「第2の住処として検討しているが、シニア向け分譲マンションのデメリットが不安で踏み切れない」
そのような方に向けて、本記事では購入前に必ず把握しておくべきデメリットを解説します。
シニア向け分譲マンションは全国平均購入価格4,386万円と高額であるにもかかわらず、「要介護化」「売却」「相続」という3つの局面で想定外の問題が生じるケースが後を絶ちません。
最大のデメリットは費用の高さそのものではなく、購入時点の健康状態と数年後のニーズのズレにあります。
本記事では、主なデメリット4点・購入後に生じうる生活上の問題・代替選択肢との比較・購入前に確認すべき4つのことを順に解説します。

シニア向け分譲マンションのデメリットと対策【費用編】
シニア向け分譲マンションの費用面のデメリットは、購入時だけでなく、住んでいる間ずっと高い固定費が続くことです。
費用編のデメリットは次の6つです。
- 購入価格が一般の分譲マンションより高い
- 購入後も毎月の支払いが続く
- 使わなくても食費がかかる
- 月々の負担は年々上がっていく
- 固定資産税が毎年かかる
- 資金が不動産に固定され、介護費用に回せない
購入価格は全国平均4,386万円で、60㎡の住戸なら管理費だけで月6万〜8万円台になる例があります。

購入価格が一般の分譲マンションより高い
シニア向け分譲マンションは、夫婦2人向けの約60㎡の住戸で平均4,386万円と、老後の貯蓄を大きく上回る購入額になります。
約60㎡の住戸を買うのに、平均で4,386万円かかります。2010年代の3,396万円から約1,000万円上がりました。
総務省の家計調査では、世帯主が65歳以上の無職世帯の平均貯蓄は2,494万円です。
貯蓄だけでは購入額に約1,900万円届かず、自宅の売却などで資金を作る必要があります。
自宅を手放すと、シニア向け分譲マンションが合わなかったときに戻る家がなくなります。
出典:東京カンテイ「シニア向け分譲マンションの価格&専有面積」/総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年」
対策:価格差が自分の使う設備・サービスに見合うかで比べる
価格の高さは、共用施設とサービスの対価です。自分が毎週使う設備・サービスに、価格差を払う価値があるかで判断します。
購入前に、次の3点を書き出して比べます。
- 毎週使うつもりの設備・サービス(レストラン・大浴場・見守りなど)
- その設備・サービスを、近所の外部サービスで代わりにできるか(配食サービス・スポーツクラブなど)
- 同じエリアの一般の分譲マンションや中古住戸の価格
使わない設備の分まで払うと、住み替えに回せるお金がその分だけ減ります。

購入後も毎月の支払いが続く
シニア向け分譲マンションは、一般の分譲マンションの4倍以上になることもある管理費が購入後もずっと続きます。
管理費が高いのは、レストランや大浴場などの共用施設とサービスの運営費が含まれているためです。
兵庫県の例では、同じエリアの一般の物件の4倍以上です。
住宅ローンを払い終えても毎月数万円の支払いが残ることは、年金生活の家計に重くのしかかります。
試算は、東京カンテイが示した1㎡あたりの管理費に60㎡を掛けたものです。全国平均は国土交通省の調査による1戸あたりの額です。
出典:東京カンテイ「付帯施設&ランニングコスト」/国土交通省「令和5年度マンション総合調査」
対策:管理費・サービス費込みの月額が年金収入で賄えるか試算する
毎月の支払いの合計を年金の手取りから引き、生活費が残るかを購入前に計算します。
計算に入れる支払いは、次のとおりです。
- 管理費・サービス費(レストランの運営費・見守りなど)
- 修繕積立金
- 実際に食べる分の食費
- 固定資産税の月割り
- 将来の介護サービスの自己負担
物件には「いまの入居者は、毎月の支払いが合計でいくらになっていますか」と実額で聞くと、見落としが減ります。
年金で賄えない分は貯蓄の取り崩しになり、取り崩せる年数が住み続けられる年数の目安になります。
使わなくても食費がかかる
レストランがある物件では、食事をしなくても、レストランの運営費を毎月負担する仕組みがあります。
2000年以降に竣工した73物件のうち、94.5%にレストラン・食堂があります。
レストランの人件費は、食事の代金とは別に住戸ごとに負担する構造です。
食が細くなって自炊に切り替えても、入院で家を空けても払い続けることになります。
使わないサービスにお金を払う状態が、何年も続くおそれがあります。
出典:東京カンテイ/デュオセーヌ久我山 物件概要/国民生活センター ADR事案2
対策:食事契約の最低利用額や停止の可否を契約前に確認する
食事の費用は、「食べた分だけ払う部分」と「食べなくても払う部分」に分けて確認します。
契約前に、次の3点を聞きます。
- 食べなくても毎月かかる費用はいくらか(レストランの運営費など)
- 入院や長期の外出の間、食費を止められるか。止めるには何日前の届け出が必要か
- 1食の料金と、ここ数年の値上げの有無
食べなくても払う部分が分かれば、自炊に切り替えたときに月いくら浮くかを計算できます。
月々の負担は年々上がっていく
修繕積立金は、最初は安く、後から段階的に値上げする積立方式が主流です。
国土交通省のガイドラインの例では、月6,000円の積立金が30年で月21,000円になります。
ガイドラインも、段階的な値上げは「区分所有者の高齢化等により費用負担が困難化していく」と指摘しています。
年金生活では収入が増えないため、値上げがそのまま生活費を削ることにつながります。
出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」/国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
対策:過去の改定履歴と長期修繕計画を見て、値上げ込みで試算する
長期修繕計画に書かれた将来の修繕積立金の額で、月々の支払いを試算します。
