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  • 【公開日】2023-09-06
  • 【更新日】2026-04-24

遠距離介護の帰省頻度はみんなどのくらい?交通費のリアルと負担軽減策

遠距離介護の帰省頻度はみんなどのくらい?交通費のリアルと負担軽減策

遠距離介護を続けるのは、頻度や距離によってかなりの身体的・経済的な負担となります。

遠距離介護をしている方は、実際どのくらいの頻度で帰省して介護しているのでしょうか。

そこで本記事では、遠距離介護をしている方を対象としたアンケート結果から、帰省頻度の目安帰省にかかる費用などについてご紹介します。

交通費の負担を抑える方法についてもご紹介していますので、遠距離介護をされている、される予定のある方の参考となれば幸いです。

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【みんなはどのくらい?】遠距離介護の帰省頻度

『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によると、遠距離介護における帰省頻度は全体として「月1回程度」が26.2%で最も多く、次いで「月2〜3回程度」が24.2%となりました。

「週に1回以上(16.1%)」を含めると、全体の半数以上が最低でも月に1回以上は介護のために帰省していることが分かります。

遠距離介護の帰省頻度

回答内容 回答人数
週1回以上

14(16.1%)

月に2~3回程度

36(24.2%)

月に1回程度

39(26.2%)

2~3ヶ月に1回程度

27(18.1%)

半年に1回程度

13(8.7%)

1年に1回以下

10(6.7%)

アンケート結果からも分かるように、片道1時間未満の近距離であれば頻繁な帰省が可能ですが、距離が離れ所要時間が長くなるほど、交通費と移動時間がかさむため帰省頻度は低下する傾向にあります。

続いて、所要時間別の帰省頻度と介護度別の帰省頻度における調査結果をご紹介します。

実家までの帰省にかかる時間別の帰省頻度

実家までの「片道の移動時間」と「帰省頻度」には明確な相関関係があることがわかりました。

一般的には移動に時間がかかるほど身体的・金銭的な負担が増すため、帰省の頻度は顕著に低下する傾向にあります。

以下は、『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』による、「所要時間別の帰省頻度」の割合を示すグラフです。

帰省にかかる時間別の帰省頻度

片道の移動時間 最多の帰省頻度(割合)と、他の所要時間との違い・傾向
1時間〜2時間未満

月2〜3回程度(30.6%)
「週1回以上(27.4%)」と「月1回程度(29.0%)」もほぼ同等の割合で高く、全体の約8割以上が月に1回以上のペースで頻繁に実家へ通えている状態です。

2時間〜3時間未満

月2〜3回程度(37.5%)
引き続き月1回以上の帰省が主流ですが、「週1回以上」の割合が15.6%に減少します。移動の負担が少しずつ帰省頻度に影響し始めていることが伺えます。

3時間〜5時間未満

2〜3ヶ月に1回程度(32.3%)
この距離を境に「月1回以上」の割合が激減し、数ヶ月に1回のペースへと一変します。頻繁な帰省が物理的に困難になる「距離の壁」が明確に表れています。

5時間以上

2〜3ヶ月に1回程度(33.3%)
最多は2〜3ヶ月に1回ですが、「1年に1回以下(25.0%)」という回答が他の所要時間に比べて急増します。多額の交通費や疲労から、帰省自体が大きなハードルとなっている実態がわかります。

片道「1時間〜2時間未満」や「2時間〜3時間未満」の段階では、日帰りも十分可能な距離であるため、「月に1回以上」の頻度で実家へ通うペースが主流です(ただし、2時間を超えると週1回以上の層は減少)。

所要時間が長くなり片道「3時間〜5時間未満」になると、「2〜3ヶ月に1回程度」の帰省が約32%と最多になります。これは、移動による疲労や時間の制約が大きくなり、週末ごとに通うといった対応が難しくなる状況が反映されていると考えられます。

