パーキンソン病を患っている親や親族を介護している人の中には、
- まだ在宅介護で生活できているけど、いつかは施設に入らないといけないの?
- 歩行器を使って歩けてはいるけれど、介護している自分がもう限界
- 夜間も排せつの手伝いをしなくてはならなくて、いつまで続けるのか不安
など、いつかは介護施設にお世話になるのではとわかっていても、いつパーキンソン病の方を介護施設に入れるべきかタイミングがわからない方も少なくないと思います。
本記事では、パーキンソン病の方が介護施設に入るタイミングについて患者さんの症状別のタイミングや介護者側の観点でどのような状況であれば介護施設に入った方がよいのかについて解説していきます。
本人の状況ももちろん大事ですが、介護をしている家族や親族の精神的・身体的負担をケアすることも重要です。双方が安心して暮らすために、パーキンソン病と施設に入るタイミングを把握しておきましょう。

パーキンソン病の方を施設に入れるタイミング
パーキンソン病の方が施設に入るタイミングとしては、大きく分けて以下の3段階あります。
- 施設を検討し始めるタイミング
- 入所に向けて動き出すタイミング
- 入所を決断するタイミング
以下ではそれぞれの段階における本人や介護者の状況について解説していきます。
施設を検討し始めるタイミング
まずはパーキンソン病の方を介護している際に、施設への入所を検討するタイミングとしてよくある状況を紹介していきます。
本人の重症度がⅠ~Ⅱ度の時
パーキンソン病で施設を検討し始めるタイミングとしては、「ホーン&ヤール重症度」でⅠ度~Ⅱ度の時と言えるでしょう。
そもそもパーキンソン病は進行性の病気のため、初期症状としては体の動きが遅くなったり手足の震え(振戦)がありますが、症状が進行していくと認知機能障害を併発したり立ち歩くのが難しくなり、最期は寝たきりとなってしまいます。
そこでパーキンソン病の進行度を表す指標として「ホーン&ヤール重症度」という分類方法があります。ホーン&ヤール重症度では重症度の段階を以下の5段階で分けています。
Ⅰ度・・・体の片側だけに手足の震えや筋肉のこわばりが見られる状況。体の障害はないか、あっても軽い。
Ⅱ度・・・両足の手足が震え、両側の筋肉のこわばりなどがみられる。日常の生活や仕事がやや不便になる。
Ⅲ度・・・小刻みに歩く、すくみ足が見られる。方向転換の時に転びやすくなるなど、日常生活に支障が出るが介護なしに過ごせる。職種によってはまだ仕事を続けられる。
Ⅳ度・・・立ち上がったり、歩行するのが難しくなる。生活の様々な場面で、介助が必要になってくる
Ⅴ度・・・車いすが必要になる。ベッドで寝たきりになることが多くなる。
(出典:武田篤(柏原健一ほか編):みんなで学ぶパーキンソン病.南江堂, 東京, pp6-9, 2013)
施設への入居を検討し始め、現在の貯蓄や年金で入所できる施設があるかどうかを調べたり、入所に向けて資料請求などを行いだすタイミングとしては本人の生活や仕事がやや不便になるⅠ度~Ⅱ度の時と言えるでしょう。
介護者への身体的負担が多くなっている時
パーキンソン病の方を施設に入居させることを検討するタイミングとしては、パーキンソン病の方の介護で介護者への負担とイライラが大きくなってきている時と言えるでしょう。
というのも、パーキンソン病の介護では本人の意識がしっかりしていることも多く、認知症の方ほど暴言や暴力などが出ることがありませんが、「運動緩慢」などの症状で動きが遅くなってしまったり体のバランスを取れなくなる「姿勢保持障害」により介護者への身体的負担が多くなります。
例えば、排せつを一人で出来なくなっている場合に夜中に何度も起きて介助をしなくてはならないケースや、歩行器を使ってはいるものの後ろからずっと支えてなくてはならないケースです。男性の介護をしている場合は特に身体的な負担が多く、介護者が体調を崩してしまうこともあります。
したがって、パーキンソン病の介護をしていて入所を検討するタイミングとしては、介護者への身体的負担が大きくなっているときがそのタイミングの一つと言えるでしょう。
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入所に向けて動き出すタイミング
次に、パーキンソン病の介護が中長期にわたりいよいよ入所に向けて動き出すタイミングについて紹介していきます。
本人の重症度がⅢ度の時
パーキンソン病の方が施設に入るタイミングとして、入所に向けて動き出すのはホーン&ヤール重症度においてⅢ度の症状が出ている時と言えるでしょう。
Ⅲ度の症状についておさらいすると「小刻みに歩く、すくみ足が見られる。方向転換の時に転びやすくなるなど、日常生活に支障が出るが介護なしに過ごせる。職種によってはまだ仕事を続けられる」という状況となっています。
