看護師の働き方も多様になってきた現在、介護施設へ転職する方も多くなりました。
サービス付き高齢者向け住宅は、介護施設や介護事業所への転職を希望している看護師にとって、有力な選択肢の一つです。
他の介護施設に比べて、業務負担が比較的軽く、年齢を重ねてからでも働きやすいという点がその理由です。
この記事では、サービス付き高齢者向け住宅で働く看護師の仕事内容や給料、また、特養や老健などをはじめとする、その他の介護施設との違い、サービス付き高齢者向け住宅で働くメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
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サービス付き高齢者向け住宅の対象者
サービス付き高齢者向け住宅は一般的にサ高住と呼ばれます。
サ高住の入所対象者は60歳以上の高齢者、もしくは60歳未満で要支援・要介護認定を受けている方です。
ただ、施設によって「自立した生活を送れること」「認知症でない」など、条件が異なってきます。
サ高住は介護型(定められた基準でスタッフを配置し、介護度別の定額で介護サービスを提供)と一般型(必要な介護サービスを個別で契約して介護を受ける)に分かれます。
介護型であれば寝たきりなどの介護度の重い方や、認知症の方を受け入れる態勢が整っているところも多くあります。
中には「入居者の配偶者」「60歳以上の親族」「要介護認定を受けている親族」「特別な理由により同居させる必要があると知事が認める者」のいずれかに該当する方が同居しているケースもあります。

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サービス付き高齢者向け住宅での看護師の仕事内容
サ高住での看護師の仕事とは、どのようなものでしょうか。
常駐する看護師は1日1回、入居者の安否確認が義務付けられています。また、医療的な立場から生活相談を受けます。
前提として、サ高住は医療施設ではなく「生活の場」ですので、入居者の健康をしっかりと管理し、質の高い生活を送れるようサポートしていくことが求められます。
状況に応じて医療行為を行うことはありますし、体調が急変した入居者が出た場合には、医師がいない分、看護師による適切な判断と処置が求められます。
また、施設によっては医療行為だけでなく、介護スタッフと連携しながら食事や入浴のサポートに入ることもあります。
そういう意味ではとてもやりがいのある仕事といえるでしょう。それでは具体的な仕事内容について見ていきます。
健康管理
病院と違って、施設で働く看護師のメイン業務は入居者の健康管理です。
施設においては、看護師に以下のような業務が割り振られていることが一般的です。
- 検温、血圧測定などのバイタルチェック
- 食事と水分摂取量のチェック
- 口腔衛生や爪切り、耳垢除去などの日常生活のサポート
- 各居室訪問
- ナースコール対応
- 健康上の相談
- 緊急時の対応(施設管理者・医師・ご家族への連絡など)
これらの業務を介護スタッフと連携しながら行っていきます。
「普段と違う変わったところはないか」を看護師の視点で確認しながら、状態に合わせて日常生活支援を行っていくことが求められます。
とてもやりがいのある仕事といえるでしょう。
療養
介護施設で働く看護師は、療養に関する業務にも関わります。
以下の行為の対象となる入居者がいれば、安全に配慮しながら看護師が対応していきます。
- 経管栄養の実施
- 軟膏の塗布
- 湿布の貼付
- ケガや創傷の処置
- 人工肛門などのストーマ装具の交換
- 自己導尿を補助するカテーテルの準備
- その他、医師から指示された医療処置
健康管理と共に、看護業務におけるウェイトが大きい業務になってきます。
医療業務
医師からの指示や指導のもと、医療業務を行います。
医療行為の程度はサ高住によって異なりますが、一般的に行われるのは以下の行為です。
- 投薬(服薬管理)
- 点滴
- 採決
- 痰の吸引
- インスリン注射
- 床ずれの観察、処置
- 尿道カテーテルの挿入
病院などに比べれば医療依存度は低いため、これらの行為が必要な方の割合も少なめです。
そのため、サ高住で働く看護師の中には「もう少し自分のスキルを活かしたい」という方もいる一方、「業務負担が少なくてすむ」という方も多く見られます。
食事介助・入浴介助
看護師が食事介助や入浴介助に入る施設も多くあります。
メインで行うのは基本的には介護士ですが、食事介助などは誤嚥のリスクが高い利用者には看護師が食事介助を行うケースも考えられます。
また、褥瘡などのスキントラブルやカテーテルがあるため、医療処置が必要な方には、入浴介助に入ることもあるでしょう。
どちらも入居者とコミュニケーションを深めるチャンスです。また、一般型のサ高住の場合にはこの他にも以下の生活支援業務が割り当てられていることがあります。
- 居室掃除
- ゴミ捨て
- 病院受診の付き添い
- 買い物代行
- 外出時の付き添い
サービス付き高齢者向け住宅で働く看護師には夜勤がある?
