「介護老人保健施設に入所希望の家族がいるけど、認知症を患っている場合でも入れるの?」
「介護老人保健施設は認知症を専門的に対応してもらえると聞いたけど本当?」
このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
結論から述べると、介護老人保健施設では認知症の対応が可能で、施設によっては認知症専門の棟もあります。
この記事では、介護老人保健施設が認知症に対応している理由や認知症専門棟について解説します。また、介護老人保健施設以外で認知症のある方が利用できる施設も紹介するので、施設選びの参考にしてください。

老健(介護老人保健施設)は認知症対応している?
結論から述べると、介護老人保健施設は認知症に対応しています。
介護老人保健施設が認知症に対応できる理由などについては、以降の見出しで詳しく説明していくため、読み進めてください。現在の医学では認知症の完治は困難であり、進行を遅らせる方法しかありません。
認知症は脳の機能が障害されていく病気のため、病状によっては物忘れのみではなく、人格障害などの症状も出てきます。大切な人を施設に入居させるのは、ご家族にとっても苦渋の選択かもしれません。
しかし、認知症が進行すれば暴言や暴力などの症状があらわれ、ご家族に被害が及ぶリスクがあります。また、介護度も大きくなっていくため、ご家族の負担が一気に大きくなるでしょう。
さらに、認知症を患っているご本人も、認知症に対する適切なケアが受けられず苦しい思いをします。介護老人保健施設の中には認知症に関する専門スタッフが常駐する「認知症専門棟」がある施設もあり、専門的なケアが受けられます。
認知症の症状が進行し、ご本人が自身で施設を選べなくなってしまう前に、ご本人とご家族の希望を照らし合わせながら、最善の施設を探すとよいでしょう。
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老健(介護老人保健施設)で認知症対応ができる理由
介護老人保健施設で認知症が対応できる理由には、主に以下の2つの理由があります。
- 入居の条件
- 若年性認知症介護保険の第二号被保険者に該当
ここからは、それぞれの理由について詳しく説明していきます。
介護老人保健施設への入居を検討している認知症のご家族がいる方は、ぜひ参考にしてください。また、併せて介護老人保健施設の特徴についても説明していきます。
入所の条件
一般的な介護老人保健施設の入居条件は、以下の2つを満たしている必要があります。
- 65歳以上
- 要介護度1以上
ただし、介護保険の第二号被保険者に該当する方であれば、65歳未満でも住所が可能になる場合があります。
そのほかの介護老人保健施設の入所条件は、以下の点です。
- リハビリや医療的・介護ケアを要する
- 利用料を滞りなく支払える能力がある
- 身元引受人や保証人がいる
- 病状が安定しており、長期入院の必要性がない
- 感染症にかかっていない
介護老人保健施設は退院後の方が入居してくる施設のため、他施設よりも看護師の配置が手厚いといった特徴があります。
医師やリハビリスタッフも常駐しています。
ただし、介護老人保健施設の目的はあくまで在宅復帰であるため、頻回な医療的ケアを要する方や、長期入院が必要になる可能性のある方は入所できない施設が多いです。
医療的ケアが対応可能かどうかや、入院可能期間は施設によって異なるため、契約時に確認しておきましょう。
また介護老人保健施設は、国からの介護報酬と入居者の利用料によって経営が成り立っています。入居者からの利用料が滞ると経営が成り立たなくなってしまうため、契約時には支払能力の確認があることを覚えておきましょう。身元引受人や保証人は緊急時の対応などの理由もありますが、支払いが滞った場合も考慮して、確認をとっている施設が多いです。
若年性認知症は介護保険の第二号被保険者に該当
介護保険には、65歳以上の方が利用できる「第一号被保険者」と、40歳以上65歳未満の方が利用できる「第二号被保険者」の2種類があります。
第二号被保険者は、厚生労働省が認定した以下の「加齢に伴う16の特定疾患」に当てはまる必要があります。
- がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊椎管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
若年性認知症は「初老期における認知症」という名称で、16の特定疾病の中に該当しているため、入居可能としている施設が多いです。
若年性認知症とは、65歳未満で認知症を発症する方をいいます。
若年性認知症の平均発症年齢は51歳ごろのため、「大黒柱を失う」「子供がまだ小さい」「両親の介護費用がかかる」などの金銭面での不安を感じやすくなります。ほかにも、「複数人を同時介護しなければならない」「更年期障害などと判断がつきにくく発見が遅れる」などの問題に発展しやすいです。
若年性認知症は配偶者に負担がかかりやすいため、施設や制度を適切に活用していくとよいでしょう。
多くの介護老人保健施設の入居条件が、65歳以上もしくは60歳以上となっていますが、介護保険の第二号被保険者であれば、例外として入居許可が出る施設もあります。
入居条件の年齢に達していなくても、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
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老健(介護老人保健施設)の入所条件は?入所するまでの流れについても解説!カテゴリ:介護老人保健施設更新日:2024-03-05
老健(介護老人保健施設)の認知症専門棟とは?
