「認知症の親を住宅型有料老人ホームに入居させたいけれど、受け入れてもらえるのかな…」「もし症状が進行したら、追い出されてしまうことはないの?」と悩む人は少なくありません。
結論から言うと、住宅型有料老人ホームでも認知症の方の入居は可能です。
しかし、症状が進行すると費用が膨らむリスクや、他の入居者とのトラブルなどで退去を求められるリスクがあることを正しく理解しておくことが大切です。
そこ本記事では、住宅型有料老人ホームにおける認知症の受け入れ割合や、認知症ケアの内容、起こりうるトラブルなどについて詳しく解説します。
認知症でも入居できる住宅型有料老人ホームは8割以上
本章では、住宅型有料老人ホームにおける認知症の方の受け入れ状況について解説します。
住宅型有料老人ホームの認知症受け入れ割合
『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によれば、ケアスル 介護に掲載されている住宅型有料老人ホームで認知症の方を受け入れられる施設は88.8%です。掲載されている住宅型有料老人ホーム2574件のうち2,286件が対応しています。

「相談できる」という施設も11%あるため、入居できる施設割合とあわせるとほとんどの施設で入居の可能性があると考えてよいでしょう。
ただし、どんな認知症の人でも入居できるとは限りません。事前に施設の方に入居する方の認知症度合いについて連携しておく必要があります。
「夜中に徘徊を繰り返している」「いきなり大声で叫びだす」など、具体的な行動について確認してから入居可否の判断がおりるためです。
施設種別ごとの認知症受け入れ割合の違い
住宅型有料老人ホームとほかの施設での認知症の方の受け入れ可能割合は以下の表の通りです。
上記の表はいずれも『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』より抜粋をしています。
ケアスル 介護に掲載されている施設であれば、種別問わず多くの施設にて入居が可能です。
住宅型有料老人ホーム以外の施設と認知症の関係については、それぞれ以下の記事にまとめていますので、あわせて参考にしてみてください。
住宅型有料老人ホームの認知症ケア①:安否確認
住宅型有料老人ホームは、サ高住のように「状況把握サービス」の提供が法律で義務付けられているわけではなく、安否確認の手厚さは施設ごとに大きく違います。
定期的な巡回や声掛けをしている住宅型有料老人ホームは多いですが、その方法や頻度は各施設にゆだねられている点に注意が必要です。
そのため、住型有料老人ホームの安否確認は「最低限の対応」にとどまるケースが多く、施設側から積極的に認知症の変化に気づいてもらえるとは限りません。
認知症の症状が進行している場合は、どのような安否確認が行われているかを入居前に確認し、必要に応じて訪問介護などの外部サービスとの組み合わせも検討しましょう。
介護職員として10年間勤務され、現在は高齢者施設の紹介業を営んでいる和田さんにお話しを伺いました。


ただし、その中でも施設として最低限の「安否確認」を行ったり、何かあった時に相談を聞いたりといった対応はしてくれます。
住宅型有料老人ホームの認知症ケア②:生活援助
住宅型有料老人ホームは、施設の職員が直接介護をする施設ではありません。
食事の準備や掃除、洗濯といった生活援助が必要になった場合は、訪問介護などの外部の介護サービスを個別に契約して利用します。
認知症の症状などの程度に応じてサービス量を調整できますが、外部サービスの利用が増えるほど負担額が増えるため注意してください。
特に認知症の場合は、入居後に症状が重くなり自立した生活ができなくなると、一気に介護サービスへの持ち出しが増えてしまう可能性が高いです。
住宅型有料老人ホームの認知症ケア③:外部サービスによる身体介護
認知症の症状が進むと、着替えや排泄、入浴といった身体介護に加え、転倒や誤薬への対応が必要になるケースが増えるでしょう。そのような場合、基本的に住宅型有料老人ホームでは施設のスタッフによる直接介護ではなく、訪問介護などの外部サービスを契約して対応します。
職員体制が薄い施設だと、症状の進行に伴って必要な身体介護に対応しきれず、退去を求められる可能性がある点には注意が必要です。
なお、施設によっては看護師や介護スタッフを手厚く配置した医療特化型の住宅型有料老人ホームもあります。認知症ケアの体制を重視する場合は、スタッフの配置が手厚い施設を選ぶとよいでしょう。
ケアが手厚い施設は、その分だけ月額費用が高い傾向があるのでご注意ください。
看護師であり、様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さんに、住宅型有料老人ホームとケアの体制についてお話を伺いました。