なぜⅢ度のタイミングで入所に向けて動き出すべきかというと、場合によっては振戦(しんせん)によって体の震えが大きくなってきたり、姿勢保持障害によって体のバランスを崩して転倒するリスクも上がってくるからです。
転倒によって入院してしまったり別の障害を体に抱えるリスクがあるため、Ⅲ度まで進行している場合は施設の入所に向けて動き出すタイミングと言えるでしょう。
介護者の精神負担が増え、イライラが無くならないとき
パーキンソン病の介護をしていて、施設の入所に向けて動き出すタイミングとしては介護者の精神的負担が増え、イライラが無くならない時と言えるでしょう。
理由は、パーキンソン病の症状として運動緩慢やうつ的な傾向が出るようになると、認知症の症状を併発しやすく場合によっては暴言や暴力、夜中に叫んだり妄想や幻覚などの症状が出始めることがあるからです。
例えば初期症状としてはパーキンソン病の症状が出ていたが、だんだんと認知症の症状が出てきている場合では、介護者の精神的負担が増え、場合によってはパーキンソン病の本人に対して暴力をふるってしまうリスクも増えるのです。
本人を傷つけたり、精神的負担によって介護者本人が耐えられなくなる前に施設への入所に向けて動き出すべきと言えるでしょう。
入所を決断するタイミング
最後に、入所を決断するタイミングを紹介していきます。
本人の重症度がⅤ度の時
ホーン&ヤール重症度においてⅤ度の症状が出ている時に入所を決断するという方も少なくありません。もちろん、Ⅴ度の症状が出たからと言って必ず施設に入所させなくてはならないわけではありませんが、寝たきりでずっと車椅子が必要という状況で施設に入所させる方も少なくありません。
理由としては、寝たきりでずっと車椅子が必要となると在宅介護の場合、介護ベッドを入れて常時介護が必要となるからです。
具体的には入浴や排せつ、食事の介護が必要となり、介護者の負担が一気に増します。それによって介護者が離職しなくてはならなくなったり、時間を今まで以上に取られることもあるのです。
介護者の身体的・精神的負担が限界を迎えた時
入所を決断するタイミングとしては、本人の状況がたとえ軽度であれ介護者が身体的・精神的に限界だと感じたタイミングと言えるでしょう。
理由としては、上述したように身体的負担が増えることによって介護者が体調を崩して入院してしまったり、精神的負担が増えることによって介護うつになる可能性もあるからです。
施設に入所している場合は介護職員が何人もいますが、在宅介護の場合は介護者は一人など少数です。その一人が倒れると自ずとパーキンソン病の方も介護を受けられずに共倒れとなってしまうこともあります。
例え本人の状況が軽度であれど、介護者自身が介護に対して限界を迎えているなら入所を決断するべきと言えるでしょう。
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パーキンソン病の方が施設に入るのを嫌がる時の対処法
パーキンソン病の方は認知症の方とは違って意識がハッキリしている方がほとんどなので、介護施設に入ることを伝えると嫌がられることがほとんどです。そこで、パーキンソン病の方が施設に入るのを嫌がった時の対処法について解説していきます。
パーキンソン病の方が施設を嫌がる理由
パーキンソン病の方が施設を嫌がる理由としては、「家族に捨てられた」と感じたり「家族は自分のことを邪魔ものだと思っている」という被害者意識からくる不安感や「住み慣れた家で最期まで暮らしたい」という環境変化を嫌がる気持ちがあります。
内閣府の調査では、親が施設に入りたがらない理由として「住み慣れた自宅で生活を続けたいから」が85.6%、「施設で他人の世話になるのは嫌だから」が21.8%、「他人との共同生活をしたくない」からが21.7%と、環境変化を嫌がる気持ちが大きいことがあるでしょう。
また、パーキンソン病の方の場合は初期症状としては歩くのが遅くなったり、手足の震え、筋肉が固くなるなど日常生活に支障がそこまで大きく出ない症状の場合もあるので「まだ自分は大丈夫」という気持ちから施設を嫌がることも多くあります。
パーキンソン病の方が施設を嫌がる時の対処法
パーキンソン病の方が施設に入るのを嫌がった時は次の方法で対処してみましょう。
子どもの愛情を伝える
パーキンソン病の方が施設に入るのを嫌がっている場合は、先ず子供からの愛情を伝えて話し合いを行いましょう。
理由としては、親からするとやはり子供から見捨てられたと不安を感じて、入所を拒んでいることが多いからです。
例えば、親に対して「いつまでも元気でいてほしいから施設に入所してほしい」と伝えたり、「安心して暮らしてもらいたい」と伝えることによって、決して見捨てるわけではないのだということを伝えることも有効です。
