自宅で生活をされている方が介護や日常生活へのサポートが必要になったときには、介護保険の「居宅サービス」の利用をおすすめします。
居宅サービスの内容にはいろいろありますが、その中の1つに「通所型サービス」があり、「デイケア」も通所型サービスです。
デイケアは、高齢者や介護を必要とする人が利用するものという認識はあっても、実際はどのようなものなのか、似たような名称の「デイサービス(通所介護)」との違いが分からないなど、詳しく理解されている方は少ないかもしれません。
そこで、今回は「デイケア」についてご紹介します。
1.「デイケア」とは?
デイケアは「通所リハビリテーション」の通称です。
デイケアを実施している施設へ日帰りで通い、医師の指示に基づくリハビリテーション(略して「リハビリ」と呼ぶことが多い)をリハビリ専門職から受けることができます。
合わせて、医療的ケアを中心として、必要に応じて食事・排泄・入浴介助などの生活介護サービス、送迎サービスが受けられます。
デイケアを実施する施設としては、次のものがあげられます。
- 医療機関
- 介護老人保健施設
- 介護医療院(2023年廃止予定の「介護療養型医療施設」の転換先として2018年に創設)
デイサービスの施設ほど数は多くありませんが、幅広い場所で実施されています。
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2.「デイケア」と「デイサービス」の違いとは?
両者の違いには、利用目的、人員配置、料金などがありますが、一番の違いは「医師(主治医)の指示が必要かどうか」という点です。
1) 利用条件
「デイケア」「デイサービス」共に、利用に関しては要支援・要介護の認定を受けていることが必要です。
デイケアは、さらに医師(主治医)が通所を必要と認めた人だけが利用できます。つまり、希望すれば誰でも利用できるというわけではありません。
2) 利用目的
デイケアは、利用者の心身の機能、日常生活に必要な動作能力、認知機能、コミュニケーション能力、咀嚼・嚥下(噛む、飲み込む)能力などの維持・改善を目的に、リハビリテーションなどの医療的ケアに重点が置かれています。
医師の指示に基づき作成された「リハビリテーション計画書」に沿って、リハビリ専門職がリハビリテーションを行い、目的が達成された場合は終了(卒業)ということもあります。
一方、デイサービスは利用者が自宅で自立した生活を送ることができるよう支援することが目的で、介護サービスが中心になります。行われている機能訓練は、機能訓練指導員(多くは看護師が兼務)とその他の介護職員が協力して実施しています。
3) 人員配置
デイケア:医師、看護師、リハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、介護職員
デイサービス:管理者、生活相談員、看護師、機能訓練指導員、介護職員
デイケアには専任の医師が1名以上常勤していますが(併設されている医療機関の医師と兼務という場合もある)、医療機関で行われているような診療・治療・薬の処方などの医療行為は行っていません。
緊急時には素早い対応や処置を受けられることは大きな安心ですが、診療・治療が必要になった場合にはデイケアの利用を中止して、改めて受診するということになります。
3.「デイケア」の主なサービス内容
本章では「デイケア」の主なサービス内容を紹介します。
- 専門職によるリハビリテーション
- 看護師による健康チェック、医療的ケアの一部
- 送迎サービス
- 食事、排泄、入浴などの生活介護サービス
- 昼食、おやつ
- 体操、レクリエーション
- 生活環境を整えたり、福祉用具をレンタル・購入したりする際の提案や助言
1) 専門職によるリハビリテーション
① 個別リハビリと集団(グループ)リハビリ
医師の指示のもとに「リハビリテーション計画書」が作成され、それぞれの目的に向けて1人1人に合った適切なプログラムが提供されます。
リハビリテーションは、「個別」に行われるものと「集団(グループ)」で行われるものがあり、マンツーマンで行われる個別リハビリの多くは、1日あたり20分~40分程度です。それ以外は集団(グループ)リハビリに参加したり、リハビリ機器やマシンなどを使って自主トレーニングしたりします。
なお、「短期集中個別リハビリテーション」というものがあります。
医療機関から退院した日、介護保険施設から退所した日、もしくは要介護認定を受けた日から3ヶ月間は、週に2日以上、1日あたり40分以上の個別リハビリを集中的に受けることができます。
② リハビリ専門職
■理学療法士(Physical Therapist/頭文字をとって「PT」と略される)
日常の生活活動動作をサポートします。
「寝返りをうつ」「起き上がる」「座る」「立つ」「歩く」などの基本動作能力の維持・回復や、障害の悪化の予防を目的としたリハビリを行い、関節可動域の拡大、筋力強化・痛みの軽減のための体操や運動、マッサージ、物理療法(温熱、電気などの手段を治療目的に利用するもの)など、生活のしやすさや自立に向けた取り組みを行っています。
■作業療法士(Occupational Therapist/頭文字をとって「OT」と略される)
日常生活の中の応用的な動作をサポートします。
食事・排泄・入浴・着替え・家事などの生活行為のための能力を、心身両面から回復するようサポートします。
調理、手芸、工芸、園芸などの手先を使ったプログラムや、運動やレクリエーションなど身体を使ったプログラムがあります。
■言語聴覚士(Speech Therapist/頭文字をとって「ST」と略される)
「話す」「聞く」「食べる」をサポートします。
脳卒中後の言語障害(失語症、構音障害)や、聴覚障害、声や発音の障害などでコミュニケーション機能に障がいがある人に対して、機能の維持・回復に向けたトレーニングや指導、助言を行います。同時に、口を開ける、噛む、飲み込むなど食事機能の改善に向けたサポートも行います。
