親や家族に介護が必要になり、必要な介護内容や家庭環境によっては自宅の介護が難しく老人ホームへの入居を検討している方もいるでしょう。
しかし、高齢者の方の中には、「老人ホームに入居したくない」「住み慣れた家から離れたくない」と入居拒否をする方もいます。
本記事では本人の同意なしでも老人ホームの入居はできるのか、どのように説得すれば入居に納得してもらえるのかを紹介していきます。老人ホームの入居を拒否されて困っている方、本人にできる限り納得して入居させたい方は必見です。

老人ホームへは本人の同意なしに入居できる?
老人ホームに入居する際に、本人の同意が必ずしも必要なわけではありません。本人が同意していない場合でも、家族の意向があれば老人ホームへの入居を進めることは可能です。
これは本人が老人ホームへの入居を拒否する以外にも、認知症が進み意思表示が難しい方もいるためとされています。
しかし、無理に入居させてしまうと親との関係が悪くなってしまったり、認知症や鬱を発症してしまったりする可能性もあります。そのため、本人の同意なしの入居はできる限り避けたほうがいいでしょう。
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老人ホームを拒否する本人の気持ち
老人ホームの入居を本人に勧める際には、拒否をする本人の気持ちも考える必要があります。
「老人ホームへ入居してほしい」「在宅介護が限界」とこちらの要望のみを伝え本人の気持ちに耳を傾けないと、話は平行線となりいつまでたっても解決しません。
ここでは、老人ホームを拒否する本人がどんな気持ちを抱えているのかを紹介します。入居したくないといった気持ちを理解すれば、本人との話し合いもスムーズに進められるかもしれません。
「できる限り自宅で介護を受けたい方」の割合は40%超
内閣府が行っている世論調査によると、約40%以上の方はできる限り自宅で介護を受けたいといった希望を持っているとされています。
在宅で介護を受けたい理由として最も多いのは、「住み慣れた自宅で生活を続けたい」といったものです。自宅で介護を受けたい方の約85%がこの気持ちを抱えているとされています。
続いて、他人の世話になりたくない、他人との共同生活を行う自信がないなどが挙げられています。施設に入居したりヘルパーを頼んだりするには金銭的な余裕がないといった理由を挙げる方も多いようです。
金銭的な面が心配で拒否をしているのであれば、国や自治体が行っている助成制度などを活用できる点を説明すれば解決するかもしれません。
介護は家族の役割だと思っている
昔の考えを持つ方や男性の多くは「子が親の面倒をみるのは当然」といった考えを持っている場合が多いとされています。
老人ホームへの入居は自分の世話を他人に押し付けられている、家族に見捨てられるといった考えに至る方が多いようです。
ただ、老人ホームに親を預ける=見捨てるといったわけではありません。現在の日本では、高齢者は家族だけで支えるのではなく社会全体で支えるといった考え方に変化してきています。
自宅での介護が難しいから親を施設へ預けるといった考えは、決して親不孝ではないことを理解してもらいましょう。
住み慣れた家にいたい
誰でも、住み慣れた家から離れるのは抵抗があるものです。環境の変化に対する不安や入居した老人ホームが自分に合わないのではないかといった不安もあるでしょう。
実際に先ほど紹介した、内閣府の世論調査でも入居を拒否する理由で最も多いものでした。
このような考え方を本人が持っている場合には、ショートステイなどを利用して老人ホームの雰囲気に慣れてもらう工夫をするとよいです。
スタッフやほかの入居者と仲良くなると入居への抵抗感が減る方も多いとされているので、初めから入居を強く勧めるのではなく少しずつ施設の利用回数を増やすとよいかもしれません。
施設によいイメージがない
老人ホームに対して、下記のようなイメージを持つ方は少なくありません。
- 家族から見捨てられた方が行く場所
- スタッフからの虐待がある
- 入居者同士のトラブルがある
- 食事がおいしくない
- プライベートな時間がない
- 不自由
施設の中には、ニュースになるような悪質な老人ホームも確かに存在しています。しかし、ほとんどの老人ホームはこのようなイメージとは真逆である場合がほとんどです。
老人ホームに入居しても、家族との時間も過ごせるうえ家族用の宿泊施設が併設されている場合もあります。
最近は、ほかの老人ホームとの差別化のために食事に力を入れたり、個室のプライベートな空間が確保された施設も多くあります。
まずは、現在の老人ホームがどのようなものかパンフレットなどを見せながら説明してあげるとよいかもしれません。
入居の必要性が理解できない
「自分はまだ元気だから大丈夫」「家族に迷惑をかけずに生活できているから老人ホームに行く必要はない」と、本人が自身の状態を適切に理解できていないために入居を拒否するケースもあります。