確認するのは、次の3点です。
- 長期修繕計画で、10年後・20年後の修繕積立金が月いくらになっているか
- これまでに管理費・修繕積立金を何回、いくら値上げしたか
- 修繕のための一時金を集めたことがあるか
長期修繕計画書と総会議事録は管理組合が保管する書類で、購入前は売主や仲介する不動産会社を通じて見せてもらいます。
80代になったときの月額で家計が回るかを見ておけば、値上げで生活費が削られる事態を避けられます。
固定資産税が毎年かかる
シニア向け分譲マンションは所有物件なので、管理費・修繕積立金とは別に固定資産税が毎年かかります。
新築時の軽減期間が終わると、税額が上がります。
施設へ移って住まなくなっても、売却するまでは所有者として毎年納税が続きます。
賃貸の住まいであれば、固定資産税を入居者が直接払うことはありません。
対策:物件ごとの税額を事前に確認し、年間支出に組み込む
その住戸の固定資産税の年額を確認し、12で割って毎月の支出に入れておきます。
売主や不動産会社には、次の2点を聞きます。
- その住戸のいまの固定資産税の年額(中古なら売主の納税額)
- 新築の軽減が終わる年と、その後の税額の目安
毎月の支出に入れておけば、年に数回の納税で家計があわてる事態を防げます。
資金が不動産に固定され、介護費用に回せない
購入に4,000万円台を使うと、介護が必要になったときにすぐ使える現金が足りない状態になります。
費用の目安は『ケアスル 介護 独自調査レポート2026』の数値です。
住み替え先の費用は、マンションの売却代金が入る前に必要になります。
国民生活センターの事案では、相続人が買い手を見つけられず、空室のまま管理費等を払い続けました。
お金はあるのに使えない状態になるため、購入資金とは別に住み替え用の現金を残しておく必要があります。
対策:手元に残す介護・医療費を先に決め、購入予算を逆算する
購入額から決めずに、手元に残す現金を先に決め、残りを購入予算にします。
・使える資産の合計を出す(貯蓄+いまの自宅の売却見込み額)
・手元に残す現金を決める(住み替え先の入居時費用+毎月の不足分の数年分+医療費)
・1から2を引いた額を、購入予算の上限にする
手元に住み替えの費用が残っていれば、マンションが売れる前でも施設へ移れます。
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
シニア向け分譲マンションのデメリットと対策【介護編】
シニア向け分譲マンションは介護施設ではないため、介護が必要になったときの備えが物件によって大きく違うことがデメリットです。
介護編のデメリットは次の3つです。
- 介護サービスは自分で別に契約する必要がある
- 要介護度が上がると退去を求められる
- 夜間の職員体制が手薄で、医療的ケアには対応できない
内閣府の高齢社会白書では、85歳以上の44.5%が要介護の認定を受けています。

介護サービスは自分で別に契約する必要がある
シニア向け分譲マンションでは、介護サービスを外部の事業者と自分で契約する必要があります。
法律上は一般の分譲マンションと同じ位置付けで、介護の人員配置の基準がありません。
館内に訪問介護事業所がある物件は約2割です。
ケアマネジャー探しから事業所との契約までは、入居者と家族が自分で進めることになります。
介護が必要になった時期に、家族の負担が一気に増えるおそれがあります。
出典:UR都市機構「URくらしのカレッジ」/東京カンテイ「付帯施設&ランニングコスト」
対策:併設・提携の介護事業所の有無と利用費用の目安を確認する
介護が必要になったとき、誰に連絡し、どの事業所が来るのかを購入前に聞いておきます。
聞いておくのは、次の3点です。
- 館内や近くに、提携する訪問介護・居宅介護支援の事業所があるか。あればどこか
- いま館内で介護サービスを使っている入居者は何人いるか
- 介護保険の対象外の手伝い(通院の付き添い・買い物など)を、1時間いくらで頼めるか
連絡先と費用が分かっていれば、介護が始まったときに家族が事業所探しから始めずにすみます。
要介護度が上がると退去を求められる
シニア向け分譲マンションは自立した高齢者が前提のため、介護が重くなると住み替えが必要になるケースがあります。
入居条件に「ご自身で身の回りのことができ」る方と定めている物件もあります。
65歳前後で購入すると、20年後には85歳を超えます。
「終の住処」のつもりで買っても、介護が一番必要な時期に引っ越しを迫られることになります。
出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書」/デュオセーヌ久我山 物件概要
対策:退去条件を規約で確認し、退去後の住み替え先を想定しておく
どの状態になったら住み続けられなくなるのかを書面で確かめ、そのときの移り先を決めておきます。
確認するのは、次の3点です。
- 管理規約や契約書に、介護が必要になった場合の扱いがどう書かれているか
- 介護や医療を理由に住み替えた入居者が、これまでに何人いて、どこへ移ったか
- いま館内で暮らしている要介護3以上の入居者は何人いるか
移り先を決めておけば、急な入院や住み替えの相談があっても、あわてて施設を探さずにすみます。
夜間の職員体制が手薄で、医療的ケアには対応できない
シニア向け分譲マンションには人員配置の基準がないため、夜間の急変や医療的ケアに館内で対応できない物件が多くあります。

館内にクリニック・診療所がある物件は、24.7%です。
厚生労働省の通知では、介護職員がインスリン注射で行えるのは声かけ・見守り・注射器の手渡しや片付けなどに限られています。
たんの吸引や経管栄養は、研修を受けた介護職員が一定の条件の下で行える制度です。
24時間の医療的ケアを自宅で続けるのは簡単ではないため、持病が悪化したときに住み続けられるかが分かれ目になります。
