自分の家族が高齢となり介護について考え始めた時に、最初に在宅介護の可能性について検討を始める家族は少なくないはずです。さらに在宅介護は周囲の家族の負担が大きくなる傾向があることから、できれば介護サービスを積極的に利用して、在宅介護を効率的に行いたいと願う家族も多いことでしょう。
在宅介護を行う場合、具体的にどのような支援サービスを受けることができるのでしょうか。ここでは、在宅介護を始める前に知っておきたい、在宅介護時に利用できるサービスや月にかかってくる費用、また介護する側の心理的・肉体的な負担について解説して行きます。
在宅介護とは
「在宅介護」とは、その言葉の通り「自宅で介護をすること」ですが、そのやり方はご家庭、人によってそれぞれ異なります。
在宅介護をしている多くの方は、介護サービスを利用することによって、より負担を小さくしています。その利用する介護サービスの中でも大きく分けて3つの種類があり、具体的には、「訪問介護」「通所介護」「訪問介護と通所介護の複合型」の3つのサービスになります。
自宅で介護を受けている方が利用できる介護サービスの幅は比較的広く、現在の心身の状態や家族環境、介護を受ける本人の希望などに沿って柔軟に介護サービスを受けることが可能となっています。
ここでは、在宅介護のメリットやデメリットや、在宅介護時に利用できる具体的な介護サービス、さらに在宅介護にかかる負担やその軽減方法について解説していきます。
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在宅介護のメリット・デメリット
自宅で介護をすることは、施設に預けて介護をすることと比べて、メリットがあることはもちろんデメリットも存在します。具体的にどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
在宅介護をするメリット
1.住み慣れた家で生活できる
自宅介護の一番のメリットとして、やはり住み慣れた家や地域で生活できることが挙げられるでしょう。施設に入居する方法に比べて、個人の生活空間やプライバシーが守られやすい環境で生活することができ、ストレスが少ないため、1人暮らしでも生活に支障がなければ、自宅介護を選ぶ人が多いのが事実です。被介護者にとって心理的な負担がより少なく済むのが自宅介護のメリットです。
2.介護の状態に合わせたサービスを利用できる
自宅介護では、訪問介護やデイサービスなど、要介護度に合ったサービスを、自由に選んで利用することができます。
老人ホームなどへ一旦入居すると、簡単に移ったりできませんが、訪問介護やデイサービスなどであれば、万が一合わなかった場合に変更することができます。
3.介護したい人をそばで見守れる
親を自分で介護したい、これまでの恩を返したいと思っている人は、すぐそばで見守ることができます。特に、何かあったときに家族が駆けつけるのが遅れるといった不安がなくなります。
在宅介護をするデメリット
介護者の身体的・精神的負担が大きい
自宅で介護をするには、家族が同居するか自宅から通って介護をする必要がある場合がほとんどです。その介護者である家族にとって、介護は毎日の負担となり、身体的・精神的に追い詰められてしまうケースも少なくありません。実際、近年高齢化が進むにつれて、介護うつと呼ばれる症状が現れる介護者が増加傾向にあります。
また介護者のプライバシーという観点でも、一人の時間や空間を作りにくい環境になるため、意図的にそういった機会を作りにいくことが大切になってきます。
経済的負担が大きい場合がある
自宅で家族が対応する場面が多いため、より費用が抑えられると思われがちですが、実際には経済的負担も大きくなってしまう場合もあります。
その主な出費元として、介護用品や設備、住宅改修、医療費・薬代、サービス利用料などがあります。さらに、高齢者の増加とともに在宅介護をする方も増え、介護離職をするケースも増えています。総務省「就業構造基本調査」によると、2017年に介護・看護を理由に離職した介護離職者数は9万9000人であり、年間約10万人の方が介護離職をしています。介護離職をした場合、大元の収入が減ってしまうため、家計全体として大きな影響をもたらしてしまう可能性があります。
専門的なケアをするには限界がある
家族だけで医療的なケアや認知症などの専門的なケア、リハビリなどは非常に難しく、家庭内で対応するなら訪問看護の利用が必要です。しかし、これも回数や時間に限りがあるので、より医療行為が必要になってきたり、認知症の症状が進行してきたりした場合には、自宅での介護ではなく施設入居などへの切り替えを検討した方が良いでしょう。
緊急時の対応への不安がある
被介護者に急な体調変化や転倒などの事故があった場合の対応が介護者だけでできるかという点から、見守り体制が不十分であることのリスクや不安が多く残るのが在宅介護のデメリットです。対応が遅れることによって怪我や病気などがより進行してしまったり、最悪の場合、孤独死につながってしまったりする可能性もあります。
在宅介護に不安を感じている方は、介護施設への入居も視野に入れてみましょう。
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在宅介護で受けられるサービス
在宅介護時に利用できる介護サービスには様々な種類があることから、状況に応じて上手に利用することで家族の介護に対する負担を大幅に減らすことが可能となります。
ここでは、在宅介護時に利用できる介護サービスの具体的な内容について紹介します。
自宅で受けられる介護サービス
自宅で受けられる介護サービスとして、訪問介護や訪問看護があげられます。
訪問介護の場合は自宅にホームヘルパーなどの介護者が訪問し、食事や排せつ、入浴などの介助、買い物や洗濯などの生活支援を行います。
訪問看護は看護師が自宅に訪問し、血圧や脈拍の測定や注射、点滴などの医療行為を行います。さらに必要に応じて、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅に訪問し、適切な処置を行います。