これは認知症がある程度進んでしまっており自己判断力が弱くなっているために生じることが多く、このような方に入居の必要性を理解してもらうのは難しいとされています。
認知症の進行により本人が理解できない状況であるのなら、無理に本人の了解を得る必要はありません。
老人ホームへの入居手続きは、本人の同意がなくても進められるからです。ただし「きっと話してもわからない」と決めつけて説明もなしに入居させるのはよい選択とはいえません。
理解してもらえなくても、入居手続きを進める際には本人にきちんと事情を説明しましょう。
他人の世話になりたくない
プライドが高い方などに多いのが「他人の世話になりたくない」といった理由です。食事の世話はともかく、入浴や排せつなどデリケートな部分に関して他人の手を借りるのは抵抗がある方も多いとされています。
この場合、「他人の世話になる」のではなく「できないことを手伝ってもらっている」といったように話してみましょう。
介護の素人である家族では、安全に手伝えない、限界があるなどをしっかり伝えるとわかってもらえるかもしれません。
施設への入居拒否を受け入れて在宅介護を続けるリスク
本人に老人ホームへの入居を拒否されたからといって、無理をして在宅介護を続けるのは得策とはいえません。なぜなら在宅介護を無理して続けるのには、さまざまなリスクが存在しているからです。
ここからは、無理して在宅介護を続けるリスクについて紹介します。
介護うつを発症する可能性
寝たきり状態など、本人の介護度が重度になるにつれ24時間365日介護が必要になる可能性があります。
そのため、介護を行っている方は社会的に孤立している場合が多いです。介護の不満や愚痴などを話せる相手がいなければ、ストレスは溜まる一方になります。
これにより、介護うつを発症する可能性が高いとされているのです。
本人を虐待してしまう可能性
在宅介護を続けるなかで疲れやストレスが溜まりすぎたために、本人へ虐待をしてしまう可能性もあります。
介護は、身体的な負担が大きいもの。肉体疲労は精神的疲労にもつながりやすいとされています。
しかし、介護にかかりきりになり友人など外部の方と交流する機会が取れないためストレスは膨れ上がる一方となってしまいます。これにより、追い詰められて虐待に至ってしまうようです。
介護離職により生活費を賄えなくなる可能性
介護の必要度によっては介護と仕事を両立できず、「介護離職」に至ってしまうケースも少なくありません。
しかし、仕事を辞めたあとも日々の生活費や介護費は変わらず必要です。初めのうちは貯金を切り崩すことで対応できるかもしれませんが、長い間介護生活が続くと生活費を賄えなくなってしまう可能性があります。
金銭的な余裕がないと精神的にも追い詰められていくため、介護うつや虐待にもつながる危険性があります。
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老人ホームを拒否する本人を説得する方法
老人ホームへの入居を拒否する理由は、人によってさまざまです。もちろん最も理想的なのは、双方が納得したうえで在宅介護か老人ホームへの入居を決める方法でしょう。
しかし、必ずしも双方の納得する方法が見つかるわけではありません。ここでは、老人ホームへの入居を拒否している親の上手な説得方法を紹介していきます。
施設に慣れてもらう
これはどのような拒否理由であっても、有効な手段です。拒否の根源には「老人ホームがどんなところかわからない」といった気持ちがあると考えられるためです。
いきなり老人ホームに入居するのではなく、日帰りで利用できるデイサービスや1泊から利用できるショートステイの利用を促してみましょう。
デイサービスの利用は、施設がどんな場所なのかを知るきっかけにもなります。施設内でスタッフや利用者さんと顔見知りになれば、入居に納得してくれるかもしれません。
初めに利用した施設が合わなくても老人ホームには数多くの種類があるため心配は不要です。
デイサービスを利用すると家族の介護負担も軽減されるため、在宅のみで介護を続けていた頃よりも気持ちに余裕ができ、本人の気持ちに寄り添いながら話し合いを進められるでしょう。
デイサービスのスタッフとも知り合いになれるので、本人の入居拒否について相談も可能になります。スタッフから本人へ施設入居に関して話をしてもらえる可能性もあり、入居へかなり近づけるかもしれません。

趣味ができる施設を探す
好きなものや趣味を続けられる施設を探すのも有効です。最近の老人ホームはクラブ活動を取り入れているケースも多く、将棋や生け花、塗り絵など多種多様な活動が行われています。
趣味の友達ができるなら、老人ホームに対して不自由なイメージを持っている方でも納得して入居してもらえるかもしれません。
活動内容は施設によって異なるため、本人が好きなものや趣味ができる施設を探してみましょう。