出典:厚生労働省 医政発1201第4号(令和4年12月1日)/厚生労働省「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度」
対策:夜間の人員配置・緊急時の対応・医療機関との連携を確認する
夜に倒れたとき、誰が駆けつけ、どこへ運ばれるのかを具体的に聞きます。
聞いておくのは、次の4点です。
- 夜間に館内にいる職員は何人で、看護師はいるか
- 緊急通報ボタンを押してから、職員が部屋に着くまで何分かかるか
- 提携する医療機関はどこで、夜間や休日も往診や受け入れをしているか
- 自分の持病で必要になりそうな医療的ケアに、館内や提携先で対応した例があるか
持病がある方は、自分の病気で起こりうる場面に当てはめて聞くと、住み続けられるかの見通しが立ちます。

シニア向け分譲マンションのデメリットと対策【自由度編】
シニア向け分譲マンションは高齢者が集まって暮らす住まいのため、一般の分譲マンションにはない暮らしの制約があります。
自由度編のデメリットは次の5つです。
- 入居者が同世代ばかりで、コミュニティが閉鎖的になりやすい
- ペットや同居人の年齢に制限がある
- 子や孫が長期滞在できない
- 周囲の入退去や看取りに日常的に直面する
- 住み慣れた地域を離れ、かえって人間関係が途切れる
制約の内容は物件によって違うため、管理規約と入居条件の確認が欠かせません。
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
入居者が同世代ばかりで、コミュニティが閉鎖的になりやすい
シニア向け分譲マンションは入居時の年齢制限を設けることが多いため、入居者の年齢層がかたよりやすい構造です。
デュオセーヌは、シニア向け分譲マンションを「入居時年齢制限を取り入れ」た分譲マンションと説明しています。
レストランやホビールームを共同で使うため、入居者同士の顔が見えやすい環境です。
人付き合いが合わなくても、分譲物件はすぐに住み替えられません。
毎日顔を合わせる相手との関係に悩み続けるおそれがあります。
対策:見学時に共用部やイベントの様子を見て、距離感が合うか確かめる
食事の時間帯に見学し、入居者同士の距離感が自分に合うかを見ます。
見学では、次の3点を確かめます。
- レストランで、1人で食べている入居者とグループで食べている入居者のどちらが多いか
- サークルやイベントに参加しない入居者がどのくらいいるか
- 入居者同士のトラブルが起きたとき、誰が間に入るか
一人の時間を大切にしたい方は、参加しなくても気まずくならない雰囲気かどうかで住みやすさが変わります。
ペットや同居人の年齢に制限がある
シニア向け分譲マンションでは、同居する人の年齢やペットの飼育に条件を付けている物件があります。
条件は物件ごとに大きく異なるのが実情です。
年齢条件がある物件では、年の離れた家族と一緒に住めない場合があります。
同居人が増えると、管理費が加算される物件もある点に注意が必要です。
ペットの種類・頭数などの細則は、管理規約で確認してください。
対策:規約の制限内容を確認し、将来の家族構成の変化も想定する
いまの家族だけでなく、将来一緒に住む可能性がある人とペットまでを規約に当てはめて確かめます。
当てはめておくのは、次の3つの場面です。
- 子どもが介護のために同居する場合の年齢条件と、管理費の加算
- 同居する人が変わる場合に、あらためて審査があるか
- ペットの種類・大きさ・頭数の制限と、飼い主が入院したときの預け先
規約に合わない家族構成になると住み続けられなくなるため、起こりうる変化を購入前に当てはめておきます。

子や孫が長期滞在できない
家族が泊まれる物件はありますが、長く同居する場合は入居者として審査や費用の加算の対象になる可能性があります。
ゲストルームは短期の宿泊を想定した設備です。
介護のために子どもが住み込むと、入居者の追加として扱われる場合があります。
体調を崩して家族の手助けが一番ほしいときに、家族が自由に泊まり込めないおそれがあります。
ゲストルームの利用日数や料金は物件ごとに違うため、購入前に管理規約で確認してください。
対策:ゲストルームの有無や滞在日数の制限を確認する
家族が何泊まで、いくらで泊まれるかを確かめます。
聞いておくのは、次の3点です。
- ゲストルームの部屋数と1泊の料金
- 続けて泊まれる日数の上限と、予約の取りやすさ
- 住戸に家族が泊まる場合、何日を超えると同居(入居者の追加)として扱われるか
看病で家族が数週間泊まり込む場面を想定して聞くと、いざというときに家族の手を借りられるかが分かります。
周囲の入退去や看取りに日常的に直面する
入居者の年齢が近いため、年月とともに周りの入居者の介護や死去に接する機会が増えていく環境です。
内閣府の白書は「75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が大きく上昇する」としています。
同じ時期に入居した人たちは、同じ時期に年を重ねます。
親しくなった入居者が施設へ移ったり亡くなったりする別れが続くことは、気持ちの面で大きな負担になります。
対策:体験入居で日常の雰囲気を知り、受け止められるか考える
体験宿泊ができる物件では、数日暮らして日常の雰囲気を確かめます。
体験宿泊がない物件では、時間帯を変えて何度か見学し、次の3点を聞きます。
- 入居者の平均年齢と、いちばん多い年代
- ここ1年で施設へ移った入居者、亡くなった入居者は何人か
- 入居者が亡くなったとき、館内でどのように知らされるか
別れが続く環境だと知ったうえで選べば、入居後に気持ちが沈んだときにも受け止めやすくなります。
住み慣れた地域を離れ、かえって人間関係が途切れる
シニア向け分譲マンションは物件がある地域が限られるため、住み慣れた地域を離れて移り住むケースがあります。
都道府県別で最も多いのは静岡県の15物件で、大半が温泉地の熱海市や伊豆市です。
地元の友人や通い慣れた病院から離れると、新しい関係を一から作ることになります。
