認知症の方の介護をしている人の中には、施設に入れたいけれど入所を嫌がっていることでお困りの方も少なくないと思います。
認知症の方に限らず住み慣れた家を離れて施設で暮らすのは本人にとっても精神的なストレスがかかることです。したがって出来るだけ本人も納得した上で入所してもらいたいものですが、なかなか説得するのも大変だと思います。
そこで、本記事では認知症の方を施設に入れる際に強制入所させても良いのか、またそもそも施設への入所を嫌がる理由や強制入所以外の対処法についても解説していきます。
認知症の方は施設に強制入所させてもよい?
認知症の方を施設に入れる際は本人が嫌がる可能性が高いことが多いですが、やはり入所するのは本人のため相談したうえで納得したうえで入所するのが望ましいです。そのため、出来るだけ強制入所は避けるべきですが、在宅介護が難しくどうしても入所を拒んでいる場合は多少無理にでも入所してもらうのも選択肢に入るでしょう。
本章では、認知症の方を強制入所させても良いのかどうかについて解説していきます。
強制入所はできるだけ避けるべき
認知症の方で施設に入所するのを嫌がっている場合でも、やはり入所するのは本人であるため強制入所は避けるべきと言えるでしょう。
というのも、本人が嫌がっている場合に強制入所させるデメリットとして本人と介護者の信頼関係が崩れてしまうほか、入所したとしても入所後に施設の職員や入所者を過度に嫌がっている場合に暴言や暴力などが起った場合は強制退去の要件として成立するためです。
例えば、特別養護老人ホームに入所した場合でも老人福祉法において「養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、第十一条の規定による入所の委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。」とされていますが、入所者や職員への暴力は正当な理由に該当します。
したがって、強制入所させた際の本人と介護者の信頼関係の観点や入所後のトラブルを予防するためにもなるべく強制入所は避けるべきと言えるでしょう。
説得できないなら強制入所も選択肢に
施設に入所する本人と話合ってもなお入所に対して納得してもらえない場合は、多少無理にでも強制入所をしてもらうのも選択肢の一つに入ります。
というのも、認知症を患っている倍もそうでない場合も本人が自ら望んで施設に入所するというケースはほとんどありません。また、説得の結果完全に納得した上で入所するというケースも多くありません。
したがって、グループホームや特別養護老人ホームなどの職員のほとんどは入所を嫌がる入所者への対処については慣れているのが普通で、入所についてのある程度の説明をした後は施設の職員に任せて半ば強引に強制入所してもらうのも選択肢の一つです。
以上より、在宅介護していくのが難しい場合で認知症の本人に説得を試みてもなお入所に対して納得できない場合は、施設の職員に一定任せて強制入所させるのも一つの選択肢と言えるでしょう。
グループホームについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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認知症の方が施設への入所を嫌がる原因
認知症の方が施設に入所するのを嫌がる原因としては、子供などから見捨てられたと感じるほか、住み慣れた家で最後まで暮らしたいという理由、自分は認知症ではないと思っていることなどが主な理由です。
それぞれの理由について解説していきます。
自分は見捨てられたと感じる
認知症の方が施設への入所を嫌がる原因としてまず考えられるのは、自分が見捨てられたと感じることが理由とされています。
というのも、子供が認知症の親の介護をしている場合に、親の世代は「親の介護は子供がやって当たり前」「今まで子供の面倒を見てきたのだから親の介護は逆にやって当然」というように、子供が介護をやるのが当たり前だと考えているというケースが少なくありません。
特に地方などで老人ホームの数が少ない場合や古い価値観がまだ残っている地域では、親族なども同様に子供が面倒を見て当然と思っているケースがあるので、施設へ入所を切り出すと見捨てられたと感じることがあります。
結果として、子供が親の認知症をきっかけに強制入所させようと見捨てられたと感じ嫌がることなどがあるのです。
住み慣れた家で最期まで暮らしたい
認知症の方が施設への入所を嫌がる原因として次に考えられるのは、住み慣れた家で最後まで暮らしたいと考えていることです。
実際に、内閣府の調査によると親が施設に入りたがらない理由として「住み慣れた自宅で生活を続けたいから」が85.6%、「施設で他人の世話になるのは嫌だから」が21.8%、「他人との共同生活をしたくない」からが21.7%と、住み慣れた自宅で生活を続けたいという気持ちが最も大きいことがわかります。
認知層の方に限らず人間はだれしも慣れた環境から離れることになるときに抵抗感を感じるものですが、認知症を発症している場合は余計環境変化を嫌がる場合があります。
認知症に限らず人間がだれしも持っている現状維持の欲求と認知症を発症したことによる環境変化を拒む欲求が相まって、施設への入所を嫌がっているという背景があることが考えられます。
自分は認知症ではないと思っている
最後に、認知所の方が入所を嫌がっている理由として考えられるのは自分は認知症ではないと思っているケースです。
