生活保護にはさまざまな制限や条件があるため、「有料老人ホームに入居できるのか分からない」と心配になっている方も多いのではないでしょうか。
入居した後の費用や受けられるサービスも気になるかもしれません。
本記事では、生活保護を受給している方が有料老人ホームに入ることができるのかどうかや、必要となる費用について解説します。
また、生活保護を受給している方が有料老人ホームを探す際のポイントや注意点についてもご紹介します。生活保護受給中に有料老人ホームをお探しなら、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

生活保護を受けていても有料老人ホームへの入居は可能
生活保護を受けている方でも、有料老人ホームに入居することは可能です。
ただし、すべての有料老人ホームが生活保護受給者に対応しているわけではなく、あくまでも有料老人ホームの一部が対応しているという認識が正しいと言えます。
また、有料老人ホームには、主に「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」の2種類があり、種類によって、生活保護受給者を受け入れている施設数の割合が異なります。
生活保護受給者を受け入れている施設数の割合については、以下の通りです。
介護付き有料老人ホーム | 9.5% |
---|---|
住宅型有料老人ホーム | 28.4% |
出典:公益社団法人全国有料老人ホーム協会「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」
上記の表から、住宅型有料老人ホームでは約3割の施設が生活保護受給者の受け入れに対応しているのに対し、生活保護受給者の受け入れに対応している介護付き有料老人ホームの施設数は、全体の1割にも満たないことが分かります。
このように、生活保護受給者を受け入れている有料老人ホームはあまり多くないため、入所先となる施設の選択肢が少なくなることは把握しておくといいでしょう。
以下では、有料老人ホームの種類ごとの特徴について紹介します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、24時間体制の介護サービスをはじめ、掃除や洗濯といった生活支援や食事の提供などのサービスを提供している有料老人ホームを指します。
手厚い介護サービスを受けることができる点が特徴の有料老人ホームですが、その分介護費用が高額であるため、月額の費用が高額になる傾向にあります。
その結果として、生活保護受給者の受け入れが可能な施設数が少ないのが現状です。

住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、主に自立・要支援といった要介護度の低い方を対象とした有料老人ホームであり、掃除や洗濯といった生活支援や食事の提供などのサービスを受けることができる施設です。
主に要介護度の低い方を対象とした施設ですが、要介護5の方まで受け入れ可能な施設もあります。
介護付き有料老人ホームとの違いとしては、介護サービスの有無が挙げられます。
住宅型有料老人ホームでは、介護サービスがサービス内容に含まれておらず、介護サービスを利用する場合には、外部のサービス事業者と別途契約する必要があります。
外部の介護サービスの料金は、定額制ではなく利用した分だけ支払うというかたちになるため、介護サービスの利用が少ない方は、介護型に比べ費用が安く済むというメリットがあります。
また、介護付き有料老人ホームと比べて、生活保護受給者の受け入れに対応している施設数の割合も多いため、比較的入所先の施設を探しやすいと言えるでしょう。

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生活保護で有料老人ホームに入居する際に必要な費用
生活保護受給者が有料老人ホームに入所する際に必要な費用は、施設の種類や立地によって異なりますが、東京都の場合、介護付き有料老人ホームは20万円、住宅型有料老人ホームは12万円ほどの費用が必要になるでしょう。
有料老人ホームに入居する際に必要になる費用項目は、以下の通りです。
- 介護サービス費(介護付き有料老人ホームに入居する場合、もしくは外部のサービス事業者を利用する場合)
- 居住費
- 管理費
- 食費
- その他日用品代
一例として、ケアスル介護で掲載している、生活保護受給者の受け入れに対応している住宅型有料老人ホームの費用を紹介します。
家賃 | 5.4万円 |
---|---|
管理費 | 3.6万円 |
食費 | 3万円 |
月額費用(費用の合計) | 12万円 |
掲載元:ケアスル介護「福寿はちおうじ宇津木町」
上記の費用例として紹介している施設は、住宅型有料老人ホームの種別に該当しており、介護サービスの提供がない施設となっています。
外部サービスの利用や介護付き有料老人ホームへの入居を検討している場合は、介護サービス費も必要になるため、月額費用が高額になる可能性が高いです。