したがって、親が子供から見捨てられたと感じて入所を嫌がっている可能性がある場合は子供の愛情を伝えて説得してみましょう。
第三者から話をしてもらう
親が「自分はまだ大丈夫」と考えて施設への入所を拒んでいる場合は、介護者ではなく第三者から伝えてもらうというのも有効な方法です。
というのも、仮にパーキンソン病の親を子供が介護している場合は、やはり親は子供に対してできない部分を見られることに羞恥心を感じることも多いので、見栄を張る意味で「まだできる」と言ってしまうことも多くあります。
そのため、医師やケアマネージャー、普段会うことのあまりない親族などの第三者が状況を客観的に伝えて、在宅介護が難しいことを話してもらうのも一つの手です。
親が「まだ大丈夫」と見栄を張っている場合は、第三者から冷静に伝えることも重要だと言えるでしょう。
ショートステイで慣れてもらう
親がどうしても嫌がる場合は、ショートステイを利用して徐々に慣れてもらう方法があります。
というのも、高齢の親はまだ介護施設を集団でケアされる場所としてネガティブなイメージを持っていることがあります。そのため、実際にショートステイで1日から短期入所することでパーキンソン病の方が感じている施設と現状のギャップを解消することが出来るかもしれません。
施設に対して悪いイメージをもって入所を拒んでいる場合はショートステイで徐々に慣れてもらうという方法もあるのです。
パーキンソン病の方を施設に入れる際のポイントと注意点
最後に、パーキンソン病の方がを施設に入れる時のポイントと注意点について紹介していきます。
施設を選ぶ時のポイント
パーキンソン病の方を施設に入れる時のポイントは次の5つです。
- 例え歩行がゆっくりでも見守ってくれる施設
- 薬の効果に合わせて、食事や入浴などの生活リズムを合わせられる
- 姿勢保持障害に対応するためのバリアフリー、段差のない施設
- 入居者とのレクリエーションが豊富な施設
- 運動療法を取り入れてリハビリが豊富な施設
基本的にはパーキンソン病の受け入れ可能な老人ホームであれば上の条件を揃えていますが特に注意したいのは、①の歩行がゆっくりでも見守ってくれる施設です。
というのも、介護施設によっては介護の効率を上げるために車椅子で介護をする施設もありますが、少しでも歩行訓練を行いパーキンソン病の進行をおくらせることの方が重要です。
傍から見ると放置されているように見えるかもしれませんが、介護士がしっかりと見守ってくれている施設を選ぶようにしましょう。
施設を選ぶ際の注意点
パーキンソン病の方を施設に入れる際の注意点としては、認知症を併発した時に認知症状への対応をしてくれるか事前に確認しておくことです。
パーキンソン病の症状として鬱傾向がみられたり、運動緩慢によって運動習慣が無くなったりするとやはり認知症の併発リスクが高まります。
介護施設では認知症患者の方で暴言や暴力など周囲の入居者に迷惑をかけるリスクがある場合は強制退去となることもあるので、事前に認知症の受け入れをしているかどうかを確認することが重要です。
したがって、パーキンソン病の方を施設に入れる際は事前に認知症の受け入れをしているかどうか確認するようにしましょう。
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パーキンソン病でも入れる介護施設・老人ホームを知りたい方は、ぜひケアスル介護で相談してみてはいかがでしょうか。
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この記事のまとめ
本記事ではパーキンソン病の方が介護施設に入るタイミングについて解説しました。タイミングとしては主に
- 施設を検討し始めるタイミング
- 入所に向けて動き出すタイミング
- 入所を決断するタイミング
の3つにわけることが出来、それぞれ本人の重症度と介護者の身体的・精神的負担によってタイミングを見計らうべきと言えます。
パーキンソン病で認知症を併発していない場合は、比較的意識がハッキリしている場合もあり施設への入居を拒まれる場合もあります。その際は、本人の自尊心を傷つけないように説得したり、ショートステイなどを利用して介護施設とのギャップを埋めることが大事です。
パーキンソン病と向き合っていくために、施設への入所も前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
パーキンソン病で施設を検討し始めるタイミングとしては、「ホーン&ヤール重症度」でⅠ度~Ⅱ度の時と言えるでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
パーキンソン病の方を施設に入れる際の注意点としては、認知症を併発した時に認知症状への対応をしてくれるか事前に確認しておくことです。詳しくはこちらをご覧ください。