交流を求めて移り住んだのに、かえって孤立するおそれがあります。
対策:今の通院先・人間関係を続けられる距離かを基準に立地を選ぶ
今のかかりつけ医と、よく会う家族・友人の家まで通い続けられる距離かで立地を選びます。
候補の物件ごとに、次の3点を確かめます。
- かかりつけ医・専門医まで、公共交通で片道何分か
- 子どもや親しい友人の家から、日帰りで来られる距離か
- 続けたい習い事や地域の集まりに通えるか
通い続けられる距離なら、移り住んでもこれまでの人間関係を手放さずにすみます。
シニア向け分譲マンションのデメリットと対策【売却編】
シニア向け分譲マンションは、売りたいときに売れず、貸したいときに貸しにくいことがデメリットです。
売却編のデメリットは次の3つです。
- 買い手が高齢者に限られる
- 認知症になると売却手続きそのものが止まる
- 賃貸に出すことができない
国民生活センターの事案では、相続人が買い手を見つけられないまま約305万円を払い続けました。
買い手が高齢者に限られる
入居時の年齢制限がある物件では、買い手も年齢条件を満たす人に限られるため、売却に時間がかかりやすくなります。
全国で98物件と、市場そのものも小さい状況です。
事業者は、管理費等の送金先は管理組合にあたる団体であり、減免の権限はないと回答しました。
売れない間も管理費等は止まらず、家族が負担し続けることになります。
中楽坊のように年齢制限のない物件もあるため、購入前に転売時の条件を確認してください。
出典:国民生活センター「国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和2年度第3回)」
対策:同物件・同エリアの中古売買実績と、運営会社の買取制度を確認する
その物件で、中古の住戸がこれまでに何件、いくらで、どのくらいの期間で売れたかを確かめます。
確認するのは、次の3点です。
- ここ1〜2年に中古住戸が何件売れたか。売れるまでに何か月かかったか
- 新築時の価格と、中古で売れた価格の差
- 運営会社やグループ会社に、住戸の買取や売却の仲介の仕組みがあるか
売れるまでの期間が分かれば、その間の管理費として家族がいくら用意しておけばよいかが見えます。

認知症になると売却手続きそのものが止まる
所有者が認知症などで判断能力を失うと、本人は売買契約を結べなくなります。
裁判所は、施設に入所して今は住んでいない家も居住用不動産に含まれるとしています。
厚生労働省の推計では、2025年の認知症の高齢者は471.6万人です。
後見人の選任や家庭裁判所の許可を待つ間は売却できないため、住み替えの資金づくりが止まってしまいます。
判断能力があるうちに、任意後見契約で売却を任せる人を決めておくと手続きが止まりにくくなります。
出典:法務省「意思能力制度の明文化」/裁判所「居住用不動産の処分についての許可」
法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」/厚生労働省「認知症およびMCIの高齢者数と有病率の将来推計」
対策:判断能力があるうちに任意後見や家族信託を検討しておく
任意後見と家族信託の違いを知り、どちらで売却を任せるかを家族と決めておきます。
任意後見は、家庭裁判所の手続きを経てから効力が出ます。家族信託は、契約で決めた範囲で家族が管理や売却を進められます。
どちらも本人が契約を結べるうちにしか使えないため、購入と同じ時期に家族と話し合っておくと間に合います。

賃貸に出すことができない
シニア向け分譲マンションは、借り手にも購入者と同じ入居審査がかかるため、一般の分譲マンションのように自由には賃貸に出せません。
借り手の条件が年齢などで絞られると、借り手が見つかるまで空室の期間が続きます。
住み替えた後に貸して、家賃収入で施設の費用を補う計画は立てにくくなります。
賃貸を認めるかどうか、どんな条件を付けるかは、物件の管理規約で確認してください。
対策:住まなくなった場合の扱いを家族と事前に決めておく
住み替えた後に貸すつもりなら、貸せる条件と、借り手が見つかるまでの負担を家族と確かめておきます。
確かめておくのは、次の3点です。
- 管理規約で賃貸が認められているか
- 借り手にどんな入居審査があるか(年齢・身の回りのことができるかなど)
- 借り手が見つかるまでの管理費・修繕積立金を、誰が払うか
貸せる見込みが低いと分かっていれば、売却や家族の住み替えなど別の方法を早めに選べます。
シニア向け分譲マンションのデメリットと対策【運営編】
シニア向け分譲マンションは、運営会社と管理組合の状態によって、暮らしの質が変わることがデメリットです。
運営編のデメリットは次の3つです。
- 運営会社の都合でサービスが縮小・廃止される
- 住民の高齢化で管理組合が回らなくなる
- 空室が増えると共用施設の採算が崩れる
国土交通省の調査では、管理組合の将来への不安として「区分所有者の高齢化」が57.6%で最も多くなっています。
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
運営会社の都合でサービスが縮小・廃止される
シニア向け分譲マンションのサービスは運営事業者が提供するため、事業者の業務縮小や撤退でサービスが変わるリスクがあります。
2025年5月の厚生労働省の検討会に提出された有識者資料でも、この点が課題として挙がっています。
食事や見守りなどのサービスは、この住まいを選んだ理由そのものです。
サービスが減れば、高い管理費を払う意味が薄れてしまいます。
契約書で、サービスの範囲と変更・廃止の手続きを確認してください。
出典:厚生労働省 検討会(第3回)資料2/国民生活センター ADR事案2
対策:運営会社の実績・財務状況と、サービスが規約でどこまで保証されるか確認する
サービスを誰が提供し、どんな手続きで変えられるのかを書面で確かめます。
確認するのは、次の3点です。
- 運営会社が、シニア向け分譲マンションを何物件、何年運営しているか。撤退した物件があるか
