• くらし
  • 【公開日】2024-04-23
  • 【更新日】2024-04-23

認知症になっても、自分らしく安心して暮らせるように
-権利擁護のための成年後見制度の活用-

認知症になっても、自分らしく安心して暮らせるように<br>-権利擁護のための成年後見制度の活用-
今回は、認知症等により判断能力が低下した高齢者の権利擁護のための、成年後見制度の活用について紹介いたします。
田村 正人 講師
健康科学大学 健康科学部 人間コミュニケーション学科
社会福祉士
障害者虐待防止学会、日本社会福祉学会、日本保健福祉学会、人間福祉学会
障害者施設での勤務や特別養護老人ホームでの介護職を経て、介護支援専門員や障害者相談支援専門員としての経験をもとに、平成31年に福祉相談室ぶりっじを開設、成年後見人の受任のほか、権利擁護に関する研修会などの講師多数経験。
最終学歴:武蔵野大学 人間社会研究科 修士課程 実践福祉学専攻修士課程修了
令和3年4月より、健康科学大学 健康科学部 人間コミュニケーション学科 講師
専門分野:高齢者障害者の権利擁護、女性の労働や生活問題。
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3人に1人が高齢者になる社会

我が国の65歳以上の高齢者人口は2025年には3,657万人(全人口の30.3%)となっています。
さらに後期高齢者といわれる75歳以上の高齢者人口は2,179万人(全人口の18.1%)になると見込まれてり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる、超高齢化社会に直面しています。

【引用】厚生労働省 「日本の人口の推移」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000055150.pdf

認知症などによる判断能力の低下

こうした現状において、認知症高齢者も増加傾向にあり深刻な問題となっています。確かに認知症の治療やケアの技術は確実に進歩しており、効果的なケアや予防の提供が期待できます。しかし、認知症の高齢者が抱える問題として、「判断能力の低下」があげられます。

自分の名前が分からない、お金の計算ができない、難しい内容が理解できない、直前のことを忘れてしまう、など認知症が進むと日常生活における、意思決定に支障がでます。さらに、私たちの生活の多くの場面では契約や手続きが必要です。例えば賃貸住宅の契約更新、携帯電話など通信に関する契約、年金や保険の手続きなどがありますが、介護保険などで提供される福祉サービスにおいても契約が必要となります。

この点、認知症により判断能力が低下してしまうと、一人で適切な契約ができないことが生じてしまい、希望するサービスが利用できなくなることもあります。また自分の意思表明が難しくなるため、介護サービスを利用していて、要望や苦情があってもうまく伝えられないことも生じてきます。

認知症などで判断能力が低下することは、日常生活への支障だけではなく、契約上のトラブルや、高齢者の尊厳が守られないという大きな問題が生じることになります。従来は、身近な家族が、こうした状況になっても支えてくれる環境がありましたが、現在は高齢者のみの世帯が増加しており、気軽に家族に相談したり、頼ることが難しいのが現実です。

「権利擁護」というのは、ただ権利を守るだけではなく、自分が望みを実現することや、要望を他者へ伝えることを支援することです。特に判断能力が低下した認知症高齢者にとって「権利擁護」はとても重要です。

権利擁護の手段としての成年後見制度

認知症などにより判断能力が低下した場合の制度利用として、成年後見制度の利用が考えられます。成年後見制度は、判断能力が低下した人の権利を守り、本人に代わって契約等の法律行為を行い、不動産や預貯金等の財産を管理するための制度です。

成年後見制度は、介護保険法の成立と同時期である2000年に民法改正によって成立しました。介護保険によるサービス利用が困難になる認知症高齢者等が不利益を受けないように作られた制度でもあります。

【引用】成年後見制度の現状https://www.mhlw.go.jp/content/001102138.pdf

成年後見制度の利用は家庭裁判所へ申し立てをして、後見人が選任されますが、家族が後見人になることもできます。また、家族が遠方に居住していたり、仕事や家庭の事情でできない場合は、弁護士、司法書士、社会福祉士など法律や福祉の専門職が選任されることが多いです。

後見人の職務は民法で規定されていますが、財産管理だけではなく、本人の意思を尊重するために、ケアマネジャーなど福祉・介護の専門家や行政機関などを交えて、本人の最善の利益を守り、実現を目指すことが求められています。

現在、第二期成年後見制度利用促進計画に基づき、より身近で使いやすい制度になるように権利擁護支援の仕組みづくりに取り組んでいます。

【引用】厚生労働省 第二期成年後見制度利用促進基本計画の策定について https://www.mhlw.go.jp/content/000917337.pdf

2024年から法務省では、より使いやすい制度運営を目指して法律改正に動き始めました。成年後見制度の利用については、最寄りの地域包括支援センター市区町村の高齢者福祉窓口等に相談すると、制度の具体的な説明や、申し立ての支援を受けることができます。

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