親が高齢になるにつれて、いつかは訪れる「介護」の問題に頭を悩ませる方々も少なくありません。特に親の介護をめぐって、親族や兄弟で揉めたりしないか気になる方も多いと思われます。
今回、介護施設のマッチングプラットフォーム「ケアスル 介護」において、親の介護を経験したことがある250名を対象に、親の介護に関するトラブルなどのアンケートを実施しました。
老人ホームへの入居を検討し始めたきっかけも伺ったので、これから介護施設をお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。
アンケート結果概要
調査の結果、親の介護を理由に揉めたことがある方は約41%であることが判明しました。
実際に揉めたことがある方に具体的な内容を伺うと、「介護を一方的に押し付けられた」「親の介護への経済的分担について」「母親を施設には入れるなと言われた」などが挙げられました。
介護施設への入居を検討したきっかけとして「病気や認知症が悪化した」の約42%が最も多く、順に「在宅介護に限界を迎えた」(約37%)、「自宅で転倒するなど、怪我をしてしまった」(約23%)が並ぶ結果となりました。
アンケート結果詳細
続いて、各アンケートの内容とその結果をそれぞれ紹介します。
Q1. 親の介護を理由に、親族(兄弟や配偶者など)と揉めたことがありますか?
事前調査で「親の介護の経験がある」と回答した方に対して、親の介護をめぐって親族間で揉めたことがあるか伺いました。
回答内容 | 回答人数 |
はい |
102(40.8%) |
いいえ |
148(59.2%) |
調査の結果、親の介護を理由に揉めたことがある(「はい」と回答した)方は40.8%でした。
親族間で介護の責任を均等に割り振ることができれば最善ではありますが、各々の事情があるため平等に役割を担うのは難しいと思われます。
そのため、親族間でしっかりと話し合いや役割分担しないばかりに、兄弟間のトラブルや費用の負担割合、介護方針を巡って親族間で揉める方は少なくありません。
具体的にどのような内容で揉めたのかについては、Q2にて詳しく紹介していきます。
Q2. 差し支えなければ、どのような内容で揉めたのか具体的に教えて下さい
次に、Q1で「はい」と回答された102名に対して、実際にどのような内容で揉めたのかを教えて頂きました。
誰が介護をするかで揉めたケース
介護を一方的に押し付けられた
役割の分担の割合について
他の兄弟が関わらない
近くの者が、一番負担が多い
普段あまり介護に関わっていない姉が、いろいろ口を出してきたとき、妹と2人で「何もしないなら黙っていて、もし何かするんだったら自分でやって」と言う具合に姉と妹と三者で意見が分かれ揉めたことがありました
介護が必要になった親を、主に誰が介護するのかについて揉めたと語る方が、非常に多く見受けられました。
民法877条第1項に基づき、子どもには親の介護について努力する義務があります。そのため、親族全員が平等に役割分担をするのが望ましいです。
とは言え、他の兄弟にも各々の生活の事情があるため、介護の責任を均等に振り分けることは難しいかもしれません。そのためにも、親族間で「何ができるのか・できないのか」をしっかり話し合うことが大切です。
介護にかかる費用負担で揉めたケース
介護費用等に関するもの
親の介護への経済的分担について
今後の介護の費用をどのように負担するかを揉めています
介護にかかる費用を誰が出すのか、どのように分担するかで揉めている方も多いです。
基本的には親の介護負担は親のお金で負担するのが望ましいですが、親に貯蓄がない場合、子どもや親族が介護費用を負担しなければなりません。その際に、誰がどのくらい出すのかでトラブルになることは多いです。
デリケートな部分ではありますが、親の介護が始まる前に親の金銭状況や資産に関して把握しておくことをおすすめします。
介護施設の入居に関して揉めたケース
施設への入所を決めた時(本人は自宅にいる事を希望していたので)
入居する施設を選定する時に
叔母に、認知症の母親を施設には入れるなと言われた
介護施設への入居に関して、親族と揉めたことがある方も見受けられました。