2) 看護師による健康チェック
医師の指示のもとで、ご利用者の体調管理、バイタル測定(体温、血圧、脈拍、酸素飽和度を測る)などを行い、安心して気持ちよくデイケアを利用できるようサポートします。
体調に変化があった場合には、リハビリや介護サービスの内容変更を提案したり、家族へ連絡し病院への受診をすすめたりします。
前述した通り、一部の医療的ケアを医師の指示に基づいて行うこともあります。
なお、一部の医療的ケアとは、家族や本人が行う医療行為の肩代わりや補助することを指します。
具体的には、服薬管理、経管栄養の管理、痰の吸引、インシュリン注射、創部の手当、塗り薬の塗布、貼り薬の貼布などです。
3) 介護職員による生活介護サービス
リハビリなどの医療的ケアがデイケアの特色ですが、「食事」「排泄」「入浴」などの生活行為を介助することや、「立つ」「座る」「移乗する」「移動する」などの動作を介助する生活介護サービスも重要です。
ご利用者の持っている能力を活かした介助を行うことはリハビリの効果をより高めることになります。
また、レクリエーションの提供も介護職員の大切な役割です。楽しみながら無理なく心と身体を動かせるよう、利用者同士が自然に交流できるよう、多くの施設でプログラムの工夫をしています。
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4.デイケアを利用するには
1) 要支援・要介護認定を受けている必要がある
「デイケア」「デイサービス」のみならず、介護保険サービスを受ける場合には、要支援・要介護認定が必要です。
認定を受けていない場合は、まず市町村の担当窓口(介護保険課など)へ申請してください。
認定を受けるには、市区町村の担当者による聞き取り調査を受ける必要があり、主治医の意見書をもとにして、コンピュータによって要支援や要介護度の審査を受けます。その後判定の結果をもとに介護認定審査会がさらなる審査を行い、これによって要支援や要介護度の判定を受けます。
2) 要支援・要介護認定を受けたら
①介護専門機関へ相談する
・要支援1~2の方は、「地域包括支援センター」へ相談する
・要支援1~2の場合でも、市町村ごとの「介護予防日常生活支援総合事業」として同等のサービスを利用することはできます。
・要介護1~5の方は、「居宅介護支援事業所」へ相談する
②要介護1~5の方は、ケアマネジャー(介護支援専門員)を決める
③ケアマネジャーと相談しながら、デイケア施設を見学・体験利用をして選択する
④医師(主治医)による指示書(健康診断書または診療情報提供書)を作成してもらう
⑤選択したデイケア施設に提出する
⑥利用判定会議によって利用の可否が決まる
⑦利用可能とされたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプラン(介護サービス計画書)を作成する
⑧利用契約をする
⑨利用開始
3) 利用料
施設の規模、種類、地域、利用滞在時間、介護度、利用するサービス内容によって利用料は変わってきます。
介護保険サービスにおける自己負担割合の基本は1割ですが(一定以上の所得者の場合は2~3割、逆に負担軽減措置もあります)、食費(おやつ代を含む)や日常生活費(オムツ代など)は介護保険外のサービスになるので、実費負担です。
なお、リハビリテーションや医療的ケアを提供するための人員配置があるため、デイサービスに比べるとデイケアの料金の方が高めに設定されています。
仮に要介護1で平均的な利用時間であれば、1回の利用料は1,800円前後(食事代、オムツ代含む)といったところです。
利用契約をする前には、どのような金額・内訳になるのか、確認することをおすすめします。
5.利用契約の前には見学・体験を
契約の前には、利用されるご本人と一緒に見学することをおすすめします。
施設を選ぶ際に、インターネットなどを利用しての情報収集、ケアマネジャーなどの専門家の助言、実際に利用しているご本人やご家族の感想も役に立つことでしょうが、やはり見学・体験してみなければ分からないことがたくさんあります。
①施設全体の雰囲気、職員や他の利用者さんの様子
相性の良し悪しなどの印象は大切です。
②リハビリ機器
施設の規模や方針によって、リハビリ機器やマシンなどの設備には差や特色があります。
③リハビリの内容
リハビリ専門職による個別リハビリ・集団リハビリにも様々な工夫がなされていて、施設ごとに特色のあるリハビリプログラムが提供されています。
④入浴設備
生活介護サービスの中では、特に「入浴設備」に特色が出ます。大浴場なのか個室なのか、家庭浴槽なのか機械浴なのかなど。利用する際にはどこでどのように入浴できるのか、前もって知っておくことは安心につながります。
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6.まとめ
デイケアに向いているのは以下のような方々です。
- 退院したばかりの方
- 病院で行っていたリハビリを継続したい方
- より医療的ケアが必要な方
- コミュニケーション機能や、咀嚼・嚥下機能が低下しているのでリハビリを受けたいという方
- 骨折のあとに何らかの機能低下のある方
「デイケア」か「デイサービス」の選択に迷ったら、まず、医師(主治医)に相談して、現在の状態と今後の回復の見通しなどをしっかり確認しましょう。
また「デイケア」と「デイサービス」は併用利用が可能です。利用料に関しては、デイケアの方が高めに設定されています。併用利用を希望され場合は、ケアマネジャーに相談してみることをおすすめします。
そのほか、デイケアには「終了(卒業)」があります。というのもデイケアを利用した場合、リハビリの目標が達成されたときには終了(卒業)することがあるのです。
その場合、「一般型デイサービス」「リハビリ特化型デイサービス」などへ移る、または「訪問リハビリサービス」の利用を検討するという選択肢があるため、理解しておきましょう。