- 運営会社が、決算の内容(売上・利益の推移)を公開しているか
- サービスの内容が管理規約や契約のどこに書かれ、縮小や廃止に総会の決議が必要か
総会の決議なしに変えられない内容なら、入居者の知らないうちにサービスが減る事態を防げます。

住民の高齢化で管理組合が回らなくなる
入居者全員が高齢者のため、管理組合の役員を担える人が年々減っていくおそれがあります。
一般のマンションでも、世帯主が70歳以上の割合は25.9%に増えています。
法務省は、建物の高経年化と居住者の高齢化が進む「2つの老い」を理由に、区分所有法を改正しました(2026年4月1日施行)。
役員が決まらず総会も開けなくなると、修繕や規約の見直しが決まらず、建物の管理が滞ります。
出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」/法務省「区分所有法の改正」
対策:管理会社への委託範囲と、管理組合の運営状況を確認する
総会議事録で、役員が毎年決まり、総会が開かれているかを確かめます。
議事録と管理委託契約で、次の3点を見ます。
- 理事が毎年選ばれているか。同じ人が何期も続けていないか
- 総会の出席率(委任状を含む)
- 管理会社に任せている業務の範囲と、外部の専門家を役員にする検討をしているか
管理会社に任せる範囲が広く総会が回っている物件なら、入居者が高齢になっても建物の管理が止まりにくくなります。
空室が増えると共用施設の採算が崩れる
共用施設の運営費は住戸ごとの管理費で支えているため、住む人が減って利用が減っても、施設の費用は減らない状態があります。
東京カンテイは、付帯施設が充実するほど管理費も必然的に上昇すると説明しています。
空室が増えて利用が減ると、施設の維持と費用のつり合いが取りにくくなります。
レストランの営業縮小や管理費の値上げにつながるおそれがあります。
対策:入居率の推移と、共用施設の運営費の負担の仕組みを確認する
空室が増えたとき、共用施設の費用を誰がどう負担する仕組みかを確かめます。
聞いておくのは、次の3点です。
- いま住んでいない住戸が何戸あるか。5年前と比べて増えたか
- レストランの1日の利用者数と、営業日や営業時間を減らしたことがあるか
- 共用施設の運営費が足りなくなったとき、管理費の値上げで補うのか、運営会社が負担するのか
負担の仕組みが分かれば、空室が増えたときに自分の管理費がどう動くかを予想できます。
シニア向け分譲マンションのデメリットと対策【選択肢編】
シニア向け分譲マンションは物件の数そのものが少なく、希望に合う物件を選びにくいことがデメリットです。
選択肢編のデメリットは次の3つです。
- そもそも供給数が限られる
- 郊外立地が多く、通院・買い物・家族の訪問に不便
- 気に入らなくても妥協するしかない
東京カンテイの調査では、全国の供給は98物件・14,947戸(2022年6月末時点)です。
そもそも供給数が限られる
シニア向け分譲マンションの全国供給数は98物件・14,947戸(2022年6月末時点)にとどまります。
この数には、2023年までに竣工予定の物件も含まれます。
東京カンテイの定義は、区分所有でケア関連サービスの費用条項がある物件です。
希望するエリアに物件がない、あっても1〜2件というケースが起こりやすく、比べて選ぶこと自体が難しくなります。
対策:エリアを広げ、中古物件も比較対象に入れる
新築だけでなく中古の住戸も候補に入れると、選べる物件の数が増えます。
候補の広げ方は、次の2つです。
- 希望エリアの隣の市区町村や、同じ沿線まで候補を広げる
- 中古住戸の売り出し情報を、物件の運営会社と一般の不動産サイトの両方で探す
中古の物件は、入居者の暮らしや管理組合の運営がすでに見えるため、購入前の確認がしやすくなります。

郊外立地が多く、通院・買い物・家族の訪問に不便
シニア向け分譲マンションは、駅から歩けないバス便の立地が最も多くなっています。
関西地方を除くすべてのエリアで「バス便」が最多です。
車の運転をやめると、通院や買い物はバスやタクシーに頼ることになります。
家族が訪ねるにも時間がかかり、会いに来てもらいにくくなります。
対策:実際の移動手段と所要時間で生活動線を確かめる
車を使わずに、通院先・買い物先・駅まで実際に移動して時間を測ります。
移動してみるときは、次の3点を確かめます。
- バスの本数(平日と土日の日中)と、最終便の時刻
- 運営会社の送迎バスがあるか。行き先と本数
- 雨の日や暑い日でも、歩いて行ける範囲に何があるか
運転をやめた後の暮らしで試しておけば、入居後に外出が減って家にこもる事態を避けられます。
気に入らなくても妥協するしかない
物件の数が少ないため、「その時点で見つかる中から選ぶ」意思決定になりやすくなります。
一般の分譲マンションのように、複数の物件を並べて比べることが難しい市場です。
入居時期と販売時期が合わずに焦って決めると、数千万円の買い物で後悔が残ります。
希望エリアに合う物件がないときは、サ高住や介護付き有料老人ホームも並べて比べてください。
費用の目安は『ケアスル 介護 独自調査レポート2026』の数値です。
対策:譲れない条件を整理し、合わなければ他の住まいも比較する
譲れない条件を2〜3個に絞り、満たす物件がなければ買わないと先に決めておきます。
譲れない条件にしやすいのは、次の3つです。
- 毎月払える額の上限
- 立地(かかりつけ医・家族の家までの距離)
- 介護が必要になったときの扱い
条件を先に決めておけば、販売の時期に合わせて勧められても、合わない物件を断れます。

シニア向け分譲マンション購入後に生じうる問題
シニア向け分譲マンション購入後に生じる問題の多くは、入居時点では問題がないように見えても、数年後に健康・家族・資産の変化で一気に顕在化するパターンを持ちます。
所有権型のマンションは一度購入すると売却まで費用が継続発生するため、生活環境の変化に柔軟に対応しにくいです。
