特養とは、要介護3以上の認定を受けた日常的な介護が必要な方を対象とした、自治体が運営する介護施設のことを指します。
基本的には、要介護3以上の認定を受けている方以外は入居することができませんが、条件を満たすことで要介護1・2の方でも入居できることがあります。
この記事では、特養の特例入所や、入所する際の手続きについて解説します。

特養の特例入所とは?
特養の特例入所とは、2015年に改訂された改正介護保険法により定められた特養の入所条件である「要介護3以上」に満たない場合でも、特例で特養への入所ができる制度のことを指します。
厚生労働省によると、調査が完了している38都道府県において約2万人が特例入所の制度を利用して特養へ入所していることが分かっています。
第11条 第1項 第2号65歳以上の者であって、身体上または精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難な者が、やむを得ない事由により介護保険法に規定する地域密着型介護老人福祉施設または介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるときは、その者を当該市町村の設置する特別養護老人ホームに入所させ、または当該市町村以外の者の設置する特別養護老人ホームに入所を委託すること
参考:厚生労働省「特別養護老人ホームの特例入所に係る国の方針(骨子案)について」
特養の特例入所が適用される条件は?
特養の特例入所が認められるためには、いくつか条件があります。
ここでは、その条件に付いて詳しく解説します。
重度の認知症がある場合
重度の認知症による暴力行為や本人との意思疎通が難しい場合など、日常生活に支障をきたすと判断された場合、特例入所の対象となることがあります。
物忘れなどの軽度な認知症ではなく、火の不始末や自傷行為など、より重度な認知症であることが認められるほど、特例入所の対象となります。
家族からの虐待が疑われる場合
家族からの虐待が疑われる等、心身共に安全性が確保できないと判断された場合は、特例入所の対象となることがあります。介護による家族からの虐待は、年間1万7000件ほど報告されています。
また、家族による虐待や食事を与えないなどのネグレクトにより生命の危機に瀕する自体に陥った場合、特養には「措置入所」という高齢者を保護する制度もあります。

同居家族による介護が難しいと判断された場合
在宅介護をしている同居家族が高齢であったり、身寄りのない独居の場合は特例入所の対象となる場合があります。
上記の条件の満たすと必ず特例入所の対象となるわけではなく、地域からの支援や訪問介護サービスの利用などでも不十分な場合にのみ適用されます。
特養の特例入所による手続きはどうすればいい?
特養へ特例入所の制度を利用して入所する場合、通常の入所とは異なる手続きが必要です。
ここでは、特養の特例入所を申し込む際の手続きについて解説します。
特養への特例入所手続きは、下記3つが必要です。
- 申込書や必要書類の提出
- 検討委員会による審査
- 待機者数を踏まえた入居順位の決定
申込書や必要書類の提出
まずは、通常の特養入所と同様に申込書や特例入所の審査を依頼するための書類を提出する必要があります。
参考:「東村山市介護老人福祉施設入所指針」
東村山市では、「東村山市内指定介護老人福祉施設入所申込書」という通常の特養への入所で必要な書類と共に、「特例入所事由申告書」という特例入所に関する書類の提出が必要です。
書類の名称や必要な証明書の内容などは、各自治体により異なるため、特例入所を検討している方は、まずはお住まいの地域の福祉課などに問い合わせてみましょう。
検討委員会による審査
書類提出後、施設の検討委員会により特例入所の審査が行われます。
ここでは、前述の「家族からの虐待有無」「重度認知症の有無」「在宅介護の余地」などを踏まえて、特例入所の対象となるかが議論されます。
特養の申し込み書には、以下のような項目があります。
- 氏名や住所
- 医療の状況
- 介護保険
- 現況
- 入所希望者の意向
- 理由欄
ここで差が出るのは「理由欄」です。特養に入りたい理由、入らなければならない理由などを具体的に書くと、独居であるとか、同居の家庭が高齢で介護が大変であるなどのアピールができます。入居の必要性を高く評価してもらえ、施設への入居審査で有利に動く可能性があります。
入居順位の決定
検討委員会による審査を踏まえ、特例入所が認められると同時に入居順位が決定します。
特例入所が認められても、すぐに入居できるとは限りません。
厚生労働省によると、2022年4月時点における特養(特別養護老人ホーム)の待機者数は、27.5万人いると報告しています。
要介護1・2 | 要介護3以上 | |
全体 |
2.2万人 |
25.3万人 |
うち在宅の方 |
1.1万人 |
10.6万人 |
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まとめ
本記事では、特養の特例入所について解説しました。
特例入所とは、要介護3の認定を受けていない方でも特定の条件を満たせば特例的に入所できる制度のことです。
介護者が高齢であったり、身寄りのない高齢の方は、特例入所も検討してみましょう。
特例入所とは、特養の入所条件である「要介護3以上」に満たない場合でも、特例で特養への入所ができる制度のことを指します。詳しくはこちらをご覧ください。
特例入所が適用される条件は、「家族による虐待の疑いがある」「同居家族による介護が難しいと判断された場合」などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。