職員がほとんどいない施設がある一方で、医療特化型として重度の方に限定し介護付きホームを圧倒的に超える人数の看護師や介護スタッフを配置している手厚い施設もあります。
住宅型有料老人ホームで考える場合、各施設個別にどのようなサービス体制になっているかを見ていく必要があるでしょう。
住宅型有料老人ホームで受けられる身体介護の範囲は、施設の職員体制と契約している外部サービスの組み合わせによって決まります。
そのため、本人の現時点の状態だけでなく、症状が進んだ場合でも同じ施設で対応できるかどうかも確認しておきましょう。
住宅型有料老人ホームの認知症ケア④:レクリエーション
住宅型有料老人ホームでは、多くの施設でレクリエーションが行われています。
特に認知症の症状がある方にとっては、レクリエーションは日中の活動量と生活リズムを保つための大切な機会です。
しかし、住宅型有料老人ホームでのレクリエーションの実施は義務ではありません。施設によってはそれほど力を入れていないケースもあります。

職員が配置されていて午前中に体操をして午後にお茶の時間を設けるようなところもありますが、全くそういったサービスがないところもあります。
レクリエーションの機会が少ない施設だと、レクリエーションが活発な施設に比べて認知症の進行が早まってしまう可能性があるので注意してください。
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住宅型有料老人ホームで認知症を受け入れてくれる施設の「費用相場」
住宅型有料老人ホームの費用相場は認知症受け入れによって変わりません。
『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によると、認知症受け入れ可の施設でも初期費用の中央値は100,000円、月額費用の中央値は144,000円と施設全体とまったく同じ金額となっています。
つまり、認知症だからといって施設自体の基本料金が高く設定されるわけではないのです。

しかし、住宅型有料老人ホームでは、毎月支払う基本の月額費用(家賃、管理費、食費など)とは別に、使った分の「介護保険サービス費(自己負担額)」が別途上乗せされる点には注意が必要です。
住宅型有料老人ホームは介護サービスを利用する分だけ費用が発生する従量課金制のため、介護度が低い段階は割安になります。
ただし認知症が進行して見守りや介助の頻度が増えると、その分だけデイサービスやヘルパーの利用料が増加していきます。
住宅型有料老人ホームの費用については、以下の記事を詳細をまとめていますので、参考にしてみてください。
住宅型有料老人ホームに入居させたいけど、お金がない場合の対処法
住宅型有料老人ホームへの入居費用が不安な場合は、以下の4つの対処法を検討してみてください。
【費用を抑えるための4つの対処法】
- ケアマネや地域包括支援センターに相談する:
現在の予算感を包み隠さず正直に伝え、身の丈に合った計画や施設をプロに提案してもらいましょう。 - 費用が安い施設を探す:
100点満点の施設はありません。立地(郊外)や築年数、多床室(相部屋)など、絶対に譲れない条件以外を妥協することで月額費用を抑えられます。 - 減免制度を活用する:
「高額介護サービス費」など、所得に応じて月々の自己負担額が軽減・払い戻される制度がないか、自治体の窓口に確認しましょう。 - 生活保護を受給する:
最終手段として生活保護を受給して入居する道もあります。(住宅型有料老人ホームは、他施設よりも生活保護受給者の受け入れ割合が高い傾向にあります)。
まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに現状のお金回りについて相談しましょう。
お金についての相談になると見栄を張ってしまう人も少なくありませんが、ここできちんと伝えなければあなたにあった施設探しは難しくなってしまうので、包み隠さず伝えることが大切です。
専門家に相談することで利用できる減免制度だったり、生活保護の受給要件を満たしているかも判断できます。
施設への入居に関するお金回りについて不安がある方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
ピッタリの施設を提案します
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認知症の方が住宅型有料老人ホームに入った時に起こりうるトラブル
認知症の方が住宅型有料老人ホームに入居した後に起こりやすいトラブルについて解説します。
本人の症状による他の入居者やスタッフとの衝突だけでなく、実は家族の態度が原因で問題に発展するケースも少なくありません。
【住宅型有料老人ホームに入居した際に起こりやすいトラブル】
- 暴力・暴言・徘徊によるトラブル
- 金銭・盗難トラブル(物盗られ妄想など)
どのようなリスクがあるのかを事前に把握し、施設選びや入居後の対応に活かしていきましょう。
暴力・暴言・徘徊によるトラブル
暴力や暴言、徘徊などの症状は、施設側が対応しきれず深刻なトラブルに発展しやすいことあがあります。
認知症が進行すると、感情のコントロールが難しくなり、周囲に対して攻撃的になることがあります。
住宅型有料老人ホームは日中のスタッフ配置が少ない施設もアリ、こうした問題行動が頻発すると安全な生活環境を維持できません。