国民生活センターの公表事案では、相続後に空室のまま管理費等約305万円を負担し続けたケースや、認知症高齢者が市場価格約250万円の物件を1,500万円で購入させられたとされるケースが報告されています。
本人は元気でも、数年後に要介護化するケース
購入時点では自立した生活を送れていても、入居後に要介護状態へ移行した場合、元のマンションの費用を払いながら新たな住まいの費用も発生する「二重コスト」が生じます。終の住処のつもりが、数年後には中継地点になってしまうケースがあります。
75歳以上の要介護認定率は30.8%、85歳以上では58.2%(2024年)に達します。60代後半〜70代前半で購入した場合、購入後10年前後で介護ニーズが顕在化する確率は統計上かなり高いです。
要介護度が上がって転居が必要になった際、売却が短期間でまとまらなければ、元のマンションの管理費・修繕積立金・固定資産税を払いながら転居先の初期費用・月額費用も同時に負担する期間が生じます。
この二重コスト期間は、事前の資産計画に組み込まれていないケースが多いです。
充実した設備に期待して入居したが、使用しなくなるケース
レストラン・大浴場・カラオケルームなどの充実した共用施設は購入動機になりやすい一方、身体機能の低下や配偶者の死亡・外出機会の減少により使わなくなると、設備の魅力が固定費の根拠に変わります。
買う前に「魅力」だったものが、買った後に「割高要因」になるパターンです。
全国分析では、レストラン・食堂は94.5%の物件に設置されており、温泉・大浴場・ホビールーム・AVルーム・カラオケルームも広く導入されています。
これらの施設の維持・運営コストは管理費に転嫁されており、居住者が実際に使う頻度に関わらず固定費として毎月発生します。見学時には共用施設の豊富さに魅力を感じても、入居後数年で外出機会が減ったり、配偶者が亡くなって一人で設備を使う機会がなくなったりするケースは珍しくありません。
購入前に「自分は週何回使うか」、「要支援になっても使えるか」、「配偶者が先に亡くなっても使い続けるか」を具体的に問い直すことが、このパターンの後悔を防ぐ唯一の方法です。
・共用施設が「ある」だけでなく、「自分が週何回使うか」を具体的に試算する。
・要支援・要介護になっても使い続けられる施設かどうかを確認する。
・共用施設の維持費が管理費にどの程度含まれているかを確認する。
本人の希望で購入したが、家族が売却や相続で困るケース
本人が元気なうちに購入しても、売るのは相続人という構図が現実には多く、家族が売却難・空室コスト・契約トラブルに巻き込まれるリスクがあります。国民生活センターの公表事案では、具体的な被害が確認されています。
上記の事案はいずれも「シニア向け分譲マンション全体が危険」を示すものではなく、「高齢期の高額不動産契約は、誤解・焦り・判断力低下が入ると被害が極端に大きくなる」という構造的リスクを示しています。
売却が長引いた場合、相続人は空室でも管理費・修繕積立金・固定資産税を負担し続けます。
最低でも、相続発生後の売却方針・代理権・判断力低下時の対応・家族の連絡体制を購入前に家族全員で確認しておくことが必要です。
・相続発生後の売却方針と担当者(誰が売却手続きを進めるか)
・本人の判断力が低下した場合の代理権(任意後見契約等)の設定
・複数の相続人がいる場合の売却・維持・活用の方針合意
修繕積立金の値上げと一時金徴収が重なり、年金収入では払えなくなるケース
修繕積立金が計画より足りないと、積立金の値上げと、不足分をまとめて払う一時金の負担が一度に重なります。
国土交通省の調査では、計画より積立額が不足しているマンションが36.6%あります。
ガイドラインは、高齢化で費用負担が難しくなるため「早期に引上げを完了させることが望ましい」としています。
年金収入が中心になってから値上げが決まると、貯蓄を取り崩して払い続けることになります。
購入前に、長期修繕計画と積立金の値上げ予定を確認してください。
出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」/国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
夫婦で購入したが片方が先に施設入所・死去し、残された一人が広い住戸と高い月額を負担し続けているケース
夫婦で購入しても、一人になった後も住戸単位の管理費はほとんど変わらないことがあります。
管理費は、住む人数ではなく住戸ごとに決まる部分が大きいからです。
85歳以上では、要介護の認定を受ける人が44.5%います。
夫婦のどちらかが先に施設へ移ると、施設の費用とマンションの費用を同時に払う期間が生まれます。
一人になった後の住み方と支払いを、夫婦で話し合っておく必要があります。
出典:デュオセーヌ久我山 物件概要/内閣府「令和7年版高齢社会白書」
それでもシニア向け分譲マンションを選ぶなら|後悔しないために自分の中で決めておくこと
シニア向け分譲マンションで後悔しないためには、購入前に次の5つを本人と家族の間で決めておきます。
- この住まいで何を一番の目的にするか
- 毎月いくらまで払えるか、手元にいくら残すか
- 介護が必要になったら、どこまでここで暮らし、次はどこへ移るか
- 夫婦のどちらかが一人になったとき、住み続けるのか住み替えるのか
- 将来この住まいを売るのか残すのか、誰が手続きするのか
決めきれない項目が多い場合は、サ高住や介護付き有料老人ホームのほうが合っている可能性があります。
この住まいで「何を一番の目的にするか」(設備・サービス・人とのつながり)
一番の目的を1つに決め、その目的がシニア向け分譲マンションでしか満たせないかを確かめます。
目的があいまいなまま買うと、使わない設備やサービスに毎月お金を払い続けることになります。
見守りと生活相談が目的なら、賃貸で入れるサ高住でも満たせます。
出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム「登録制度の概要」
