介護施設を検討している方の中には、特養(特別養護老人ホーム)ではなく民営の有料老人ホームを検討している方もいると思われます。
今回、介護施設のマッチングプラットフォーム「ケアスル 介護」において、有料老人ホームに入居している人、入居していた人、もしくはその関係者延べ46名を対象に、介護保険施設ではなく有料老人ホームを選んだ理由や、入居にかかった費用などをインタビューを実施しました。
特養ではなく有料老人ホームを選んだ理由なども伺ったため、これから有料老人ホームを探す方は、ぜひ参考にしてみてください。
アンケート結果概要
調査の結果、有料老人ホームの料金として、月額費用は「11〜15万円」の約33%、入居一時金は「0円(入居一時金なし)」の約54%が最も多い結果となりました。
有料老人ホームに入居することになった決め手として、最も多かったのは「立地が良かったから」の約22%であることが分かりました。
介護施設の入居に当たって特養(特別養護老人ホーム)の入居は検討したのか伺うと、有料老人ホームに入居した方の内、約46%の方が特養への入居も検討していたことが判明しました。
特養ではなく有料老人ホームを選んだ詳細を伺うと、「特養入居の基準に合っていなかったから」「好感の持てる施設に出会えたから」といったものが挙げられました。
アンケート結果詳細
続いて、各アンケートの内容とその結果をそれぞれ紹介します。
Q1. 入居している/入居する予定の/入居していた老人ホームの月額費用について教えてください
事前調査で「有料老人ホームに入居している」または「入っていた(退去済)」被介護者か、「被介護者を有料老人ホームに入れる予定」と回答された方に対して、入居している有料老人ホームの月額費用の金額を伺いました。
回答内容 | 回答人数 |
0円 |
2(4.4%) |
1~5万円 |
0(0%) |
6~10万円 |
6(13.0%) |
11~15万円 |
15(32.6%) |
16~20万円 |
10(21.8%) |
21~25万円 |
3(6.5%) |
26~30万円 |
4(8.7%) |
31~40万円 |
3(6.5%) |
41~50万円 |
3(6.5%) |
調査の結果、入居している有料老人ホームにおける月額費用として最も多かったのは「11〜15万円」の32.6%でした。
要介護度や入居する居室タイプによっても異なりますが、特養(特別養護老人ホーム)の月額費用は9〜15万円が相場と言われています。有料老人ホームは特養よりも費用が高いと考えがちですが、プランによっては特養と同じくらいの料金で入居することも可能です。
また、上記の表のように、有料老人ホームでは月額料金に大きく幅があるという特徴があります。基本的には、料金が高いほど介護体制や医療連携が整っていたり、立地やアクセスが良くなる傾向があります。
老人ホームは終の棲家にもなる施設です。今後数十年入居する可能性を見据えたうえで、無理のない範囲で住み続けられる施設を選びましょう。

Q2. 入居している/入居する予定の/入居していた老人ホームの入居一時金(初期費用)はいくらでしたか?
次に、入居している有料老人ホームの入居一時金(初期費用)の金額を伺いました。
回答内容 | 回答人数 |
0円(入居一時金なし) |
25(54.2%) |
1~10万円 |
5(10.9%) |
11~20万円 |
6(13.0%) |
21~30万円 |
1(2.2%) |
31~40万円 |
1(2.2%) |
41~50万円 |
1(2.2%) |
51~60万円 |
1(2.2%) |
61~70万円 |
0(0% ) |
71~80万円 |
1(2.2%) |
81~90万円 |
0(0%) |
91~100万円 |
1(2.2%) |
101~150万円 |
1(2.2%) |
151~200万円 |
0(0%) |
201~300万円 |
1(2.2%) |
301~500万円 |
0(0%) |
501~1000万円 |
1(2.2%) |
1,001万円以上 |
1(2.2%) |
アンケートの結果、有料老人ホームの入居一時金が「0円」と回答した方が54.2%で最も多く、半数以上の方が入居一時金を必要としない老人ホームを選択しています。
入居一時金とは、老人ホームにおける「家賃の前払い」と「亡くなるまで利用できる権利」を得るために支払うものであり、0円から数千万円まで費用に幅があります。
入居一時金の支払い方法としては、全額前払いと月払い、折衷案である一部前払いの3種類に分かれます。月払いだと入居一時金を分割払いすることになるため、全額前払いよりも月額費用が多くなります。
また、長期間入居することが想定される場合、全額前払いの方が最終的に支払う費用が低くなる可能性もあります。入居一時金を支払う際には、今後の資金計画などをしっかりと立てたうえでプランを検討することが大切です。

