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  • 【公開日】2024-04-02
  • 【更新日】2024-04-02

韓国の高齢者福祉

韓国の高齢者福祉

日本に一番近い外国の一つである韓国。韓国料理、韓国ドラマ、韓国コスメなどに関心のある方も多いでしょうし、旅行先としても人気のある国ですね。KPOPなどをみて、韓国の若さや勢いを感じる方も多いことでしょう。今回はその韓国での高齢者福祉についてご紹介いたします。

高橋 明美 准教授
文京学院大学 人間学部 人間福祉学科
社会福祉士
日本社会福祉学会、日本老年行動科学会、韓国統合事例学会、韓国福祉経営学会
主に高齢者福祉分野の相談員として20年以上勤務。2011年頃から韓国の福祉に関心を持ち、韓国の福祉研究や韓国福祉現場での実践・教育・交流活動を行っている。2021年より現職。

実は、韓国の2024年2月現在の人口は約5,130万人、うち65歳以上の高齢者980万人あまりで高齢者率は19.1%となっており、すでに高齢社会になっています。そして、2023年度の合計特殊出生率は0.7人と過去最低を記録するなど少子高齢化が加速し、2026年には高齢者率が人口の21%を超える超高齢社会になると予想されている国なのです(出典:韓国統計庁ホームページ)。

もともと、韓国には儒教文化をもとにした、「目上の方を敬う」、「親の面倒を見るのが親孝行」といった「敬老思想」「孝」といった考えが根づいていました。高齢者の介護も家庭内で家族(主に女性)が担うことが一般的でしたが、社会は大きく変わり、ソウル周辺への一極集中や、女性の社会進出が進んだことなどから、家族だけで高齢者の介護をすることがだんだんと難しくなってきました。

このようなことから韓国でも高齢者の介護が社会的課題となり、2008年に介護保険制度を始めたほか、様々な高齢者福祉サービスを充実させようと努力しているところです。

韓国の介護保険制度は、介護が必要となったら市町村を通して申請をし、認定調査と医師の意見書で等級が判定されます。等級は最重度の1等級~5等級、そして認知支援等級の6段階です。訪問介護やデイサービス、訪問入浴などの在宅サービスと、老人ホームなどの施設サービスがあります。

この他、日本の介護保険制度にはありませんが、家族が訪問介護員の資格を取って家族の介護を行った場合には、「家族療養費」の支給もあります。利用者の自己負担は、在宅サービスは15%、施設サービスは20%(居住費、食費別)となっています。介護保険を運営する保険者は、日本が市町村であるのに対し、韓国は全国国民健康保険公団ただ一つです。

また、韓国の介護保険制度では、日本のケアマネジャー(介護支援専門員)のように、生活全体をみながら一人ひとりの詳細なケアプランを立て、状況の変化や困りごとの相談に応じてくれる人がいません。サービスを組み合わせて利用することも少なく、毎日訪問介護を使う、毎日デイサービスに通うなどの1種類のサービスを使うことがほとんどです。

サービスを提供している訪問介護やデイサービスの社会福祉士(相談員)も相談はしますが、日本のケアマネジャーのようにきめ細かく相談ができていないのが大きな課題です。韓国では老人ホームや老人病院が多く、入所しやすいので、在宅で何か課題があるとすぐに入所となるような事例も見てきました。

一方で、韓国では日本の地域包括ケアシステムを一つのモデルにし、「最期まで地域で生活できる」ことを目標に体制整備を進めてます。例えば、市町村の公務員が家庭訪問をして課題の早期発見を行う「訪ねていく住民センター事業」や、訪問診療などを充実させる「地域における医療と福祉の統合支援事業」などが挙げられます。

また、日本にはない高齢者福祉サービスとして、元気な高齢者向けの「老人福祉館」が充実し、全国に366か所設置されています(出典:韓国中央総合老人福祉館協会ホームページ)。コンピュータや芸術、語学、運動など多くの生涯学習プログラムが行われ、多くの高齢者が通っています。中には、安く昼食がとれる食堂やシャトルバスでの送迎がある老人福祉館もあります。また、老人福祉館でも介護予防の活動に取り組み始めています。

さらに、高齢者が気軽に集まれる「敬老堂」という集会所が全国に6万8千か所以上あり、この敬老堂で運動プログラムや昼食を提供するなど、敬老堂のさらなる活用に向けた動きも出ています(韓国ファイナンシャルニュース2024年3月21日記事)

このように、韓国では日本の高齢者福祉サービスを参考にしながら、韓国の社会や文化に合わせた高齢者福祉サービスを展開しています。

 

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