老後破産は、その名の通り老後に必要な生活資金が底を尽きてしまう状況です。
定年退職前に月収の高い仕事をしていても、生活費を抑えられなかったり、介護費用が予想外にかかったりして、老後破産に陥る可能性は考えられます。
個々の生活状況は異なるため、老後破産の原因は人それぞれです。しかし、早いうちから対策を取っておけば老後破産を回避できます。
短期間で一気に資金を確保するのは難しいので、長期的な目線で計画的に老後資金を貯めておくのが最善策です。
特別なお金の知識はなくても、お金の専門家へ相談できるサービスを利用して、どのように老後の資金を形成するのかアドバイスをもらえます。
この記事では、老後破産の原因と対策、いざという時に相談するための窓口をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
老後破産とは何か?
老後破産とは、定年後に老後の資金が尽きて生活が立ち行かなくなる状態のことを指します。
在職時の所得に関係なく、どんな方でも準備不足だと破産に陥ってしまう恐れがあります。生活費のために定年退職後に働こうとしても、60代以上の方の再就職先では、年収は定年前の半分から3分の1程度に減るのが一般的です。
日本でも何十年か前までは、定年退職をしたあとは現役世代のように働かずに年金や預貯金を使って生活をすることも可能でしたが、今では多くの方が65歳まで働いており、70歳まで働く人も増えています。
生活コストを抑えることは個々人の努力で可能だとしても、年齢を重ねるにつれて医療や介護へかかる費用が増えていくと、預貯金がへってしまうのが現実です。
少子高齢化が止まらない日本では、年金額が増えていくという希望を持つのは現実的ではありません。自分の力で、老後資金を築き、収入に応じた生活費に抑えていく努力が必要です。
そういう意味では、老後の生活が苦しくなってしまう前に、退職予定の時期から逆算して計画的に資金を形成する必要があります。
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老後破産の主な原因
老後破産は、資金の準備不足が主な原因です。普段浪費癖がない方でも、教育資金や住宅資金の負担などで、老後資金を十分に貯められなかったために老後破産になる例も存在します。
人生の終盤に差し掛かってから、お金に頭を悩ませずに大切な家族と穏やかに過ごすためにも、まずはライフプランを練っていくことが大切です。医療や介護、高齢者施設への住み替えなど、考えるべきお金の問題はたくさんあります。
こちらの章では老後破産の原因についてそれぞれ解説していきますので、ぜひご覧ください。
医療費・介護費用の負担
高齢になるにつれて、病気にかかるリスクが高まります。入院・通院にかかる医療費や、介護施設やサービスを利用する場合の費用も決して安くはありません。
万が一大きな病気にかかって長期間の入院や介護が必要となると、退職金や年金収入だけでは費用の捻出が難しくなります。
高額療養費制度や介護保険の利用はできますが、それでも費用の自己負担は避けられません。老後の資金を考えるうえで、医療・介護の費用の準備は重要です。

貯蓄の不足
現役時代に、さまざまな要因が重なって貯蓄が十分にできなかった方も老後破産のリスクが高くなります。人によっては、月々の収入が十分でなかったり家族に大きな事故や病気があったりしたら、将来へ備えるお金の準備も困難です。
しかし、いかなる事情があっても老後の資金は一気に貯めるものではありません。月々の収入・支出の目安となる金額と照らし合わせながら、無理のない範囲で少しずつお金を貯めていくのが大切です。
住宅ローンの返済
住宅ローンは、退職前に完済できるのが理想です。しかし、想定していた以上に教育資金がかかったなどの理由で繰り上げ返済が思うようにできずに、住宅ローンをリタイアするまでに完済できない場合もあります。住宅ローンは現役時代の給与に基づいて組まれるので、月々の少ない年金から定期的に支払うのは大変です。
完済するのが65歳以上となる住宅ローンの組み方は、老後破産の一因になります。65歳を超えた年齢で住宅ローンが終了する予定のご家庭では、上のお子さんが大学生になる前と、末のお子さんが大学を卒業した後に繰り上げ返済をおこなって、ローンを完済できる計画を立てることが重要です。
