特養とは、65歳以上かつ要介護3以上の方を対象とした公的施設です。
本当に必要な人だけが入居できるよう、入居対象者を比較的重度の身体状態の方に限定していますが、例外的な制度として、特養には措置入所というものがあります。
本記事では、特養の措置入所とは何なのか、また措置入所に関するよくある疑問などについて解説します。

【この記事のまとめ】
- 特養の措置入所とは、やむを得ない事由から、対象となる高齢者の安全の確保を目的とし、緊急一時的に特養に入所することを言う。
- 措置入所が認められるケースとしては、対象の高齢者がその介護者から虐待を受けており、生命に関わると判断された場合が多い。
- 措置入所の際の費用は、本人もしくはその扶養義務者が支払う必要がある。
特養の措置入所とは
措置入所とは、対象者にやむを得ない事由がある場合、対象者の保護を図ることを目的に緊急一時的に施設へ入所することを言います。
この措置入所の対象となる施設が特養と養護老人ホームとなります。
つまり、特養の措置入所とは、やむを得ない事由がある高齢者が、その身の安全を確保するために緊急で特養に入所することを言うのです。
ただ、あくまでも緊急一時的な入所であるため、ずっと入所したままでいられるかどうかは対象の高齢者の置かれている状況によるため、注意が必要です。
出典:千葉県
特養の措置入所が認められるケース
特養の措置入所は、対象の高齢者の生命または身体に重大な危険が生じていると確認された際に認められます。
具体的には以下のようなケースが挙げられます。
- 養護者による高齢者虐待によって生命に関わる問題に発展する危険性が高い場合
- 身寄りがなく経済的・身体的に生活していくのが困難な場合
特に、養護者つまり高齢者の家族から高齢者が虐待を受けている場合に、特養への措置入所となるケースが多い傾向にあります。
ただし、特養への措置入所に関しては、対象の高齢者の身体状態が要介護状態に該当すると認められる必要があり、それ以外の場合は養護老人ホームへの措置入所となるため、把握しておきましょう。
出典:千葉県
出典:厚生労働省「老人ホームへの入所措置等の指針について」
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特養の措置入所の際の費用
特養の措置入所の際の費用は、措置を受けた高齢者、もしくは対象の高齢者についての扶養義務がある親族などが、費用の全額または一部を支払う必要があります。
この措置入所時の費用は、本人が要介護1以上であるかどうか、本人に支払い能力があるかどうかによって、誰がどの程度の金額を負担する必要があるかが大きく異なってきます。
特養への措置入所時の費用負担については、以下の図を参考にするといいでしょう。
出典:茨城県「第4章 高齢者虐待対応 Q&A」
上記の図を簡潔にまとめると以下のようになります。
- 本人が要介護1以上であり、本人に支払い能力がある場合は、本人が「費用の全額 - 介護サービス費の市区町村負担分(9割)」を支払う
- 本人が要介護1以上であり、本人に支払い能力がない場合、扶養義務者が存在するならば1と同じ金額を扶養義務者が支払う。
- 本人が要介護1以上であり、本人に支払い能力がない場合、扶養義務者が存在しないならば市区町村が全額負担する必要がある
- 本人が要介護1以上に該当せず、本人に支払い能力がある場合、本人が全額支払う
- 本人が要介護1以上に該当せず、本人に支払い能力がない場合、市区町村が全額支払う
特養の措置入所の定員について
特養などの介護施設には、それぞれ定員数が設定されていますが、措置入所の際はそれらの定員数を上回って入所することが認められます。
また、通常、定員の超過という事態を防ぐべく、定員を超過して施設運営を行っている場合には施設の利用者全員の費用が減算される仕組みがあるのですが、この措置入所によって生じる定員の超過は、本来の定員の5%の人数まではカウントされないと定められています。例えば、定員が60人の特養の場合、3人までは定員の超過としてカウントされません。
この制度のおかげで、利用者全員の費用の減算を恐れて、措置入所を受け入れないといった事態を避けることができます。
出典:公益社団法人 全国老人保健施設「やむを得ない措置等による定員超過」
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まとめ
本記事では、特養の措置入所について解説しました。
措置入所とは、養護者による虐待などが原因で、高齢者の生命に関わる問題が発生する危険性が高い場合などに、一時的に認められる緊急的な施設入所を言います。
やむを得ない事由の判断基準や費用負担についてなど複雑な制度ではありますが、把握しておくといいでしょう。
特養の措置入所とは、やむを得ない事由から、高齢者の安全の確保を目的に、緊急一時的に特養に入所することを指します。詳しくはこちらをご覧ください。
特養の措置入所の際には、被措置者もしくはその扶養義務者が支払う必要があります。金額や支払う人については、本人の要介護状態や支払い能力によって変化します。詳しくはこちらをご覧ください。