本人と話し合う
意外と話し合いをせずに、入居拒否をされていると思っている方も多いです。なぜ嫌なのか、どこが気に入らないのか、どうなったら入居してもいいのかなど、一度しっかりと話し合ってください。
話し合っているつもりで話し合いができておらず、親の気持ちがわかっていないのかもしれません。
この時に「介護がしんどいから入居してほしい」といった話をしているようであれば、それはこちらの要望に応えてほしいと聞こえてしまいます。
そうなっては「邪魔者扱いされている」「施設に無理やり入れられる」といった気持ちが強まり、より拒否をされてしまうでしょう。
そのため、無理強いするつもりはないと伝えたうえで本人の気持ちも聞きつつこちらが辛い状況にあることを伝えてみましょう。しっかりと話し合いを行えば、普段は聞けない本音を聞けるかもしれません。
第三者の方に話をしてもらう
どうしても親子の話し合いでは解決しない場合があります。
話し合って進展がなければ、第三者に協力をお願いするのも選択肢の一つです。
第三者に間へ入ってもらえば、落ち着いて話ができる可能性があるからです。この時、間に入ってもらうのは、以下の方にするとよいでしょう。
- すでに老人ホームに入居している親戚や親の友人
- ケアマネージャーや地域包括支援センター
- 主治医
- 通っている施設のスタッフ
本人の性格によっては、知り合いから老人ホームのいいところを聞いた方が納得する方や、専門家から話を聞いた方が納得する方もいます。
どちらの方が説得の成功率が高いかを検討し、最適な方に協力を仰いでみてください。
【最終手段】説得できない場合は強制的に入居を進める
介護をする側が限界なのであれば、最終手段として多少無理にでも入居をすすめてしまう方法もあります。
実際に入居すると環境に慣れて、入居してよかったと思ってくれるかもしれません。
ただし、これはあくまで最終手段です。入居してよかったと思ってくれるかどうかは、運による部分があります。「無理やり入居を進められた」と思い、親子の仲に亀裂が入る可能性も十分にあります。
入居させられたのが気に入らず、施設に迷惑をかけて退去をお願いされる可能性もあります。
強制的に入居を進める方法は、本当に困ったときだけの選択肢にしておきましょう。
【老人ホーム入居】本人を説得する際の注意点
入居してほしい気持ちから、説得に力を入れてしまいがちです。しかし、説得に熱が入るほど「そんなに追い出したいのか」とより入居を拒否する気持ちが強くなってしまう可能性があります。
説得する際には、入居させたい気持ちを押し付けないのが大切です。
本人の意見を否定をするのではなく、意見を肯定し寄り添う姿勢を常に意識してください。
どうしても余裕がなく話し合いができないのであれば、第三者に入って話をするような方向転換も必要かもしれません。
老人ホームは本人の同意なしでも入居できる
老人ホームは本人の同意なしでも入居可能です。しかし本人が拒否している場合、無理やり入居させてしまうのはできるだけ避けた方がいいでしょう。
無理強いされたと感じさせてしまい、親子の仲に亀裂が入ってしまう可能性があるからです。
老人ホームに入居したくない気持ちにはさまざまな理由が含まれています。なぜ、嫌なのか、何が不安なのかをまずはしっかりと聞き取りその不安を取り除けるように話を進めていきましょう。
どうしても、話し合いが進まないのであれば、第三者の力を借りるのも一つの方法です。
最もやってはいけないのは「入居してほしい」といったこちらの意見を押しつけ、本人へ無理に入居を迫ることです。入居してほしい気持ちもわかりますが、親にも当然意見があります。
本人の気持ちに寄り添って話し合いを進め、本人も納得の形で施設へ入居できるようにしましょう。
本人の同意が必ずしも必要なわけではありません。認知症の進行により、自身の状態を理解できていないケースもあるためです。ただ、無理やり入居させてしまうと本人との関係が悪くなってしまう可能性もあります。そのため、本人の同意なしでの入居はできる限り避けた方がよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
本人を説得する方法には、施設に慣れてもらったり趣味が出来る施設を探したりなどさまざまなものがあります。在宅ではもう十分な介護ができないこと、仕事を続ける必要があること、日中の留守の時間や夜間など本人の安全を確保できず共倒れになってしまうことを正直に伝えてみてはいかがでしょうか。親子、家族ならばお互いの幸せを願っているはずです。本人も、介護者を苦しめることは望んでいないでしょう。とはいえ、説得する際には本人の意見を肯定し、寄り添う姿勢を常に意識してください。どうしても余裕がなく話し合いができないのであれば、第三者に入ってもらい話を進めるような方向転換も必要です。詳しくはこちらをご覧ください。