延命治療のデメリットは?メリットから治療内容まで詳しく解説!

延命治療のデメリットは?メリットから治療内容まで詳しく解説!

延命治療を受けるか否かの決断は、急に迫られる場合も少なくありません。しかし、事前に本人と家族で話し合っているケースはそう多くはないでしょう。

「延命治療について詳しく分からない」「自分の選択で後悔したくない」などと不安な方もいるのではないでしょうか。

本記事では、延命治療のメリット・デメリットや、治療を受けられる場所それぞれにかかる費用についてまとめました。さらに、延命治療を受けるかどうかを決めたあとの流れについても解説しています。

具体的にどのように決めればよいのか分からない方や、延命治療について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

たがしゅうオンラインクリニック 院長
所有資格:日本東洋医学会専門医、日本医師会認定産業医など
専門分野:西洋医学、東洋医学、ホメオパシー、アロマテラピー、サプリメントなど
職業: 医師

患者さんと様々な健康課題に対してじっくりと相談に乗ることのできるオンライン診療専門のクリニックを運営しています。西洋医学の枠に捉われず、東洋医学は勿論、ホメオパシー、アロマテラピー、サプリメントなどの様々な代替医療も駆使して患者さんの健康管理を遠方からサポートする医師です。理念は「『医者が患者を治す』から『患者が病気を治すのを医者が手伝う』」。根本的治療を施すことができる唯一の存在である患者本人が、病気を根本的に克服するのを支える「主体的医療」の普及を目指しています。ブログ、ツイッター、YouTube、メルマガ、Noteなどさまざまな媒体で患者自らが病気を治すために役立つ知識について情報発信中。詳しくはこちら

所有資格:一般社団法人 薬機法医療法規格協会 薬機法医療法遵守広告代理店認証
専門分野:化粧品や健康食品における広告表現
職業: 薬機法管理者

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延命治療の定義とは

延命治療とは、厚生労働省において以下のように定義されています

”延命処置とは生命維持処置を施すことによって、それをしない場合には短期間で死亡することが必至の状態を防ぎ、生命の延長を図る処置・治療のことをいう”
引用元:厚生労働省「終末期医療のあり方について

老化にともなう心身の衰弱や病気によって、自分の力だけでは生命の維持が困難な方に対して、一時的に命をつなぐための治療を意味します。延命治療は回復の見込みがなく、余命数ヶ月などと診断された終末期患者を対象に、検討されることが多いです。

延命治療の内容は多岐に渡り、本人もしくは家族の意思に基づいて行われます。

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延命治療を受ける3つのデメリット

一方で、延命治療を受ける場合、以下の3つのデメリットが考えられます。

  • 医療費の負担がかかる
  • 本人の意思に反して行われる可能性がある
  • 家族に精神的負担がかかる

これらのデメリットを理解し、延命治療を受けるか否かを検討しましょう。

それぞれのデメリットを解説します。

医療費の負担がかかる

延命治療を医療機関や介護施設で行う場合は、入院費や入居費が高額になります

高額療養費制度を利用することで、医療費の負担額を減らすことは可能ですが、差額ベッド代や食事費用など還付適応外の費用もあるため、毎月の出費に影響することには変わりありません。

また、延命治療はいつ終わるか分からない不安もあります。これらの理由から、費用の負担を心配する方は多くいらっしゃるでしょう。

延命治療の費用に関しては、後ほど詳しく解説いたします。

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本人の意思に反して行われる可能性がある

延命治療は基本的に、本人の意思が尊重されますが、意思確認できない場合は家族の意思が反映されます

事前にリビング・ウィル(事前指示書)などで意思表示されている場合は安心ですが、急に延命治療が必要になり、家族が決断を迫られるケースも少なくありません。

また、延命治療を一度始めてしまうと、途中でやめる判断を下すのは容易ではありません。そのため事前に本人と家族同士で、延命治療を受けるか否かを話し合っておくとよいでしょう。

家族に精神的負担がかかる

本人の意識がないまま延命治療を続けることは、家族にとって精神的な負担になりかねません。特に意識がない状態で人工呼吸器がつながれた姿を見るのは、辛いものがあるでしょう。

また、本人の意思が確認できていない状況での治療開始や、途中で治療をやめた場合などは、自分たちの判断が合っていたのかという自責の念にかられてしまう方も少なくありません。

延命治療はデメリットだけではない?メリットも紹介

延命治療を受けるメリットは、大きく以下の2つが考えられます。

  • 死期を延ばせる
  • 家族の身体的負担を軽減できる

それぞれのメリットについて解説します。

死期を延ばせる

延命治療は、医療措置によって命をつなぐ行為です。そのため、死期を延長できる点は大きなメリットといえるでしょう。

本人の意識があれば、家族と遺言や相続など「終活」についての話し合いの時間を設けられます。さらに、お別れまでの時間を確保できるため、家族と過ごしたり、会いたい人に会ったりなど、本人が望む最期の時を過ごせます。

