「親が認知症でもう我慢の限界…」「これ以上親の介護をしたくない…」
認知症の進行による暴言や徘徊などに耐えられなくなり、介護がつらいと感じてしまう方は多いです。実際に親の介護に限界を迎えて、親に対して暴力を振ってしまったケースも少なくありません。
本記事では認知症の親の介護に限界を感じてきた方向けに、解決策やストレスの軽減方法を紹介していきます。
ポイントは「ひとりで抱え込まずに周りの力を借りること」です。ぜひこの記事を参考にしてください。
認知症の親の介護の限界を感じたら?
認知症の親の介護に限界に限界を感じた時の解決策として、主に3つの方法が考えられます。
- 専門家に相談する
- 介護サービスを見直す
- 介護施設に入居する
親の介護に限界を感じて、介護鬱になってしまったり、親に暴力を振るってしまうケースも少なくありません。この章では認知症の介護に限界を感じている方へ、上記の解決策を順に説明していきます。
専門家に相談する
介護に限界を感じる前に、専門家へ相談することが大切です。
まずはお住まいの地域包括支援センターに相談しましょう。
地域包括支援センターでは、認知症の介護について悩みを相談できるのみならず、認知症に詳しい医療センターを紹介してもらえます。介護サービスのみならず、地域の福祉サービスや制度の利用などの支援を行っています。
また、認知症の進行が手に負えない場合は、認知症専門の医療機関への相談が効果的です。
日本認知症学会が認定している専門医や医療機関が、全国の各地にあります。認知症の症状に応じて、内服薬の調整や進行を抑制するための治療を受けることができます。かかりつけ医に相談するのみならず、第三者の専門家に相談するのも一つの手です。
また、厚生労働省は、認知症の悩みに関するコールセンターを紹介しています。認知症の親の介護に限界を感じてきたら、一度専門医や窓口に相談してみましょう。
介護サービスを見直す
すでに介護サービスを受けている場合でも、定期的な介護サービスの見直しは大切です。
現在の要介護状態で手に負えない場合、そもそもの要介護度やケアプランが適切ではない可能性があります。
担当のケアマネジャーに相談することで、ケアプランの見直しを行うことができます。サービスの利用限度内であれば、デイサービスやショートステイなどの利用回数を増やすことも可能です。
また、要介護認定の区分に納得がいかない場合、介護保険審査会に対して不服申し立て(審査請求)や、区分変更申請を行うことができます。
介護保険審査会に対して不服申し立てを行い、認定結果に誤りがあったと認められた場合には要介護認定の結果を取り消してもらえます。ただし不服申し立て後は通知を受けた60日以内に申請し、新たに要介護認定を受ける必要があるため、時間や手間はかかります。
一方で区分変更申請は、ケガや病気などで要介護者の身体状況や介護状態に明らかな変化がみられる場合に、要介護度の区分を変更してらうための手続きです。
認知症の進行によって明らかに現在の介護サービスでは手に負えないと感じることは、本人の身体状況と介護度が合っていない状態であると言えます。区分変更手続きは不服申し立てと異なりいつでも行うことができ、審査結果も1カ月程度で出ます。
介護サービスを見直すためにも、一度担当のケアマネジャーに相談するのが良いでしょう。
介護施設に入居する
認知症の親の在宅介護に限界を感じてきた場合、介護施設への入居を検討しましょう。認知症の方でも入居できる介護施設は主に3つあります。
- 特養(特別養護老人ホーム)
- グループホーム
- 介護付き有料老人ホーム
認知症の親を施設に預けることに抵抗を感じる方は少なくありません。しかし、介護に限界を感じて親子共倒れになってしまう前に、一度介護施設への入居を検討しましょう。
認知症の方でも入居できる介護施設について、順に解説していきます。
特養(特別養護老人ホーム)
特養(特別養護老人ホーム)は、主に要介護3以上の方を受け入れている介護保険施設です。社会福祉法人などが運営しており、国からの助成が出ているため、入居費用が有料老人ホームと比べて安いという特徴があります。
原則的に要介護3以上の方が入居対象ですが、認知症により意思の疎通が困難であったり、日常生活に支障をきたしていると判断されると、要介護1・2の方も入居できることがあります。
食事や排せつ、入浴などの日常生活介助が中心であり、24時間体制で介護スタッフが配置されています。施設によっては看取り対応を行ってくれるところもあるため「終の住処」として利用する方も多いです。
グループホーム
グループホームは、認知症の高齢者に特化した小規模な介護施設です。認知症ケアの知識や経験がある介護スタッフが24時間体制で適切なケアを行ってくれます。
認知症の方でも馴染めるよう、原則最大9人のメンバーで構成される「ユニット」に分かれて、家事を分担しながら自立した生活を送ります。入所条件は要支援2または要介護1以上で、医師から認知症の診断を受けている方です。
また、事業者と同じ自治体に住民票がある方しか入居することができないため、家族や地域の人々と触れ合いながら、住み慣れた地域で暮らすことができます。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、掃除や洗濯などの身の回りの世話や食事や排せつなどの介助サービスが受けられる介護施設です。民間企業が運営しているため、食事やレクリエーションなどのバリエーションが豊富という特徴があります
原則65歳以上の高齢者が入所条件ですが、医師から特定疾病「初老期における認知症(アルツハイマー病、血管性認知症、レビュー小体型認知症)」と診断を受けた場合、40歳からでも入所できます。
介護スタッフの他にもリハビリ食や看護師などの医療職員が配置されているため、認知症の方でも安心して過ごすことができます。
また、認知所の親の介護に限界を感じて、老人ホームを探したいとお考えの方にはケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
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認知症の親を施設に入れるには?