一方で、最も長距離な「5時間以上」になると、「1年に1回以下」が25%と突出して増える結果となりました。

気合や義務感だけで頻度を維持できるわけではなく、新幹線や飛行機などの利用に伴う多額の出費も相まって、実家へ向かうこと自体が非現実的になっていることが伺えます。

移動時間が3時間を超える遠距離介護では、「家族が頻繁に行って世話をする」という前提を捨て、介護サービスやICTツールなどをフル活用して現地の体制を整えるのも重要です。

交通費の負担や移動の疲労が蓄積すると、介護者自身の生活や仕事に支障をきたす「介護離職」や「介護うつ」のリスクが高まります。無理をして帰省を続けるのではなく、ケアマネジャーと相談して「自分が行かなくても回る仕組み」をつくっておきましょう。

介護度別の帰省頻度

親の要介護度や身体状況によっても、遠距離介護の帰省頻度は変化します。一般的には「介護度が上がれば帰省頻度も増える」と思われがちですが、ケアスル 介護が実施したアンケート調査からは、少し異なる実態が見えてきました。

要介護度が上がると施設介護へ移行するケースが多くなるため、必ずしも「介護度が上がるほど帰省頻度が高まる」というわけではないのです。

以下は、『ケアスル 介護調査レポート2026』のアンケート調査における「介護度別の帰省頻度」の主な傾向です。

介護度別の帰省頻度

介護度 最多の帰省頻度(割合)と、他の介護度との違い・傾向
自立

月1回程度(36.4%)
週1回以上から2〜3ヶ月に1回まで広く分散していますが、顔を見せる安否確認を中心とした月1回のペースが基盤となっています。

要支援1

月1回程度(54.5%)
全介護度の中で「月1回」の割合が突出して最も高く、まだ本人が自立して生活できているため、比較的余裕のある帰省ペースを保てている状態です。

要支援2

月2〜3回程度(33.3%)
要支援1から一転して帰省頻度が増加します。日常生活でのちょっとした手助け(重い買い物や掃除など)が必要になり始めるタイミングであることが伺えます。

要介護1

月2〜3回程度/月1回程度(同率27.3%)
支援から本格的な「介護」へと移行する初期段階であり、月に1〜3回程度定期的に通って様子を見る層が半数以上を占めます。

要介護2

月2〜3回程度(30%)
最多は月2〜3回ですが、「2〜3ヶ月に1回(25.0%)」も高めです。家族が頻繁に通う層と、介護サービスを利用して帰省頻度を抑える層とで二極化が見られ始めます。

要介護3

月2〜3回程度(26.1%)
最多は月2〜3回ですが、他の介護度と異なり「半年に1回(21.7%)」が急増します。この段階で施設入居へ踏み切り、帰省頻度が大幅に減るケースが出始めるのが特徴です。

要介護4

月2〜3回程度(30.8%)
「週1回以上(23.1%)」を含めると高頻度層が多くなります。在宅介護の限界に近い段階であり、家族が集中的に関わらざるを得ない切実な状況が表れています。

要介護5

2〜3ヶ月に1回程度(45.5%)
要介護4の高頻度から一転して、全体の半数近くが数ヶ月に1回のペースに落ち着きます。重度化により遠距離での在宅介護が不可能となり、施設入居後の「定期的な面会」へシフトした実態が明確に表れています。

「自立」から「要介護1」の段階では、身の回りのことをある程度自分で行えるため、「月1回程度」の帰省で安否確認や生活環境のチェックを行うペースが主流です(ただし、週1回以上の高頻度で通う層も一定数存在します)。

介護度が上がり「要介護4になると、「月2〜3回程度」の帰省が約31%と最多になります。これは、在宅介護を続ける上で限界に近い段階となり、家族が集中的に関わらざるを得ない状況が反映されていると考えられるでしょう。

一方で、最も重度な「要介護5」になると、逆に「2〜3ヶ月に1回程度」が約45%と突出する結果となりました。

要介護度が上がったからといって際限なく帰省頻度を増やせるわけではなく、遠距離での在宅介護が困難になり、施設へ入居させて「定期的な面会」へとシフトしていることが伺えます。