子どもの教育資金
30代半ばから子どもを育てる場合、教育資金の負担が老後の家計を圧迫する懸念もあります。特に老後破産につながりやすくなる教育資金は、以下の通りです。
- 奨学金
- 教育ローン
- 大学院進学にかかる費用(特に理系や医学系の学部は学費が高め)
奨学金はお子さん自身が返済するのが一般的ですが、教育ローンは親が返済するお金です。大学進学時などに奨学金を利用する予定のあるご家庭では、日本政策金融公庫のHP上で返済のシミュレーションができるので、高校2年生のうちに(高校3年生の春に予約採用がおこなわれるため)親子で返済額を調べてみて、返済可能な金額であるかの確認をしましょう。教育ローンについては、できるだけ利用しない方向で検討したいところですが、入学金などが不足するなど、奨学金ではまかなえない教育費に限定するなど、定年退職後に教育資金の返済で苦労しないためにも、教育資金プランをきちんと検討する必要があります。
老後破産しやすい人の特徴は?
老後破産に陥りやすい人の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
・固定費が高額な人
・貯蓄金額が少ない人
・生活レベルが下げられない人
・家計状況を把握していない人
・老後資金のシミュレーションをしていない人
上記に該当する方は、みんなの生命保険アドバイザー お金のコラム も参考にしながら、早くから将来の計画を進めていきましょう。
月々の固定費の負担
水道光熱費、車に関する費用、スマートフォンやインターネットの通信費など、月々の固定費がかさんで貯蓄ができず、老後資金が足りなくなる場合もあります。
生活の質を落とさないためにも一定水準の固定費の支出は必要ですが、収入と見合っていない支出が続くと破産を招きかねません。老後は現役時代よりも収入は少なくなるので、固定費の節約は年金生活に入ったら、すぐに実行しましょう。
シニア向けの固定費支払いプランを用意している会社もあるので、チェックしてみるといいでしょう。
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今からできる老後破産の対策
定年退職後に年金収入や退職金の取り崩しで生活するのは困難であるケースが少なくありません。退職金の取り崩しに頼らず、ある程度の資金を貯めておく必要があります。
ただし、破産を恐れるあまり、リスクの高い運用に頼るのではなく、運用をする場合でも「長期、分散投資」を心がけて、自分の実力に合った貯め方をすることが大切です。
老後のマネープランを考える
老後破産を防ぐ対策の根幹となるのは、老後の収入と支出を想定したシミュレーションです。シミュレーションに基づいて、マネープランやライフプランを検討していきます。
将来の年金収入については、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」でしっかりと把握しましょう。また自分の介護の前に、親の介護費用が発生するご家庭も多いですから、親の年金額や資産状況も把握できると安心です。
退職金が入ったら、いきなり運用商品に多くを充てるご家庭も少なくありませんが、退職金が入った時期が、運用に向く時期とは限りません。また運用商品は、認知症と診断されると、亡くなるまで換金できなくなるリスクもあります。
退職後は減ってしまう収入に合わせた生活をしなくてはならず、生活費で赤字が発生するのが一般的です。1年間にどのくらいの赤字が出るかがわからないと、運用に回しても良い余裕資金を把握できないため、しばらくは定期預金などに預けて、余裕資金額をつかみつつ、運用プランをじっくりと検討することをお薦めします。短
余裕を持って貯金をしていく
老後の必要資金として、数年前には「2,000万円不足問題」が話題になったことがあります。この金額は、当時の家計調査の月額の赤字額から算出した金額で、2000万円という金額のインパクトから、メディアでも大きく取り上げられました。
とはいえ、家計調査は全体の平均値でしかありませんし、個々の家計によって、食費や水道光熱費、交際費や娯楽にかかる費用などの金額は異なります。平均額を参考にするのではなく、自分の家の年間の赤字をきちんとつかみ、その金額から必要な老後資金額を算出することが大切です。
