特養の費用は負担限度額認定で安くなる! 制度を利用する条件や手続きの流れまで詳しく解説。

特養の費用は負担限度額認定で安くなる! 制度を利用する条件や手続きの流れまで詳しく解説。

「安い介護施設を探そうと特養(特別養護老人ホーム)の費用を調べてみたけど、思っていた以上に高かった」

「安いと言われる施設でもこんなに費用が高いなら、金銭的に余裕がない親はどこの施設にも入れないのでは…?」

介護施設をお探しの方々の中には、このようなお悩みを抱える方も少なくありません。

しかし特養などの公的な施設では、低所得者の方を対象に負担限度額認定制度という制度を利用することによって、費用負担を軽減できることがあります。

本記事では特養の費用で知っておきたい負担限度額認定制度の概要や利用条件、申請方法などについて詳しく解説して行きます。

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特養の費用を軽減できる負担限度額認定制度とは?

負担限度額認定制度とは、特養などの公的な介護施設を利用する所得の少ない方を対象に、居住費・食費が補填する制度のことです。

本人の所得額や預金額に応じて、自己負担の限度額が4段階で定められ、これを超えた分に関して、介護保険から払い戻しを受けることができます。

所得の要件として主な項目は、本人を含む世帯全員が住民税非課税であることです。

逆に言えば住民税が課税されている世帯の方は、残念ながら負担限度額認定制度を利用することはできません。

そのほか預金額の要件は配偶者の有無によって変動するため、よく確認しておきましょう。

所得の要件および預貯金の要件について詳しくは下記の表の通りです。

段階 所得の要件 預貯金等の要件
区分 公的年金収入+合計所得金額 単身 配偶者あり
第1段階 生活保護受給者
世帯全員が市町村民税非課税かつ老齢福祉年金を受給している 1000万円以下 2000万円以下
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税 80万円以下 650万円以下 1650万円以下
第3(1)段階 80~120万円 550万円以下 1550万円以下
第3(2)段階 120万円超 500万円以下 1500万円以下
第4段階 ・世帯に市区町村民税課税者がいる世帯・別世帯の配偶者が市区町村民税課税者・第1~3(2)の判断基準額を超えている

※課税年金だけではなく、障害年金、遺族年金などの非課税年金も含まれます。

また負担限度額認定制度の減免額の詳細に関しては以下の表のようになります。

特養の食費は4段階で定められており居住費は居室タイプによって金額が変動することになるため理解が必要です。

上の表で自分が第何段階に該当するのかを確認したあと、下の表で実際にどれくらいの金額が掛かることになるのか確認してみましょう。

段階 居住費の負担限度額 食費
ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 従来型個室 従来型多床室
第1段階 24,600円 14,700円 9,600円 0円 9,000円
第2段階 12,600円 11,100円 11,700円
第3(1)段階 39,300円 24,600円 19,500円
第3(2)段階 40,800円
第4段階 60,180円  50,040円 35,130円 25,650円 43,350円

出典:厚生労働省「介護保険施設における負担限度額が変わります」令和3年8月

特別養護老人ホーム(特養)をはじめ公的な介護施設では、従来型多床室の費用が最も安く、ユニット型個室が最も高い費用となっています。

例えば本人が第2段階の方で従来型多床室を利用する場合は、月々の居住費と食費の自己負担額は約2万3千円まで抑えることも可能なため、負担限度額認定制度は大きな支えになり得ると言えるでしょう。

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特養の費用で負担限度額認定制度を利用した場合の費用シミュレーション

本章では特養(特別養護老人ホーム)に入所するとして、負担限度額認定制度を利用した場合と利用しなかった場合でどれくらいの金額差があるのかを試算します。

【設定条件】
介護度:要介護3
入居する居室:多床室タイプ
介護サービスの自己負担割合:1割
世帯の所得状況:住民税非課税世帯
公的年金収入+合計所得金額:118万円
預貯金額:400万円
配偶者の有無:無し
前述のとおり特養は段階や利用する居室の種類などで費用が変動するため、今回は上記のような条件で費用をシミュレーションを行います。
上記のような条件の方の場合、負担限度額認定制度を利用した場合と利用しなかった場合で、料金は下記のように差が生まれることになりました。
負担限度額認定制度
費用項目 利用した場合の費用 利用しなかった場合の費用
居住費 11,100円 25,650円
食費 19,500円 43,350円
介護サービス費用 21,360円 21,360円
日常生活費用 16,800円 16,800円
毎月の合計費用 68,760円 107,160円
月額費用に換算すると負担限度額認定制度を利用した方が、約4万円ほどの費用を抑えられることが分かります。
今回指定した条件では「第3(1)段階」段階に該当するため、居住費や食費の面で大きく差がつく結果になりました。
以上の結果からも低所得の方の中で指定の条件に該当する方は、負担限度額認定制度を利用するべきであると言えるでしょう。
一方で負担限度額認定制度は居住費・食費に適用される制度であるため、介護サービス費用などは安くはならないことは理解が必要です。