要介護度が上がったタイミングで帰省頻度を無理に増やすのではなく、介護保険サービスの利用時間を増やしたり、施設入居を検討する対応へ切り替える判断が重要です。

認知症の症状(徘徊や火の不始末など)が進行した場合、要介護度が低くても常に人の目が必要となるため、定期的な帰省だけに頼るのではなく、早急に24時間体制の見守り確保や施設への入居を検討する必要があります。

【専門家に聞いた】遠距離介護の帰省頻度を考えるときのポイント

看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さんに、遠距離介護とその帰省頻度についてお話を伺いました。

遠距離介護の帰省頻度を考えるときには、主に以下の2つのポイントから考えるとよいといいます。

  • 「本人の生活変化」から帰省頻度を考える
  • 「自分の生活に影響が出ていないか」から帰省頻度を考える

それぞれ詳しく解説していきます。

「本人の生活変化」から帰省頻度を考える

菅原さんによると、遠距離介護の帰省時に最も重要なのは、離れて暮らす親の「生活が破綻していないか」を直接目で見て確認することです。

菅原さん_インタビュー
看護師であり様々な介護施設で高齢者ケアに携わってきた菅原さん
株式会社ナースビジョン 菅原さん

たまにご実家に帰省された際、一番気をつけて見ていただきたいのは、やはり親御さんの「認知症の進行具合』『生活が破綻していないか』という点ですね。
具体的には、今まで綺麗に整理整頓されていたのに片付けができなくなっていたり、郵便物が溜まっていたり、冷蔵庫の中の食べ物が腐っていたりといった、普段と違う様子が家の中に現れていないかを確認してください。
自立した生活が難しい様子であれば、介護の頻度や外部サービスの活用などを検討した方がよいかもしれません。

自立した生活が難しくなっている場合、遠距離介護では万が一のことがあったときにすぐ助けられない可能性が高いです。そのため、しっかりと日常生活ができている様子かどうか帰省時に見極めておく必要があります。

自立した生活が難しくなっているのであれば、帰省頻度を増やす、介護サービスを利用するといった工夫が必要になるでしょう。

「自分の生活に影響が出ていないか」から帰省頻度を考える

介護者が自身の生活を犠牲にしてまで頻繁に帰省し介護に追われる状況は、結果として自身の疲弊を招き、家族関係を悪化させる原因になってしまいます。

菅原さんによると、心身をすり減らしてまで介護を続けることはないとしています。

株式会社ナースビジョン 菅原さん
ご家族様が介護に時間を取られてご自身の時間がなくなってしまったり、疲労からイライラしてしまったりするような状況は、やはり避けるべきだと考えています。
しんどくなってしまうと、帰省したときも気持ちよくコミュニケーションが取れなくなるのではないでしょうか。
遠距離の介護がつらく生活にも影響が出ているのであれば、介護サービスを使い帰る頻度を減らすことをおすすめします。

「自分が行かなければ」という責任感や罪悪感は手放しましょう。

有給休暇の枯渇や交通費による家計の圧迫など、ご自身の生活基盤が崩れる前に介護サービスを使うといった工夫をしましょう。

遠距離介護の帰省頻度を減らす方法

『ケアスル 介護 独自調査レポート 2026』によれば、遠距離介護の経験がある方のうち、帰省頻度を減らす工夫として最も多く上がったのは「介護サービスの利用回数を増やす」(32.9%)でした。

次いで、現地にいる人への協力依頼(25.5%)、ビデオ通話などによる安否確認(21.5%)と続いています。

 

遠距離介護で帰省頻度を減らすためにした工夫

回答内容 回答人数
介護サービスの利用回数を増やす 49(32.9%)
現地にいる人への協力依頼 38(25.5%)
通院や手続きなどを1回の帰省で行う 37(24.8%)
特に工夫はしていない 33(22.2%)
ビデオ通話等によるこまめな安否確認 32(21.5%)
見守りカメラやスマートセンサーの活用 29(19.5%)
日用品・食材の定期配送の利用 25(16.8%)
ケアマネ等との面談をオンラインにする 18(12.1%)
お金の管理の自動化 16(10.7%)
その他 1(0.7%)