認知症の方を施設に入れる手順として、以下の5つのステップがあります。
- 本人・家族で話し合う
- 施設の情報収集
- 施設を選ぶ
- 施設の見学・体験入居
- 契約・入居
認知症の親を施設に入れることに後ろめたさを感じる方は少なくありません。だからこそ、本人にとってもご自身にとっても納得できる施設を選ぶことが大切です。施設への入居手続きについて、順に解説していきます。
本人・家族で話し合う
まずは認知症の方も含めて、介護している本人の兄弟や親族と相談しましょう。
実際に施設に入所するのは親本人であるため、認知機能が衰えていない場合は本人も含めて話し合いましょう。また、金銭的なトラブルにならないためにも、他の親族にも話を通しておきましょう。
施設の情報収集
希望している地域や費用、認知症にどの程度対応しているかなど、予めリスト化したうえで情報収集しましょう。
前章で紹介したとおり、介護施設には様々な種類があります。施設の形態によって受けられるサービスや費用が異なります。情報収集の際は、各施設の特徴を調べておくと良いでしょう。
実際の施設を探す際は、ケアマネジャーや知り合いに相談する他にも、民間の介護施設紹介サイトなども活用できます。
条件に合った施設を選ぶ
施設を選ぶ際は、費用や入居条件の他に、どの程度の認知症の方を受け入れてくれるのか確認したうえで決めましょう。
「認知症受け入れ可」と掲示している施設であっても、どの程度の認知症レベルまで受け入れてもらえるかは施設によって異なります。施設によっては認知症専門フロアを設けているところや、スタッフが認知症ケアの研修を定期的に行っているところもあります。
また医療機関との提携や、医師や看護師の人員配置がどうなっているかも確認することも大切です。。認知症の進行により医療ケアが必要となった際に、施設でどのような対応を行ってくれるのか把握しましょう。
施設の見学・体験入居
条件に合った施設を見つけたら、まずは施設を見学しましょう。
資料やネットの口コミだけでは施設の雰囲気を判断することは難しいため、実際に見学することが大切です。見学時は前述のように認知症の方に対してどのようなサービスを行うか、徘徊対策などがなされている構造になっているか、確認すると良いでしょう。
また、施設側が体験入居を行っているところもあります。実際に入居してみることで、日中の見学では見ることができない朝や夜間の対応や、施設の入居者と触れ合うことができます。特に認知症の方は生活環境の変化に対して不安を感じやすいため、本人が安心して過ごすためにも一度体験入居をしてみることをおすすめします。
契約・入居
体験入居などがすんだら、必要書類を提出して契約を結ぶことになります。
施設側が受け入れ可能と判断すれば、施設側が作成した契約書と重要事項説明書をもとに契約を結びます。書類の中には、事業主体やサービス内容の他にも、退去を命じられる条件や費用を滞納した際の対応なども記されています。疑問点があれば、その場で施設職員に確認しましょう。
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「認知症の方への受け入れ態勢がしっかりしている施設を選びたい」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
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認知症の親を強制的に施設に入れてもいいのか?