介護老人保健施設の中には、フロアやエリアを認知症の方と一般の方とで分けている場合があります。
このうち、認知症の方のみが生活されるフロアやエリアを「認知症専門棟」と呼びます。
介護老人保健施設は、在宅復帰に向けたリハビリが目的の施設です。
上記のように聞くと、身体疾患のある方が多い施設のように感じますが、実際はそうではありません。厚生労働省が平成28年に発表した調査報告によると、介護老人保健施設入居者のうち95.6%が認知症のある方でした。
(参考:厚生労働省 居宅サービス事業所の状況)
認知症専門棟では認知症の方を中心に、看護・介護・リハビリなどのケアを行っていきます。ただし、認知症の方すべてが認知症専門棟に入居するわけではありません。
以下の症状がどちらもあるかどうかを基準に、各施設で一般病棟と認知症専門棟のどちらが適しているかを判断します。
- 記憶障害・失認・失行・失語・実行機能障害などの認知症中核症状が比較的進行している
- BPSD(行動・心理症状)がある
さらに詳しい判断基準として、厚生労働省では以下のように定めています。
- 日常生活に支障をきたす症状・行動や、意志疎通困難が見られ、介護を要する
- 着替え・食事・排せつなどの日常生活動作がうまくできないまたは時間を要する
- 異食行為がある
- 収集癖がある
- 徘徊をする
- 大声や奇声を上げる
- 火の不始末がある
- 不潔行為がある
- 性的異常がある
(参考:厚生労働省 老人保健福祉局長通知)
上記の行動がある方は、基本的に認知症専門棟の適応です。
専門棟は、10人程度の少人数グループに分けられています。認知症の方は大人数になると不穏となり、トラブルが発生しやすくなるためです。
そのため、少人数のグループに分け、できる限り馴染みのある関係性を築けるように工夫されています。認知症専門棟には、以下のようなメリットがあります。
- 認知症に関する専門知識をもった専門のスタッフがそろっているため、適切なケアが受けられる
- 認知症が要因となる日常生活トラブルを事前にスタッフが見極めてくれるため、適切なケアが受けられる
- 医師・看護師・介護士・機能訓練指導員などの専門スタッフが連携をはかりながら、より良いケアを受けられる
- 日中に医師が常駐しているため、適切な薬物療法が受けられ、認知症の進行を遅らせられる
ただし、認知症専門棟はすべての介護老人保健施設にあるわけではありません。認知症専門棟でのケアを希望している方は、事前に確認しておきましょう。
老健(介護老人保健施設)では認知症の専門的ケアがある
介護老人保健施設では、認知症の専門的ケアが受けられます。
現在、認知症の治療薬はありますが、進行を完全に止めるのは難しいと言われます。
そのため、今の症状だけに気を取られずに、将来を見据えたうえで何が一番ご家族にとって最適なのかを考えましょう。
認知症のご家族に合った介護老人保健施設を選ぶ際には、以下の点を重視するとよいでしょう。
- ご家族の気持ちが押し付けになってしまわないよう、お互いの意見を尊重する
- 症状が進行した場合どのように対応してほしいかなど、未来にも目を向ける
- 認知症の方への対応の仕方に問題はないか
- 落ち着かいない認知症の方がいた場合のスタッフの対応方法はどうか
- 入居者同士のかかわりはあるか
- 実際にあった退去勧告の事例
- ご本人のペースで生活を続けていけるかどうか
- 施設への要望に優先順位を付ける
介護老人保健施設は、施設によって認知症の専門棟があります。
認知症のご家族がその人らしくいられる施設で生活を送れるよう、施設選びをしていきましょう。