本章では、同アンケート調査で回答の多かった、「介護サービスの利用回数を増やす」「現地にいる人への協力依頼」「通院や手続きなどを1回の帰省で行う」について詳しく解説していきます。

介護サービスの利用回数を増やす

遠距離介護において帰省頻度を減らす最も確実な方法は、訪問介護やデイサービスなど「介護サービス」の利用回数を増やすことです。

日常的なサポートをプロに任せることで、家族が直接赴く必要性を最小限に抑えられます。

増やすことで負担軽減につながるサービスの例
訪問介護(ホームヘルプ) 掃除、洗濯、買い物などの「生活援助」や、入浴・排泄などの「身体介護」を任せることで、家族が帰省して家事を行う負担を減らします。
通所介護(デイサービス) 外出の機会を増やして日中の安全を確保するとともに、スタッフによる健康チェックや入浴サポートを定期的に受けられます。
配食サービス 介護保険外のサービスも併用し、栄養バランスの取れた食事を届けてもらうことで、食事面での不安と調理の手間を解消します。

遠距離介護では、離れて暮らす家族がすべてのケアを担うことは物理的に不可能です。

日常の些細な困りごとや家事支援を介護サービスで補うことで、「掃除や作り置きのためだけに毎週末帰省する」といった事態を防ぐことができます。

「介護は家族がやるべき」という固定観念を捨て、利用できるサービスを最大限に活用してプロの介入を増やすことが、遠距離介護を破綻させないための鉄則です。

サービスの利用回数を増やす場合はケアプランの変更が必要になります。まずは担当のケアマネジャーに現状の負担を相談し、介護保険の「区分支給限度額」の範囲内でどのように回数を増やせるか検討してもらいましょう。

現地にいる人への協力依頼

親の近くに住んでいる親戚や兄弟、あるいは信頼できる近隣住民など、現地にいる「人の目」を頼り、協力を仰ぐことも非常に有効な手段です。

依頼先とお願いする内容の例
近くに住む親戚・兄弟 緊急時の駆けつけや、定期的な顔出し。役割分担を明確にし、「遠方の自分はお金の管理、近隣の親族は日々の様子見」などと決めておくとスムーズです。
近隣住民・町内会 「郵便物が溜まっていないか」「夜になっても電気がつかない日はないか」など、日常生活における異変の早期発見と連絡をお願いします。
担当の民生委員 定期的な訪問や声かけを通じた見守り。地域に根ざした活動をしているため、困りごとがあった際に行政の窓口へと繋いでもらえます。

帰省した際には、ご近所や親戚へ必ず挨拶に赴き、「遠方から介護をしている事情」と「家族の緊急連絡先」を共有しておくことが重要です。

いざという時に現地の様子をすぐ確認してもらえるネットワークがあるだけで、離れて暮らす家族の精神的な負担と確認のためだけに急遽帰省する回数を減らせるでしょう。

家族だけで介護を抱え込まず、地域社会や親族の協力を得て「チームで見守る」体制を構築することが、安心感と帰省頻度の削減につながります。

近隣住民への依頼は、あくまで「異常があった際の連絡」にとどめてください。直接的な介護や頻繁な生活の世話を要求することは、ご近所トラブルや相手の過度な負担につながるため厳禁です。

通院や手続きなどを1回の帰省で行う

帰省の回数自体を減らすためには、1回の帰省でできる限りの用事をまとめて済ませる「スケジュールの集約」が必要になります。

計画的に動くことで、交通費や移動にかかる時間を大幅に節約できるでしょう。

1回の帰省に集約すべきタスクの例
医療機関への通院同行 複数の病院にかかっている場合は、診察日を同日や連日にまとめられないか、主治医や受付にあらかじめ相談・調整しておきます。
ケアマネジャーとの面談 帰省のタイミングに合わせて担当者会議や面談を設定してもらい、対面での状況確認と今後のケアプランのすり合わせを一気に済ませます。
行政・金融機関の手続き 役所の介護保険窓口での手続きや、銀行口座の管理・引き落とし設定など、平日日中でないと対応できない用事をリストアップして一気に回ります。
住環境の整備 電球の交換、季節家電の出し入れ、不用品の処分など、高齢者だけでは難しい力仕事や家のメンテナンスをまとめて行います。