家族の身体的負担を軽減できる

延命治療を受ける場合、在宅でのケアを除き、医療機関への入院や介護施設への入居が必要です。

これによって、家族による服薬管理や食事の提供、通院によるサポートなどが不要になります。そのため、家族の身体的負担が軽減され、時間の制約から解放されるでしょう。

延命治療の主な内容は3つ

延命治療としての医療措置は幅広く、本人や家族の意思によっても異なります。

主に延命治療とされているのは、以下の3つです。

  • 人工栄養
  • 人工呼吸
  • 人工透析

これらの延命治療は、本人の意思を尊重し行うことが望ましいですが、本人の意思が確認できない状況の場合は家族に判断が委ねられます。

それぞれの治療内容について解説します。

人工栄養

人工栄養とは、口から食事を摂取できない患者に対して、点滴やチューブにて栄養を補う処置のことを指します。

具体的には、以下の方法が選択されます。

  • 経鼻経管栄養:鼻から管を挿入し栄養を投与する方法
  • 胃ろう:手術にて腹部に直接チューブを設置し、栄養を投与する方法
  • 中心静脈栄養:中心静脈にカテーテルを挿入し、点滴にて栄養を投与する方法

これらの方法は、病状や本人・家族の希望、意識の有無、生活スタイルによって選択されます。

また、介護施設を利用する場合は、施設によって対応可能な処置が決められているため、希望する施設に合わせて選択する必要があります。

人工呼吸

人工呼吸は、自発的に呼吸ができない患者に対して、人工呼吸器を使用し強制的に呼吸を行うための処置です。

延命治療としての人工呼吸が必要な方は回復の見込みがないことが前提のため、延命治療の選択を提示されることは、人工呼吸器を取り外すと生命の維持が困難なことを意味します。

意識がない状態で、延命のためだけに機械につながれた姿をみるのは、心を痛める方も少なくないでしょう。

人工透析

人工透析とは、慢性腎不全などで腎機能が低下した患者に対して、機械を使い血液中の老廃物を除去する処置のことを指します。

腎臓が正常に機能していないと、血液中の老廃物や不要な水分を尿として排泄できません。。身体の中に老廃物がたまると尿毒症を発症するため、生命の危機に陥ることも。

腎機能が低下している方で延命治療を希望する場合は、腎臓の働きを肩代わりする人工透析が必須となるでしょう。そのため在宅にて療養する場合は、透析についての知識や管理方法を習得する必要があります。

延命治療を受けられる場所と費用

延命治療は終末期医療に含まれるため、医療行為が認められる場所にて実施が可能です。

延命治療が可能な場所は、以下の3つです。

  • 病院での入院
  • 介護施設の利用
  • 在宅での療養

利用者が過ごす場所によって環境や治療費が異なります。

ここでは、それぞれの場所の特徴と必要な費用に関して解説します。

病院での入院

延命治療を受ける方の割合が、一番多いとされているのは「病院」です。これは、厚生労働省「人口動態調査の死亡場所の推移」にて、病院にて死を迎える方の割合が78.4%というデータに基づいています。

延命治療を受けられるのは、療養型病棟や緩和ケア病棟が一般的です。病院に入院することで身体的治療のみならず、精神的苦痛の緩和も期待できます。医師や看護師はもちろん、薬剤師・栄養管理課・ソーシャルワーカーなど多職種が1つのチームとなりサポートしてくれるのが特徴です。

基本的に病院での医療費負担は、1〜3割とされています。

日本慢性期医療協会のデータによると、終末期患者の死亡前入院医療費は、約28,500円/日かかるといわれています。

そのため、1〜3割負担として入院費を計算すると10〜30万円/月程度が相場でしょう。ただし、個室を利用する場合は、差額ベッド代が別途かかります。

介護施設の利用

介護施設でも終末期ケアを行っているところもあります。延命治療などの医療行為が可能なのは、ホスピスや特養(特別養護老人ホーム)などが一般的です。しかし、病院に比べ実施できる医療行為は限られてくるため、延命治療の内容によっては利用できないケースもあります。

入居費や医療費は、利用する施設や処置内容によって大きく異なります。介護のみのサポートに比べ、医療に関わる処置が必要な場合は費用が高額になるケースが多く、15~30万円/月が相場です。

必要な医療措置や、希望する条件によって施設を探しましょう。

延命治療が受けられる介護施設が知りたいという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。

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在宅での療養

訪問診療や訪問看護を利用することで、自宅でも延命治療などの医療行為が可能です。しかし、家族のサポートが必要になるため、病院や施設を利用するよりも身体的負担がかかります。

2021年の日本財団の調査によると、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと望む方の割合は58.8%であり、一番多いという結果となっています。