問題行動が改善しない場合の最終的な着地点は「精神科(療養病棟)」しかないケースも存在します。
このように、他の入居者やスタッフに危害を加える恐れがある場合は、施設での生活継続が困難になります。
入居前の面談で親の暴力的な傾向を隠してしまうと、入居後にすぐトラブルになり、早期退去を求められる原因になります。施設側で対応可能か判断してもらうためにも、症状は正直に申告しましょう。
金銭・盗難トラブル(物盗られ妄想など)
認知症特有の「物盗られ妄想」により、周囲の人間を泥棒扱いしてしまう金銭トラブルが起こることがあります。
記憶障害によって自分がどこに物を置いたか忘れてしまった不安から、身近な人を犯人に仕立て上げてしまうのが特徴です。
施設内でこの症状が出ると、お世話をしてくれるスタッフや仲良くしていた他の入居者を泥棒扱いしてしまいます。その結果、施設内の人間関係が悪化し、本人が孤立してしまう恐れがあります。
施設側もこうした認知症の症状には慣れていますが、頻繁に騒ぎになると業務に支障が出ます。家族としては、施設内に多額の現金や貴重品を持ち込まないように配慮し、トラブルの火種を減らす工夫が大切です。
本人の「お金を盗まれた」という訴えを家族が真に受けて、施設へ一方的にクレームを入れてしまうと、スタッフとの信頼関係が崩れてしまいます。まずは病気の症状である可能性を疑い、冷静にスタッフと状況を確認してください。
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住宅型有料老人ホームで認知症の方が入れる施設の探し方
認知症の方を受け入れている住宅型有料老人ホームの探し方は『インターネットでの検索』と『専門家への相談を並行して行うのがおすすめ』です。
ケアスル 介護でも認知症の方が入居・受け入れ相談可能な施設を掲載しています。以下からぜひ、ご検討ください。
また、より詳しい施設の探し方や、失敗しないための見学のポイントなどについては、以下の参考記事でまとめています。
施設探しを本格的に始める前に、ぜひ確認してみてください。
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住宅型有料老人ホーム以外に認知症の方が入れる施設
住宅型有料老人ホーム以外の選択肢も検討しておきましょう。
親の症状や要介護度によっては、別の施設種別を選んだほうが安心して生活できる場合があるためです。
それぞれの特徴を理解し、比較検討の材料にしてみてください。専門家である桐島さんも、施設選びの基準について次のようにアドバイスしています。

介護付き有料老人ホーム
食事や排泄など日常的な身体介助が常に必要な状態であれば、介護付き有料老人ホームも検討しましょう。
介護付き有料老人ホームは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。
外部サービスを利用する住宅型とは異なり、施設専属のスタッフが24時間体制で食事や入浴などの介助を行います。
介護付き有料老人ホームのより詳しい特徴や費用感については、以下の記事を参考にしてください。
グループホーム
身体的な介護よりも認知症の症状(徘徊や妄想など)が前面に出ている方には、グループホームが向いています。
グループホームは、認知症の診断を受けた方のみが入居できる専門施設です。
少人数制のユニット単位で生活するため、スタッフや他の入居者と顔なじみになりやすく、環境変化に敏感な認知症の方でもパニックを起こしにくいのがメリットです。
グループホームのより詳しい入居条件やメリットについては、以下の記事をご確認ください。
グループホームは地域密着型サービスのため、原則として施設と同じ市区町村に住民票がある方しか入居できません。また、看護師の配置義務がないため、医療的ケアが必要になると退去となる場合があります。
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まとめ
認知症の方の住宅型有料老人ホームへの入居について、費用相場や起こりうるトラブル、そして退去リスクなどを解説しました。
【本記事の重要なポイント】
- 住宅型有料老人ホームでも多くの施設が認知症を受け入れており、外部サービスを活用してケアを受けられる。
- 基本料金は変わらないが、介護サービスを使った分だけ費用が膨らむリスクがある。
- 徘徊や暴力などの症状が悪化したり、医療行為が必要になったりすると退去になるケースがある。
- 家族の過度なクレームが原因で退去を求められることもあるため、施設との良好な関係構築が大切。
- 親の症状や予算に合わせて、介護付き有料老人ホームやグループホームの利用も検討する。
認知症の親を住宅型有料老人ホームへ入居させることは十分に可能です。
しかし、「定額制ではないため将来的に自己負担額が膨らむかもしれない」「重度化したら住み続けられないかもしれない」といった特有のリスクを正しく把握しておく必要があります。
今回お伝えした内容を参考に、親の現在の症状や予算、そして将来の変化も踏まえた上で、本当に住宅型有料老人ホームが最適な選択なのかをご家族で話し合ってみてください。