事前に「今回の帰省でやることリスト」を作成し、面談や通院など必要なことを1回で済ませられるスケジュールを組むことで帰省する頻度を減らすことができます。

有給休暇や会社の介護休暇制度を戦略的に取得し、「数日間の滞在で数ヶ月分の必須タスクを完了させる」という意識で動きましょう。

無計画に何度も往復するのではなく、目的を明確にした「密度の濃い帰省」とすることで、仕事や自分の生活への影響を最小限に抑えることができます。

遠距離介護の交通費の出所は?負担の減らし方

「ケアスル 介護調査レポート2026」によると、遠距離介護を行っている方のうち、1往復にかかる費用として最も回答が多かったのは「5,000円未満」の38.3%でした。

次いで1万円~3万円未満(28.2%)、5,000円~1万円未満(12.1%)と続きます。

帰省1回あたりにかかる往復の交通費(1人分)

回答内容 回答人数(割合)
5,000円未満

57(38.3%)

5,000円~1万円未満

18(12.1%)

1万円~3万円未満

42(28.2%)

3万円~5万円未満

22(14.8%)

5万円以上

10(6.7%)

電車やバスで比較的気軽に移動ができる距離であれば、数千円の出費に収まることも多いです。

しかし、遠方である場合は飛行機や公共交通機関を利用しなければならず、交通費の負担は一気に上がってしまうでしょう。

同調査では、帰省にかかる交通費の出所の割合についてもご紹介していきます。

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帰省にかかる交通費の出所の割合

『ケアスル介護調査レポート2026』によると、帰省にかかる交通費の出所については「全額自分(介護者)が負担している」という回答が最も多く、全体の半数を超える65.1%に上りました。

介護帰省における交通費の出所

回答内容 回答人数(割合)
全額自分が負担

97(65.1%)

全額自分の家計から負担

18(12.1%)

全額、親の年金や貯蓄から負担

18(12.1%)

親と2人で負担

14(9.4%)

兄弟なども交えて分担

2(1.3%)

多くの方が親からの金銭的な援助を受けず、自らの家計から交通費を捻出している実態が明らかになっています。

一方で、「親の年金や貯蓄から全額出してもらっている」や「親と折半している」といった回答は少数派にとどまりました。

この背景には、親の年金収入だけでは交通費まで賄う余裕がない、また「親に余計な負担をかけたくない」という思いから自ら出費するケースもあるでしょう。

交通費にかかる負担が重い場合、「介護にかかるトータルコスト」の負担割合について、親や兄弟間で事前にしっかりと話し合う機会を設けるようにしてください。

交通費の割引制度・助成制度を使い倒す

介護のための帰省にかかる交通費では、航空会社や鉄道会社、また自治体による独自の介護割引制度や助成制度を活用することができます。

活用すべき交通費の割引・助成制度
航空会社の介護帰省割引 要介護認定を受けた家族の介護目的で搭乗する際、正規運賃から大幅な割引が適用されます(JAL、ANA等)。
鉄道の障害者割引 親が身体障害者手帳等を保有している場合、本人および介護者の乗車券が半額になる制度です(JR等)。
自治体の家族介護慰労金等 遠距離介護の交通費助成や、在宅介護を続ける家族に対する独自の慰労金が支給されるケースがあります(自治体により異なる)。

大手航空会社が提供する「介護帰省割引」は、事前に情報登録を行うことで、通常運賃より安価に航空券を手配できます。また、親が身体障害者手帳の交付を受けている場合、JRなどの鉄道機関を利用する際に介護者にも運賃の割引が適用されます。