また、自宅で受けられる介護サービスとして、事業者が利用者の自宅に浴槽を用意して、利用者の入浴の介助を行う「訪問入浴介護」というサービスもあります。訪問入浴介護サービスは、自宅の浴槽での入浴が困難な場合や、デイサービスの利用が難しい方が利用するサービスとなっています。
施設に通う形のサービス
施設に通う形の介護サービスとしてデイケアやデイサービスなど、利用者が施設に通って利用するサービスがあります。
デイサービスには1日型や半日型があり、施設で食事や入浴、排せつの介助や様々なレクリエーションを行います。
デイケアは、病院や診療所などに通い日帰りでリハビリや入浴、食事などを行うサービスです。送迎車で送り迎えをしてもらいます。デイケアは通所リハビリテーションと呼ばれており、理学療養士や作業療養士、言語聴覚士などのリハビリの専門職が在籍しており、施設でリハビリテーションを受けることができます。
施設に通う形のサービスとしては、この他にも認知症に特化した「認知症対応型デイサービス」や、医療と介護の連携が行われる「療養型デイサービス」などが設置されています。
なおデイケアやデイサービスは、いずれも施設スタッフによる送迎が行われます。
ショートステイ
ショートステイとは、1日~30日までの短期間、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに入所してケアを受けるサービスです。
具体的には、介護する家族の負担軽減や、仕事や出張などで一時的に介護ができない場合の対応策として、在宅介護中の高齢者の心身の状態に応じて短期間施設に入所し、日常生活全般の介護を受ける支援サービスとなります。
ショートステイは、65歳以上で「要支援」「要介護」と認定された方が利用することが可能となっています。
混合型
混合型とは、基本的にはデイサービスを利用しますが、必要に応じて自宅の訪問介護や訪問看護、ショートステイへと柔軟に切り替えられるサービスです。
混合型サービスは具体的には、「小規模多機能型居宅介護」「看護小規模多機能型居宅介護」があげられます。
いずれも地域密着型サービスであり、当該サービスを利用している間は、訪問リハビリテーションや居宅療養管理指導、他の事業所によるデイサービスや訪問介護を利用することはできないことから注意が必要です。
在宅介護にかかる費用
在宅介護にかかる費用は、介護の期間や介護を受ける方の要介護度によって影響を受けます。介護の期間が長くなればなるほど、当然その期間に応じて介護にかかる費用は増えていきます。
さらに要介護度が高ければ使用する物品が増えるとともに、介護保険の負担割合が増加することから費用がさらにかかる傾向があります。介護を行う家族にとっても、費用面での負担が大きくなるのはできれば避けたいところです。
ここでは、在宅介護にかかる費用の内訳として、初期費用や月額の費用などについて解説していきます。
初期費用は?
一般企業が行った介護費用に関する調査結果によれば、介護の初年度にかかった費用は平均98.1万円という結果が出ています。
とりわけ住宅の改修工事に費用がかかり、手すりやスロープの設置など自宅のリフォーム代金に平均132万円程度かかっています。
さらに医療費や福祉用具の購入代金・レンタル代金などにお金がかかる傾向があります。人によっては施設への入居を検討し、入所一時金として数十万円前後のお金がかかっている方も多くいらっさいます。
介護のための自宅のリフォームをお考えの方は、こちらの記事をご覧ください。

月額でかかる費用は?
在宅介護を行なった場合、毎月介護に関連して発生する金額は平均5万円前後と言われています。月額でかかる費用は、大きく「介護サービス利用代金」と「介護サービス以外の費用」に分かれます。
介護サービス利用代金としては、主にデイケアやデイサービス、ホームヘルパーなどの利用料金となります。介護サービス以外の費用としては、おむつ代や福祉用品のレンタル代、リフォームの分割支払い金などがあげられます。
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在宅介護の負担を軽減するには
ここまで、在宅介護にかかる身体的・精神的・経済的負担などについて話してきました。これらの負担をなるべく少なくした状態で、在宅介護ができていることが一番大事です。
様々な負担を軽減するためには、担当のケアマネジャーとの関係性が大切になります。ケアマネジャーは要介護者のケアプランを作成してくれたり、要介護認定の手続きを手伝ってくれたりする重要な役割を担っており、在宅介護を行う要介護者のパートナーと言えるでしょう。
介護を受ける方やその家族の中には、ケアマネジャーに必要以上に気を使い、要望や抱えている不安を完全に伝えきれない方もいるようです。しかし、在宅介護は長期化する傾向があることから、ケアマネジャーとはしっかりと連携して介護を進めることが必要です。ケアマネジャーに自分の希望を伝えたり質問したりするのは、要介護者・介護者両者にとってとても大切になるのです。
また、要介護者に合ったサービスや介護体制を選び環境を整えましょう。家族が無理をして介護をするような体制は、介護者本人の負担になることはもちろん、結果的にそれが要介護者にも影響してしまう可能性があります。そうなる前に、ご家族が一番納得のいく負担の少ない形の介護ができるように、事前のリサーチやケアマネなど専門家への相談をしてみましょう。
「訪問介護」や「訪問看護」などの自宅で受けられる介護サービスや、「デイケア」や「デイサービス」など利用者が施設に通って利用するサービスがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
一般的には、施設での介護よりも在宅介護の方が費用を安く抑えられます。しかし、たとえ毎月の介護費用の支出がそれほど多くなくとも、介護の期間が長くなるほど結果として負担する費用の額は大きくなります。詳しくはこちらをご覧ください。