• くらし
  • 【公開日】2024-04-12
  • 【更新日】2024-04-12

高齢者の生涯学習とは

高齢者の生涯学習とは

今回は、高齢者の生涯学習とは何かをご説明しながら、主観的幸福感へのつながりについてもお話していきます。

髙橋 一公 教授/学部長
東京未来大学 モチベーション行動科学部
精神保健福祉士 臨床発達心理士 等・教員
日本心理学会 日本発達心理学会 日本老年臨床心理学会 等
明星大学大学院人文学研究科心理学専攻修士課程修了。一般企業にて適性検査の開発や安全教育活動に関する企画に従事後、立正大学非常勤講師、身延山大学仏教学部専任講師、准教授、山梨県立大学非常勤講師、群馬医療福祉大学社会福祉学部准教授を経て、2011年より東京未来大学教授。専門は発達心理学、高齢者心理学。
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高齢者と生涯学習

高齢者人口の増加する現代において,積極的に学習活動を行っている,あるいは学習活動を希望している高齢者の数は増加傾向にあるといってよいでしょう。この積極的な学習活動を支えている要因として,学習意欲だけではなく生産的な活動を支えると考えられている「主観的幸福感(高齢者が自らの人生や生活に抱いている主観的な充足感)」(下仲, 1997)をあげることができます。

高齢者の学びの方向性

65歳以上の放送大学の学生では,いろいろ思考する楽しさが生涯学習参加への積極性持続性に影響していることが示されています(浅野,2006)。しかし,高齢者のこの「思考の楽しさ」に影響を及ぼす「学び」の側面は教育を受けてきた年数によって異なっているようです。

高等教育修了者の「思考の楽しさ」 は多分野の学問を次々に関連づけ,興味を広げる「思考を広げていく楽しさであり,これが学習の持続性につながっています。また,初等・中等教育修了者はある課題に対して異なる視点から理解を深める「思考を深めていく楽しさ」が学習への積極性につながるようです。

なぜ学びを求めるのか

内閣府の「平成29年度版高齢社会白書」(2017)によれば,60 歳以上の方の61.0%は何らかのグループ活動に参加したことがあり,1993年に比べると18.7ポイント増加しています。グループ活動に参加したことがある方が「参加してよかったこと」として挙げたのは,「新しい友人を得ることができた」(48.8%)が最も多く,次いで「生活に充実感ができた」(46.0%),「健康や体力に自信がついた」(44.4%)の順となっています。

また,高齢者の生涯学習への参加状況についてみると、この1 年間に生涯学習をしたことのある人は、60代でも70歳以上でも4割以上となっており,内容は,「趣味的なもの」が最も多く,60代で24.6%,70歳以上で24.9%となっています(図)。

生涯学習と主観的幸福感

髙橋(2018)は高齢者大学にて継続的に学習を実践している高齢者を対象に,高齢者大学への参加動機と主観的幸福感に関する調査を行っています。その結果,高齢者の学習への動機は、「学ぶことで得られるもの」を第一としながらも,同時に「参加すること」によって二次的に得られるものもあげています。

そして,この2つの動機がいずれも高い学習者は「主観的幸福感」が高い傾向があり,さらに,「学ぶこと」だけではなく,「参加」してそこから対人関係を広げていくことを意識している高齢者の方が「孤独感」や「不安感」が低く,「老いに対する態度」も肯定的であることが示されていました。

学び続けるために

高齢者の生涯学習は「学ぶ」だけではなく,そこにある人との「つながり」を意識することが参加への積極性と継続性を支えています。対人関係や余暇の有効利用を学習活動に求める積極的な傾向が高齢期の主観的幸福感の向上にも影響しているのです。

「学び」の場として

現在では多くの自治体が生涯学習センターなどで公開講座などの学びを提供しています。自治体によっては高齢者大学として定期的に学びのコースを設定しているところもあるようです。大学では公開講座として地域住民向けの学びの機会を提供しています。また,授業料はかかりますが,大学には聴講生を受け入れている科目もあります。通信制大学での学びも可能となっていますので、興味のある方は近くの自治体や大学等にお問い合わせてみてください。

注)本文に引用した文献に見られる専門用語等は日常的な用語に置き換えて記してあります。

【参考・引用文献】

  • 浅野志津子 (2006). 学習動機と学習の楽しさが生涯学習参加への積極性と持続性に及ぼす影響:放送大学学生の高齢者を中心に 発達心埋学研究 第17巻,第3号 pp.230−240.
  • 内閣府 (2017). 平成29年度版高齢社会白書 内閣府
  • 下中順子 (1997). 現代心理学シリーズ 14 老年心理学 第13章 高齢者の主観的幸福感と社会参加 培風館
  • 髙橋一公 (2018). 高齢者の学習動機と主観的幸福感に関する研究 高齢者大学への参加動機と主観的幸福感の関係 モチベーション研究 Annual Report 第7号, pp2-9.
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