長期的な視点で節約と貯蓄を継続していけば、老後の資金が徐々に増えていき貯蓄にやりがいを感じます。小さな積み重ねを長く継続していくことこそが、老後破産を防ぐとても重要なポイントです。
生活費の節約を行う
生活水準を極端に落とすような節約は長続きしないもの。ですが、習慣を見直すことで、月々の支出を抑える工夫も必要です。たとえば、食器を洗う時は水を出しっぱなしにせず、水を溜めた中で洗ってから流したり、テレビの長時間のつけっぱなしを減らせば、日々の水道光熱費の削減につながります。
読書は図書館を利用したり、散歩のようなお金のかからない趣味を作れば、娯楽費も節約できて心身の健康にもつながるので一石二鳥です。携帯電話会社でも、スマートフォンのシニア向け料金プランが提供されているので、利用を検討してみるといいでしょう。
資産運用でお金を増やしておく
老後の資金を貯めるために、検討したいのが資産運用です。資産運用には、主に下記のような方法があります。
- 投資信託
- NISA/つみたてNISA
- iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
- 株式
これらの方法を使って資金の積み立てをしていけば、長い目で見れば、預貯金に比べて効率的に資金を増やせる可能性があります。ただし、資金が減ってしまうリスクもあるので、きちんと勉強する姿勢も求められます。
投資信託を利用すれば、少額からの積み立てができるので、自身の家計状況を考えながら老後資金を準備できます。今までに運用の経験がなく、プロのアドバイスを受けたい場合は、金融機関に相談すれば、相談者に合った金融商品を紹介してもらうことも可能ですただし、金融機関から紹介される商品は、手数料が高いもののあるので、最終的には自分で判断する姿勢が求められます。
住宅ローンは退職前に返済する
リタイア後にも住宅ローンの返済が続いてしまうご家庭では、退職時の住宅ローン残高を確認しましょう。
退職金で住宅ローンの完済をおこなうご家庭もありますが、退職金は長く続く老後の赤字を補うお金です。1000万円以上のまとまった残債を完済して返済がなくなると、家計のやりくりは楽になりますが、老後資金が不足しかねません。
退職までに数年でも残っているご家庭は、月々の返済額に数千円から1万円程度返済額を増額する「条件変更」を検討する方法もあります。また月払いのみを選択しているご家庭で、ボーナスがある場合はボーナス併用払いに「条件変更」する方法もあります。ボーナス時に5~7万円程度の支払いをおこなうと、返済期間を3~6年程度短縮できるだけではなく、残債もグンと減らせるからです。住宅ローンの返済の見直しについては、ネットにもたくさんの記事が掲載されていますので、できるだけ早くに勉強を始めて、定年前の住宅ローン完済を目指しましょう。
受給できる年金を増やす
国民年金のほかにも、一定の条件を満たせば受給できる公的年金や私的年金の加入を考えましょう。それぞれ、下記のような年金があります。
- 公的年金:老齢年金、障害年金、遺族年金
- 私的年金:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)、国民年金基金、個人年金保険
私的年金は個人で積み立てる年金なので、公的年金と違って加入に特別な条件は必要ありません。将来受給できる年金を確認したうえで、不安があれば私的年金の利用を検討する必要があります。
定年退職後でも就業できる仕事を探す
最近はハローワークでも、60歳を過ぎた方の再就職支援に力を入れています。1年更新の契約形態になるケースも少なくありませんが、自分の健康状態や経済状況を考えながらの勤務が可能です。
現在働いている会社の定年年齢が60歳だとしても、65歳までは継続雇用などで引き続き働けるのが一般的です。継続雇用は65歳までをする企業が多くなっていますが、65歳を超えても、70歳までは引き続き働けるような努力義務が法律によって、企業に課せられています。また令和3年度に60歳を迎えた方(男性)からは、65歳になるまで公的年金が受給できなくなっていますので、65歳までは働くのが常識になっていると言えるでしょう。