サ高住で働く看護師には夜勤はあるのでしょうか。それは施設によって異なります。
サ高住は看護師の夜勤配置義務はありません。
そのため夜間も看護師が常駐している施設、昼間だけ常駐している施設、訪問看護で対応のため看護師は常駐していない施設など、さまざまです。
ただ、他の施設との差別化を図るために夜間も看護師を常駐させる施設も増えつつあります。
夜勤の業務負担は、病院や介護度の高い特養などの介護施設の夜勤に比べれば少ないといえますが、それでも夜勤を避けたい方は面接の際に確認するとよいでしょう。
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看護師が働く施設の種類
看護師を配置している介護施設・事業所は多くありますが、施設によって、その目的や役割が微妙に違ってきます。
施設の種類によって、看護師に求められる役割も違ってきますので、それぞれの施設がどのような目的を持っているのか、その特徴や役割を理解しておくことは、転職先を探す参考になるでしょう。
ここではサ高住以外の代表的な施設をご紹介します。
特別養護老人ホーム
社会福祉法人が運営する施設であり、入居の際の費用は無料です。月額の利用料も他の施設に比べれば安価で、人気のある介護施設です。
入所条件が要介護3以上となっており、平均介護度は2018年度、2019年度ともに従来型では3.99、ユニット型ではそれぞれ3.88、3.89となっています。
(引用元:2019年度 特別養護老人ホームの経営状況について)
平均介護度が高いため、医療的な処置を求められる方も多くいます。
一度入所すれば介護度が重くなっても退去を求められることはありませんし、看取りの対応を行っている施設も多くあります。
医師が常駐しているところはほとんどなく、そのため看護師の責任も重く、やりがいのある施設といえます。
有料老人ホーム
主に民間が経営する介護施設であり、24時間体制で介護を受けられることが特徴です。
有料老人ホームには「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類があります。
介護付き有料老人ホームは看護師が常駐、配置基準は入居者30人までは看護師1人を配置、50人増すごとに看護師を1人追加することとなっています。
住宅型や健康型有料老人ホームでは、必要に応じた看護師数が配置されます。
要支援や要介護の認定を受けられない、自立の方が入所しているケースも多く、医療的な負担は他の施設に比べると少なめといえます。

介護老人保健施設
介護老人保健施設は、入院していた方が在宅療養に切り替えるためにリハビリに取り組む施設です。そのため、特養をはじめ有料老人ホームなどの他の施設に比べてもリハビリに力を入れています。
入所対象者は65歳以上で、要介護1以上の認定を受けていることです。
40~64歳の特定疾病による要介護認定を受けている方も入所対象となります。あくまでも在宅復帰を目指す施設であり、終身利用はできません。
3ヵ月に1度、リハビリの継続が必要かどうかの審査があります。
この審査で「老健でのリハビリはもう必要ない」と判断されると退所となります。
2019年度の老健の平均介護度は3.19となっています。
(引用元:2019年度 介護老人保健施設の経営状況について)
デイサービス
デイサービスとは要介護1~5までの方が通所しており、介護サービスを受ける施設です。入浴やリハビリなどのサービスが受けられます。
日帰りのサービスで、自宅から施設までの送迎がありますので、ご自身で通えない方やご家族による送迎ができない方でも利用が可能です。
老人ホームのように居住するための施設ではありませんが、中には介護保険外の自費サービスで泊まりのサービスを行っているデイサービスもあります。
外出することができない方の社会的孤立感の解消、または心身機能の維持向上、ご家族の精神的・身体的負担軽減のために利用する方が多く見られます。
サービス付き高齢者向け住宅で働くメリット・デメリット
ここからはサ高住で働くことのメリットとデメリットをご紹介します。
メリットだけでなく、デメリットを知ることで「自分にあった働き方ができるか」「自分がやりたいことを実現できるか」の判断材料とすることができます。
先に紹介した、他の高齢者施設の特徴も踏まえながら検討してみるとよいでしょう。
メリット
入居者と深く関わっていける
サ高住で働くことのメリットは、何と言っても入居者の方と長期間に渡って関わっていけることです。
多くの時間を共有するだけに、誠実な対応を続けているスタッフのことを信頼してくれますし、それがやりがいにも繋がっていきます。