介護施設に入所してもらうことに対してネガティブな印象を持っている方も少なくありません。また、老人ホームに入居すると在宅介護以上に費用も掛かるため、その費用を誰が負担するのかで揉めることもあるそうです。
とは言え、介護施設に入居することを検討し始めるのは、在宅介護を続けるのが厳しい状態でもあります。在宅介護に限界を迎える前に施設を検討し始めることも大切です。
介護方針の食い違いで揉めたケース
シフトや具体的なやり方など
在宅介護や通所介護の対応などについて
施設入居させるか否か
介護方針をめぐって、意見の食い違いが発生することもあります。
在宅介護と施設介護、介護のために仕事を休むべきかなど、介護に対する考え方は一人ひとり異なります。介護方針について悩んだときには、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみるのも手です。
親の介護と自分の生活を両立しようとするためにも、介護に関する制度やサービスをうまく利用しましょう。
その他・親の介護に付随して揉めたケース
相続のこと
遺産
延命治療
親の介護に付随して、遺産相続や延命治療に関して揉めた方も見受けられました。
これらに関しては、本人の希望を尊重することが何よりも重要です。お金と同様になかなか聞きにくい話ではありますが、元気なうちに本人の意思を聞いておくことで、親族間のトラブル防止につながります。
Q3 .介護施設への入居を検討し始めたきっかけは何ですか?(複数回答可)
最後に、アンケート対象者全員に、介護施設へ入居を検討し始めたきっかけについて質問しました。
回答内容 | 回答人数(複数回答可) |
病気や認知症が悪化した |
106(42.4%) |
在宅介護に限界を迎えた |
93(37.2%) |
自宅で転倒するなど、怪我をしてしまった |
57(22.8%) |
病院・リハビリ病院から退院後の在宅復帰 |
45(18.0%) |
遠距離介護が困難だった |
31(12.4%) |
親族や知り合いに勧められた |
24(9.6%) |
本人の希望 |
22(8.8%) |
家の住み替えのタイミング |
2(0.8%) |
その他 |
4(1.6%) |
アンケートの結果、介護施設への入居を検討したきっかけとして「病気や認知症が悪化した」の42.4%が最も多い結果となりました。
順に「在宅介護に限界を迎えた」(37.2%)、「自宅で転倒するなど、怪我をしてしまった」(22.8%)が並んでいます。
なお、「その他」と回答された方には、下記のような理由を挙げています。
病院の相談員に言われた
介護者(私)が入院した
介護する側の体調不良や入院により、介護施設への入居を検討し始めるケースもあります。
急に老人ホームを検討することになると、施設の比較検討や優先順位を決めるのも難しいです。そのため、元気なうちに親の希望や施設の情報を調べておくことが大切です。
また、ケアスル介護には専任のケアアドバイザーが常駐しているので、介護施設の費用や入居も踏まえた相談をしたい場合はぜひ一度相談してみてください。
- 施設に入ろうか悩んでいる
- お金がどのくらいかかるのか知りたい
くらいの疑問でも構いませんので、ケアアドバイザーに相談してみると解決に向けた一歩を進めるかもしれません。
調査概要
調査目的
親の介護に関するインタビュー
調査手法
調査実施機関:インターネットリサーチ
調査期間:2023年7月10日
調査対象:250人(アンケート回答者は、事前アンケートで「親の介護経験がある」にチェックをつけた方を対象とした)
調査内容
下記の3つの質問を実施しました。
- Q1. 親の介護を理由に、親族(兄弟や配偶者など)と揉めたことがありますか?
- Q2. 差し支えなければ、どのような内容で揉めたのか具体的に教えて下さい(自由回答)
Q1でいずれかを選択した選択肢: [1.ある] - Q3. 介護施設への入居を検討し始めたきっかけは何ですか?(複数回答可)
調査テーマについて
ケアスル介護では、介護に関するアンケートテーマを随時募集しています。介護に関する事柄で、
- ちょっと気になるけれど周りに聞きづらい介護のこと
- 介護のノウハウや知識など、みんながどのようにしているのか知りたいこと
があればぜひケアスル介護へお問い合わせください。