「毎月いくらまで払えるか」と「手元にいくら残すか」
毎月払える上限額と、手を付けない現金の額を、数字で決めておきます。
毎月の支払いは、修繕積立金の値上げを入れた将来の額で計算します。
上限と残す額を先に決めておけば、気に入った物件を前にしても、無理な購入を避けられます。
介護が必要になったら「どこまでここで暮らし、次はどこへ移るか」
どの状態になったら住み替えるかの線と、移り先の種類を、元気なうちに決めておきます。
線を決めずに暮らし始めると、介護が必要になってから家族があわてて施設を探すことになります。
住み替える線は、物件の管理規約に書かれた介護が必要になった場合の扱いと合わせて決めます。
線と移り先が決まっていれば、介護が必要になっても、本人の希望どおりに住み替えを進められます。
夫婦のどちらかが一人になったとき「住み続けるのか、住み替えるのか」
夫婦の一方が施設へ移ったり亡くなったりしたとき、残る一人がどうするかを、2人が元気なうちに話し合っておきます。
夫婦2人の年金を前提に買うと、一人になったときに収入が減り、支払いだけが残ります。
一人になった後の暮らし方を決めておけば、残された側が広い住戸と高い月額を抱え込まずにすみます。
将来この住まいを「売るのか・残すのか、誰が手続きするのか」
住まなくなった後の住戸をどうするかと、その手続きを誰が担うかを決め、家族に伝えておきます。
相続人が複数いると、売るか残すかの意見をそろえるまで時間がかかり、その間も管理費は止まりません。
手続きをする人を1人に決めておけば、住まなくなった後に管理費だけを払い続ける期間を短くできます。
決めきれない項目が多い人は要注意|シニア向け分譲マンションをおすすめしない人
5つの項目の多くを決めきれない方は、購入後に想定外の事態が起きたとき、立て直す手段が少なくなります。
当てはまる項目が多いほど、賃貸で住み替えやすいサ高住や、介護まで任せられる介護付き有料老人ホームのほうが合っています。
実は合理的?「施設」という選択肢のメリット
購入の不安が大きい方には、売却の心配がない賃貸のサ高住や、介護まで任せられる介護付き有料老人ホームという選択肢があります。
シニア向け分譲マンションは資産として残る一方、住まなくなった後の売却や管理費の支払いが家族に残ります。
2つの施設は、不安の種類に合わせて選びます。
出典:サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム/厚生労働省「有料老人ホームの類型」
資金と売却の不安を避けたいなら「サ高住」
サ高住は賃貸借契約で入居するため、住戸の購入資金も、住まなくなった後の売却の心配もいりません。
安否確認と生活相談のサービスが必ず付き、見守りの点ではシニア向け分譲マンションに近い暮らしができます。
介護サービスは、シニア向け分譲マンションと同じく外部の事業者と契約して使います。

介護の不安を避けたいなら「介護付き有料老人ホーム」
介護付き有料老人ホームは、介護が必要になっても、ホームが提供する介護サービスを受けながら居室で暮らし続けられます。
「介護付」と表示できるのは、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けたホームだけです。
介護が重くなったときに住み替える心配を減らしたい方に向いています。

失敗しないためのシニア向け分譲マンションの選び方
シニア向け分譲マンションは、次の4つのステップで選ぶと失敗を減らせます。
- ステップ1:決めた条件をもとに候補を絞る
- ステップ2:見学で質問し、トラブルの芽をつぶす
- ステップ3:体験入居で日常の暮らしを確かめる
- ステップ4:契約前に書類で裏付けをとる
パンフレットや販売担当者の説明だけで決めず、見学と書類で裏付けをとってから契約します。
ステップ1:決めた条件をもとに候補を絞る
決めておいた条件を物件概要に当てはめ、満たさない物件を外します。
月額や入居条件は、見学の前に物件概要で確かめられます。
見学する物件を絞っておけば、見学のたびに気持ちが揺れて妥協する事態を避けられます。
ステップ2:見学で質問し、トラブルの芽をつぶす
見学での質問は、パンフレットに書かれていない入居後の実態を知る数少ない機会です。
購入した住戸はすぐには手放せないため、入居後に「聞いていた話と違う」と分かっても簡単には引っ越せません。
「できますか」と聞くと、販売側は「できます」と答えます。人数や金額などの実数で答えてもらう形で聞くと、実態との差が見えます。
ステップ3:体験入居で日常の暮らしを確かめる
数日暮らしてみると、数時間の見学では見えない日常の不便に気づけます。
食事の味や量、夜の館内の様子、入居者同士の距離感は、入居後に毎日続くものです。
合わないと気づくのが購入後だと、管理費を払い続けながら住み替え先を探すことになります。
体験宿泊がない物件では、時間帯を変えて何度か見学し、食事の時間帯にはレストランの様子も見せてもらいます。
出典:デュオセーヌ「シニア向け分譲マンションのデメリットとは?」
ステップ4:契約前に書類で裏付けをとる
口頭の説明が書類と食い違っていても、契約後に気づいたのでは取り返しがつきません。
値上げの経緯やサービスの決まりは、次の書類で確かめられます。
- 管理規約
- 長期修繕計画
- 総会議事録
- 重要事項説明書
購入前は、売主や仲介する不動産会社に依頼して見せてもらいます。
シニア向け分譲マンションのデメリットに関するよくある質問
シニア向け分譲マンションに関してよく寄せられる質問として、「どんなトラブルが起こるか」、「緊急時の備え資金はいくら必要か」、「ペット可物件はあるか」の3点を整理します。
いずれも購入前の確認事項として重要度が高く、特に資金計画については「売却頼みではない別枠資金」として150万〜300万円程度を確保しておくことが現実的な目安です。
シニア向け分譲マンションで起こるトラブルとは?