接遇面のスキルアップが期待できる
入所者の中にはさまざまな方がいらっしゃいます。
そのため、傾聴することや端的に要件をお伝えする力などが求められます。
サ高住での仕事を通じて、コミュニケーション能力を磨いていくことができるでしょう。
身体的な負担が少ない
サ高住は自立もしくは介護度の軽い方が多いため、移乗介助やベッド上でのオムツ交換といった業務は他の施設に比べ、多くありません。
そのため身体的負担は少なく感じられるでしょう。
デメリット
病院に比べて看護師が少ない
サ高住では配置基準が決まっており、介護士に比べて看護師の人数は多くありません。
そのため看護師間の連携はしっかりと取らなければいけません。
医療だけでなく介護の知識も必要になる
介護施設では介護士のサポートに入る場面もあります。
また、施設によっては職域がきちんと分けられていないところもあるでしょう。
そのため、介護の知識や技術が求められたり、覚えることもあります。
介護職員との連携も大切になってきます。
入居者のライフスタイルを把握するのに時間がかかる
介護施設は入居者の生活スタイルに合わせたスケジュールを大切にしています。
そのため、入居者一人一人の生活スタイルを把握するのに時間がかかる場合があるでしょう。
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サービス付き高齢者向け住宅で働く看護師の1日の流れ
サ高住で働く場合の1日の流れはどのようになるか、モデルケースを見てみましょう。
8:30 | 朝食介助と片付け・申し送り | まだ朝食を終えていない方の介助や片付け。夜勤スタッフからの申し送りを受ける。 |
9:00 | ラウンド・バイタルチェック | 各居室を訪問し、バイタルチェックや医療的処置を行う。相談事のヒアリングも。 |
10:30 | 入浴など介護士のサポート | 介護士と連携しながら、手の足りないところをサポートする。 |
11:30 | 昼食の配膳 | 昼食の配膳と介助、配薬と服薬の確認。血糖値の測定や経管栄養の対応も。 |
12:30 | 休憩 | 昼休憩。 |
14:00 | ラウンド・バイタルチェック | 午前中に回りきれなかった処置を行う。 |
16:00 | 記録 | 業務内容や報告事項を記録する。 |
16:30 | 申し送り | 夜勤スタッフに申し送り、引き継ぎ事項を伝える。 |
17:00 | 退勤 | 勤務終了 |

サービス付き高齢者向け住宅で働く看護師の給料
サ高住で働くことを検討されている方にとって、給与は特に気になるポイントでしょう。
サ高住の看護師の給与はどれくらいなのでしょうか。
厚生労働省による「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」では、令和2年の常勤看護職員の平均給与は¥383,560、非常勤看護職員の時給は¥1,440となっています。
これは介護施設全体の給与水準であるため、必ずしもサ高住の平均給与額に相当するとは限りません。
また、夜勤の有無や運営事業所の規模などによっても変動がありますので、面接の際などによく確認しましょう。
サービス付き高齢者向け住宅の看護業務は施設によって異なる
サ高住は住まいを提供する施設であり、介護を前提とする他の介護施設とは、業務内容や働き方の面で違いがあります。
人によっては物足りなさを感じたり、看護師としての知識やスキルを充分に活かしきれていないと感じる方もいる一方で、特養や老健に比べても業務負担が少ないというメリットが人気で、長く働いている方も多くいます。
特養(特別養護老人ホーム)等と比べて多くの医療処置が求められるわけではないので、准看護師やはじめて介護業界にチャレンジする看護師や比較的年齢が高めの看護師にもおすすめの職場です。
サ高住への転職を考えている方は、自分に合っている働き方ができるのか、メリットとデメリットを踏まえて考えてみるとよいでしょう。
Q1.サービス付き高齢者向け住宅での看護師の仕事内容は、どんなものがありますか?
A1.健康管理が主な仕事です。その他に療養・医療業務・食事介助や入浴介助があります。ただ、比較的介護度は軽めの方が多いので、介護業務の割合はそこまで多くありません。
Q2.サービス付き高齢者向け住宅で働く看護師には夜勤があるのでしょうか?
A2.施設によって異なってきます。他の施設と差別化を図るために、看護師の夜勤を取り入れているところもあります。
面接の際にしっかり確認すべきポイントといえます。