サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の人員基準・登録基準・入居条件を解説

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の人員基準・登録基準・入居条件を解説

「サ高住にはどのような職員がいるの?」「看護師はいるの?」

本人に必要なサービスを受けさせられるか、人員基準を参考にしたい方は多いでしょう。

サ高住とは、住まいの提供を目的としており、介護サービスの提供が義務づけられていません。なお、サ高住は一般型と介護型に分かれ、それぞれ人員基準が異なります。

そこで本記事では、一般型と介護型の人員基準サ高住の現状を解説します。

入居を検討している方は、人員基準以外にも実際のサービス状況を知ると、より現実的な判断ができるでしょう。

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デイサービスセンターここから阿品 管理者
所有資格:理学療法士
専門分野:リハビリ、生活支援
職業: 理学療法士

2006年に理学療法士免許を取得し、愛知県の西尾病院で臨床経験を詰み、訪問リハビリにも携わる。同病院で認知運動療法を学びながら学会発表も行う。愛知・東京の病院で臨床経験を詰み、東急病院ではグループ施設の老人ホームで機能訓練指導員を兼務する。2014年に地元広島に戻り、デイサービスセンターここから阿品の機能訓練士として勤務。2021年より管理者に着任する。様々な施設・形態でのリハビリ・生活支援経験を生かして地域高齢者の健康維持に取り組む。詳しくはこちら

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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の人員基準を種類ごとに紹介

サ高住には、2種類のタイプがあります。

  1. 一般型
  2. 介護型

どちらにも共通している人員基準は、以下いずれかの資格を有する者が、少なくとも日中駐在する点です

  • 社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所等の職員
  • 医師
  • 看護師
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員
  • 介護職員初任者研修を修了した者(旧ヘルパー1級・2級)

ただし、サ高住の任意サービスにあたる食事の提供・介護・家事・健康管理のいずれかを行っている場合は、有料老人ホームに該当するため、人員基準が変わります

1.一般型

多くのサ高住が一般型です。人員基準は「社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所等の職員、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、介護職員初任者研修を修了した者」のいずれかが、日中駐在することです

サービスは、少なくとも安否確認と生活相談が義務付けられています。そのため介護施設のように、スタッフが常時同じ部屋におらず、定期的に見回りにくるイメージです。

ただし、食事の提供・介護・家事・健康管理のいずれかを行っている場合は、2.介護型で紹介する人員基準と同様になります。

2.介護型

介護型のサ高住は介護サービスを提供しているため、有料老人ホームに該当し、特定施設入居者介護の指定施設になります。そのため、本来のサ高住の人員基準よりも、細かく設定されています。

職種 配置基準
管理者 1人(兼務可)
生活相談員 要介護者等100:生活相談員1
看護・介護職員
  • 要支援者10:看護・介護職員1
  • 要介護者3:看護・介護職員1

※看護職員は要介護者等が30人まで人、30人を超える場合は50人ごとに1人
※夜間帯の職員は1人以上

機能訓練指導員 1人以上(兼務可)
計画作成担当者 介護支援専門員1人以上(兼務可)

※要介護者等100:計画作成担当者1が標準

実は、一般型と介護型を含め97%以上(2016年時点)のサ高住が有料老人ホームに該当しています。そのため、安否確認と生活相談だけでなく、専門スタッフが幅広いサービスを行っています。

参考:『高齢者向け住まいについて

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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の人員基準は厳しいのか

サ高住の人員基準は、ほかの老人ホームと比較して厳しくありません。必ず提供しなければならないサービスは、安否確認と生活相談だけであるため、それに伴い人員基準もハードルが低めです。

ただし繰り返しになりますが、97%以上(2016年時点)のサ高住が有料老人ホームに該当しています。つまり特定施設入居者介護の指定施設として、老人福祉法の指導監督対象になるわけです。そうなると人員基準は厳しくなるため、専門スタッフの充実さは期待できるでしょう。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の人員基準以外の要項を解説

サ高住を検討するうえで、人員基準以外の要項を知っておくと、本人に合っているかどうか見極めやすくなります。ここでは、サ高住を開設するための登録基準と、どのような方が入居できるかの条件を紹介します。

【登録基準】運営できる要件とは

サ高住の登録基準は、下記のとおりです。

ハード
  • 床面積は原則25㎡以上
  • 構造・設備が一定の基準を満たすこと
  • バリアフリー(廊下幅、段差解消、手すり設置)
サービス
  • 少なくとも安否確認・生活相談サービスを提供
契約内容
  • 一方的に解約できないなど、居住の安定が図られた契約である
  • 敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を徴収しない
  • 前払金に関して入居者保護が図られている(初期償却の制限、工事完了前の受領禁止、保全措置・返還ルールの明示の義務付け)

