家族信託とは、あらかじめ不動産や金銭などの財産を信頼できる家族に託し、管理・処分を任せられる民事信託の一つです。
認知症が悪化すると銀行口座などが凍結されてしまう可能性があるため、家族信託を利用することにより子どもに資産の管理運営処分する権利を渡すことができます。
認知症と診断される前に契約すれば、認知症になって意思能力が無くなったとしても、元気だった時に示した意思を尊重できます。
なお、「その他」と回答された方は、「後見人制度」を利用したと回答しております。
後見人制度とは、判断力が低下してしまった方に代わり、契約に必要な手続きを行ったり、財産を管理する「成年後見人」を選任する制度です。介護に必要な費用や税金の支払いなど、被後見人の財産を管理することができます。
ただし、後見人制度の場合、被後見人の判断能力が低下した後に効力が発生するため、家族信託よりも比較的自由度は低いです。
家族信託を利用するか、後見人制度を利用するか判断に迷った際には、一度弁護士や司法書士に相談してみるとよいでしょう。
なお、ケアスル介護には介護施設選びの専任のケアアドバイザーが常駐しています。介護施設の費用や入居も踏まえた相談をしたい場合はぜひ一度相談してみてください。
- 施設に入ろうか悩んでいる
- お金がどのくらいかかるのか知りたい
くらいの疑問でも構いませんので、ケアアドバイザーに相談してみると解決に向けた一歩を進めるかもしれません。
調査概要
調査目的
介護施設の費用に関するアンケート調査
調査手法
調査実施機関:インターネットリサーチ
調査期間:2023年7月11日
調査対象:250人(アンケート回答者は、「介護施設に入っている」または「入っていた(退去済)」被介護者か、「被介護者を介護施設に入れる予定」にチェックをつけた方を対象とした)
調査内容
下記の3つの質問を実施しました。
- Q1. 介護施設の料金は主に誰が支払っていますか?
支払う人が複数いる場合、支払う割合が最も多い方を挙げてください - Q2. 介護施設に入居するにあたり、住んでいた不動産を売却しましたか?
- Q3. 介護施設に入居するにあたり、家族信託を利用しましたか?
調査テーマについて
ケアスル介護では、介護に関するアンケートテーマを随時募集しています。介護に関する事柄で、
- ちょっと気になるけれど周りに聞きづらい介護のこと
- 介護のノウハウや知識など、みんながどのようにしているのか知りたいこと
があればぜひケアスル介護へお問い合わせください。