シニア向け分譲マンションでのトラブルは、サービス・運営・居住者間の人間関係の3つに大別されます。
いずれも一般のマンションと異なる点は、分譲物件であるため「気に入らなければ転居する」という選択肢が取りにくいことです。
これらのトラブルは施設の運営体制・入居者構成・契約内容によって発生しやすさが大きく異なります。特に「サービスの範囲と変更可能性」および「認知症・要介護度が進んだ場合の退去条件」は、購入前に契約書で必ず確認すべき項目です。
サービスが受けられなくなった場合や人間関係トラブルが深刻化した場合でも、売却が困難な物件であれば環境を変える手段が限られます。
入居前の施設見学・スタッフ体制の確認・現入居者との対話などを通じて、運営実態を十分に把握しておくことが重要です。
・契約書に明記されているサービスの範囲と、変更・廃止時の取り扱い
・認知症・要介護度が一定水準を超えた場合の退去条件の有無
・現在の入居者構成(自立者・要支援・認知症者の割合)と施設のスタッフ配置
いくらあったら突然の施設入居にも対応できるか?
シニア向け分譲マンションを離れて緊急で施設入居が必要になった場合に備えるには、「売却頼みではない別枠資金」として最低150万〜300万円程度を確保しておくことが現実的な目安です。
有料老人ホームへの入居まで視野に入れる場合はこの水準では足りず、入居一時金の有無次第でさらに数百万円以上の余力が必要になります。
上記の費用目安は、『ケアスル介護 独自調査レポート2026』の数値をもとに試算したものです。
サ高住への緊急住み替えを最低ラインに置くなら、敷金数か月分+月額費用数か月分+引越し・家財整理・医療雑費を加算して、おおむね150万〜300万円程度を「売却が完了していなくても手元にある現金」として確保しておく設計が現実的です。
この資金を「シニア向け分譲マンションの売却代金で充当する」前提にしてしまうと、売却が長引いた場合に転居できない状況が発生します。
有料老人ホームへの入居まで視野に入れる場合、入居一時金の平均は379.9万円(中央値60万円)と幅があり、0円の施設も存在しますが、中央値60万円でも月額費用と合わせると別枠資金の水準を超えます。
購入前に資産計画を立てる段階で、この別枠資金の確保を必ず設計に組み込んでください。
・「売却完了後に充当する」前提ではなく、「売却が長引いても手元にある現金」として設計する。
・最低ラインはサ高住6〜12か月分+引越し・医療雑費込みで150万〜300万円程度。
・介護付き有料老人ホームへの入居まで視野に入れる場合は数百万円以上の余力が別途必要。
<参考>介護付き有料老人ホームとは?費用の独自データから入居者の評判までを解説
<参考>サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)にかかる費用はいくら?エリア別の費用や請求書の実例を交えて解説
ペット可のシニア向け分譲マンションはある?
ペット可のシニア向け分譲マンションは実在しますが、「ペット可」または「ペット相談可」の物件はさらに選択肢が絞られ、飼育可能な種類・頭数・体重に条件が設けられているケースが大半です。
主要ポータルサイトでの絞り込みでは、シニア向け分譲マンション全体でも東京都7件・神奈川県8件・埼玉県4件程度しか掲載されていない中で、さらにペット可条件を加えると選択肢は大幅に減ります。
ペット同居を希望する場合は、ペット可物件の絶対数が少ないことを前提に、希望エリアを広げるか、サ高住などのペット可物件も並行して検討することが現実的です。なお、サ高住全体の約7.2%がペット可とされており、シニア向け分譲マンションと比べて選択肢が多い状況です。
また、購入時点でペット可であっても、管理組合の決議によって飼育ルールが厳格化されたり、将来的な新規飼育が禁止される方向へ規約が変更される可能性はゼロではありません。購入前に管理組合規約上のペット規定と変更手続きを確認し、将来的なリスクも把握したうえで判断してください。
・飼育可能な種類・頭数・体重制限を購入前に書面で確認する。
・管理組合規約のペット規定と将来的な変更可能性も確認する。
・ペット可のシニア向け分譲マンションが希望エリアにない場合はサ高住のペット可物件も選択肢に入れる。
まとめ
シニア向け分譲マンションのデメリットは、購入後も高い費用が続き、介護や売却の場面で身動きが取りにくいことにあります。
本記事で解説した23のデメリットと、購入後に生じうる5つのケースを整理します。
①費用編:購入価格・管理費・食費・修繕積立金の値上げ・固定資産税・資金の固定
②介護編:介護サービスは別契約・介護が重くなると住み替え・夜間や医療的ケアに対応できない
③自由度編:同世代のコミュニティ・同居人やペットの制限・家族の長期滞在・入居者の介護や死去・地域を離れる
④売却編:買い手が限られる・認知症で売却が止まる・自由に賃貸に出せない
⑤運営編:サービスの縮小・管理組合の高齢化・空室と共用施設の採算
⑥選択肢編:供給数が少ない・バス便立地が多い・妥協して選びやすい
⑦購入後のケース:要介護化・設備を使わなくなる・家族の売却と相続・積立金の値上げ・夫婦の片方が先に施設入所や死去
購入を検討するときは、介護が必要になったときの住み替え先と、そのための現金を確認してください。
サ高住や介護付き有料老人ホームと比べてから決めると、購入後の後悔を減らせます。
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します
ピッタリの施設を提案します