認知症の方で施設に入所を嫌がっているならば、できるだけ強制的に入所させるのは避けるべきと言えます。
「親を施設に入れたいけれども、全然言うことを聞いてくれない」と悩んでいる方や、「認知症の親を施設に入れてもいいのだろうか」と後ろめたさを感じてしまう方は多いです。
そもそも、例え認知症を患っている場合でもそうでなくても、本人が自ら望んで施設に入居したいというケースはほとんどありません。本人や家族との話し合いの中で、完全に納得して入所するケースも多くはないです。
ただ在宅介護がどうしても厳しく、我慢の限界を迎えてしまい、親子共倒れになっては元も子もありません。
もし認知症の親の介護に限界を迎えて、話し合いもままならない状態であるならば、施設の職員やケアマネジャーなどの第3者に説得してもらうという方法もあります。
介護がつらいと限界を感じている状態だと、話し合いがつい感情的になってしまいます。認知症であっても住み慣れた家から離れるのは嫌なことであり、自分は見捨てられたと感じてしまいます。
親に納得して施設に入居してもらうためにも、施設の方やケアマネジャーなどの第3者から、認知症の進行度や施設の必要性などを説明してもらうことで、スムーズに入所が決まることがあります。
あくまでも施設への強制入所は最終手段として、お互いが納得した上で入所を決めるのが良いでしょう。

認知症の親の介護にみんな限界を感じている
介護がつらいと感じているのはあなた一人だけではありません。親の介護をしている人は、みんな辛いと感じています。
厚生労働省の発表によると、日常的にストレスを感じている人の約70%が「家族の病気や介護」によるものだと答えています。介護のために仕事を辞めなければならなくなったり、介護鬱になってしまう方も少なくありません。
また、近年は介護に限界を迎えてしまった結果、高齢者への虐待を振ってしまったり、最悪の場合は一家心中などにつながるケースもあります。実際に高齢者虐待の件数は、2020年で17,281件とされ、高齢者層の増加とともに年々件数が増えている傾向にあります。
介護に限界を感じている時こそ、問題をひとりで抱え込まず、積極的に介護サービスや介護施設をより活用することが大切です。
認知症の親の介護に限界を感じてきたら、これから紹介する3つを意識してみると良いでしょう。
頑張り過ぎないようにする
認知症の介護に限界を感じているときは、一度立ち止まって状況を整理してみましょう。
在宅介護が続いていくと「自分の親の面倒は最後まで自分でみる」と思い込んでしまう方が多いです。介護に限界を迎えて事件に発展したケースの多くが、自分一人で問題を抱え込んでしまったことが原因です。
介護度に見合ったサービスを受けられていないのならば、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することで解決できるかもしれません。
介護の問題は決して一人で抱え込まず、周りの力を積極的に借りましょう。
自分の時間を確保する
介護に限界を感じてきたら、短くてもリフレッシュする時間を自分に与えましょう。
認知症の進行により暴言や徘徊などの問題行動が多くなり、身体的にも精神的にも疲れがたまってしまうことが多いです。親の介護のことで頭がいっぱいになる前に、一時的に介護から離れる時間を作ることが大切です。
デイサービスやショートステイの活用は、介護の負担を軽減するのはもちろん、介護者が一時的に休息やリフレッシュをするレスパイトケアの側面もあります。
親の介護に頭を悩ませないためにも、好きなことをゆったりできる時間を作りましょう。
時には不満や弱音を吐く
ケアマネジャーやかかりつけ医以外にも、信頼できる知り合いや同僚に話してみるのもいいでしょう。
介護に限界を感じている方の多くが「私だけに介護を押し付けられている」と考えています。
ケアマネジャーや親族と話していると、どうしても介護の話ばかりになりがちです。時には友達や会社の同僚などに話してみるのが良いでしょう。何気ない会話や弱音を吐ける友達は、介護を続けていくうえでかけがえのない存在となります。
話すことで心の負担が大きく軽減されます。限界を迎える前に、吐き出すことが大切です。

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ピッタリの施設を提案します
認知症の親の介護に限界を感じる前に
認知症の親の介護に限界を迎えてしまう前に、積極的に周りの力を借りることが大切です。
親の介護に限界を感じているのはあなただけではありません。親子共倒れになる前に、専門家に相談したり、介護サービスの見直しを行いましょう。
また、認知症の方を受け入れている介護施設もあります。一度老人ホームについて調べてみて、家族や兄弟と話し合ってみても良いでしょう。
認知症の親の介護に我慢の限界を迎える前に、ぜひこの記事を参考に負担を減らしていきましょう。
介護をひとりで抱え込まずに、専門家に相談したり、介護サービスの見直しを行いましょう。また介護施設への入居も考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
認知症の方で施設に入所を嫌がっているならば、できるだけ強制的に入所させるのは避けるべきと言えます。もし話し合いもままならない状態であるならば、施設の職員やケアマネジャーなどの第3者に説得してもらいましょう。詳しくはこちらをご覧ください。