登録基準からわかるサ高住の特徴は、バリアフリーである点です。段差のないバリアフリーは、転倒によるケガのリスクが軽減します。またサービスは安否確認と生活相談サービスの提供が義務付けられており、自立の方にとっては十分なサービスと考えられるでしょう。

参考:『高齢者向け住まいについて

【入居条件】入居できる高齢者とは

サ高住に入居できる高齢者は、下記のとおりです。

  • 一般型…自立~要支援の方
  • 介護型…要介護1~5の方

共通の条件は、単身世帯高齢者および60歳以上の高齢者と同居者(配偶者、60歳以上の親族、要介護・要支援認定を受けている親族、特別な理由により同居させる必要があると知事が認める方)です。

基本的に60歳以上の方であれば入居でき、1人暮らしが心配な方が入居するケースが多い傾向にあります。また夫婦で入居できる住居も多く、2人部屋も可能です。

サ高住に訪問介護が併設されている施設はあるのか

サ高住において、介護保険サービスの事業所を1つ以上併設している住居は82%(2013年時点)です。介護保険サービスの事業所の設置状況は、下記のとおりです。

サービスの種類 割合
居宅介護支援 40.8%
訪問介護 50.3%
訪問看護 12.2%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 2.9%
通所介護・通所リハビリ 52.1%
短期入所生活(療養)介護 8.4%
小規模多機能型・複合型 11.8%

上記の事業所を1つ以上併設しているサ高住が、82%(2013年時点)あります。つまり多くのサ高住は、安否確認と生活相談以外に、介護サービスも提供しているわけです。

サ高住は名称に「住宅」が付いているため、介護サービスのイメージがあまりないかもしれません。しかし、実際は居宅介護支援と訪問看護の利用率が高く、介護サービスも一緒に受けられるケースが多いです。

サ高住の現状

サ高住への入居を検討するなら、下記の現状も知っておきましょう。

  • 登録状況は右肩上がり
  • 入居者の安全確認は部屋への訪問が基本
  • 入居者に対する生活相談は面談が基本
  • 職員が保有する資格は介護職員初任者研修が多め
  • 夜間は夜勤または宿直で対応している事業者が多い

本人に適した老人ホームを選ぶためにも、ぜひ参考にしてください。

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登録状況は右肩上がり

サ高住は、2022年10月末時点で8,139件(278,776戸)あります。2011年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正によって創設されて以来、登録数は右肩上がりです。

サ高住は今後も増えていくでしょう。ここまで爆発的に登録戸数が増えた理由は、補助金制度があるからです。この補助金制度が悪い方向に働いてしまい、悪質な事業者がいることを知っておきましょう。ただし2016年から補助金の要件が変わり、徐々に整備されてきています。

入居者の安全確認は部屋への訪問が基本

入居者の安全確認方法は、施設によって異なります。下記は安全確認の方法について、割合をまとめたものです。

状況把握の方法 実施している施設の割合
事業者が能動的に把握 居室訪問 93.5%
電話による確認 14.7%
緊急対応 緊急通報コール 87.3%
緊急ペンダント 14.9%
事業者が受動的に把握 外出チェック 62.6%
生活リズムセンサー 11.9%
ゴミ出し・新聞等による間接的確認 34.4%
喫食による確認 62.2%
趣味活動等への参加状況の把握 34.9%

上記の割合からわかるとおり、日常的な安否確認は居室訪問が中心です。サ高住は、スタッフがいない夜間の緊急時に「緊急通報コール」が義務付けられており、きちんと整備されているとわかります。入居者がどのように生活しているかも、事業者が確認している施設が多いようです。

参考:『サ高住の状況把握等【実態調査】

入居者に対する生活相談は面談が基本

サ高住の最低限のサービスである生活相談は、面談で行う施設が多いとわかりました。下記の表は、生活相談の取り組みについてまとめたものです。

取り組みの内容 実施している施設の割合
入居者との面談 94.1%
気になる入居者への働きかけ 83.8%
健康情報・介護サービス利用状況の管理 75.8%
連絡ノート・パソコン等による情報共有 75.6%
ケアプランの写しの管理 68.0%
介護保険利用者によるサービス担当者会議への出席 82.1%

生活相談は面談が基本ではありますが、気になる入居者への働きかけやサービス担当者会議(介護保険利用者が使っている施設で利用者の情報共有・計画を行う)への出席も多くあるとわかります。

身近な生活相談ができる状態は整備されているため、家族が遠くに住んでいてなかなか会いに行けない場合でも、1人で悩む心配は少ないでしょう。

職員が保有する資格は介護職員初任者研修が多め

サ高住の中心サービスとなる安否確認・生活相談のスタッフは、介護職員初任者研修の修了者が約3割を占めています。下記の表は、サ高住における安否確認・生活相談のスタッフが保有している資格についてまとめたものです。