施設に希望する条件や支払うことのできる予算などを考慮の上、入居する施設を選ぶようにしましょう。
有料老人ホームに入居する際に利用できる扶助制度
前章では、有料老人ホームの費用について紹介しましたが、生活保護制度上の扶助を活用することで、自己負担額の軽減、もしくは実質的な自己負担なく施設を利用することが可能です。
有料老人ホームの費用に適用される扶助については、以下の通りです。
- 介護扶助:介護サービス費など介護にかかる費用の補助
- 住宅扶助:家賃や地代など住宅に関わる費用の補助
- 生活扶助:食料品や光熱費など生活に関わる費用の補助
それでは、1つずつ説明していきます。
介護扶助
介護扶助とは、介護サービスなどの介護にかかる費用の補助を指します。
介護扶助は、金銭の支給ではなく、原則として介護サービスなどの現物支給という形になり、生活保護を受給されている方の場合は、無料で介護サービスを受けることが可能です。
ただし、介護扶助の支給限度額を超えた介護サービス費や介護保険適用外の介護サービスにかかる費用などは、介護扶助の適用外となり、全額自己負担となるため、注意が必要です。
住宅扶助
住宅扶助とは、家賃や地代などの住宅に関わる費用の補助を指します。
支給額は厚生労働大臣が定める基準のもと、都道府県ごとに限度額が設けられています。なお、単身者の住宅扶助は、東京圏では月額5万円程度が目安です。(出典:厚生労働省「住宅扶助について」)
居住費が上限を超えると、その分は自己負担になります。ただし、世帯の人数や障害の有無など、受給者の状態が考慮されると、上限額の最大1.3倍(7人以上の世帯は、さらに1.2倍の乗じた額)まで支給されます。(出典:厚生労働省「住宅扶助について」)
生活扶助
生活扶助とは、食料品や光熱費をはじめとした生活にかかる費用の補助を指します。
生活扶助も地域によって上限額が異なり、単身者の場合は月額6~7万円ほどが目安です。
なお、生活扶助は、実際に利用した費用が毎月支給されるわけではなく、定額の支給であるため、把握しておくといいでしょう。
有料老人ホームの費用を軽減する方法
有料老人ホームの費用を軽減する方法として、以下のものが挙げられます。
- 高額介護サービス費
- 市区町村独自の助成金
それでは、1つずつ見ていきましょう。
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、1ヶ月の介護サービス費の自己負担額が高額となった場合、限度額以上に支払った金額を支給する制度です。高額介護サービス費は介護保険法第51条に記されており、有料老人ホーム入居者も利用できます。
負担割合は1ヶ月の所得に応じて決められており、生活保護受給者は15,000円です。例として、実際に支払った介護サービス費の自己負担額が20,000円だった場合、5,000円が支給されます。
こちらの制度を利用するには役所の窓口に申請する必要があり、申請書に必要事項を記入し、役所の窓口へ提出すると上限を超えて支払った金額が個人口座へ振り込まれます。
振り込まれるタイミングは市町村により若干異なりますが、おおむね申請から2ヵ月程度です。高額介護サービス費の申請は一度申請すれば2年間は有効です。
有効期間である2年を超えて高額介護サービス費を利用する場合は、再度高額介護サービス費の申請が必要です。
市区町村独自の助成金
市区町村によっては、介護施設入居者向けに独自の助成金制度を設けている場合があります。
各市区町村独自に行っているため、誰でも利用できるわけではありませんが、自分の住んでいる場所でも助成制度があるかもしれません。
一度自分の住んでいる地区で行っているかどうか確認してみるといいでしょう。
一例として東京都世田谷区では、以下のような制度が設けられています。
- 生活困難者等に対する利用者負担額軽減事業(さくら証)
東京都世田谷区では、所得が低い生活困難者に対して介護サービスの利用者負担分の一部を軽減する制度を設けています。
生活保護を受けている方も対象に含まれ、家賃の利用者負担分を全額負担してくれます。
引用元:世田谷区 生計困難者等に対する利用者負担額軽減事業(さくら証)
生活保護で有料老人ホームを探す際のポイント
生活保護を受けている方が有料老人ホームを探す際には、以下のようなポイントがあります。
- 月額費用を扶助と受給額の範囲に収める
- 広範囲のエリアで施設を探す
- 介護施設掲載サイトを活用する
- ケースワーカーに相談する
それでは、1つずつ見ていきましょう。
月額費用を扶助と受給額の範囲に収める
入居先の有料老人ホームを探す際には、施設の費用が扶助と受給額を超過しないか確認することが重要です。
生活保護を受けている方は実質自己負担なしで有料老人ホームに入れますが、家賃や生活費が扶助額を超えてしまうと、その分はすべて自己負担となってしまいます。
そのため、施設を選ぶ際にはその施設の家賃やサービスにかかる費用を計算して、扶助額の範囲内で収まる施設を選ぶ必要があります。