相談できる窓口を活用する
老後のお金に関して困ったり疑問があったりしたら、地域の行政機関の相談窓口やフィナンシャルプランナーなどの専門家へ気軽に相談をしてみましょう。専門のスタッフが丁寧に相談に乗ってくれて、必要であれば相談者に見合ったサービスやプランを提案してくれます。
家族との話し合いをしても具体的な資金計画やライフプランを立てられない場合は、相談窓口の利用を検討してみましょう。次の章で、相談窓口・サービスを紹介します。

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老後の資金に関する相談ができる窓口・サービス
老後破産に陥らないために計画的な資金の準備が必要である一方、自分一人の力ではどうしても限界が出てきます。家族が遠方に住んでいたり諸事情により一人暮らしをしていたりする方なら、身内に資金の件を相談したくてもなかなか簡単にはできません。
地域行政やお金の専門家に相談して、自分に見合ったアドバイスやサービスを受けるのも一つの手段です。こちらの章では、いざという時に利用できる相談窓口やサービスを紹介します。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、地域に住む高齢者の生活をさまざまな側面からサポートしてくれるサービスを提供している機関です。介護の問題から権利擁護などの問題まで、社会福祉士や保健師の職員が丁寧に相談に応じてくれます。
特に、介護にかかる費用の面で心配があればケアマネジャーへ相談しましょう。現場経験と実績豊富なケアマネジャーが、適切なアドバイスをしてくれます。相談は無料でできるので、不安があれば行ってみましょう。

ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、言わずと知れたお金の専門家です。お金の問題についての知識が豊富なので、もちろん老後の資金についても相談ができます。オンラインで相談できるサービスもあり、諸事情で事務所へ直接足を運べない方にも便利です。ただしファイナンシャルプランナーごとに、得意分野は異なります。相談したいメインの内容を決めて、その内容に強いファイナンシャルプランナーを探すことが大切です。相談のためには、事前に家計がわかる資料と年金・保険・住宅ローン関連の書類、預貯金の状況が記載された通帳が必要です。書類や資料をみて、プランナーが将来のマネープランを親身になって考えてくれます。
消費者生活センター
消費生活センターは、消費者トラブルが発生した場合に対応してくれる機関です。将来に備えて金融商品やサービスを利用し始めて、不可解な点があったらすぐに相談しましょう。専門スタッフが、守秘義務を徹底しながら相談に応じてくれます。
土日祝日でも、電話による相談が可能ですので、少しでも金融商品への疑問があったら問い合わせてみましょう。金融商品以外でも、生活におけるさまざまな面での消費トラブルについての相談ができます。
自立相談支援窓口
さまざまな理由から生活で苦しんでいる方を対象とした「生活困窮者自立支援制度」があります。現時点で生活保護を受給していなくても、生活に困窮していたり、借金の返済に追われていたり、将来的には生活保護の受給に至る恐れがある方などに向けて、各自に見合ったサポートをしてくれる制度です。
全国の各市町村に相談支援窓口が設けられており、相談窓口では老後破産の心配に関する相談も可能です。相談内容に応じて支援員が具体的な支援プランを作成し、相談者に見合ったサポートをしてくれます。
老後破産の対策は長期的な目線で進めよう
老後破産を防ぐには、自分一人の力ではなかなか難しい面があります。家族とも話し合いながら、疑問点や不明点があれば専門家の力を借りるのも対策の一つです。
自らの預貯金のほかにも、資産を形成できる手段はたくさんありますので、焦らずにコツコツと老後の資金を貯めていく心構えが必要となります。万が一の事態やお金に対する不安がある際は、相談サービス・窓口の利用も可能です。
長い目で計画的に、老後破産の対策を取っていきましょう。
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