資格の種類 全体に占める割合
看護師 13.2%
保健師 0.2%
社会福祉士 4.7%
介護福祉士 21.5%
ケアマネジャー 12.2%
介護職員初任者研修を修了した者

(旧ヘルパー1級・2級)

29.9%

介護職員初任者研修の修了者や介護福祉士が安否確認・生活相談を実施している施設が多く、基本的に介護知識のあるスタッフが対応しています。介護職員初任者研修とは、介護職として働くうえでの基礎知識・技術を取得する研修です。厚生労働省の認定を受けた資格であり、介護の基本的な知識・技術がある証です。

夜間は夜勤または宿直で対応している事業者が多い

サ高住において、夜間は夜勤または宿直で対応している事業者がほとんどです。下記の表は、夜間の人員配置についてまとめたものです。

夜間の人員配置 実施している施設の割合
夜勤(仮眠なし) 49.0%
宿直(仮眠あり) 45.6%
職員を配置せず緊急通報等で対応 9.8%

人員基準では「対象の職員が少なくとも日中駐在すること」とされているため、夜間の人員配置は義務ではありません。夜間に職員がいない場合は「緊急通報コール」を使用します。夜間に職員がいない施設は少なく、サ高住は、夜の急な体調不良が心配な方にも適しているでしょう。

サ高住への入居を検討しているという方は、ケアスル介護がおすすめです。ケアスル介護なら、入居相談員にその場で条件に合った施設を教えてもらうことができるためご希望に沿った施設探しが可能です。

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サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とシニア向け分譲マンションの違い

高齢者向け住居の位置付けであるサ高住はとシニア向け分譲マンションは、下記の違いがあります。

サ高住 シニア向け分譲マンション
概要 高齢者の方ができる限り住み慣れた地域で生活できるように、住まいと安全を提供する 高齢者の方が住みやすい作りになっているマンション
入居条件
  • 一般型…自立~要支援の方
  • 介護型…要介護1~5の方
自立した生活ができる方
契約方式 賃貸貸借方式 所有権方式
費用
  • 入居一時金…約15万〜50万円程度(介護型は数千万円かかるケースもある)
  • 月額費用…約10万~40万円

※入居一時金はかからないケースもある

  • 初期費用(マンションの購入費)…数千万~数億円
  • 月額費用(管理費や食費など)…約10万~30万円程度
サービス
  • 安否確認と生活相談が義務付けられている
  • 9割以上の施設で1つ以上の介護サービスが併設されている
  • 介護型では介護サービスを受けられる
食事の提供、生活相談、見守り、来客対応、緊急時の救急車やタクシーの手配などがある

サ高住とシニア向け分譲マンションの大きな違いは、契約方式です。サ高住は通常の賃貸と同じく、毎月の賃貸料がかかります。反対にシニア向け分譲マンションは購入になるため、資産になります。

またシニア向け分譲マンションは、自立した生活ができる方が対象です。自立または要支援、要介護でも軽度の方しか入居できず、入居のハードルが高いと言われています。

人員基準を参考にして本人に合った老人ホームを見つけよう

サ高住への入居を検討している方は、人員基準も参考にしてみましょう。

一般型の場合は、人員基準がそこまで厳しくなく、施設によって受けられるサービスに幅があります。安否確認・生活相談のサービスが基本にはなりますが、施設ごとによって特色があると理解しておきましょう。

また介護型には、要介護の方も入居できます。介護型は介護サービスを提供しているため、有料老人ホームに該当し、特定施設入居者介護の指定施設になります。そのため、本来のサ高住の人員基準よりも、細かく設定されています。

本人の健康状態を踏まえ、一人暮らしが心配な方やご夫婦で老人ホームを検討されている方は、サ高住を選択肢の一つとして考えてみましょう。

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に関するよくある質問

Q1.どのサ高住においても、共通して受けられるサービスは何ですか?

A.サ高住では、安否確認と生活相談のサービスが義務付けられています。

また夜間に職員がいない場合は、緊急通報コールが設置されています。

Q2.サ高住は要介護2でも入居できますか?

A.一般型は厳しいですが、介護型のサ高住であれば入居できるでしょう。

施設によって入居条件が異なるため、詳細は直接問い合わせてご確認ください。

感染症にかかっていたり、認知症だったりする場合は受け入れ不可の場合もあります。


サ高住の人員基準は?
サ高住には、「医師」「看護師」「介護福祉士」等の資格のいずれかを有する者が日中駐在していなければならないという人員基準があります。詳しくは、こちらをご覧ください。

サ高住ではどのようなサービスを受けることができるの?
サ高住は、「安否確認」「生活相談」のサービスの提供が義務付けられています。詳しくは、こちらをご覧ください。
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