しかしながら、生活保護の条件をすべて把握しておくのは難しいといえるでしょう。厚生労働省の公式サイトにはお金の計算方法や扶助に関する情報が詳しく記載されています。ぜひ参考にしてください。
参照:厚生労働省『 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和4年4月)』
広範囲のエリアで施設を探す
入居先の有料老人ホームを探す際には、広範囲のエリアで施設を探すことを推奨します。
前述のように、有料老人ホームは生活保護受給者に対応している施設数の割合が少ない施設であるため、エリアを絞って探すことになると、なかなか施設が見つからないということがあります。
そういったケースでは、より広い範囲で探すことで、希望条件に該当する施設が見つかりやすくなります。
とは言え、入居先の施設を選ぶ際の条件として、人によっては施設の立地を重要視する方も少なくありません。
そのため、まずは希望するエリアで探し、見つからなかった際にはエリアを拡大するという流れで探すといいでしょう。
介護施設掲載サイトを活用する
入居先の有料老人ホームを探す際には、介護施設の情報を掲載しているサイトを利用することをおすすめします。
そのような施設掲載サイトでは、希望する条件に該当する施設に絞って検索することもでき、ケアスル介護であれば「生活保護の受け入れが可能な施設」に絞って探すことも可能です。
ケアスル介護を利用したいという方は、ぜひこちらからご利用ください。
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ケースワーカーに相談する
入居先の有料老人ホーム探しで困った際は、ケースワーカーに相談することを推奨します。
ケースワーカーとは、公的機関において相談支援業務を行う公務員のことで、福祉サービスを必要としている方の悩みや希望を聞き、課題解決までをサポートする職種です。
ケースワーカーは、今住んでいる地域以外にも広い範囲で希望に沿った施設を探してくれます。事前に希望する費用やサービス内容を伝えましょう。
また、希望に合った施設が住んでいる地域以外で見つかった場合、自治体を移動する際に必要な移管手続きも行ってくれるので、負担は大きく減るはずです。施設や介護サービスについて分からないことがあれば、まずは一度ケースワーカーに相談してください。
生活保護受給者が有料老人ホームに入居する際の注意点
生活保護受給者が有料老人ホームに入居する際には、以下のような注意点があります。
- 保証人・身元引受人が必要な場合が多い
- 生活保護の受給額明細が必要になる
それでは、1つずつ見ていきましょう。
保証人・身元引受人が必要な場合が多い
有料老人ホームに入居する際には、生活保護を受けている方に限らず、保証人・身元引受人が必要なケースが多いです。
保証人や身元引受人が必要になる理由は、以下の通りです。
- 有事の際に入院手続きを行う人が必要
- 施設利用料の連帯保証人が必要
- 亡くなった際の手続きを行う代理人が必要
もし、保証人や身元引受人がいない場合には、保険会社の利用や成年後見人を決める必要があるため、入居前に把握しておきましょう。
とは言え、現在は保証人や身元引受人がいなくても入居可能な施設も増えてきているため、そのような施設を探すというのも1つの手です。
生活保護の受給額明細が必要になる
生活保護を受給している方が、有料老人ホームなどの介護施設に入所する際は、受給額を証明する明細の提示が必要になります。
もし、生活保護の受給額を超える有料老人ホームに入居する場合には、受給額の加減設定を加えるか、費用の不足分を親族に補填してもらう必要があります。
そのため、福祉事務所の生活保護担当職員や親族に連絡して、入居相談時には生活保護受給額の明細を提示できるようにしましょう。
生活保護でも入居できる有料老人ホームはある
この記事では、生活保護を受けている方でも入れる有料老人ホームについてご紹介しました。住んでいる地域によって扶助の金額は異なりますが、扶助を活用することでお金を自己負担せずに有料老人ホームに入居できます。
生活保護を受ける理由や事情は人それぞれにありますが、老人ホームでは生活保護を受給しているせいで入居が難しくなるケースが少なからずあります。住宅型有料老人ホームは生活保護受給者向けの料金体系の設定率が高いようです。ですが、生活保護を受けている方でも入居できる確率が高いので、老人ホーム選びでお困りなら住宅型有料老人ホームも検討してみるといいかもしれません。
認知症の症状が悪化したからといって、それが原因で強制退去させられるケースは少ないです。ですが、入居されている本人の意思や状態によっては退去を求められるケースもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
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