自治体によっては、遠距離介護に伴う交通費の一部を助成する独自の制度を設けているケースもありますので、一度帰省先の自治体で制度がないか調べてみると良いでしょう。

なお、これらの割引制度や助成制度は基本的に自己申告制となりますのでご注意ください。

自ら情報収集を行い、親の居住地の自治体や利用する交通機関の窓口へ必ず申請手続きを進めましょう。

参考:介護割引 | ANA 
参考:介護帰省割引のお客さま情報登録のご案内 | JAL
参考:障害者割引き制度のご案内 | JR東日本

各種割引制度の適用には、親の介護保険被保険者証のコピーや、戸籍謄本などによる続柄の証明書が毎回、あるいは事前の登録時に必要となります。利用条件と必要書類を事前に各窓口で確認してください。

【体験談】遠距離介護をやめたきっかけは?

本章では、実際に遠距離介護から呼び寄せての介護に変更した方のインタビューをご紹介します。

今回インタビューに対応してくださった方が遠距離介護をやめた理由は、父が一人で生活することに対して不安が強まったからとのことでした。

実際に遠距離介護をされている方でその限界を感じられている方は、インタビュー内容も参考に今後どのように介護をするか決めていきましょう。

父親の転倒事故と車の運転への執着から「呼び寄せ介護」を決断

インタビュー_STさん

【体験談インタビュー】
インタビュー情報(クリックして開く)
・実施日:2026年4月
・形式:オンラインインタビュー
・お名前:STさん
・性別:男性
・年齢:43
・職業:会社員
・居住地:栃木県
・介護の状況:広島から茨城への遠距離介護(片道8時間)を経て、父親を呼び寄せ介護に変更。

STさん:私が遠距離介護をやめて、自分の住む地域の近くへ父を呼び寄せた一番のきっかけは、父の転倒事故でした。

夜中に2回も転んでしまってなかなか一人で起き上がれなかったり、外で転んでしまった時にたまたま通りがかった人に助けていただいたりということが実際に起きたんです。

STさん:その知らせを受けた時、「今のままじゃちょっとまずいな」と痛感しました。

距離が離れていると、何かあった時にすぐ駆けつけて対応することができないため、近くでサポートできる体制を整えたいと強く思うようになっています。

STさん:もう一つの大きな理由は、父の車の運転への強い執着です。

確かに実家の周辺は車がないと不便な地域なのですが、父はどうしても「車に乗りたい」と言って聞き入れませんでした。今の父の身体状態で運転を続ければ、絶対に事故を起こすのは目に見えている状況だったんです。

STさん:何より一番最悪なのは、事故を起こして他の方を傷つけてしまうことだと考えていました

このままでは取り返しのつかない事態になりかねないという強い危機感が、最終的に父を呼び寄せる決断をしたすごく大きな理由ですね。

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まとめ

遠距離介護を長期間継続するためには、初期段階で無理のない帰省頻度を設定する対応が極めて重要です。

【遠距離介護を継続するための鉄則】

  • 帰省時は現地でしかできない最優先タスク(ケアマネジャーとの面談や環境確認)に絞る
  • 介護保険サービスやICTツールを最大限活用し、日常のケアを専門家に委ねる
  • 交通費の出所は親の資産から捻出するルールを確定し、割引・助成制度を使い倒す
  • 介護者自身の生活(仕事・家庭)を犠牲にしない明確なラインを設定する
  • 限界を迎える前に、介護施設の紹介サービスを利用する

親と介護者の居住距離や親の要介護度が変化すれば、適切な帰省頻度も必ず変化します。親の安全確保と介護者自身の生活維持を両立させるためには、専門家の支援が不可欠です。

不安を感じた際は直ちに担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談を実施してください。

プロの力を借りる対応は決して介護の放棄ではなく、親の安全と介護者の人生を守るための最も合理的で正しい選択です。

在宅介護に限界を感じる前に、次のステップとしての施設入居を視野に入れる行動が危機回避につながります。

本記事で解説したポイントを実践し、親と介護者の双方が安心できる遠距離介護の体制をつくっておきましょう。