特養の費用で負担限度額認定制度を利用する条件

本章では実際に特養で負担限度額認定制度を利用するために、満たしておく必要がある3つの条件について解説して行きます。

  • 本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であること
  • 本人の配偶者が住民税非課税世帯であること
  • 預貯金などの合計額が基準額以下であること

それぞれについて、順番に解説して行きます。

本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であること

特養の費用で負担限度額認定制度を利用する条件として1つ目は、本人を含む同じ世帯全員が住民税非課税であることです。

本人に収入がなくとも同居する家族にある程度の所得があり、同じ世帯の誰かが住民税を払っている場合は、負担限度額認定制度の利用対象にはならないため注意が必要です。

そもそも負担限度額認定制度は、お金がなくて困っている世帯の生活維持を目的とした制度であることを理解しておきましょう。

したがって特養の費用で負担限度額認定制度を利用する条件の1つ目として、本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であることが定められています。

本人の配偶者が住民税非課税世帯であること

特養の費用で負担限度額認定制度を利用する条件として2つ目は、本人の配偶者が住民税非課税世帯であることです。

「1つ目の条件と同じじゃないか?」とお思いの方もいらっしゃると思いますが、本人に配偶者がいる場合は注意すべき点があります。

本人に配偶者がいる場合、たとえ別世帯であっても配偶者が住民税を払っているのならば、負担限度額認定制度の利用対象にはならないのです。

つまり仮に事情があって夫婦で別々に暮らしている場合や、世帯分離をしている場合でも関係なく、配偶者が住民税課税世帯ならば、負担限度額制度の利用対象にはならないため注意する必要があります。

ただし配偶者からのDVを受けている場合や、そもそも配偶者が行方不明の場合は本条件は免除されるため、覚えておきましょう。

以上より特養の費用で負担限度額認定制度を利用する条件の2つ目として、本人の配偶者が住民税非課税世帯であることが定められています。

預貯金などの合計額が基準額以下であること

特養の費用で負担限度額認定制度を利用する条件として3つ目は、預貯金などの合計額が基準額以下であることです。

預貯金などの基準額は本人に配偶者がいるかいないかによって異なり、具体的には以下の金額に該当していることが必要となります。

  • 本人に配偶者がいる場合:預貯金が2000万円以下
  • 本人に配偶者がいない場合:預貯金が1000万円以下

また、預貯金とは持っている現金だけではありません。

正式には「資産性があり・換金性が高く・価格評価が容易なもの」と定義されており、有価証券や貴金属なども含まれるため注意しておきましょう。

具体的に預貯金としてみなされるもの・みなされないものは、以下のようになっています。

財産の種類 対象になるか否か
預貯金(普通・定期)
有価証券(株式・国債・地方債・社債など)
金や銀の購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属
投資信託
現金(いわゆるタンス預金)
住宅ローンなどの負債
生命保険 ×
自動車 ×
その他価値があるもの(絵画・骨董品など) ×

負担限度額認定証を申請する際は、お手元にどの程度の財産が存在するかよく確認するようにしましょう。

以上より、負担限度額認定証の交付条件として3つ目は、預貯金などの合計額が基準額以下であることが定められています。

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負担限度額認定制度には特例軽減措置がある

前項で解説した条件3点を満たさない方は、原則として負担限度額認定証の交付を受けることができません。

しかし条件を満たせなかった方でも介護費用が発生することにより、自治体から「生活の維持が難しい」と判断された場合は特例として費用の軽減を受けられることがあります。

特例軽減措置として定められた以下の条件6点をすべて満たすと、第3段階の方と同じ費用軽減を受けることになるため、よく確認してみましょう。

  1. 世帯人数が2名以上であること
  2. 介護保険施設にすでに入所しており、利用者負担第3段階までに該当していないこと(施設入所にあたり世帯分離をした場合に、利用者負担第3段階以下になる方はこの軽減制度の対象にはなりません。)
  3. 世帯全体の年間収入から、利用者が負担する施設での自己負担額を引いた額が80万円以下であること
  4. 世帯の預貯金等の額が450万円以下であること。(預貯金等とは、預貯金のほか、有価証券、債券等も含まれます。)
  5. 日常生活に使う資産以外に資産を持っていないこと
  6. 介護保険料を滞納していないこと