というのも、今でこそ物忘れやせん妄などの症状は「認知症」という病名として社会に定着していますが、2004年以前は「ボケ」「物忘れ」「痴呆」「痴呆症」など病気というよりも障害に近いニュアンスで定着していました。
それによって、男性などでプライドの高い方の場合に「自分がぼけている」という事実を正面から受け入れられずに、どこかでわかっていても認められないという事象が生じるのです。
したがって、社会的に以前までは病気ではなく障害に近いものとして受け入れられていたことや、プライドの高さなどから自分ではどこかボケていることがわかっていても自分が認知症であることを認められずに、認知所の方が住んでいる施設に混ざることを認められないなどの事情があるのです。
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強制入所以外の方法で認知症の方を施設に入れる方法
強制入所以外の方法で認知症の方を施設に入れる方法としては、子供からの愛情を伝えて本人に愛情を伝えたり、第三者から本人の状況を伝えてもらうなどの方法があります。
ここでは強制入所以外の方法で認知症の方を施設に入れる方法について解説していきます。
子どもからの愛情を伝える
認知症の方が施設に入りたがらない時の原因として見捨てられたと感じることなどが原因として考えられますが、そういった場合は子供や孫からの愛情を伝えて将来お見舞いに行くことを伝えたりすることが対処法として考えられます。
というのも、認知所の方が入りたがらない原因として見捨てられたと感じることがあるので、入所したらもう誰にも会えないと感じてしまったり、一生孤独でいる必要があるなどと感じてしまうことがあるので入所の前に今後のことを伝えておきましょう。
特に子供や孫が好きだった方は特にさみしさを感じたりすることが多いので、入所の前は「見捨てるわけではなく、一生元気でいてほしいから入所してほしい」などの形で認知症の方本人に伝えるようにしましょう。
以上より認知症の方が施設に入所したがらない時の対処法としては子供からの愛情を伝えたりしてみましょう。
ショートステイを利用してもらう
認知症の方が施設に入りたがらない時の対処法として、ショートステイを利用していきなり入所ではなく徐々に慣れてもらいながら入所まで進めるという対処法があります。
というのも、認知症の方で施設に入りたがらない時の原因として現在の住まいから環境を変えたくないという原因が作用している場合があるからです。
そういった場合は最長で30日間連続で利用できるショートステイをまずは利用してみて施設での生活を実際に伝えてみることが一つの解決策となります。ショートステイを利用することでいつか家に帰れるという状況で施設の生活に慣れてもらうことが出来ます。
場合によってはショートステイで利用したグループホームなどでの生活になじみそのまま入所という場合も少なくありません。認知症で今住んでいる家から出たくないという感情が強い場合はまずはショートステイ慣れてもらってから入所してもらうというのも一つの選択肢と言えるでしょう。
ショートステイについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
第三者から話をしてもらう
認知症の方が施設に入りたがらない時の対処法として、第三者から認知症の症状が今現在どの程度まで進行しているのかを伝えてもらうなどが考えられます。
というのも、認知症の方で施設に入りたがらない時の原因としてプライドの高さから自分がぼけているということを正面から受け止め、子供に伝えられないという場合があります。
例えば、施設の方やケアマネージャーなどの第三者から必要性について伝えて、プライドを傷つけない形で説明することですんなりと入所まで進む場合もあります。
したがって、認知症の方が入所をしたがらない場合は第三者から認知症の進行度について説明してもらい説得してもらうのも一つの選択肢と言えるでしょう。
親を施設に入れる手順について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
また「入居前の手続きが大変そう…」という方は、ケアスル介護で相談してみることがおすすめです。
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施設への強制入所は認知症の最後の選択肢
ここまで認知症の方で施設を嫌がっている場合の対処法について解説していきましたが、やはり認知症の場合でも強制入所は最後の選択肢として考えるべきでしょう。
というのも、親などの認知症の方が納得しないまま入所をさせてもお互いの信頼関係が崩れる可能性があるだけではなく、入所後のトラブルにもなりかねないからです。
したがって、入所させるときは子供からの愛情を伝えたり、ショートステイの利用、また第三者から説得してもらうなどの方法を試したうえでそれでも入所してもらえないという場合の最後の選択肢として強制入所は取っておきましょう。
認知所の方を施設に入れたいがお金が無いという方はこちらの記事もご覧ください。
強制入所させた際の本人と介護者の信頼関係の観点や入所後のトラブルを予防するためにもなるべく強制入所は避けるべきではあります。なによりも、施設への入所は本人と相談し、納得したうえで入所するのが望ましいです。詳しくはこちらをご覧ください。
一番は子供や孫からの愛情を伝えて将来お見舞いに行くことを伝えたりすることが大切です。その他、ショートステイを活用したり、第三者から話をしてもらうなどの方法が考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。