なお、今回実施したアンケート結果をもとに、有料老人ホームに入居した方の月額費用と入居一時金として最も多い組み合わせは、以下の通りになりました。
- 1位 月額費用:16~20万円 入居一時金:0円(9件)
- 2位 月額費用:11~15万円 入居一時金:0円(8件)
- 3位 月額費用:11~15万円 入居一時金:11~20円(4件)
有料老人ホームは費用に幅がある分、年金で入れる老人ホームから高級老人ホームまで様々です。
本人にとって最適なサービスを受けられる施設を選ぶためにも、老人ホーム選びは計画的に行いましょう。
Q3. 入居している/していた有料老人ホームに入居する際の決め手になったポイントを教えてください
次に、入居している(していた)有料老人ホームを選んだ理由として、最も決め手になったポイントは何かについて質問しました。
回答内容 | 回答人数 |
立地が良かったから |
10(21.8%) |
費用が安かったから |
9(19.6%) |
スタッフや入居者の雰囲気が良かったから |
8(17.4%) |
介護体制が手厚かったから |
7(15.2%) |
医療体制・看護体制が整っていたから |
6(13.0%) |
運営法人の経営状況が良かったから |
2(4.3%) |
食事がおいしい・豪華だったから |
1(2.2%) |
レクリエーションやイベントに惹かれたから |
1(2.2%) |
その他 |
2(4.3%) |
アンケートの結果、有料老人ホームに入居することになった決め手として「立地が良かったから」を挙げる方が21.8%で最も多い結果となりました。
順に多いのは、「費用が安かったから」(19.6%)、「スタッフや入居者の雰囲気が良かったから」(17.4%)という結果となりました。
費用や立地などは資料やホームページで判断しやすいですが、入居者やスタッフの雰囲気は実際に見学しないと分からないことが多いです。そのため、施設を選ぶ前には、見学や体験入居をおすすめします。

なお、「その他」と回答した方には、以下のような理由を挙げています。
個室の条件が良かった
デイサービスの充実
有料老人ホームの場合、居室は個室であることが一般的です。居室内にトイレや浴室などが備わっている施設もあり、時間に縛られずゆったりとしたシニアライフを送ることができると言えます。

Q4. 入居に当たって特養(特別養護老人ホーム)の入居は検討しましたか?
アンケートの結果、有料老人ホームに入居した方の内、45.7%が特養(特別養護老人ホーム)への入居も検討していたことが分かりました。
特養の入所条件は要介護3以上が前提となるため、入所難易度は高いと言えます。一方、有料老人ホームは自立や要支援でも入居できる施設もあり、特養の入居待機期間として利用する方も少なくありません。
特養ではなく、有料老人ホームへの入居を決めた理由については、Q5にて詳しく紹介します。

Q5. 特養ではなく、有料老人ホームへの入居に決めた理由を教えてください
最後に、アンケート対象者全員に特養(特別養護老人ホーム)ではなく、有料老人ホームへの入居を決めた理由について、詳細をお伺いしました。
特養に入居できなかったため
介護施設に申し込みをした時点では要介護2だったので、特養には申し込みできなかった
特養があいていないから、空くまでの一時的な入所
特養は順番待ちで入所出来ないです
特養に入所を希望しているけれども、入所条件を満たしていない、待機者数が多いために有料老人ホームを選んだ方が多く見受けられました。
厚生労働省によると、2022年4月時点の特養の待機者数は27.5万人いると報告しています。申請者の体調や疾患により前後しますが、平均待機期間は2~3年ほどと言われています。
急に介護施設に入居しなければならなくなったなどの理由から、有料老人ホームを選択する方は多いです。

有料老人ホームの方が条件や環境が良かったため
個室でのお風呂、トイレ、小さなキッチン、洗濯機なども欲しかった為
館内もきれいでリハビリ、レクリエーションなど充実していたから
新築で綺麗、家から近い
好感の持てる施設に出会えたから
母が認知症で特養に入居していたが、父も認知症になり、母と同居したいという事になり、同居できる所を探して移動した
有料老人ホームは民間企業が運営していることもあり、サービスや居室の質を高くしているところもあります。
食事や共用設備のバラエティーが豊富で、ホテルのような空間で過ごせる有料老人ホームは、充実したシニアライフを送りたい方におすすめと言えます。
また、介護保険施設と異なり2人部屋を用意しているところもあるため、夫婦で入居することができるのも有料老人ホームの魅力です。

なお、ケアスル介護には専任のケアアドバイザーが常駐しているので、介護施設の費用や入居も踏まえた相談をしたい場合はぜひ一度相談してみてください。
- 施設に入ろうか悩んでいる
- お金がどのくらいかかるのか知りたい
くらいの疑問でも構いませんので、ケアアドバイザーに相談してみると解決に向けた一歩を進めるかもしれません。
調査概要
調査目的
有料老人ホームに関するアンケート
調査手法
調査実施機関:インターネットリサーチ
調査期間:2023年6月30日~7月3日
調査対象:46人(「有料老人ホームに入居している」または「入っていた(退去済)」被介護者か、「被介護者を有料老人ホームに入れる予定」と回答された方)
調査内容
下記の5つの質問を実施しました。
- Q1. 入居している/入居する予定の/入居していた老人ホームの月額費用について教えてください
- Q2. 入居している/入居する予定の/入居していた老人ホームの入居一時金(初期費用)はいくらでしたか?
- Q3. 入居している/していた有料老人ホームに入居する際の決め手になったポイントを教えてください
- Q4. 入居に当たって特養(特別養護老人ホーム)の入居は検討しましたか?
- Q5. 特養ではなく、有料老人ホームへの入居に決めた理由を教えてください(自由回答)
調査テーマについて
ケアスル介護では、介護に関するアンケートテーマを随時募集しています。介護に関する事柄で、
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