特養の費用で負担限度額認定を申請する手順

本章では、特養の費用で負担限度額認定制度を利用するための申請方法について解説します。

実際の申請を1つずつ順番に説明して行くので、ぜひ参考にしてください。

  1. 必要な書類を集める
  2. お住まいの市区町村に書類を提出
  3. 申請後1週間程度で結果が通知される

1. 必要な書類を集める

負担限度額認定制度の利用を申請する手順としてまず取り掛かるのは、必要な書類を集めることです。

具体的には以下のものを用意する必要があります。

  • 介護保険負担限度額認定証申請書
  • 同意書
  • 預貯金などを証明するための書類

このうち「預貯金などを証明するための書類」に関しては、詳細に内容が指定されているため、以下のポイントをよく確認しておきましょう。

財産の種類 内容の指定
預貯金(普通・定期) 通帳の写しを用意。原則申請日の直近から、2か月までの期間のもの
有価証券(株式・国債・地方債・社債など) 証券会社や銀行の口座残高の写し
金や銀の購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属 購入先の銀行などの講座残高の写し
投資信託 銀行、信託銀行、証券会社などの口座残高の写し
現金(いわゆるタンス預金) 自己申告で記載
住宅ローンなどの負債 借用証書など

2. お住まいの市区町村に書類を提出

必要な書類が集まったあとは、お住まいの市区町村の介護保険課に書類一式を提出しましょう。

提出方法は郵送・持ち込みのどちらでも可能なため、都合の良い方を選ぶのが良いでしょう。

また上記で紹介した書類について分からないことがある場合も、気負わずに介護保険課の窓口で相談してみることがおすすめです。

3. 申請後1週間程度で結果が通知される

書類を提出して申請が完了したあとは、基本的に1週間程度で結果が通知されます。

もしも書類の不備などがあった場合は、これよりも通知までに時間が掛かることがあるため注意しておきましょう。

負担限度額認定制度の条件を満たし、第1段階~第3段階に該当した場合は、負担限度額認定証が交付されます。

一方で条件を満たせずに交付できなかった場合は、その旨が通知されます。

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負担限度額認定制度で知っておきたい注意点

本章では負担限度額認定制度の利用で知っておきたい注意について解説しておきます。

誤った申請をしてしまうと思わぬ不都合を招くこともあるため、しっかりと理解しておきましょう。

  • 不正申告にはペナルティが発生する
  • ショートステイを利用する場合
  • 1年間で更新が必要

それぞれについて順番に説明して行きます。

不正申告にはペナルティが発生する

故意かつ虚偽の申告で負担限度額認定証の交付を受けた場合、ペナルティとして加算金が発生します。

加算金は負担限度額の最大2倍となっており、これまで介護サービスで利用していた金額とあわせて最大3倍の金額の納付を求められることがあります。

不正をすることでより大きな金銭的な負担を抱えてしまうことになるため、申請書の作成や資産の申告は正しく行いましょう。

ショートステイを利用する場合

介護施設への入居ではなくショートステイを利用する場合は、申請書の記入方法が異なるため注意が必要です。

申請書には「介護保険施設の所在地」や「名称」を記入する項目がありますが、これはショートステイの場合は記載が不要となります。

ショートステイを利用する場合、申請書には被保険者本人の氏名を記入・押印をして提出します。

負担限度額認定証の利用用途によって申請書の記入内容が異なるため、この点は注意しておきましょう。

1年間で更新が必要

負担限度額認定証は、一度交付を受けるといつまでも利用できるわけではありません。

有効期間は8月1日から翌年7月31日までの1年間となっているため、毎年の更新が必要です。

最初に認定を受けると、更新月近くに書類が送付されるため、これを使って更新の手続きをしておく必要があります。

その際に本人の所得や預貯金などの変化があれば、負担段階も変化するため気を付けましょう。

またそもそも更新手続きを忘れてしまうと負担限度額認制度が利用ができなくなるため、あわせて注意が必要です。

まとめ

「特養の費用が高くて払えない」とお困りの方は、負担限度額認定制度の利用を検討してみることがおすすめです。

負担限度額認定制度とは、特養などの公的な介護施設を利用する所得の少ない方を対象に、居住費・食費が補填する制度のことです。

本人の所得額や預金額に応じて、自己負担の限度額が4段階で定められ、これを超えた分に関して、介護保険から払い戻しを受けることができます。

所得の要件として主な項目は、本人を含む世帯全員が住民税非課税であることです。

負担限度額認定制度の利用を検討する際には、前もって自分が利用対象になるのか、また第何段階に該当するのかをよく確認することが大切と言えるでしょう。

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