本人が自宅で過ごしたいとの希望がある場合や、家族が自宅で看取ってあげたいという強い意思がある場合などは、在宅での療養も検討してよいでしょう。その際、何かあったときの対処法や連絡先を明確にしておくと、不安を軽減できます。

延命治療の費用は「高額療養費制度」にて抑えられる

延命治療は医療費が高額になりやすく、いつまで続くか分からない不安から、費用を心配する方もいらっしゃるでしょう。しかし高額療養費制度を利用することで、大幅に医療費を抑えることが可能です

高額療養費制度とは、医療費負担が大きくならないよう、定められた上限を上回った場合、超えた額を支給してもらえる制度です。医療費の上限は、年齢や所得に応じて決められています。月単位での支給となり、超えた額は後日還付されるシステムです。ただし、個室代や食事代などは含まれないため注意しましょう。

延命治療にかかる費用は高額であるというイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、高額療養費制度を活用することで経済的負担を減らせるでしょう。

延命治療を受けるか否かを決めたあとの流れ

延命治療を受ける場合と受けない場合では、とるべき行動や過ごす場所が異なります。

ここでは、延命治療を受けるか否かを決めたあとの流れについて解説します。

何をしたらよいのか分からない方は、しっかりと確認しておきましょう。

受ける場合

延命治療を受ける場合は、まずどこで過ごすかを決めましょう。リビング・ウィルなど本人の意思表明があれば、それに従うことが望ましいです。

本人の意思が確認できない場合は、家族でよく話し合い、メリット・デメリットや費用を考慮したうえで決めましょう。もし担当医がいる場合は、延命治療内容や今後の経過についてしっかり話を聞き、納得したうえで選択することが大切です。

介護施設や在宅を希望する場合は、ケアマネジャーに相談すると段取りを提示してくれます。

受けない場合

事前に、リビング・ウィルや尊厳死宣言公正証書などで「延命治療を受けない」と本人の意思を確認できるものがある場合や、家族が延命治療は希望しない場合であれば、積極的な医療措置は行わず、自然な形で最期を迎えることになります。

これを尊厳死と呼びます。厚生労働省にて、尊厳死とは以下のように定義されています。

”過剰な医療を避け尊厳を持って自然な死を迎えさせること”

(引用元:厚生労働省 終末医療のあり方について)

これは苦痛の強い患者に対して人為的に死をもたらす、安楽死とは異なります。ちなみに安楽死は、日本の法律では認められていません。

延命治療を受けない場合は積極的な医療行為は行わないため、利用できる介護施設の範囲が広がり、看取りが可能な施設の入居が可能です。もちろん、病院や在宅でも過ごせます。

延命治療に関して事前に話し合っておくと安心

延命治療を受けるか否かを事前に話し合っておくと、万が一の場合でも落ち着いて対応できます。その際に有効なのが、リビング・ウィルや尊厳死宣言公正証書などの文書です。

リビング・ウィルは、事前に医療や延命治療に対しての意思を表示しておく文書です。あらかじめ用意しておくことで、万が一意思表示ができない状況になったとしても自分の意思が尊重されるようになります。また、記載後に気持ちが変わった場合は、いつでも撤回・変更可能です。

一方で尊厳死宣言公正証書は、尊厳死を希望する意思を表示する文書です。延命治療を希望しない場合に作成しておくとよいでしょう。

自分で作成するリビング・ウィルとは違い、尊厳死宣言公正証は公証役場で公証人によって作成されます。そのため、リビング・ウィルよりも証明力が強いとされています。

ただしどちらも法的な力はなく、確実に延命治療が行われないとは言い切れません。しかし事前にこれらを用意しておくことで、本人と家族が納得した最期を迎えられるでしょう。

延命治療は家族とよく話し合って決めることが大切

延命治療を受けるか否かの決断は、容易ではありません。事前に本人と家族間で意思の確認が取れていると安心ですが、そういったケースは少ないでしょう。

本人の意思が確認できない場合、家族の意見によって決められます。

延命治療のメリット・デメリットを正しく理解し、家族でしっかりと話し合って決めることが大切です。

かかりつけ病院の担当医や、ケアマネジャーに相談して納得する方法を選択しましょう。

延命治療についてケアマネジャーに相談したい時はどこに行けばよいですか?

お住まいの市町村にある「介護保険課」や「地域包括支援センター」などで案内してもらえます。また病院で紹介してもらえる場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。

ケアマネジャーはどんなことをしてくれますか?

ケアマネジャーの主な役割として、「要介護認定の申請について」「利用者のケアプランの作成」「病院や施設入所のサポート」「利用可能なサービスの提供」などが挙げられます。介護が必要になった方や、その家族に対してのサポートが主な役割です。詳しくはこちらをご覧ください。

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